5月16日に行われた3歳牝馬の地方競馬全国交流重賞『留守杯日高賞』。上位は人気通りの決着、中でも遠征勢が優勝を争う形になりましたが、勝ったのは2番人気のスマイルミュ。各地を転戦しながら水沢の地で重賞初制覇となりました。
逃げた3番人気セカイノホシを直後でマークするスマイルミュ、さらにその2頭を見ながら進む1番人気グロリオーソとレースは序盤から終盤までこの3頭三つ巴の戦いに。
しかし勝負所で一瞬置かれたのはその1番人気のグロリオーソ。その後は逃げ粘るセカイノホシと追うスマイルミュ二頭の戦いとなり、ゴール前で競り落としたスマイルミュに勝利の軍配。セカイノホシはクビ差の2着、グロリオーソは最後巻き返したものの1馬身差3着まで。そして岩手のベニスビーチが3頭に食い下がる4着となりました。
5月18日のメインレースは11RのB1級『ディセントラ賞』。重賞でも特別でも無い、"一般戦のダート2000m"という条件は近年ちょっと見た記憶が無い、非常に珍しい設定です。
それだけに、出走各馬にとってはほとんど経験が無い距離という事でもあり、予想もなかなかに悩みどころ・・・というレースになりました。
悩んで選んだ本命は(3)カナタです。昨秋の転入後は7戦5勝2着2回の完全連対確保中。C2級からシーズンを挟んでB1級まで駆け上がって来ましたが、そんなB1級昇級初戦の前走も2着以下に4馬身差をつける完封で勝利。勢いはこのクラスでも随一と言って良い存在です。
距離に関してはJRA時代にも1800mを一度走っただけですから未知なのは間違い無いですが、しかしここではそれは他の馬も同じようなもの。血統的には父ダイワメジャーですから中長距離歓迎、あとはやはりここまでの勢い重視で狙ってみて良いでしょう。
対抗は(1)ツーエムアリエス。1番人気10着の前走は確かに懸念材料なのですが、それまでの堅実さからすれば逆に走っていなさすぎてダメージがなさそうにも思えます。改めて振り返ってみればこれまでもけっこうムラっけな戦績。距離実績に関してはこの中で最右翼の存在でもありますし、前走など無かったかのようにあっさり巻き返してくる・・・という方に一票。
三番手は(6)マベルロンジュを。岩手での初勝利が1400m、JRA時代も終盤は1200mを使ったりして"スピード馬"のイメージもありましたが、実際は距離が短いと立ち回りが慌ただしくなるような印象もありました。前走の1800m戦はじっくり動いて2着確保。さらに距離延長ですがさらに良さが出てきて良いのでは。
(5)オデンセはマイルまでの距離経験で2ハロン延長という未知の領域に挑むわけですが、流れに乗れればしぶとさを発揮するタイプですから、このメンバーでなら対応できておかしくないとみます。(2)ナムラバンザイはA級通用の近走・距離経験からも無視はできない存在なのですが、前走が11日というローテーションを気にして控えめの印としました。
●11Rの買い目
馬単(3)=(1)、(3)=(6)、(3)=(5)、(3)→(2)
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先週の注目レースを振り返ってみたい。まずは9日、岩手古馬の根幹レース「第46回シアンモア記念」。
勝ったのはヒガシウィルウィン。トライアル・赤松杯は伸びひと息で5着に終わったが、ひと叩きされた効果が大きかったのだろう。直線で内ヒガシウィルウィン、中エンパイアペガサス、外チャイヤプーンの叩き合いとなったが、ヒガシウィルウィンが最後でエンパイアペガサスの追撃を封じた。
山本聡哉騎手「前回(赤松杯)は3コーナーでサンキューに早めに交わされたが、それでも直線では伸びていました。だから今回は4コーナーまで我慢できれば最後まで踏ん張れると思いました」。改めてヒガシウィルウィンの底力を見せた一戦だったと思うが、鞍上の好騎乗も光る一戦だった。
前後するが、第1Rでミンナノヒーローに騎乗した村上忍騎手が圧勝。同騎手は地方競馬通算3500勝を達成した。3500勝達成は菅原勲元騎手、小林俊彦元騎手に続いて岩手競馬史上3人目の快挙となった。
村上忍騎手「先週の時点で達成に迫っている事は聞いていましたし、今日は最初から良い馬が控えていましたからプレッシャーのようなものはなかったです。この馬(ミンナノヒーロー号)も自分の記録どうこうよりも勝たせてあげたかった馬ですからね。強い競馬ができて良かったと思います」
そのミンナノヒーローの母ミンナノアイドルはオグリキャップの最後産駒。(全)兄ストリートキャップは中央芝3勝。ミンナノヒーローはJRAデビューはならなかったが、岩手に新天地を求め、デビュー戦2着から今回、2着に3秒1差をつけて圧勝した。走破タイム1分23秒5は馬場を考えても驚異的。次走も楽しみになった。
10日、12R「皐月特別」にハッピーグリンが出走した。結果は3着だったが、今後につながるレースだったと思う。ハッピーグリンは2019年、旭岳賞以来のダート戦でその時は3秒差6着。対して1着リリーモントルー、2着ブラックカードは中央2勝クラスからの転入。それを考えれば上々。盛岡芝へ向けて態勢を整えていってほしい。
17日メインはB2級一組「夢・希望 未来へ前進」(水沢1800m)。距離対応が最大ネックとなる。
サージェントバッジは今季未勝利だが、前走、出遅れたメイカップ6着以外は4戦入着。2着1回3着2回と馬券対象を果たしている。今回の1800mは中央時代に3勝、ほかにダート1700m1勝。内枠有利の水沢1800m戦で待望の勝利を飾る。
シンボリタピットも今季未勝利だが、同じく2着1回3着2回。中央時代は芝3勝マークしたが、昨年以上にダートにも対応できるようになったのが収穫。流れが落ち着く1800m戦が合う。
ジャーネジャーネは前走タイム差なし2着。逃げたヤマニンボアソルチがマイペースに持ち込んで展開は合わなかったが、それでもジワジワと進出。上昇ムードをうかがわせた。ダート1800mも結果は出なかったが、3度経験済みも心強い。
ブライティアフジは距離未経験だが、ひと冬を越して大幅に体重増。これが春の好走につながった。近2走8着はB1戦で相手強化。B2降級で反撃必至。
ペイシャルフェは前々走3着を確保したが、前走8着。元々がムラなタイプだが、中央時代にダート1700m3着の実績を評価した。
モンキーキックは有力馬がもたついた際に3着があるかも。
◎①サージェントバッジ
〇⑩シンボリタピット
▲⑤ジャーネジャーネ
△⑥ブライティアフジ
△⑦ペイシャルフェ
△③モンキーキック
<お奨めの1頭>
3R ヘニービュット
前走は6ヵ月ぶりの実戦に加え、プラス39キロと大幅な体重増でも2着を確保。ひと叩きされて待望の初勝利を飾る
16日メインは"GRANDAME-JAPAN2021"3歳シーズン・セミファイナル「第21回留守杯日高賞」(水沢1600m)。
現在、3歳シーズンの暫定トップはサンシェリダン(高知)の18ポイント、2位がケラススヴィア(浦和)17ポイント、3位がパールプレミア(園田)の16ポイントと大接戦。最終戦・関東オークス(JpnII)までもつれ込むのは確実だ。
今回は遠征馬3頭、地元9頭の計12頭で覇を競うが、遠征馬優位は明らか。しかも南関東勢は過去10年で5勝。これも大きなファクターとなる。
本命はグロリオーソ。北海道9戦1勝から南関東へ移籍。あっさり2連勝を飾り、南関東牝馬クラシック路線へ殴り込み。ユングフラウ賞0秒1差3着、浦和・桜花賞2着と好勝負を演じた。
二冠目・東京プリンセス賞は7着に沈んだが、これは競馬ブック誌にも書いたが、"つきバテ"。逃げたケラススヴィアの2番手をキープして手応えも上々。楽に追走したように見えたが、直線を向いて突き放される一方。
競馬でよくあることだが、逃げた馬が強すぎた場合、2番手につけた馬はピッチを上げられた時、なし崩し的に脚を使って失速するケース。見た目には行った切りの道中なのだが、直線で一杯になってしまった。
それを裏付けるのがスマイルミュの浦和・桜花賞。2番手につけながら4コーナーで手応えが怪しくなり、結果1秒3差4着に沈んだ。この2戦を振り返れば一目瞭然。ケラススヴィアの作った流れは我々が思った以上に厳しいことを意味する。
グロリオーソは東京プリンセス賞7着に沈んでも評価ダウンにならないのは当然のこと。自分の競馬に徹すれば首位を奪回。待望の重賞タイトルに王手をかけた。
スマイルミュは昨年の芝交流・ジュニアグランプリ3着で岩手のファンにもお馴染み。続くJpnIII・エーデルワイス賞でも7着に入り、北海道実績はグロリオーソよりはるかに上回る。
南関東移籍後も2勝2着にまとめ、浦和桜花賞へ挑戦4着。これは先にも記したとおり"つきバテ"だったと想定するとグロリオーソとの勝負づけはまだ済んでいないと解釈するべき。
今回は北海道へ帰郷初戦となり、1ヵ月半ほどレース間隔が開いたのが若干気になるが、留守杯日高賞へターゲットを絞ったと思えば問題なし。小回り水沢では先行力が最大の武器。コースを熟知した山本聡哉騎手を鞍上に指名し、逆転をもくろむ。
セカイノホシのスピードも軽視できない。北海道3勝から東京2歳優駿牝馬トライアル・ローレル賞へ挑戦。果敢に逃げてケラススヴィアの2着に粘った。この時の距離が1600m。すでに克服済みは強調材料となる。
ローレル賞2着以降は3戦連続で二けた着順に沈んだが、先手を取れなかったのがすべて。北海道へ帰郷2戦目を0秒8差で逃げ切り、上昇ムード。加えて逃げたい馬が絶好の2番枠。グロリオーソ、スマイルミュがけん制し合えば漁夫の利を得る可能性も十分ある。
ベニスビーチは北海道1勝から笠松へ移籍。準重賞2勝、重賞・新春ペガサスカップ2着の好成績を収めた。南関東3戦では苦戦を強いられたが、岩手転入戦でトライアル・あやめ賞2着。ゴールデンヒーラーのペースで逃げ切られたが、ベニスビーチは馬群を割ってメンバー最速の上がりを駆使。負けて強しの一戦だった。
ファイントリックは小柄な牝馬だが、兄エンパイアペガサス譲りのレースセンスで芝交流・ジュニアグランプリ以外の重賞で着外なし。今春は牡馬相手のスプリングカップ2着で気を吐き、ほかに重賞で3着4回。有力馬がもたつけば馬券対象になる。
◎⑩グロリオーソ
〇⑤スマイルミュ
▲②セカイノホシ
△⑧ベニスビーチ
△⑫ファイントリック
<お奨めの1頭>
3R スズカロココ
キャリア組を相手にデビュー戦を完勝。能力の違いを見せつけた。メンバー強化感もなく、2連勝にまい進する
5月9日に行われた古馬オープンの重賞『シアンモア記念』はゴール前の接戦を制したヒガシウィルウィン号が優勝。昨年11月の絆カップ以来となる重賞制覇を果たしました。
1番人気は前哨戦を制したチャイヤプーン、ヒガシウィルウィンは2番人気、そして3番人気は赤松杯2着のサンキューという単勝オッズでスタートした伝統の一戦。有力各馬がマークし合い牽制し合い進んだ3~4コーナー勝負所、最内から先頭に立ったヒガシウィルウィン、ピタリと馬体を並べたエンパイアペガサス、そしてその2頭の外から捲ってきたチャイヤプーンの3頭が横に並ぶ形になり、ここから勝利を賭けた最後の戦いが始まりました。
まさしくゴール寸前まで続いた3頭の一進一退の攻防は、ゴール寸前でヒガシウィルウィンがをエンパイアペガサス振り切って決着。ヒガシウィルウィンは岩手での3つめのタイトル獲得、そしてエンパイアペガサスは昨年と同じ、惜しい惜しい2着となりました。
これら強豪達の再対決は恐らくみちのく大賞典。今回のメンバーにヤマショウブラックも加わってくるだろう2000mの戦いが楽しみになる結果だったのではないでしょうか。
5月11日のメインレースは12RのA級特別『花水木(ハナミズキ)特別』。本命は(4)ニシノゲンキマルです。
前走が10歳になってからの最初のレースだった同馬ですが、昨年大晦日以来の実戦・10番人気という低い評価にも関わらず3着を確保。今なお意気軒昂というところをアピールしました。昨年の秋、9歳も後半になってB1からA級に自力昇級したばかりか勝ち星も挙げた力は年を越しても健在だったという事でしょう。
この馬の売りは盛岡・水沢を問わずマイルでは非常に堅実に戦っている点。そしてここはやや極端な脚質の馬が少なくない相手関係。前走時は先にも触れたように10番人気でしたが、ひと叩きされた上昇分で持ち味の手堅い走りがより活きれば、勝機も十分以上にあると考えます。
対抗は(6)ピエナアルティシアを狙ってみます。A級に入った今季、着順は5着・6着ですが、勝ち馬との差はそれほど大きくないですし2着争いには常に加わっています。今回はこれまでよりも相手強化に感じますがそれも決して大幅なものではない。ならば4歳馬の勢いを買ってみる手。
三番手は(1)ロードイヒラニ。前々走の6着でやや株を下げた印象も、前走ではハイレベルのメンバーの中で4着確保したのですからやはり地力は侮れません。ここまでの印象だと乾いてパワーが要求されるコース状態がイマイチなのかもしれませんが底力を軽視できない、というスタンスでの▲。
ここはあくまでも差の無い顔ぶれによる戦いとみるならば、実績で優ると言える(2)グランヴァニーユ、(12)ナムラバンザイも勝ち負けを争う力を持っていると考えるべきでしょう。前者は休み明け初戦が、後者は12頭立ての大外枠がそれぞれカギですが、堅実な戦績という点に注目して。
●12Rの買い目
馬単(4)=(6)、(4)=(1)、(6)=(1)、(4)→(2)、(4)→(12)
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浦和競馬場・平山真紀きゅう舎所属の七夕裕次郎騎手が期間限定で5月2日から騎乗を開始。初日は2着最高に終わったが、翌日3日、第10R・B2級三組シャランドール(牝4歳)で見事な逃げ切りを決め、岩手9戦目で初勝利を飾った。
七夕裕次郎騎手「勝てるチャンスをダメにしたこともありましたから、ちょっと焦りました。今回騎乗したシャランドールは先行力が持ち味ですし、2枠でしたので逃げれれば逃げようと考えていました。道中の手応えも良かったですし、後ろからも来なかったので行けるなと思いました。これまで消極的なレースでしたから、今回は思い切って攻めようと腹をくくりました。やっと勝つことができてホッとしました」
今回の期間限定騎乗は8月17日までの約3ヵ月半。目標の10勝達成を目指し、今後も好プレーを期待したい。
10日メインはA級一組「皐月特別」(水沢1600m)。噂のハッピーグリンがいよいよ始動する。
改めて説明するまでもないだろう。個人的な思い出は2018年1月、セントポーリア賞(500万下・当時)。同日、ラブバレットが根岸ステークスへ挑戦するため東京競馬場へ応援に行ったが、ハッピーグリンはメンバー最速の上がりで快勝。JRA初勝利を飾る瞬間を目の当たりにした。
その後、OROカップへも参戦。当然のように4馬身差で圧勝したが、服部茂史騎手は「スタートを決めたときに勝ったなと思った」と絶大な信頼を置いていた。続いて富士ステークスからジャパンカップへ挑戦。
アーモンドアイが驚異的レコードで快勝したが、ハッピーグリンは7着善戦。走破タイムは1989年、ホーリックス(ニュージーランド)、オグリキャップの敵視的叩き合いの末、レコード決着となったときと同じ2分22秒2。
しかし、今年は京都金杯18着、天皇賞・春13着、京都記念11着、大阪杯13着とすべて大差しんがり負け。岩手で再生するか、否かが最大焦点となる。
加えて一昨年9月、旭岳賞6着以来のダート戦。不安要素は少なくないが、海外も含めて数々の大舞台を踏んできたハッピーグリン。アッサリか、または凡走かの両にらみで馬券購入するのが妥当だろう。
ブラックカードはデビュー6戦目の小倉芝2000mで初勝利をあげたが、その後は頭打ち。4歳9月からダートへ路線変更して札幌ダート1700mで2勝目をマーク。ほかに2着7回と安定した成績を残し、2勝クラスでも2着1回。
以上の実績があれば岩手A級通用は疑いなし。気になるのはここ2戦連続で出遅れていることだが、地方競馬の場合、ゲートで尾っぽを取れるので五分のスタートを切れるはず。そうなると逆転首位まで十分あり得る。
ペイシャリルは中央0勝、南関東4勝・B2から転入。2戦連続で2着にまとめ、前走は3着だったが、ハナ、アタマ差の僅差負け。惜しいところで勝利を逃がした。ハッピーグリン、ブラックカードが水沢コース初めてのハンデに対し、すでに3度経験済みは心強い。
マイネルカレッツァはデビュー2戦こそ芝1800mだったが、以降は一貫して芝2000mを使われて4勝2着4回。3勝クラスでは苦戦を強いられたが、転入直前の御堂筋ステークスでは3角で早め先頭。最後は一杯となったが、0秒5差9着。ダート未経験だが、時計のかかる馬場向きと見るのが妥当。
センティグレードは本来の動きを取り戻していないが、元々は相手なりに駆ける堅実さが身上。有力馬がもつれた際に浮上あり。
リリーモントルーはダート1700mで未勝利を脱出し、芝1800mで2勝目。ダート戦は2017年、初勝利を飾って以来だが、実績的に間に合う。
◎⑩ハッピーグリン
〇③ブラックカード
▲⑪ペイシャリル
△⑤マイネルカレッツァ
△①センティグレード
△②リリーモントルー
<お奨めの1頭>
11R レインハート
南関東B3から転入後、アッサリ連勝。地力の違いを見せつけた。今回からA級昇格だが、レースパフォーマンス重視。3連勝を飾る