23日メインは3歳馬による地方競馬全国交流「第11回ハヤテスプリント」(盛岡ダート1200m)。当初5回は盛岡ダート1000mで行われたが、第6回から盛岡ダート1200mへ距離延長。同時に3歳・地方競馬全国交流に昇格し、遠征馬4勝、岩手1勝。遠征馬が優位は今年も動かない。
スタードラマーは北海道3勝から南関東へ移籍後、いきなり3連勝。スプリント重賞路線に乗り、優駿スプリントトライアル2着。スタートは一息だが、行き脚がついてからの伸びが実にシャープ。本番の優駿スプリントでも4番人気に支持されたが、出遅れて後方2番手からの競馬。直線で36秒9の末脚を駆使したが、1秒3差7着に終わった。
今回の課題はスタートと位置取り。後方からの競馬で果たして直線300mの盛岡坂で届くかどうか。陣営もそれは織り込み済みで鞍上に盛岡コースを熟知している金沢・吉原寛人騎手を指名。優勝請負人の同騎手が、スタードラマーをどう御すかも楽しみの一つとなった。
クラティアラは北海道2勝から南関東入りして船橋1200m・弥生スプリントを快勝。重賞・若潮スプリントで出遅れながらも3着を確保し、前々走・浦和1400m2着。優駿スプリントは3番手を追走したが、超ハイペースに巻き込まれて直線失速11着。厳しい競馬に苦戦を強いられた。
しかし今回は先行馬がそろったとはいえ、自分の競馬ができるのは確実。ペースも優駿スプリントのように速くなることは考えられない。母クラフィンライデンは北海道vs岩手交流・岩手山特別を快勝し、北海道重賞・エトワール賞を制した強豪牝馬。岩手の地で初重賞を狙う。
ピノホホッアはデビュー戦を快勝し、2戦目のゴールドジュニア3着。3戦目で首位を奪回してハイセイコー記念3着、ニューイヤーカップ2着。4ヵ月の休養明け東京湾カップ4着から東京ダービーへ挑戦したが、相手が強く距離も長かったため15着。南関東クラシック路線を歩んできた。今回は久々の1200m戦だが、ゴールドジュニアで経験済み。メンバーが甘くなって反撃必至。
ボルドートロギルは北海道1勝、大井1勝のみだが、すべて5着以上。1400m以下を舞台に堅実さを発揮している。ここ2戦もトライアル3着、優駿スプリントでは今回のメンバーで再先着を果たした。あとは最後の爆発力と初の左回りだが、器用さも兼ね備えているのが強味。
デザートウインドは北海道2勝から船橋へ移籍。若駒スプリント(1200m)を快勝後、ユングフラウ賞3着から牝馬クラシックへ駒を進めて2戦11着。その後は短距離にシフトし8、9着だったが、今回のメンバーならタイムそん色なし。
地元注目はヌンヌンシー。2戦着外後、前回1000m戦を1秒2差で圧勝。展開にも恵まれたが、短距離向きをアピールした。父は"幻の三冠馬"ロールボヌール。その血が騒ぐか。
◎⑦スタードラマー
○⑩クラティアラ
▲④ピノホホッア
△⑨ボルドートロギル
△⑬デザートウインド
△⑤ヌンヌンシー
<お奨めの1頭>
3R ハナマウイ
1年8ヵ月の長期休養から復帰戦を完勝。地力の高さを誇示した。ひと叩きされてさらに良化は確実
7月17日(月祝)、海の日に「第27回マーキュリーカップ(メイセイオペラ記念)」(JpnIII 盛岡ダート2000m)が行われた。優勝は1番人気ウィルソンテソーロ。テリオスベルを残り200mで捕らえると、一瞬のうちに突き放して4馬身差で圧勝。かきつばた記念に続いて重賞2連勝を飾った。
詳細レース報告はウェブハロンで書いたので、そちらを読んでほしいが、ここではそれ以外のネタをお伝えしたい。ウィルソンテソーロは次走以降について未定だが、今回の圧勝で陣営は手ごたえをしっかりつかんだ。まだJpnIII2勝。今のダート界は強豪が目白押しでハードルは決して低くはないが、反応の鋭さを考えるとチャンピオンズカップ向き。川田将雅騎手「今後はもっと上のステージでも戦えるよう、準備ができてほしいと思います」。まったく同感だ。
テリオスベルは2年連続でマーキュリーC2着。相変わらずスタートダッシュは一息。外から次々と被せられて中団まで下がったが、200mぐらい走ったところ、馬群がばらけてうまく外に出した。そこから手をしごいて2コーナー過ぎにハナを奪った。あとはマイペースに持ち込んで、3コーナーで後続に3馬身差。4コーナーでも同様のリードを保ったが、ウィルソンテソーロの末脚にはお手上げ。むしろ2着を死守したことを褒めるべきだろう。余談だが、江田照男騎手は4コーナーまでのリードを確認して「もしかすると」と思ったそうだ。
3着メイショウフンジンは大外から逃げたが、鞍上のアクションを見れば、当初からの作戦だったようだ。テリオスベルがハナを主張―も想定どおりだが、基本は逃げ馬。交わすまでには至らなかった。
4着バーデンヴァイラーはスタート直後に内によれて態勢を立て直し、ウィルソンテソーロの直後を追走。3コーナーでも一緒に上がっていったが、3着からも7馬身差離された。坂井瑠星騎手「最初バランスを崩し、右前の落鉄の影響もあったのか、勝ち馬があがって行ったときに動いたが、伸びがなかった」。今年は外から被せられることがなく自分の競馬はできたが、案外の結果。目黒記念の影響があったか。答えは次走に出るに違いない。
5着サンライズホープは今年3戦連続で二けた着順だったが、ひとまず巻き返しに転じた。パドックで馬っ気を出して集中力を欠いたのではと幸騎手に聞いたが、「レースには影響なかった。内枠に入ったが、思ったどおりの競馬ができた。キックバックを嫌がるタイプだけど頑張ってくれた」。復調の兆しがうかがえたかもしれない。
7着ヴァケーションは3番手インを追走。昨年は3着に健闘したが、村上忍騎手「行きたかったので前の競馬になった。ああなれば引くに引けないから、それで最後は一杯なってしまった」。一條記念みちのく大賞典に比べてテンションが高かったのも敗因か。競馬は難しいと改めて思った次第。
今週の岩手競馬
7月23日(日) 「第11回ハヤテスプリント」(3歳・地方競馬全国交流 盛岡ダート1200m)
7月24日(月) 「浜木綿賞」(B1・盛岡芝1600m)
7月25日(火) 「夢・希望・未来へ前進」(B1・盛岡ダート1600m)
7月17日に行われた岩手競馬での今季最初のグレードレース『マーキュリーカップ』は1番人気のJRA・ウィルソンテソーロが優勝。前走のかきつばた記念に続いてふたつ目のグレードタイトルを手にしました。
大外枠からハナを奪いに行ったメイショウフンジンをしばらくしてテリオスベルが交わすのは大方の予想通りの展開。先行勢の顔ぶれが入れ替わる中道中5番手あたりで機をうかがっていたウィルソンテソーロは3コーナー過ぎから一気に仕掛けると前の馬を次々と交わして突き抜けてゴール。上がり最速、勝ちタイム2分1秒8もコースレコードにこそ及ばなかったもののマーキュリーカップのレースレコードとなる好タイムでの快勝でした。
7月18日のメインレースは12Rに行われる芝の準重賞『桂樹杯』。上位3頭にはいしがきマイラーズの優先出走権が与えられる戦いです。
メンバーの多くは7月4日のかきつばた賞からの転戦組ですし、JRA時代あるいは盛岡での芝実績が豊富な馬たちばかりですが、今週は雨の影響で馬場状態が悪化しており16日は2歳新馬戦の芝がダート変更、17日の芝特別も重馬場で行われました。当日の馬場状態の変化には十分にご注意ください。
本命は(2)ソロフレーズです。
昨年のこのレースの覇者である同馬は、昨年はかきつばた賞、桂樹杯と制していしがきマイラーズで重賞初制覇。昨年の岩手の最優秀ターフホースにも選ばれているように盛岡芝巧者として最右翼の実力を備えているのは間違いないでしょう。
前走の、今年のかきつばた賞は5着と連覇はならなかったのですが、直線は先頭に立ってそのまま押し切るかという勢いを見せました。そこからちょっと失速したのはやはり3ヶ月の休養明けの分と考えて良いでしょうし、ひと叩きされた今回は今度こその計算をしていいでしょう。
対抗は(5)コスモカルナック。前走が岩手転入後初めての芝、それも初めてのマイル以上の距離。それで勝ち馬には届かなかったとは言えメンバー中最速タイの末脚を見せていたのは高く評価するべきもの。
3番手は(9)キョウヘイを。こちらは前走がB1級の芝特別での2着。あと一歩で勝てなかったのは惜しかったですが、芝で大きく変わってきた点は注目して良いでしょう。転入前はJRAオープンで3歳重賞シンザン記念の勝ち馬ですからね。やはり芝でこそと判断していいはず。あとは馬場状態の影響がどれくらいのものになる?
以下、昨年のオパールカップ2着で盛岡の芝適性は証明している(6)マイジュネス、やはり昨年の3歳芝重賞・サファイア賞を勝ってこちらも芝適性を示している(12)ブローヴェイスが連下。特に前者はダートのA級でも通用の走りを見せていますから芝での変身に注目しておきたいところです。
●12Rの買い目
馬単(2)=(5)、(2)=(9)、(5)=(9)、(2)→(6)、(2)→(12)
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海の日17日メインはJpnIII「第27回マーキュリーカップ(メイセイオペラ記念)」(盛岡ダート2000m)。最高負担重量はサンライズホープ、バーデンヴァイラーの55キロ。過去5年の傾向だが、実績馬よりも秋のビッグレースをにらんだメンバー構成。各陣営とも今後のレースへ出走権を獲得するためにも賞金を加算したい―が本音。予想の組み立てもそれが基本となった。
ウィルソンテソーロは今をときめくキタサンブラック産駒。先日のセレクトセールでも高額落札馬が続々と誕生したが、これまではイクイノックスを筆頭に芝の活躍馬がメインだったが、ダートでも大物誕生を予感させるに十分のパフォーマンスを披露している。
デビュー3戦の芝はいずれも着外だったが、4戦目からダートへシフトして本領発揮。4連勝を飾り、オープン入りを果たした。名古屋城ステークスは5着だったが、続いて名古屋JpnIII・かきつばた記念へ参戦。全日本2歳優駿馬ドライスタウトが1番人気に支持されたが、3~4コーナーからスパートをかけると鋭く反応。2頭の叩き合いに持ち込み、ハナ差で制して快勝。名古屋1500mレコードも更新した。
ウィルソンテソーロ陣営の期待も高く、秋はG/JpnIを目指すとのこと。重賞2連勝を飾り、是が非でもその切符を確実にしたいところだろう。
バーデンヴァイラーは昨年の覇者。テリオスベルが2コーナーからロングスパートをかけ、3コーナーでいっしょに上がるシーンもあったが、福永祐一騎手は無理をせず我慢。その好判断、好騎乗も後押し。直線で一完歩ごとに差を詰め、きっちり差し切った。JRAに戻ってシリウスステークス15着、チャンピオンズカップ14着に大敗したが、佐賀記念で重賞2勝目。名古屋大賞典は外から被せられて3着。目黒記念は芝が合わず18着に終わり、地方ダートへ戻ってマーキュリーカップ2連覇を狙う。
過去の例からも馬群がばらける地方交流向きは明らか。特にコースが広く、ゆったりと流れる盛岡ダート2000mはベスト条件。上がり馬ウィルソンテソーロは強力だが、コース経験と実際に勝っている強みを生かす。
テリオスベルは下総S(3勝クラス)、スレイプニルS(リステッド)2連勝から昨マーキュリーカップへ参戦。2番枠に入ったのが災い。外から続々と被せられて1周目スタンド前では最後方まで下がったが、2コーナーからロングスパートを敢行。逃げたメイショウフンジンを3コーナー過ぎにかわし、あとは独走状態に持ち込んだが、最後の最後でバーデンヴァイラーにつかまった。
以降も同様の戦法に持ち込んでJpnIII・クイーン賞を優勝。ほかのダートグレードでも2着3回3着2回と好走を続けた。前走・平安ステークスが久々のJRAダート。自分の競馬ができず大差しんがり負けを喫したが、これは仕方なしの結果。地方・盛岡で昨年の雪辱に燃える。
メイショウフンジンはダート6勝2着4回3着3回。ばてない先行力と粘りを身上とする。昨年マーキュリーカップは7着だったが、これはテリオスベルの奇襲(当時)に遭ったもので仕方なし。以降は軌道修正に成功し、さらに2勝を積み重ねた。今回は大外13番枠に入ったが、外なら番手の競馬にも対応。展開次第で上位を確保できる。
ヴァケーションは一條記念みちのく大賞典を圧勝。鮮やかな逃げ切りを決めて昨年のシアンモア記念に続いてビッグタイトルを手にし、シアンモア記念7着の雪辱を果たした。昨年はみちのく大賞典3着からマーキュリーカップでも3着に健闘。今年はみちのく大賞典馬の箔をつけ、地元の大将格で臨む。
◎⑨ウィルソンテソーロ
〇⑦バーデンヴァイラー
▲④テリオスベル
△⑬メイショウフンジン
△③ヴァケーション
<お奨めの1頭>
4R ウインルモンド
北海道から転入初戦で豪快なまくりを決めて完勝。メンバー強化感もなく、もう一丁いける
16日メインはオープン馬による盛岡ダート1000m戦「スプリント特別」。短距離向きがずらりと顔をそろえたが、1000m対応は各馬が一長一短。波乱の要素も十分含んでいる。
アップテンペストは笠松から再転入。名古屋在籍時に3歳重賞・梅桜賞、スプリングカップを制し、岩手へ戻って3歳重賞・やまびこ賞を優勝。牝馬クラシック三冠目・OROオータムティアラでも2着確保。自分の競馬ができれば、どんな距離にも対応できるのが強味。
その反面、外から被せられたり、乱ペースになると早々と失速するケースも多々。前走・岩鷲賞9着もその典型だった。好枠を利してハナレイがハナを主張し、アップテンペストは2番手を追走したが、その外にキラットダイヤ。アップテンペストは2頭の間に入り、厳しい競馬を強いられて直線失速した。このタイプは案外、ダメージが少ないのも特徴。我慢が利かず、あっさりレースを投げてしまうから反動があまりない。
今回の盛岡ダート1000m戦は未経験だが、前々走・早池峰スーパースプリントでうまく流れに乗ってキラットダイヤの2着を確保。この時も10頭立ての10番枠。内枠で激しい先行争いに巻き込まれることがなく、内側の動向を見てレースを進めることができる。メンバーも甘くなり、勝機到来した。
カミノコは昨年、中央ダート3勝、南関東A2を経て転入。3勝2着2回、JpnIII・クラスターカップで5着に善戦した。今シーズンは3着1回が最高だが、エンジンがかかったところで競馬が終わっている印象。終いの脚は確実に使っている。
不安材料は1000m対応。1200m4勝に対し、ダート1000mは2着2回。やはり前が止まらない1000m戦では置かれるのが致命傷となる。ただ地力は証明済み。今季初戦の盛岡1000m59秒6のタイムがあれば突破十分。あとは先行激化を期待したいところ。
セイシークエンスは今季も3勝2着1回3着2回。馬券対象から外れたのは休み明け戦の一度のみ。距離、条件を問わずに毎回上位争いを演じている。盛岡1000m戦も3走前、B1級だったが、2番手から抜け出しを決めた。今回はメンバーが骨っぽくなったが、勝ち負けに持ち込める。
カッチャオは盛岡1000m5戦1勝2着2回3着1回。近3走は着外続きだったが、条件が合わなかった。得意の1000m戦で巻き返しを狙う。
コパノラクラクは4走前、カッチャオの0秒1差2着。こちらも1000m戦は歓迎。
イディオムは中央ダート1200m2勝、ダート1400m1勝。南関東では精彩を欠いたが、岩手で心機一転を図る。
◎⑪アップテンペスト
〇⑥カミノコ
▲⑩セイシークエンス
△③カッチャオ
△①コパノラクラク
△⑦イディオム
<お奨めの1頭>
2R ラブファントム
転入戦をパーフェクト内容で完勝。強さが際立っていた。油断のできない相手がそろったが、もう一丁いける