10月29日に行われた2歳牝馬の地方競馬全国交流重賞『プリンセスカップ』は1番人気のホッカイドウ・コモリリーガルが優勝。上位3着までをホッカイドウ勢が占める結果となりました。
逃げた地元カリフィアを前に4番手あたりを進んだコモリリーガルでしたが、4コーナー手前で早くも先行勢の外に並びかける、それも持ったままでという断然の手応え。直線も食い下がる後続2頭をしっかりと振り切ってゴール。重賞2連勝を達成しました。
2着はサウスヴィル、3着はプレストマーヴェルと上位はホッカイドウ勢が独占の形。地元岩手勢は昨年に続いての連覇はなりませんでした。
10月31日のメインレースは12Rの『アクアマリン賞』、B1級一組のダート1600m戦です。本命は(8)ホワイトパスを採りました。
今年冬は南関へ、その後高知に移籍して夏に岩手に復帰した同馬。その夏の格付変更でC2級まで降級したところがそこでは力が違うとばかりに勝ち進み、一気の5連勝でB1級まで押し上げてきました。このように、一見下位クラスから上がってきたばかりのように見えますが実際は、例えば昨年の夏には盛岡でA級戦を勝っているように実績・実力はB1級で遜色ないものを持っている馬。この5連勝にも何ら不思議は無いと考えていいでしょう。
直近が詰まったローテーションできている点、そもそも昨夏頃から休みなく使われてきている点と気になる部分が無いわけではないですが、今回の相手関係なら現時点ではまだこの馬の勢いの方が優っていると判断しました。
対抗は(5)サンエイコンドル。一時は差し馬っぽい戦いをしていましたが近走は積極先行で結果を残してきています。敗れた時でも大きく崩れてはいないように元々力がある馬ですし、今の馬場傾向にも合っているのでしょう。前走は8番人気からの勝利でしたが、だからといってフロック視は危険。
三番手は(6)リリーアローでどうでしょうか。こちらも○と同様に一進一退ながらも大きくは崩れていない。白星先行ではないとはいえB1級の一組でずっと戦ってきていてのこの結果なのですから軽く見るのは惜しいのでは。流れひとつで・・・の位置にはあると思っておきたいところ。
(3)ディーエスプルーフは、どちらかといえば二走前や三走前のように末脚を武器にした方がいいのかも。とはいえ先行競馬の前走でも脚色遜色ないあわやの2着。地力だけでなく調子も良いという事でしょう。もう一頭は(9)マルケイマーヴェルを。なかなかこう、急上昇という感じまでは出てこない近走ですが力量は安定して発揮しているように見えます。ベストは1400mと思いますがマイルも守備範囲。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(8)=(5)、(8)=(6)、(8)=(3)、(5)=(6)、(5)=(3)
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30日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望・未来へ前進」(B1級三組 盛岡ダート1600m)。3歳馬から10歳までそろい、さらに上がり馬、格上馬が入り混じって波乱の要素もたっぷり含んでいる。
オートヴィルは高知7勝、南関東8勝。現在まで通算18勝マークした。今年8月、南関東B2(レースはA2下)から転入。初戦はB1に格付けされて5着止まりだったが、この一戦を使ってC1へ降格。あっさり3連勝をマークし、B1復帰戦の前走もアッサリ逃げ切りを決めた。今回は骨っぽいメンバーがそろったが、勢い重視。旧地実績からも左回り盛岡は合い、どんな流れにも対応できるのも強みとなる。
アーバンキッドは一昨年、中央芝4勝、障害1勝から転入。初戦のOROカップでロードクエストの2着に入り、高配当を演出。ほかに芝1600mを快勝したが、昨年は長期休養を余儀なくされて水沢1300m2着1回が最高。不本意なシーズンとなったが、今シーズンは芝準重賞・桂樹杯3着、芝重賞・いしがきマイラーズ2着。10歳の高齢馬だが、完全復活をとげた。前走は当初、芝1600mだったが、ダート変更。適性が不安視されたが、ハイタイムで完勝。収穫の多い一戦となった。逆転2連勝まで十分。
グレートキャンベラはJRA時代、名古屋条件交流を1秒4差で圧勝。今年5月に転入し、C2編入にも恵まれて圧巻の2連勝を飾った。3戦目は2着にとどまり、2ヵ月半休養。復帰戦は久々とB1昇級もこたえて5着だったが、ひと叩きされた前回快勝。本来の動きを取り戻した。格上馬がそろった今回は正念場。仮に突破できれば、A級入りも約束された。
ジュンビクトリーは名古屋C級から転入。岩手C2下級条件に編入し、あっさり3連勝をマークした。しかしC1昇級後は入着一杯を繰り返して頭打ちの感があったが、思い切った待機策に転じて活路。B1でも2戦連続2着に突っ込んだ。流れ速くなれば一気台頭まで。
ハピネスガッサンは中央ダート1300m以下で3着3回から昨年9月に転入。着外わずか一度のみと堅実さを発揮している。1600m延長にも対応ができ、ここでもマークが欠かせない。
アスリエルは中央未勝利、南関東1勝・C1級から転入。当初はB1編入がきつかったが、前走3着でメドが立った。
◎(3)オートヴィル
〇(7)アーバンキッド
▲(9)グレートキャンベラ
△(10)ジュンビクトリー
△(6)ハピネスガッサン
△(11)アスリエル
<お奨めの1頭>
2R エコロウォーリア
11ヵ月の長期休養を経て転入。叩き2戦目の前走を破格タイムで圧勝した。同じ1000m戦ならもう一丁いける
29日メインは"GRANDAME-JAPAN2023"2歳シーズン「第39回プリンセスカップ」(盛岡ダート1400m)。昨年、一昨年は11月中旬、それ以前は12月前後に行われ、セミファイナル的な一戦だったが、今年は2週間ほど前倒し。またJpnIII・エーデルワイス賞(今年は11月1日)と重なるため、分散化。結果的に北海道3頭、川崎1頭、地元10頭の計14頭で覇を競うことになった。
コモリリーガルは門別1100m・2歳新馬戦は離された3着だったが、向こう正面で一度下がりながらも直線で盛り返して以降につながる内容を披露。続く2戦2着から目下3連勝中。初遠征・園田プリンセスカップでも2番手キープから4角先頭。そのまま押し切ってシトラルテミニに0秒3差をつけて完勝した。
最大の武器は先行力があって、なおかつ終いもしっかりしていること。近2走ともメンバー最速の上がりでフィニッシュした。今回は初の左回りだが、ワンターンの盛岡ダート1400mならさほど影響なし。それ以上に不安点は14頭立ての大外14番枠。位置を取るために前半で無駄な脚を使ってしまうか否か。先手を主張したいのは内からカリフィア、オトメノネガイ、リトルカリッジ。仮に外を回されるようだと最後の伸びが甘くなる可能性があり、展開がカギを握る。
プレストマーヴェルは門別1000m・2歳新馬戦を快勝。2戦目は出遅れがこたえて7着に終わったが、3戦目のスピネル特別で0秒1差3着に惜敗。この時の1着ジュデシャンスはフルールカップ2着、園田プリンセスカップ3着。2着を確保したモノノフブラックはネクストスター門別2着。ハイレベルのメンバーだった。
管理する田中淳司調教師は今年、カプセルで平和賞(船橋)優勝、サントノーレで鎌倉記念(川崎)優勝、シトラルテミニで金沢シンデレラカップ優勝。さらに地元のリリーカップをシシャモフレンドで制するなど全国の2歳重賞を総なめ。重賞ハンターは狙った獲物は逃がさない。今度は岩手・プリンセスカップも制するか。
サウスヴィルはデビュー2戦とも8着に終わったが、3戦目で鮮やかな直線一気を決めて快勝。単勝1万2300円の高配当を演出した。また牝馬重賞・フローラルカップでは最後方追走から向こう正面でまくりを敢行。結果4着だったが、あわやのシーンを作った。成績が安定しないのは脚質的にも仕方なし。器用なタイプではなく、カーブ緩やかな盛岡で一発を狙う。
カリフィアはトレーニングセール出身馬。デビュー戦の芝1000mをアッサリ逃げ切って完勝。期待どおりの結果を出し、直後に遠野馬の里へ移動。坂路で鍛えてきたが、復帰戦でマイナス体重。それでも2着に粘ったが、ネクストスター盛岡は逃げ一杯3着。粘り不足が目についたが、徐々に馬体回復。休み明け3戦目で今度こそ本領を発揮。
セイバイラックはデビュー4戦とも芝を使って若鮎賞2着、交流・ジュニアグランプリ4着。前走も当初予定は芝1600mだったが、走路悪化のためダート変更。しかし変更がプラスに作用して1秒3差で圧勝。初勝利を飾って弾みがついた。
コンバットスプーンは小柄な牝馬だが、レースセンス抜群。ビギナーズカップ3着、ネクストスター盛岡で大器フジユージーンの2着を確保。相手なりに駆ける堅実さで上位進出をもくろむ。
◎(14)コモリリーガル
〇(2)プレストマーヴェル
▲(9)サウスヴィル
△(6)カリフィア
△(1)セイバイラック
△(12)コンバットスプーン
<お奨めの1頭>
5R ヴェリタス
実戦を使われながら着実に成績アップ。前走は逃げ粘って2着を確保し、今度は待望の首位を奪取する
先週22日、地方競馬全国交流「第13回OROターフスプリント」が行われた。当初予定はレース名どおり芝1000mが舞台だったが、走路状態の悪化によりダート1000mへ変更された。なお今シーズンの芝レースもすべて終了した。
今年は遠征馬4頭、地元8頭の計12頭で覇を競ったが、優勝は川崎代表・マッドシェリー。鞍上・神尾香澄騎手を背に、鮮やかな逃げ切りを決めた。女性騎手の重賞(級)制覇は昭和45年、日高賞をニュースターエイトで制した高橋優子 (故人)以来の快挙となった。
神尾香澄騎手「レース前から行く気で乗りました。好スタートを切ってからも他の馬を見ながら、自分のペースを大事にしてレースを作りました。今日の馬場は内を少し開けて走った方がいいと思ってコースを選びましたが、その内から馬が来ているのは分かっていました。いつも川崎900mで勝っていましたが、今日は1000m。ラストが心配でしたが、強いレースをしてくれました。マッドシェリーはデビューする前から乗せていただいて、とても思い入れがあります。その馬で重賞初制覇できて、すごくうれしいです」
山田質調教師「体型を見ても分かるとおり、専門は短い距離。川崎900mのレース体系ができて持ち味を生かせたと思います。地元に手ごろなレースがなく、それで芝1000mのOROターフスプリントに申し込みました。うちのジョッキー(神尾騎手)に芝を経験させたかったこともありましたが、ダート変更も結果的に良かったと思います。一つ心配だったのは初コースが苦手なタイプ。物見をするんですが、今回は状態が良く、レースにも集中していました。今後については未定。まずは疲れを取ることを優先させ、条件を見ながらゆっくり決めます。ジョッキーも私も初重賞ですからね。非常にうれしいです」
コメントにもあるが、マッドシェリーは過去7勝2着9回だったが、すべて川崎900m戦であげてきたスペシャリスト。同じ左回り盛岡ダート1000mも合ったに違いない。馬もジョッキーも調教師もすべて重賞初制覇。このようなシーンを見せてもらうと周囲も盛り上がる。同時期に調教師免許を取得した菅原勲騎手も心から祝福していた。
先週22日から山本聡哉騎手が復帰した。手術を受けて2ヶ月余りだった。「復帰まではアッという間でした。休養中の一番の思い出は川田将雅騎手に招待されて栗東トレセンを見学できたこと。美浦トレセンはラブバレットで行ったことがありましたが、栗東は今回が初めてでした。手術後も順調に回復。本来の動きを取り戻すのには少しかかると思いますが、調教で乗ってみて行けると思って復帰しました」(IBC岩手放送インタビューより)。
さっそく復帰4戦目の6R・プリマステラで快勝。まだ握力も戻っていないそうだが、これから今年前半と同様の活躍を見せてくれるに違いない。
今週の岩手競馬
10月29日(日) 「第39回プリンセスカップ」(2歳牝馬・地方競馬全国交流 盛岡ダート1400m)
10月30日(月) 「夢・希望・未来へ前進」(B1級三組 盛岡ダート1600m)
10月31日(火) 「アクアマリン賞」(B1級一組 盛岡ダート1600m)
文/松尾庫司
10月22日に行われた地方競馬全国交流重賞『OROターフスプリント』。芝1000mからダート1000mに変更されたレースには4頭の遠征馬が出走し、その中の一頭・川崎のマッドシェリー号が逃げ切りで重賞初制覇を達成しました。
1番人気はプリモジョーカー、2番人気はマッドシェリー、3番人気はエイシントゥランと上位人気は遠征馬が占める形で開いたゲート。果敢にハナを奪ったマッドシェリーを巡っての展開になりましたが、結果は同馬が後続を振り切って逃げ切りV。同馬だけでなく鞍上の神尾香澄騎手、管理する山田質調教師のいずれもが重賞初制覇となりました。また勝ちタイム58秒1は盛岡ダート1000mの新レコードにも。色々記録に残る劇的な勝利でした。
10月24日のメインレースは12Rの『スプリント特別』ダート1200mです。
今週の盛岡は日中こそ日差しが暖かいものの日が落ちると息が白くなる寒さ。早朝もすっかり寒くなってそろそろ雪の心配をしなくてはならない雰囲気になってきました。昨年はJBCがあったので今くらいの時期もまだまだ慌ただしい感じがありましたが、今年は静かに冬を迎えることになりそう。何事もなくシーズン末までたどり着きたいものです。
さてスプリント特別。本命は(10)セイオーキッドです。
春に転入後はまだ未勝利、安定感は欠くと言う他ない戦績ですがしばしば存在感ある走りを見せています。そういうレースはいずれも短距離。7月の岩鷲賞では今回くらいのメンバーと互角の戦いをしているのですから能力自体は通用するものを持っていると見たい馬です。
前走は一息後のマイル戦、8着とはいえ9頭立てで9着は大差しんがりの結果という点には注意が必要ですが、勝ち馬から0.8秒差で戦えた点は一定の評価も必要でしょう。ひと叩きされて短距離戦、力を出し切れれば勝機も十分にあるはず。
対抗は、当初ハナレイにしていましたが同馬が出走取消となったのでひとつ格上げの形で(2)セイシークエンスを。A級ではやや苦戦の印象が出てきましたが、ちょっと気難しいところもある馬。こちらにとっても気持ちよく戦えれば・・・の狙いが可能。
三番手は(4)アップテンペストとしました。短距離路線に焦点を移した今季は勝ち星こそひとつですが存在感十分の戦い。夏以降、ちょっと前半戦の勢いがない感じですが、立ち直ってくればこの相手ならばの力があるのは間違いない馬。当日の気配が良ければ厚めに狙う手もありでしょう。
(6)マイグレーションはJRA時代の良績がダート短距離だったので距離短縮での変化に注目が必要。ただ前走などはまだ身体の余裕が目に付いた印象で、ある程度絞れてくればの条件付。もう一頭は(8)リスレツィオでどうでしょうか。クラシックを意識して長めの距離に出走してきましたが得意なレンジはもう少し短い印象。1200mは逆にちょっと短いかもですが2000mよりはずっと力を出せる条件では。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(10)=(2)、(10)=(4)、(10)=(6)、(2)=(4)、(10)→(8)
岩手競馬の全レース予想を公開中!「岩手競馬・勝ちそーチャンネル」へ