18日メインは「第45回一條記念 みちのく大賞典」。この一條記念とは岩手の偉大なホースマン・一條牧夫、友吉親子に敬意を表して冠名となった。
一條牧夫氏は駒場農学校(現・東大農学部)の第一回生(明治10年)。最大の功労は日本の馬匹改良に貢献したこと。明治維新以降、富国強兵のもと、海外に比べて小柄だった在来種にアングロノルマン種、ハクニー種などを掛け合わせて大型化に務めた。
一方、友吉氏は当時、ヨーロッパ偏重だった生産界にアメリカの血を日本へ導入。その輸入牝馬から数々の優駿が誕生。その基礎を作った。
それだけではない。旧盛岡競馬場(緑ヶ丘)の創設にも関わり、盛岡競馬の発展に寄与した。
あくまでも想像の域を出ないが、緑ヶ丘時代の盛岡競馬場の向う正面は3コーナーまで長い上り坂があった。地形を生かしたとも言われるが、坂路が競走馬を鍛えるのに必要―と友吉氏が設計段階で進言したに違いない。
スイフトセイダイ、グレートホープ、トウケイニセイなど岩手競馬史に残る強豪が誕生したのは、決して偶然ではない。坂路によって彼らはさらに鍛えられた。その遺伝子は今のOROパークの坂にも受け継がれている。
今年のみちのく大賞典は水沢2000mが舞台。もちろんテーマはポスト・ナムラタイタンだが、最も至近距離にいるのがエンパイアペガサス。
履歴は語らなくていいだろう。報知グランプリカップ(船橋)を優勝後、一旦放牧に出て岩手へ里帰り。3ヵ月半の休養後、予定どおり重賞・あすなろ賞へ出走。圧倒的1番人気に支持された。
しかしスローで逃げたアントニオピサを捕えるのに手こずり、ゴール寸前でクビ差交わした。この内容をどう評価するか。
物足りないと思う向きもあるだろうが、久々でもキッチリ勝つのが底力と解釈。エンパイアメーカー産駒の大型馬がひと叩きされて今度こそ圧倒的な強さを披露してほしい。
アントニオピサは昨年転入後、2勝2着5回。その5回ともすべて重賞が舞台。距離の長短を問わずコンスタントに結果を出してきた。
ただ、ワンペースのため切れる脚がないのが勝ち切れないところ。シアンモア記念5着はスタートで後手を踏んだもので基準外。2000mの長丁場を味方に逆転を狙う。
ブラックサンダーは南関東B1から転入。初戦は落馬のアクシデントがあったが、シアンモア記念で内を突いて0秒1差3着。そしてメンバーが甘くなった前回を完勝した。
今回は鞍上に吉原寛人騎手を指名。9歳だが、一戦ごとに良化気配が顕著ならアッサリあっても不思議はない。
プリムラブルガリスは中央芝5勝。移籍当初は力の要るダートが不安だったが、初戦を快勝。2戦目・シアンモア記念はユッコの2着。惜しくも重賞制覇はならなかった。
その後はみちのく大賞典までじっくり待機。距離経験が1600mまでだったが、岩手初戦で1800mを完勝なら2000mも大丈夫。
コミュニティはナムラタイタンに戦いを挑み続け、3年前の桐花賞を優勝。また水沢2000mで行われた一昨年のみちのく大賞典を10馬身差で圧勝した。今季は2着止まりだが、ベストの舞台で巻き返しを狙う。
◎⑦エンパイアペガサス
〇④アントニオピサ
▲⑧ブラックサンダー
△⑤プリムラブルガリス
△③コミュニティ
<お奨めの1頭>
6R マストワン
岩手転入後、3戦2勝2着1回。2勝はいずれも破格のタイムだった。水沢1300mもすでに経験済み。ここもフリーパス
先週から水沢競馬がスタート。我々はもちろんのこと、ジョッキーたちも手探りだったと思うが、先行有利の傾向が強かった。
開催替わり初日6月10日は逃げた馬が9勝2着1回(全11R)、11日は6勝2着1回(全12R)、12日は6勝(全12R)。
特に10日は逃げ切りの連続だったため、11日はハイペースの流れが多かったが、それでも6勝。同じく12日も同様に追い込みが決まるケースもあったが、逃げ馬の勝率5割は強烈。また差しで決まったレースでも内で我慢した馬が活躍した。
以上が前半3日間(10日~12日)の傾向だったが、今週はどうなるか。実際に走ってみないと分からない―が正直なところだが、いち早く傾向をつかむのが勝利への道。
17日(土)第1Rは絶対的な本命ワタシヲミテネがいるのでデータ圏外だが、第2Rは手頃なメンバー構成。この結果が一日の傾向につながるはずだから、しっかりチェックしてほしい。
メイン10RはC1「焼石岳賞」(水沢1600m)。先行馬はノリノリハッピーとセイユニコーンの2頭。展開からもセイユニコーンの主軸視が妥当だろう。
中央1勝2着2回、南関東C1から転入。格付けにも恵まれて6戦4勝。特に前走は2着に7馬身差の大差をつけて圧勝した。
ただ、不安がない訳ではない。2度の敗戦は気難しさをのぞかせたから。ゲートに課題を抱えているため、内枠がちょっと微妙。スタート決めれば何も問題ないが、逆に出遅れて包まれた際にどうなるか。好枠、先行馬の有利さを生かせるなら連勝濃厚。まずは発馬に注目。
アクティブボスはムラなタイプ。父バゴ、母父プリサイスエンドの血統からもうかがい知れるが、好、凡走の落差が激しい。
しかし今季はB1からC2へ降格。メンバーも大幅に甘くなって3勝2着2回。C1でも2連勝を飾り、前走・SJTシルバーサドル賞も4馬身差で完勝した。
差しタイプゆえ流れが速くなってくれた方がいいが、集中力を切らさなければ自力で切り開けるのが持ち味。逆転3連勝も十分。
ホクレアネイチャーは前走競走除外。球節が腫れたため無理をしなかったが、大事にならなかったのが幸い。快調な追い切りを消化して意欲満々。2頭に割って入るシーンまで。
レディアントデイズは現在C1在籍だが、芝を求めてB2へ挑戦。2戦連続で3着を確保した。勝負どころ置かれるのが痛いが、直線で確実に台頭。3走前に水沢1600mを勝っており、再現を狙う。
トーホクフェアリーはB2から降格した前走3着。上昇ムードに乗っている。詰めの甘さがつきまとうが、有力馬がもたつけば台頭あり。
プラウドワンダーは目下2連勝と絶好調。自慢のマクリ脚が冴え渡っている。実績の低い水沢1600m戦で評価を下げたが、今の勢いは見逃せない。
◎②セイユニコーン
〇⑪アクティブボス
▲③ホクレアネイチャー
△⑫レディアントデイズ
△⑩トーホクフェアリー
△①プラウドワンダー
<お奨めの1頭>
1R ワタシヲミテネ
転入初戦を2着にまとめ、上々の滑り出し。小柄な牝馬だが、前走タイムがここでは抜けている。順当に勝機をモノにする
★重賞・岩手ダービーダイヤモンドカップ/キングジャガーがダービー馬の座に
11日に行われた『岩手ダービーダイヤモンドカップ』は1番人気に推されたキングジャガーが逃げ切り勝ち。前走に続いての重賞2連勝を達成して岩手の"ダービー馬"に就きました。
レースは序盤から人気上位3頭の戦いに。2周目に入ってからはキングジャガー対ハドソンホーネットのせめぎ合いの形にもなりましたが、最後はキングジャガーが振り切ってゴール。自身重賞2勝目がダービーのタイトルになりました。
キングジャガーは昨年6月に岩手でデビューしましたが初勝利は11月、2歳重賞には一度も参戦することなく南関東へ移籍したのちこの春再転入。しかし2歳重賞戦線の好走馬をまとめて破る走りでベンテンコゾウを追いかける先頭に立ったと言えるでしょう。
●12Rの買い目
馬単(5)=(3)、(5)=(7)、(5)→(6)、(5)→(4)
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★オッズパークLOTO 5重勝/6月12日(対象8R~12R)
買い目:5,7→1,9→4→5,2→5
8R/評価A: 5番、 7番 評価B: 3番
9R/評価A: 1番 評価B: 9番
10R/評価A: 4番 評価B: 1番 穴:7番
11R/評価A: 5番、 2番 評価B: 7番 穴:8番
12R/評価A: 5番 評価B: 3番、 7番 穴:4番
先週5日、盛岡競馬場を舞台に「スーパージョッキーズトライアル2017」第1ステージが行われ、第1戦(ダート1600m)をアクティブボスで快勝し、第2戦(芝1700m)をマキシマイザーを2着に持ってきた中野省吾騎手が35ポイントを獲得。2位・真島大輔騎手に14ポイントの大差をつけて暫定首位で通過した。
しかも第1戦は5番人気ながら4馬身差で圧勝し、2戦目は7番人気で2着。いずれも好プレーが目を引いた。
実は伏線があった。4月29日、今シーズンの盛岡開催を記念して「南関東ジョッキーズフレンドリーマッチ」が行われ、中野省吾騎手も参戦。
第1戦(ダート1400m)で2番人気ハブーブに騎乗して14頭立て14着。2戦目(ダート1600m)は1番人気ブラックスナイパーでブービー13着。惨たんたる結果の盛岡初騎乗となった。
いずれも1枠に入り、内に包まれて自分の競馬ができずに終わったが、その反省を今回に活かしたに違いない。
名ジョッキーの条件は失敗を糧に次はしっかりと結果を出すこと。中野省吾騎手、今後の動向に注目していきたい。
11日メインは「第37回岩手ダービーダイヤモンドカップ」(水沢2000m)。ベンテンコゾウが北海道二冠を獲り、三冠を目指すため今回も不在。一見すると手薄な岩手ダービーかと思ってしまうが、おもしろいメンバー構成となった。
主軸はサンエイリシャール。昨年の若駒賞でベンテンコゾウを退け、唯一の黒星をつけた強豪。その後は精彩を欠いたが、反動も大きかったようだ。
それはやまびこ賞にも言える。スプリングカップを豪快なまくりで完勝したが、やまびこ賞では伸びを欠いて2着。キングジャガーに逃げ切りを許した。
敗因はレース間隔が詰まった上、馬体重も大きく減らしたこと。反動が大きいタイプと見て間違いないだろう。
その意味で今回のように1ヵ月半のレース間隔は理想。馬場が先行有利にならない限り、まくり切れると判断した。
キングジャガーの成長力には目を見張るものがある。デビュー当時が474キロに対し、やまびこ賞は498キロ。
確かに幅が出てきただけではなく、全体が大きくなった印象を受ける。初勝利まで7戦を要したのは、まだ幼かったから。体に実が入り、それに伴って頭角を現してきた。それゆえやまびこ賞優勝はフロックではない。南関東で揉まれたことも自身の成長の糧とした。
残された課題は2000mの距離。父キングヘイロー、母父ファスリエフはスピードタイプの印象を受けるが、ダンシングブレーヴ2×4のインブリードは長距離歓迎。小回り水沢に替わるのもプラス材料になるはず。
ハドソンホーネットは船橋3勝から転入。オーナーの大久保和夫さんはベンテンコゾウも所有馬。岩手ダービーダイヤモンドカップ狙いは明らかだろう。
4年前、北海道1勝からヴイゼロワンを移籍させ、2連勝で岩手ダービーを優勝。このパターンと一致する。しかもハドソンホーネットは激戦区・南関東からの移籍。当然勝ち負けに持ち込める実績だ。右回り未経験、距離も未経験だが、いきなりのシーンまで。
ダンストンレガーメはあやめ賞、留守杯日高賞を連勝。牝馬No.1の座を射止めた。前走・はまなす賞7着は初芝で基準外。牡馬相手でも軽視できない。
グラマシーは留守杯日高賞クビ差2着だったが、レースを作った上での結果。転入初戦を余裕で逃げ切り、伸びしろ十分。ステイヤー血統も見逃せない。
◎⑨サンエイリシャール
〇⑦キングジャガー
▲⑩ハドソンホーネット
△③ダンストンレガーメ
△⑤グラマシー
<お奨めの1頭>
7R アサクサキンボシ
南関東から再転入後、1勝2着2回。今回はメンバーが大幅に緩和され、勝機ガッチリとつかむ
まずは先週2日間連続で行われた重賞・かきつばた賞、早池峰スーパースプリントを振り返ってみたい。
芝2400m重賞・かきつばた賞は6頭立ての少頭数。序列もほぼ決まっていたが、サンエイゴールドが4馬身差で圧勝。2着は逃げの手に出たブレークビーツを直線でブレイズアトレイルが捕えた。
注目してほしいのは馬体重。休み明け初戦の前走はプラス10キロの502キロ。正直、5ヵ月ぶりの実戦で太目残りもあったと思っていたが、今回じっくりチェックしてみて驚いた。体が一回り、いや二回りも大きくなっていた。
元々、黒鹿毛の馬で見映えのするタイプだったが、縦にも横にも伸びて成長の跡がはっきり。これでさらにパワーアップしたのは確実。今後の活躍も楽しみになった。
続く早池峰スーパースプリントはエーシンシャラクが完勝した。当日は雨が断続的に降り続け、高速決着の連続。持ち時計のないエーシンシャラクには決してプラスとは思えず、不安が増したのは否定できなかった。しかも2番枠。内で包まれる可能性も大きかった。
しかしエーシンシャラク=高松亮騎手は果敢に逃げた。外からスティルプリンスも必死に追ったが、ハナを譲らなかったのが最大の勝因。直線でも伸び脚は衰えず2着キングオブローに1馬身半差。重賞挑戦13度目で悲願の重賞タイトルを手にした。まさに"あっぱれエーシンシャラク、あっぱれ高松亮"だった。
10日メインはB1「ねむの木賞」(水沢1600m)。開催替わりで馬場傾向が把握できていないが、どんな流れになってもヴィグラスムーヴを追いかける手だろう。
中央2戦0勝から転入後、一度1着失格をはさんで8勝。実質9連勝と見て差し支えない。時に近2走は差しに転じて快勝。自在脚を身につけたのが何よりも心強い。
残された課題はマイル延長だが、控える競馬もできれば問題なし。実際、サウスヴィグラス産駒は北海優駿でベンテンコゾウが、東京ダービーでヒガシウィルウィンが優勝。距離も克服できることを証明している。
相手筆頭はオメガブレイン。中央準オープン、園田A級から転入し、A級2戦6、5着から今季B2へ降格。勝てなかったのは巡り合わせが悪かっただけ。メイカップを6馬身差で圧勝してうっ憤を一気に晴らした。元オープンの格上馬が弾みつけた。
トーホウパルサーはスピードを武器にA級で2勝、今季もB1で1勝。ここ2戦はコスモジョイジョイに完敗だったが、連対を確保して面目躍如。大外に入ったので▲としたが、スンナリ逃げれれば強じんな粘りを発揮。
スパンコールは追い込み脚質のため流れに左右されるが、切れる末脚が武器。多少でもペースが速くなれば台頭の可能性十分。
トーホクアローにも同じことが言えるが、コース替わりは基本歓迎。前崩れの展開が理想。
アイアムプレシャスは同型トーホウパルサーとの兼ね合い次第だが、小回り水沢に替わるのは好材料。
◎⑤ヴィグラスムーヴ
〇①オメガブレイン
▲⑪トーホウパルサー
△②スパンコール
△③トーホクアロー
△⑩アイアムプレシャス
<お奨めの1頭>
4R ダーリンラブラ
前走は出遅れに加え、不良馬場の盛岡芝にとまどって3着。ダートに戻って雪辱必至