いよいよ本格的な秋の競馬シーズンに突入。中央競馬でも有馬記念までほぼ毎週のようにGIレースが続くが、地方競馬ではほぼ毎日のように重賞レースがあるような感覚だ。
オッズパークの競馬場だけを見ても、11月はなんと重賞が20も。週末ともなれば3つも4つもあるから、予想どころか見るだけでもたいへんだ。
そして12月は重賞が17。あら。12月のほうが重賞が少ないんですね。
さて、今週日曜日は重賞が3つ。と思ったら来週も再来週も同じく重賞が3つ。たいへんだ。
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北から順に、まずは水沢の南部駒賞。かつては東北地区の2歳チャンピオン決定戦だったが、残念ながら現在は東北地区は岩手だけになってしまった。全国交流として行われるが、この時期の2歳戦はそれぞれの地区でも重賞があり、他地区からの遠征を期待するのは難しい。シーズンが終了した北海道から2頭が遠征してきた。
その北海道に遠征し、エーデルワイス賞GIIIで鮮やかに差し切り勝ちを決めたパラダイスフラワーがやはり中心になるだろう。ダートに限ればここまで負けなしだ。
相手には船橋の平和賞に遠征して4着だったネバーオブライト。勝ち馬からはやや離されたが、1、2着は馬体を併せての叩き合いで、レベルの高い争いだった。
あとは、8月の若鮎賞でパラダイスフラワーのクビ差2着があり、前走黄菊賞勝ちのセイントセーリング。オープン2連勝中で北海道から遠征のトランプ。黄菊賞2着のカネショウエリートまで。
上位の力が抜けているため、配当的にはあまり期待できないかもしれない。
◎パラダイスフラワー
○ネバーオブライト
▲セイントセーリング
△トランプ
△カネショウエリート
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高知では、3歳以上による1900メートルの珊瑚冠賞。
ここはシルキーゲイルに重賞初制覇のチャンスが巡ってきた。建依別賞は3着に敗れたものの、その後は4連勝。建依別賞で先着された2頭が今回は出ていないことからも、やはりこの馬が本命。
相手には、ニッタレヴュー、それからマリスブラッシュ。建依別賞はそれぞれ6、5着だったが、その後は好調が続いている。
今回一番の注目はレッドスターリリーだろう。黒潮皐月賞は4着、高知優駿3着、そして黒潮菊花賞で重賞制覇と確実に力をつけ、目下4連勝中。前走では古馬A3級を相手に勝っている。3歳牝馬ながら古馬一線級を相手にどんなレースをするのか注目したい。
◎シルキーゲイル
○ニッタレヴュー
▲マリスブラッシュ
△レッドスターリリー
△マイネルリチャード
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佐賀の大一番、古馬による2500メートルの九州大賞典。
荒尾から転入3戦目となるフジエスミリオーネが遠征してきた。ぼくは最後のとちぎ大賞典を勝ったのを見ているだけに応援はしたいが、このメンバーでは残念ながらちょっと厳しそうだ。
ここは、ブリーダーズゴールドカップGII、白山大賞典GIIIとダートの一線級に揉まれてきたヤマノブリザードに期待したい。期間限定騎乗の最終日となる内田利雄騎手も有終の美といきたいところだろう(最終レースにも騎乗はあるが)。
相手は、大崩れしない安定感のあるタイキシリウス。ほぼ2頭の一騎打ちと見てよさそうだ。
どちらかが崩れたときの押さえとしてベルガモットシールとコウエイベスト。このあたりはオッズを見ながらということになるだろう。
◎ヤマノブリザード
○タイキシリウス
△ベルガモットシール
△コウエイベスト
8日(水)、笠松競馬場で2歳牝馬による重賞、サラ・プリンセス特別が行われる。
遠征馬こそ兵庫のワイケイリズム1頭のみだが、2頭出しの角田輝也厩舎は、いずれも北海道からの移籍緒戦で力の比較が難しい。
加えて、今年の東海地区2歳戦戦では牝馬の台頭があまりない。ここまでに笠松、名古屋では2歳の重賞が各1レースずつ行われたが、いずれも牝馬は3着が最先着だった。
ここは素直にゴールドウィング賞で3、4着と上位に入ったフジノビビアンとアグリダイアンでいいのではないだろうか。
唯一兵庫からの遠征馬、ワイケイリズムは前々走姫路プリンセスカップ4着で、抜けた馬がいないこのメンバーならあっさり勝ってもおかしくない。父トーホウエンペラーという血統的にも期待したい。
ここまで3頭の三つ巴で、あとは北海道から名古屋に移籍緒戦のマイレディーキセキ、前走兼六園ジュニアカップ3着だったマツノメガミまで。
◎フジノビビアン
○オグリダイアン
▲ワイケイリズム
△マイレディーキセキ
△マツノメガミ
今年2回目を迎える金沢の2歳牝馬によるプリンセスカップ。
昨年はセンパツトモが制して、その後の快進撃の足がかりとなった。中央への挑戦こそ結果を残せなかったが、それ以外はデビュー2戦目から園田への遠征も含めて7連勝。しかし今年5月の北日本新聞杯以来実戦を離れてしまっているのが残念なところ。
今年は、5連勝中のブラックムーンと、前走でそれに食い下がったフアンノネガイの争いと見てよさそうだ。
その前走は、フアンノネガイがハナを奪い、ブラックムーンは直後の2番手を追走。3コーナーからムチが入ったブラックムーンだが、かなりズブいタイプのようで、なかなか並びかけられず直線でもうダメかと思ったところゴール寸前でようやく差し切った。
このレースをどう見るかだが、まじめに走るようになればブラックムーンのほうに成長力がありそうで、将来への期待もこめてブラックムーンを本命。相手はもちろんフアンノネガイ。
この2頭で堅そうな気もするが、それ以外で取り上げるなら前走3コーナーから徐々に後続を突き放し、初勝利が大差の圧勝となったハーベストピーチ。それから、1300メートル戦ではそのハーベストピーチを上回る勝ち時計を持っているフラワーチャームまで。
どの馬が勝つにしても、昨年のセンパツトモを上回るような素質馬の出現に期待したい。
◎ブラックムーン
○フアンノネガイ
▲ハーベツトピーチ
△フラワーチャーム
JBCは今年も中央勢が上位を占めた。力関係から当然の結果といえばそれまでだが。
マイルのほうは、メイショウバトラーが直線抜け出して「これはヤラれたか」と思ったがブルーコンコルドが楽々と差し切った。南部杯でマイルを克服してからはさらに力をつけた感じで、来年のフェブラリーSでどんなレースをするのか楽しみなところ。
クラシックは岩田騎手が見事な騎乗だった。5番人気でしかなかったタイムパラドックスだが、川崎では去年の川崎記念を勝っていて、今年の川崎記念も3着とはいえ、それほど差はなかった。結果論だが川崎コースは得意なのかもしれない。3コーナーで先頭に立ったときは驚いたが、過去のレースを確認してみたらなんと勝った去年の川崎記念でも3コーナーで先頭に立つという同じようなレース運びだった。川崎コースではそういう早め早めの競馬ができるのかもしれない。それにしてもシーキングザダイヤは……。
さて、地方競馬はJBCが終わってとりあえずひと段落という感じがしないでもないが、5日には秋を感じさせる重賞が2つ。
北上川大賞典というと、盛岡競馬場でのシーズンも終わりだなあという思いにさせられるレース。
みちのく大賞典や、シアンモア記念、不来方賞などの伝統の重賞が何度か開催時期が変更されているのに対して、年末(たまに正月も)の桐花賞と、この北上川大賞典だけはほぼ固定された時期に行われている。
メンバー的には昨年ハナ差で1、2着だったエアウィードとコアレスハンターの一騎打ちと見てよさそうで、今年みちのく大賞典を制したコアレスハンターが逆転と見る。
この2頭以外では、前走赤松杯では低評価を覆し岩手での2勝目を挙げたブラーボウッズ。姫山菊花賞で兵庫のトップクラスとそれほど差のない競馬をしたタカオライアン。青藍賞で差のない3着のあるミサキノハンターまで。
やはり実力では上位2頭が抜けている感じだ。
◎コアレスハンター
○エアウィード
▲ブラーボウッズ
△タカオライアン
△ミサキノハンター
福山3歳牝馬特別は、3月のクイーンカップの覇者ユノマリアージュが抜けている。牡馬との重賞でも堅実に走っているのはこの馬だけだし、格付けで古馬に編入されているのも今回のメンバーではこの馬だけ。
相手はクイーンカップこそ9着だったものの、その後力をつけてきたテイクウイン。ここ2戦も3歳1組で連勝と好調だ。
実績的にはこの2頭で堅い感じで、穴を探すなら4走前の3歳1組1600メートル「ライター梶原もじゃ引退記念」でテイクウインの3着だったスイセイタカラか。
クイーンカップで2、3着だったハイスイノジン、グレインズはその後結果を残してないので厳しそう。
◎ユノマリアージュ
○テイクウイン
△スイセイタカラ
早いもので、「楠賞」がサラブレッド3歳以上の重賞になってもう3年がたった。
楠賞がサラブレッドのレースだというと、ちょっと違和感を感じる人のほうが今はまだ多いことだろう。それでもあと5年もたてば、かつてアラブが走っていたことすら昔の思い出になり、それも素直に受け入れられるようになるのだろうと思う。
現に菊水賞や六甲盃などはもはやサラブレッドのレースであることに違和感を感じてなかったりしませんか?
そして20年もたてば、「楠賞と言えばな、昔ケイエスヨシゼンて馬がいてな……」だとか、「ワシュウジョージって馬はな、栃木から来たなんだかって馬に楠賞で負けてだな、三冠をだな……」とか、競馬場に来ている若者をつかまえてぐだぐだと語るおやじが出現しているに違いないと思うのだ。
そしてこの場合、「楠賞」は「くすのきしょう」ではなく「くすしょう」でなくてはならない。
それで思い出したが、初めて園田に競馬を見に行ったとき、地元のおじさんたちはサラブレッドのことを「アラブ」に対して「サラブ」と言っていることに新鮮な驚きを感じた。今思えば、その「サラブ」という表現にはやや蔑視的なニュアンスがあったように思うのだがどうだろう。
で、話を元に戻す。ぼくは競馬場で昔話をぐだぐだと話すおやじが決して嫌いではない。何年も前に浦和競馬場で「俺はハイセイコーが大井で走ってるのを見てるんだ」と延々と話しかけてくるおやじに遭遇した。話はやや支離滅裂だったような気もするが、競馬ファンにおいて「少しでも昔のことを体験しているほうがエライ」という雰囲気は、素直に受け入れることにしている。
もちろん話しかけてくるおやじがべろんべろんに酔っぱらっていたりしたら問題だが、そうでなければそれはむしろ競馬場の由緒正しきあるべき姿であるとも思う。
園田や姫路に行ったときに、ぐだぐだと話しかけてくるおやじから紀三井寺や春木の話は聞いてみたい気はする。
というわけで前置きが長くなったが楠賞である。
ここは素直にジョイーレ本命で間違いないだろう。3歳の重賞ではなかなか勝てなかったが、古馬と重賞で対戦するようになったらあっさりと勝てるようになった。
相手も素直に姫山菊花賞3着のレッドペガサスで、一角崩しがあるとすれば3連勝中の上がり馬ギャランティビート。
今年の兵庫大賞典を勝って以降精彩を欠いているロードバクシンだが、休み明け2戦目で巻き返す可能性も十分ある。
◎ジョイーレ
○レッドペガサス
▲ギャランティビート
△ロードバクシン
印としては一応こうなるが、希望としてはギャランティビートがジョイーレを差し切ってほしい。
なんといってもギャランティビートの父はアブクマポーロであり、ジョイーレの父はメイセイオペラだ。
アブクマポーロはすでに種牡馬を引退して乗馬となり、メイセイオペラは種牡馬を続けているものの韓国に渡ってしまった。
20年くらいののちに、「メイセイオペラが地方馬として初めて中央のGIを勝ったときはだな……」とか、「アブクマポーロが東京大賞典を勝ったときはだな……」とか、競馬場に来ている若者にぐだぐだと話しかけているおやじがいたら、それはもしかしてぼくかもしれない。