12日メインは今シーズンの地方競馬全国交流フィナーレを飾る「第50回南部駒賞」(2歳 盛岡ダート1600m)。今年の南部駒賞はちょうど区切りの50回目。2歳伝統の重賞にふさわしく好メンバーがずらり。地元で無敗4連勝中フジユージーンの実力を試す意味でも非常に興味深い一戦となった。
フジユージーンはデビュー戦の水沢850mで2着に2秒2差をつけて圧勝。早くも大物誕生と噂され、2戦目も1秒3差で圧勝。後に若駒賞を圧勝したミヤギヴァリアントを子供扱いにした。
3戦目の重賞・ビギナーズカップは陣営が戦前から考えていた5番手に控える競馬。差しに戦法を変えても問題なかったが、結果2着リトルカリッジに0秒4差と正直、物足りない内容だった。理由は輸送のない地元競馬。加えて猛暑続きの夏を考慮してプラス9キロ。大事にしすぎて太め残りの印象だった。しかし前走・ネクストスター盛岡は中間、意欲的に乗り込まれて気配もアップ。出遅れを喫しながらも2着に1秒9差。スケールの違いをまざまざと見せつけた。
ネクストスター盛岡から南部駒賞へ直行は当初の予定どおり。今年の2歳交流はJBC2歳優駿(優勝はフォーエバーヤング)以外は北海道所属馬がほぼ総なめ。強烈な旋風を吹き起こしている。仮に負ければ今後の糧になればいいし、このメンバー相手に勝てれば全国挑戦の道も拓けるはず。フジユージーンの現在位置を知る格好な舞台となった。
キタノヒーローは門別1100m・新馬戦ハナ差2着。以降は1700m戦へシフトして3戦2勝。一度5着に敗れたのは終始、内に包まれて戦意喪失。平和賞も2番枠に入り、同様に3番手インからの競馬を強いられたが、じっと我慢して直線で外強襲。優勝カプセルに0秒1差まで肉薄し、収穫の多い一戦となった。
何よりも心強いのは左回りを船橋で経験済みで実際に結果を出していること。また遠征も問題ないことを証明した。激戦区・南関東の経験を生かして逆転首位を狙う。
カイコウはデビュー3戦目の門別1200mを勝ち上がり、重賞・サッポロクラシック3着からJRA札幌・クローバー賞へ挑戦して0秒2差2着に健闘。GIII・札幌2歳ステークスは8着に終わったが、帰郷戦を完勝。プラス12キロ増だったが、中央挑戦のダメージはまったくなかった。その一戦を叩かれてさらに良化は確実。初の左回りをクリアーできればアッサリまで十分。
オスカーブレインは典型的な逃げ馬。門別1100m・新馬戦(2着はトワイライトウェイ)を逃げ切り勝ち。続く2戦は直線失速6着に沈んだが、サッポロクラシックを逃げ切って初タイトルを獲得した。ここ2戦も逃げ一杯に終わり、距離経験が1200mまで。マイル延長も不安だが、願ってもない1番枠。好スタートを決めてマイペースの逃げに持ち込む。
トワイライトウェイは門別1100m・新馬戦で1番人気に支持されたが、オスカーブレインを捕らえ切れず2着。3戦目で初勝利を飾り、続く一戦2着に敗れたが、芝交流・ジュニアグランプリを完勝。芝で反応が一変した。今度は盛岡ダートが舞台だが、軽い走路は歓迎。交流重賞2連勝に王手をかけた。
グラッシーズマンは船橋1500m・新馬戦を逃げ切り、2戦目の新設重賞・若武者賞も快勝。キャリア浅いが、その分だけ伸びしろも十分。輸送がカギだが、底を見せていない。
◎(3)フジユージーン
〇(6)キタノヒーロー
▲(4)カイコウ
△(1)オスカーブレイン
△(8)トワイライトウェイ
△(9)グラッシーズマン
<お奨めの1頭>
2R ブレガーロード
デビュー戦6着から2戦目で2番人気に支持された期待馬。岩手最下級では能力が違いすぎる
先週5日(日)、盛岡ダート1200mを舞台に今シーズン最後の短距離重賞「第13回絆カップ」が行われ、キラットダイヤが圧勝。早池峰スーパースプリントに続いて絆カップ3連覇の偉業を達成した。
レースはカタナが好スタートを決めたが、キラットダイヤは手綱をしごいて先手を主張。ゲートから100mあたりでハナを奪うとあとはマイペース。快調に飛ばして2着トーセンキャロルに6馬身差をつけ、鮮やかな逃げ切りを決めた。
鈴木祐騎手「スタッフがしっかり仕上げてくれたと思います。返し馬でも背中の感じがすごく良かったので、自信を持って臨むことができた。ゲートを出てからの一歩目二歩目は速くないので、行き切るまで少し時間がかかったが、今回もスピードに乗ってからがすばらしい。あとは馬の邪魔をしないよう、ナチュラルに動かしていった。4コーナーを過ぎても反応が良かったので、勝利を確信した。今回で重賞10勝目ですか。乗り始めて3年目になりましたが、ボク自身を成長させてくれた馬でした。印象に残るレースは今年の岩鷲賞。トーセンキャロルの脚がすばらしかったので負けても仕方ないと思ったが、まさかの3着。非常にショックを受けましたが、きっちりお返しできた。キラットダイヤはポテンシャルが高く、とても強い馬だと思います」
板垣吉則調教師「いつもどおりだけど、スピードに乗るまでかかるが、先頭に立ってからは安心して見ていられた。アクシデントもなく、調整も予定どおり。前回(ヴィーナススプリント)よりさらに状態が上がっていたから、納得の結果。あくまでも予定ですが、今日のレースで引退します。キラットダイヤは体もいいですし、スピードがすばらしい。いいお母さんになってほしいですし、いい仔を生んでほしいと思っています」
コメントにもあったとおり、あくまでも予定だが、キラットダイヤは絆カップで現役にピリオド。繁殖生活に入る。実はヴィーナススプリント後にも板垣吉則調教師がほのめかしていたが、6歳で引退は時期的にもベストだと思う。これも憶測になるが、3年連続で最優秀短距離馬に選ばれる可能性が高く、繁殖牝馬としての価値はさらに上がるのは確実だ。
血統的にも非常に魅力的だ。父がサウスヴィグラス、母父がハーツクライ。母方の3代父がサンデーサイレンスだが、どんな種牡馬ともほぼ配合できるのが強味。キラットダイヤは今回の勝利で短距離重賞10勝目をマークし、仔どもにも豊かなスピードを伝えるに違いない。諸事情により現役続行の可能性がない訳ではないが、まずはお疲れ様と伝えたい。
追記・11月9日、「道営記念」へスポット参戦した山本聡哉騎手は落馬のアクシデントに巻き込まれて打撲、挫傷したが、12日から始まる岩手競馬で騎乗する。落馬の影響は少なくないに違いないが、責任感を優先。頭が下がるばかりだ。
今週の岩手競馬
11月12日(日) 「第50回南部駒賞」(2歳・地方競馬全国交流 盛岡ダート1600m)。
11月13日(月) 「ノベンバーカップ」(B2級 盛岡ダート1400m)
11月14日(火) 「フレンドリーカップ・カシオペア賞」(JRA1勝クラス 岩手B1級以下 盛岡ダート1600m)
文/松尾康司
11月5日に行われた古馬スプリントの重賞『絆カップ』は1番人気に推されたキラットダイヤが6馬身差で快勝。自身10個目の重賞タイトルを獲得するとともにこのレース3連覇を達成しました。
これまでのレース同様、二の脚の加速でライバル達を引き離したキラットダイヤ。適度に後続を引きつけつつも最後まで影すら踏ませぬ逃走劇を演じきって6馬身差でゴール。今季の重賞3勝目、自身としては10個目の重賞制覇。絆カップとしても一昨年から3連覇を達成しました。
そして同馬はこのレースをもって引退する事がレース後に陣営から発表されました。3シーズンにわたって短距離戦線の主役であり続けた同馬の、見事なラストランとなりました。
11月7日のメインレースは12Rの『スプリント特別』、OP級のダート1200m戦になります。
暦は11月に入りましたが、気温が高い日が続きますね。先の3日には大井競馬場に行っていたのですが、皆さんもご存じの通り11月としては異例の夏日で、日中は半袖でちょうどというくらいでした。盛岡でも上着無しで大丈夫なくらいですし、この時期としてはあり得ないくらいに暖かかったですよね。
とはいえ今週末頃からは平年並みの気温になるようです。季節の急変で体調崩さないようお気を付けください。
さてこのレースの本命は(5)セイシークエンスです。
今回のメンバーは概ね10月24日の同条件『スプリント特別』からの転戦馬。本馬はその時の2着でした。結果的には勝ったマイグレーションが強い競馬を見せたのですが、本馬も2着はしっかり確保する悪くない内容。そのマイグレーションが絆カップで5着に食い込んだ点も合わせて考えれば本馬の力量も低くないと言える事は間違いないでしょう。
(6)アップテンペストが対抗。その10月24日のスプリント特別では1番人気に支持されましたが結果は5着。前半戦の勢いが感じられないのは確かに気がかりな点ですが、前走の上位馬、特に同型の先行タイプの数が減ったのは戦いやすくなる材料になるはず。
(2)リスレツィオが三番手。こちらも同じ前回のスプリント特別では4着。最後は伸びてきているものの道中の感じだと1200mはちょっと忙しい印象がありました。とはいえ初の古馬戦、それもオープン特別でそれくらい戦えたのなら注目度が上がって当然というものです。
以下、前回の位置頓挫の影響がどうか?ですが、この距離でも先行力を発揮できる(8)ハナレイ、今季はやや苦戦気味も昨年の夏頃の戦いぶりが戻れば・・・の(7)ルチルクォーツが押さえ。
盛岡競馬場は昨夜半から朝にかけて強めの雨が降っており馬場状態も大きく変わっています。傾向の変化には十分に注意を。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(5)=(6)、(5)=(2)、(6)=(2)、(5)→(8)、(5)→(7)
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6日メインはA級一組「晩秋特別」(盛岡ダート1600m)。12月3日、水沢1600mを舞台に行われるトウケイニセイ記念の前哨戦的なレース。各陣営とも完全に視界に入っているに違いない。
今回、その代表がグランコージー。今回は4度目の里帰り。2歳時に若駒賞、寒菊賞を制し、一度目の南関東入り。クラウンカップ6着から再転入して岩手一冠目・ダイヤモンドカップを優勝した。以降も南関東、岩手を行き来し、昨年の桐花賞3着から南関東1勝3着1回から戻ってきた。
狙うのは冒頭に記したトウケイニセイ記念。通算10勝のうち6勝をマイル戦であげ、奇しくも昨年の「晩秋特別」も快勝。ゲンのいいレースで好発進を決めたいところだろう。1番枠マイネルアストリアとの先行争いがカギだが、強引にでも先手を主張する一手。攻めに徹して逃げ切りを狙う。
ゼットセントラルはいい脚を長く使えるのが最大の武器。一昨年4月、中央1勝クラスから再転入後、着外に沈んだのはマイルチャンピオンシップ南部杯13着のみ。ほかはすべて電光掲示板を確保している。
今シーズンも3勝2着2回3着2回。馬券対象から外れたのは前々走・すずらん賞4着のみ。ファンの信頼度は非常に高い。一息入れた前走も4番人気ながら2着を死守し、ひと叩きされてさらに上昇確実。グランコージー、マイネルアストリアが競り合えば一気に突き抜ける。
マイネルアストリアは一昨年、赤松杯、あすなろ賞と重賞2勝。今シーズンは6月に始動して4勝。準重賞・すずらん賞を逃げ切った。前走3着はマークが厳しくなったため。どうしても目標にされる不利が付きまとうが、揉まれない外を追走をできれば控える競馬も問題なし。
外から馬が来ると気にするため、位置取りが最大ポイント。最内1番枠で逃げの手も考えられるが、グランコージーが行き切ったところ、うまく外に出せれば2番手もOK。そうなれば行った切りも十分あり得る。
セイヴァリアントは今季4戦3着3回だが、赤松杯、シアンモア記念でマークした価値ある3着。前走は9着に終わったが、4ヵ月半ぶりの実戦が大きく影響。後方のままに終始したが、一度叩かれて良化必至。盛岡マイルも合う。
ダブルラッキーは南関東から転入後5勝2着1回。前々走7着に沈んだが、前回快勝で軌道修正。今回はメンバーが骨っぽくなったが、充実の4歳秋を迎えて突破できるか。
トキノパイレーツは相手なりに駆ける堅実さが身上。取りこぼし多いのが気になるが、有力馬がもたつけば上位へ進出。
◎②グランコージー
〇⑥ゼットセントラル
▲①マイネルアストリア
△⑧セイヴァリアント
△⑦ダブルラッキー
△⑤トキノパイレーツ
<お奨めの1頭>
1R カガロケット
転入戦は2着だったが、相手が強かった。ここでは前走タイムが抜けており、勝機ガッチリとつかむ
5日(日)メインはオープン馬による短距離重賞「第13回絆カップ」(盛岡ダート1200m)。キラットダイヤが早池峰スーパースプリントに続いて3連覇の偉業達成を目指すが、2年連続出走はキラットダイヤ1頭のみ。短距離路線の顔ぶれがズラリと変わった。
キラットダイヤは一昨年、中央ダート1000m2勝から転入。2戦目から早池峰SS、岩鷲賞、ヴィーナススプリント、絆カップと短距離重賞4連勝。満場一致で最優秀短距離馬の称号を獲得した。
昨年もシーズン2戦目から早池峰SS、岩鷲賞、絆カップと重賞3連勝をマークし、JBCスプリントへ地元代表で挑戦。さすがにメンバーが強く10着に敗れたが、JBC盛岡を盛り上げた。
その後は休養に入り、船橋へ一旦移籍。一度使って里帰りして早池峰SSを圧勝。史上初の3連覇を達成し、続く岩鷲賞でも3連覇を狙ったが、まさかの3着。当時は逃げ馬が圧倒的に有利。馬場にも泣いた印象だった。
夏場は例年同様、放牧に出てリフレッシュ。ヴィーナススプリントで復帰し、1秒1差で圧勝。岩鷲賞でトーセンキャロルに苦杯を喫した雪辱を見事果たした。その後は絆カップに照準を絞って態勢万全。順当に制し、最優秀短距離馬3年連続受賞にまい進する。
トーセンキャロルは中央芝1200m1勝、南関東1勝から転入。ひまわり賞(オークス)、OROオータムティアラと牝馬二冠を連勝した。しかし、以降は古馬オープンの壁が厚く入着一杯。今季初戦の水沢1600mで8着凡走し、短距離路線にシフト。それが功を奏して重賞・岩鷲賞を完勝。キラットダイヤを3着に退け、金星をあげた。
クラスターカップは14着に沈み、牝馬重賞・ヴィーナススプリント2着。キラットダイヤが圧勝し、1秒1差と離されたが、内枠に入った上、出遅れもこたえた印象。勝つまではどうかだが、もっと差を詰めるのは確実。やはり次位は譲れない。
オンラインボスは今季5勝2着2回。目下3連勝中と絶好調を誇り、前々走・水沢1300mをコースレコードで快勝した。気になるのは4走前の岩鷲賞10着。出遅れたのが致命傷となったが、それにしても2秒2差は負けすぎ。3連勝中の勢いで突破できるか、強力メンバーの前に再び屈してしまうのか。今回が正念場を迎えた。
ケイアイサクソニーは中央芝短距離で4勝マーク後、北海道へトレード。OROターフスプリントを圧勝した。その後は勝ち星がなく、今年3月に岩手入り。初戦の水沢1300mは3着にまとめたが、栗駒賞しんがり12着。休養を余儀なくされた。復帰戦のハーベストカップは久々も影響して9着に沈んだが、芝からダート変更のOROターフS3着で健在を誇示した。ダート1200mもひとまず守備範囲。
フジラプンツェルの挑戦も見もの。昨年、5勝をあげて重賞3勝。2歳最優秀馬に選出され、JRAへ移籍。しかし苦戦の連続で里帰りしたが、馬体細化で4ヶ月休養。ひとまず体重は回復したが、3戦未勝利。陣営は短距離に活路を求め、本来の豪快さを取り戻せるか。
マイグレーションは中央ダート1200m1勝、ダート1400m1勝。転入2戦目を3着にまとめ、前走1200m戦で鮮やかなまくりを決めて快勝。適性比較なら引けを取らない。
◎⑥キラットダイヤ
〇⑤トーセンキャロル
▲②オンラインボス
△⑧ケイアイサクソニー
△③フジラプンツェル
△⑩マイグレーション
<お奨めの1頭>
7R シャイニーコンドル
2戦連続2着だが、一戦ごとに内容良化。前走タイムもすばらしく今度こそ首位を奪取する