全日本サラブレッドカップGIIIに代わって昨年から地区交流の重賞として行われるようになった笠松グランプリが24日に行われる。
ダートグレードでなくなったのは残念だが、地区交流のほうが実力が拮抗していて予想や馬券的な面ではおもしろい。今年は遠征こそ金沢の2頭のみだが、興味深いメンバーが揃った。勝てそうな馬が何頭もいて人気も割れそうだ。
中心は昨年2着の雪辱がかかる金沢のケンゴウザン。雪辱とはいっても、その後に笠松1900メートルのマーチカップを制している。19日に行われた地元の北國王冠を使わず、得意のこの距離を狙ってきたのだろう。3走前のオータムスプリントカップは惜しくもアタマ差の2着だったが、相手が昨日(22日)の彩の国浦和記念GIIで2着と好走したキングスゾーンではしかたない。
相手筆頭はマイネフォクシー。遠征では苦戦しているが、笠松や名古屋での地区交流ならきわめて成績が安定している。笠松1400メートルも、6月のサマーカップを1番人気で制している得意の舞台だ。
川崎から移籍してきたブルーロバリーも一発があっておかしくない。前走ファーストレディー賞のレースぶりからむしろ短いほうが力を発揮しそう。休養明けなのがちょっと心配だが。
ミツアキタービンは復調していれば、当然勝っても不思議はない。ダイオライト記念GII、オグリキャップ記念GIIを連勝した印象からこの距離はどうかとも思うが、フェブラリーステークスGIで接戦の4着のレースぶりなら1400メートルもまったく問題ないだろう。
トミケンマイルズも実績から十分勝負になりそうだ。
前々走スプリントを制したクィーンロマンスだが、このメンバーに入るときびしそうなので今回は見送る。
最初にも書いたとおり、どれが勝ってもおかしくないが、5頭ボックスというわけにもいかないのでここは強気にケンゴウザン頭の馬単で。
◎ケンゴウザン
○マイネフォクシー
▲ブルーロバリー
△ミツアキタービン
△トミケンマイルズ
11月14日に07年のダートレースの格付け(4月以降は暫定)が発表された。変更があったのは、兵庫ジュニアグランプリがGIIIからGIIに格上げされたということのみ。
2歳のダートグレードは、今年までGIIIが3レースに、GIが1レース。間のGIIがないという、ある意味でバランスのとれていないものだった。2歳のダートグレードは全4レースと少ないものの、これでGI、GIIが各1レース、GIIIが2レースと、一応はバランスのとれたものとなった。
さて、23日(祝)に行われる兵庫ジュニアグランプリGIII。一昨年までは中央勢の独壇場だったが、昨年は北海道のモエレソーブラッズが制し、地方勢の初勝利となった。
とはいうものの、過去7年のうち5回も地方勢が2着に入っていて、中央馬だけ買っていれば馬券が当たるということにはならない。地元兵庫勢も、01年のホクザンフィールド、04年のレッドペガサス、昨年のジョイーレと、3頭が2着しているだけに地元勢初勝利にも期待がかかる。
今年は中央勢4頭、地元兵庫勢4頭のほか、北海道、大井、名古屋、荒尾から各1頭と各地から多彩なメンバーが揃った。
今年は中央勢にオープン勝ち馬がなく、これといって目立つ馬もない。唯一の2勝馬トロピカルライトも2歳ダートオープンのプラタナス賞では6着に敗れていて、そのプラタナス賞の勝ち馬アプローズヒーローは北海道2歳優駿GIIIでトップサバトンの4着に敗れている。その他の中央馬についても勝負付けは済んでいるといってよく、今回は俄然地方馬にチャンスがありそうだ。
ここは北海道のトップサバトンに期待したい。北海道2歳優駿GIIIでは7番人気とそれほど期待はされていなかったが、直線だけで後続を突き放した脚は次元が違っていた。
相手には、地元兵庫の大将格タッカーテンビー。デビューから圧倒的なレースぶりで2連勝。まだ底を見せていない。
中央勢ではチャンスがあるとすればワイルドイリーガルだろう。北海道2歳優駿GIIIでは逃げたものの直線バテて7着に沈んだが、距離短縮に加え小回りの園田なら逃げ粘りの可能性もある。鞍上の岩田康誠騎手は言うまでもなく大きなプラス材料だ。
そのほかでは、名古屋・ゴールドウィング賞の勝ち馬ワイティタッチ、兵庫でデビューから2連勝のゴールデンウィークあたりに可能性がありそうだ。
とはいえ、上位2頭の力が抜けていそうな気がする。
◎トップサバトン
○タッカーテンビー
▲ワイルドイリーガル
△ワイティタッチ
△ゴールデンウィーク
レディースジョッキーズシリーズの荒尾ラウンドについては、赤見さんが現地から伝えてくれたが、パソコンの画面で見ていてもその盛り上がりが伝わってきた。
第1戦は、デビュー2年目の同期でともに大活躍している2人が直線馬体を併せての叩き合い。別府真衣騎手がゴールでアタマ差だけ先着。そして第2戦は、山本茜騎手が落ち着いたレース運びで直線抜け出した。さすがにJBCマイルでGI騎乗を任されただけのことはある。
さて、今週も日曜日に重賞が3つ。
昨シーズンから通年開催となったばんえい競馬は12月からスタートする帯広開催が重賞戦線の本番という感じだが、冬期休催となる岩手や金沢はいよいよ大詰めだ。
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北見競馬場で行われるばんえい菊花賞。以前は3歳三冠の最終戦だったが、通年開催となった昨シーズンからはばんえいダービーが12月の帯広に移動し、この菊花賞は二冠目として行われる。
一冠目のばんえい大賞典は別定で行われ、最軽量で1番人気となったニシキユウが制したが、このばんえい菊花賞は700キロ(牝馬680キロ)の定量戦。真の実力が試されるレースとなる。
ここは重賞初制覇がかかるホクショウダイヤが中心。ばんえい大賞典は4着だったが、トップハンデの670キロでは仕方ない。今シーズンは5月の旭川開催以降、17戦11勝、2着3回で、5着以下は一度もないという堅実ぶりだ。
相手には、ばんえい大賞典(5着)で同じく670キロを負担したニシキセンプー。それに660キロで同2着だったカネサテンリュウも差はない。ただこの2頭は、北見コースでまだ勝ち星がないのがやや気になるところではある。
以上3頭の三つ巴でほぼ間違いないだろうが、穴なら牝馬のエメラルド。今シーズンの北見では5戦2勝、2着2回と相性がいい。
◎ホクショウダイヤ
○ニシキセンプー
▲カネサテンリュウ
△エメラルド
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水沢競馬場1600メートルで3歳馬によって争われる阿久利黒賞。
他地区からは川崎のスイートムーンとナタリーターミー、笠松からオグリシルクとオグリホットの計4頭が遠征してきた。このうちオグリシルクは岩手初出走だが、それ以外の3頭は10月22日盛岡のウイナーカップに出走し、オグリホットが3番人気で勝利、スイートムーンが6着、ナタリーターミーが7着だった。
地元勢では、サイレントエクセルの出走がないのは残念だが、オウシュウクラウンが出てきてくれた。前走古馬A1戦を快勝したこの馬がやはり本命だろう。
相手には、ウイナーカップの力どおりで、これを制した笠松のオグリホットと、2着に敗れたテンショウボス。
大井から転入2戦目となるケイアイデジタルも怖い存在だ。
そして、シーズン当初は3歳3強の1頭に数えられたダンディキングが約4カ月ぶりの実戦。だが、休養中に急激に力をつけているとは思えず、今回は見送りとする。
◎オウシュウクラウン
○オグリホット
▲テンショウボス
△ケイアイデジタル
* * *
金沢では、地方競馬で最長の2600メートルで争われる北國王冠が行われる。
中心はやはりビッグドン。中央から転入後、3着を外したのは盛岡に遠征したマーキュリーカップGIII(8着)のみで、金沢ではきわめて成績が安定している。白山大賞典GIIIでも中央勢を相手に2着と大健闘だった。
昨年のこのレース以来勝ち星から遠ざかっているテンリットルだが、長距離では無類の強さを発揮するだけにここで一発があってもおかしくない。
そのほかのオープンクラスの馬たちの近走がイマイチで、それならば格上挑戦の上がり馬にもチャンスがありそう。ロイヤルブレンド、レーベンの2頭は鞍上も魅力。
◎ビッグドン
○テンリットル
▲ロイヤルブレンド
△レーベン
かつては11月3日前後に2500メートルで行われていた東海菊花賞だが、その2500メートルのダートグレードが2001年からクリスマス前後に行われることになると、さすがに「菊」を名乗るわけにいかなくなり、「名古屋グランプリGII」にレース名を変え、東海菊花賞はあらためてそのトライアル的位置づけとなり1900メートルで行われるようになった。
以来、新生・東海菊花賞は10月終盤だったり11月だったりに行われるようになった。そして今年は開催日程の関係もあるのだろうが、近年ではもっとも遅い16日に行われる。
11月も後半になって行われるのは、なんと1965年(11月28日)以来2度目のこと。「菊」の季節はちょっと過ぎた感はあるが、名古屋グランプリGIIの前哨戦としてはこの時期のほうがよさそうだ。
東海・北陸・近畿・中国地区の交流ではあるが、今回は残念ながら他地区からの遠征はない。
名古屋1900メートルの条件ならレッドストーンで断然だろう。ダートグレードでは分が悪いが、地方所属馬のみの1900メートル以上のレースでは、今年正月の名古屋記念で5着に負けて以降は5戦全勝。その名古屋記念以降、地方所属馬同士のレースで先着を許したのはウイニングウインドの2着に敗れた2回のみで、1800メートルと1600メートルのレースだった。自信を持ってレッドストーン本命とする。
相手は実績的にウイニングウインドということになるが、距離的な不安はある。前走キンモクセイ特別でこの距離を勝ってはいるものの、1番人気に推された7月の名港盃では、逃げたものの直線バテてアタマ+7馬身も離された3着に敗れている。
前々走のゴールド争覇2着で、成績がきわめて安定しているルンタにもチャンスがありそう。
ゲットゥザサミットは、オータムスプリントはしんがり負けだったが人気薄ながらジョイーレの2着。その後の自己条件を勝ち、力をつけてきている。
馬単ならレッドストーン頭で3点。3連単ならレッドストーン1着固定で、3着には当日の気配を見て印をつけた以外にも人気薄を狙ってもいいかもしれない。
◎レッドストーン
○ウイニングウインド
▲ルンタ
△ゲットゥザサミット
今シーズンの東海・北陸・近畿・中国地区の3歳戦線は、ジョイーレ、ウィンドファンタジ、チャンストウライなどがしのぎを削った兵庫勢の活躍が目立った。東海勢は重賞ごとに勝ち馬が変わる混戦で、強いて挙げればダービーウイクーの盛り上がりから東海ダービーを圧勝したホウライミサイルが目立った程度。
そして3歳世代で忘れてはいけないのが金沢勢の牝馬の活躍だ。昨年の2歳時から今年5月の北日本新聞杯まではセンパツトモが無敵の快進撃。その後は出走していないがどうしているのだろう。
次に台頭したのが、その北日本新聞杯で2着だったマトリックスだ。7月のMRO金賞で重賞初制覇を果たし、続く名古屋の東海クイーンカップでも期待されたが競走中止で残念なことになった。
その東海クイーンカップを7番人気という低評価で制したのが金沢のチヨノドラゴンだった。10月15日のサラブレッド大賞典も快勝。好位に控え3コーナー手前で抜け出し、後続を寄せつけない圧倒的なレースぶりが魅力だ。
これら3頭が万全の状態で対戦していたら、牝馬路線がもっと盛り上がったのにと思うのだが、こればかりはしかたない。
というわけで15日に行われる兵庫クイーンカップだが、古馬との争いでも牝馬同士ならチヨノドラゴンで間違いなさそうだ。
そして対抗には笠松のニッシングリン。読売レディス杯(金沢)を2番人気で制し、続くくろゆり賞(笠松)でも牡馬一線級を相手に3着と健闘した。
未知の魅力があるのが兵庫のイブキオトヒメ。2年前に中央から転入し、休みを挟みながら12戦11勝。格上挑戦となるが、今シーズンは5月から順調に使われているだけに、一気に突き抜ける可能性もある。
あとは重賞実績のあるゴールドハートランまで。
上位2頭が大きく崩れることはないように思う。
◎チヨノドラゴン
○ニッシングリン
▲イブキオトヒメ
△ゴールドハートラン