先週10日、水沢1600mを舞台に行われた「第41回赤松杯」はナムラタイタンが6馬身差で逃げ切り圧勝。積極的に攻めていったラブバレットをアッサリ突き放した。
今年10歳を迎え、年齢的な衰えがないか不安な面もあったが、帝王には関係なし。むしろ凄みを増した印象さえ与えた。
坂口裕一騎手「休み明けは問題ないタイプなので、いつもどおりスタートだけを気をつけました。
内に入って包まれる可能性がありますから、それならば逃げた方がいいと判断。追い出してからの反応も良く、いい滑り出しを切ることができました。
昨年は赤松杯後、脚部不安のためにリタイアしたが、今年はおととしと同様、無事にシアンモア記念に向かってほしいと思っています」
そう。昨年は赤松杯レース中に脚を痛めてリタイア。復帰に3ヵ月ほどかかってしまったが、今年はシアンモア記念2度目の制覇に視界良好となった。
一方、2着に敗れたラブバレット。相手はナムラタイタンのみ。早々とマッチレースに持ち込んだが、直線で突き放され完敗を喫した。
山本聡哉騎手「高知遠征の疲れも取れていい仕上がりで臨めましたが、距離が長かった。マイルだとどうしても最後が甘くなります。それでも6馬身差ですからね。改めてナムラタイタンの強さを実感しました」
管理する菅原勲調教師も「この着差ですからね。相手が強かったということでしょう。次走は予定どおりかきつばた記念(JpnIII)。ベストの1400mで巻き返しを期待します」
17日メインはB1「駒形賞」。舞台が1800mへ替わり、距離対応が勝敗のカギを握りそう。
主軸はモルフェワイン。今季初戦はA級に格付けされて相手強化。6着に終わったが、一戦のみでB1降級。しかも叩かれた変わり身も素晴らしく2着に0秒9差をつけて圧勝した。
1800m戦も昨年2着でこなせることを証明済み。レース運びのうまさで2連勝をもくろむ。
スパンコールは前回快勝。今季初戦、レディアントデイズにハナ差の悔しい2着のうっ憤を晴らした。馬体回復したのが最大の好走要因。
切れ勝負型で1800m延長は望むところ。あとはスローの流れにならないことを期待するのみ。
グエンザップは休み明け2戦目を完勝。B1も突破した。馬体のすばらしさはここでも群を抜く存在。体型的にマイラーの印象もあるが、成長力で克服できる。
トーホクアローは初戦5着。追い込み一辺倒のため成績安定しないのは仕方なしだろう。桐花賞で毎年、電光掲示板を確保しているように距離は長ければ長いほどいいタイプ。一気突き抜けるシーンまで。
ノーティカルスターも同じく追い込み馬。展開に注文がつくため全幅の信頼を置けないが、流れ速くなれば台頭十分。
エイトプリンスは初戦を3着にまとめ、元A級の地力を発揮したが、前走は中団のまま6着。11キロの体重減が影響したか。当日の馬体重に注意を払いたい。
◎(7)モルフェワイン
〇(9)スパンコール
▲(2)グエンザップ
△(5)トーホクアロー
△(6)ノーティカルスター
△(1)エイトプリンス
<お奨めの1頭>
11R モズフウジン
昨年、中央未勝利から圧倒的な強さで6連勝。オープン入り間違いなしともっぱらの噂。今季初戦、マイル延長など課題は多いが、スケールが違う
いよいよ16日(土)、新人ジョッキー2名がデビューする。鈴木祐騎手(櫻田康二きゅう舎・盛岡)、木村直輝騎手(関本浩司きゅう舎・水沢)。
鈴木祐騎手は第1R・ミエノコマンダー、第8R・ピンクサンダーの2頭。木村直輝騎手は第6R・コスモマスタング、メイン10R・エイプリルラヴの2頭。
詳しくはテシオ特集でご覧になってほしいが、それぞれ目標を聞いてみたところ鈴木祐騎手は「50勝」、木村直輝騎手は「30勝」だという。
昨年デビューした小林凌騎手は1年目で32勝をマークし、岩手競馬アワード新人賞を受賞した。おそらく両騎手ともそれを意識したと思うが、夢はでっかい方がいい。
過去のジョッキーが一番緊張したのがデビュー戦、頭が真っ白になったと異口同音に語る。果たして鈴木祐騎手、木村直輝騎手はどんなデビュー戦となるか。注目してほしい。
16日メインは「奥州水沢 日高火防祭賞」(B1 水沢1400m)。距離に自信ありのメンバーがずらり。8頭立てながら伯仲戦が期待できそうだ。
アフリカンハンターは昨年、中央1600万下から転入。慢性的な裂蹄を抱えているため春当時は体を絞るのに苦労したが、叩かれながら気配アップ。早池峰賞(盛岡ダ1200m)、岩鷲賞(水沢1400m)、すずらん賞(盛岡ダ1600m)と重賞で3戦連続3着を確保した。
今季初戦を2着にまとめ、上々の滑り出し。前走はマイルに延長された上、スローに落とされたのが致命傷。折り合いを欠いて9着に沈んだが、タイム差は0秒7。
今度は距離が1400mへ短縮されたし、メンバー的に流れが速くなること必至。自慢のマクリ脚を披露できる可能性が高くなった。
ただ、重賞で健闘しながら岩手未勝利と勝ち切れないのも事実。ほかもつけ入る余地は十分ある。
逆転筆頭はテイケイフロックス。今季2戦とも7着と自慢の豪脚が不発に終わっているが、今回はベストの1400m戦。過去、水沢7戦2勝2着3回3着1回。最も得意とする条件といっても過言ではない。
ムラな面があり全幅の信頼を置けないが、休み明け3戦目。目の覚めるような末脚を披露する。
ナリタメロディはアッサリ逃げ切りまで十分。中央芝1200m1勝から転入後、盛岡ダート1600m、ダート1200m、水沢1400mで早々と3勝。スピードが冴え渡った。
今回は芝1000m・ハーベストカップ以来、6ヵ月ぶりの実戦だが、タイプ的に久々を苦にしない印象。能力検査を叩かれたのも強調材料となる。
モリノワカバは前走でマイペースの逃げに持ち込んでモルフェワインの2着。持ち前の粘りを発揮した。1400mも浦和で3勝なら、むしろ望むところ。
ワールドブルーは中央2勝、地方18勝から転入。ジリ脚のため3着1回止まりだが、1400mはこれまで3勝2着2回。この成績は見逃せない。
◎(3)アフリカンハンター
〇(2)テイケイフロックス
▲(5)ナリタメロディ
△(7)モリノワカバ
△(8)ワールドブルー
<お奨めの1頭>
7R ゼロワンシンジロー
中央ダート2勝の地力を見せつけて初戦を1秒差で圧勝。C2ではモノが違うことを証明した。迷わず主軸視
10日メインはシアンモア記念トライアル「第41回赤松杯」(M3 水沢1600m)。今シーズンの古馬第一弾の重賞でもあるが、過去最高の赤松杯だといっても大げさではない。
昨年はモズが逃げ、2番手をナムラタイタンが追走。3番手インで内に包まれたライズライン。コミュニティは後方からの競馬。
3~4コーナーでモズ鞍上の高橋悠里騎手の手が激しく動く一方、ナムラタイタンは持ったまま。直線入り口で先頭に立ち、あとは後続を完封。2着にモズが粘り、ようやく外に出せたライズライン3着。大外からコミュニティが猛追したが、4着に終わった。
このメンツと結果を見ると再戦ムードが漂い、ナムラタイタンの連覇濃厚だが、ラブバレットが名乗りを上げたことで一気に緊張感を増した。
ラブバレットは昨年、骨折明けから2連勝を飾り、JpnIII・さきたま杯へ挑戦。見せ場を作って4着に善戦した。続く岩鷲賞ではナムラタイタンに完敗を喫したが、クラスターカップで3着を確保。岩手所属馬では2007年、テンショウボス以来、8年ぶりにダートグレードで馬券対象となった。
その後、笠松の1000万レース・笠松グランプリでサトノタイガー相手に完勝。2006年、パラダイスフラワー以来の遠征交流での優勝を果たした。
この結果、年度代表馬の選出は2手に分かれた。6戦5勝のナムラタイタンを推す派、交流レースで活躍したラブバレット派。
最終的にナムラタイタンがラブバレットとの直接対決で2戦2勝の成績が決め手となったが、年度代表馬ナムラタイタン、特別表彰でラブバレットに落ち着いた。
ラブバレットはトウケイニセイ記念を優勝後、福島のテンコートレセンへ移動。坂路で乗り込まれて高知・黒船賞へ臨んだ。
ところが、よりによって3枠。当時は内コースの砂が深く本意ではなかったが、逃げの手に出るしかなかった。しかもダノンレジェンド以下のマークがきつく、3コーナーで一杯。7着も仕方なしだった。
当初、東京スプリントに登録もあったが、遠征疲れもあって無理せず自重。ようやく本来の動きを取り戻して赤松杯出走にこぎつけた。
菅原勲調教師「マイルは気持ち長いが、水沢なら守備範囲。ナムラタイタンは追い切りですごい動きを見せていたが、現時点でどのような戦いができるか楽しみ」。我々も熱い視線を送っている。
帝王ナムラタイタンは追い切りを2本消化して万全の態勢で臨む。
村上昌幸調教師「最終追い切りで半マイル(4ハロン49秒台をマークして満足のいく状態で赤松杯に臨める。年齢は一つ増えたが、動きを見る限り衰えはなさそう。昨年は赤松杯優勝後、脚部不安が発生してシアンモア記念を自重したが、今年こそ順調に使ってシアンモア2度目制覇に向かって好発進を決めたい」
コミュニティは桐花賞でナムラタイタンに完敗。2連覇はならなかったが、2着を死守して面目躍如。本質的にはステイヤーでマイルの忙しい競馬向きではないが、特別開催の水沢1600mを圧勝。一度叩かれた強みを生かしたいところ。
ライズラインは冒頭に記したとおり、昨年の赤松杯は不完全燃焼に終わった。今、大ブレイク中のスクリーンヒーローの初年度産駒。こちらはベストの1600mで首位を虎視眈々と狙う。
◎(4)ナムラタイタン
〇(7)ラブバレット
▲(2)コミュニティ
△(5)ライズライン
△(9)エーシンシャラク
<お奨めの1頭>
4R マイネルボンド
スタートに課題を抱えているが、前走は南関東C1の底力で豪快なまくりを決めた。2連勝もらった
4月2日から岩手競馬2016がスタート。さっそく今シーズンの3歳戦線を占う重賞が2日連続で行われた。
2日は「第41回スプリングカップ」。2歳最優秀馬メジャーリーガーが登場。圧倒的1番人気に支持されたが、2番手から直線一杯5着に敗れた。
関本淳騎手「南部駒賞以来、久々の実戦で気負いが強すぎた。地元水沢だとなおさら入れ込みが激しく、空回りした感じでした」。
次走予定は5月1日、やまびこ賞。今度は舞台が盛岡に替わり、本来の持ち味を出すことができるか。巻き返しに期待したい。
優勝したのはエンパイアメーカー産駒エンパイアペガサスだった。デビュー2戦は2着に終わったが、3戦目から圧巻の3連勝をマークしてシーズンを終了を終えた。
スプリングカップが重賞初挑戦。相手が大幅に強化されたが、6馬身差で圧勝。大器ぶりを如何なく発揮した。
村上忍騎手「馬にしてみれば窮屈なポジションだったが、まったく問題にしなかった。デビュー2戦で騎乗経験あるが、格段に良くなっていた。馬格もあるし、これからも楽しみ」
翌日3日は3歳牝馬による留守杯日高賞トライアル「第41回あやめ賞」。最優秀牝馬サプライズハッピーが1番人気に支持されたが、2着。マイナス10キロの体重減もこたえた印象だった。
山本聡哉騎手「勝負どころで前がごちゃついて馬群をさばくのに若干、手間取りました。本来の調子なら外を回っても良かっただろうが、コースロスを避けたかった。こちらも捲土重来を期す。
優勝したのはクロフネ産駒ディックカントウだった。こちらはプラス21キロと大幅増だったが、太目感なし。馬体からも成長の跡がはっきりうかがえた。
山本政聡騎手「状態がすごく良かったので自信を持ってレースに臨めました。
この馬の良さはどこからでも競馬ができること。馬群の中に入れても追い出すとしっかり伸びてくれます。次は他地区との戦いになるでしょうが、どれぐらい戦えるか楽しみです」。日高賞が待ち遠しい。
9日メインはC1・水沢1400m「大屋梅賞」、12頭立て。実力伯仲のメンバーで波乱の要素も十分ありそう。
主軸にエントラールを指名する。一昨年、中央未勝利から転入後、連戦連勝。9連勝を飾り、オープン入り間違いなしと言われた。
昨年もB1で2勝マークしたが、夏以降はスランプ。直線失速を繰り返し、12月中旬で休養に入った。
結果、それが功を奏して特別開催を完勝。本来のシャープさを完全に取り戻した。今度は油断できない相手がそろったが、復活すれば格負けはないはず。
アマアマは南関東から再転入。A級からC1へ一気に降格した。中央ダート短距離で1勝2着3回の実績もさることながら、牝馬重賞・ヴィーナススプリント(水沢1300m)で0秒1差3着。1400m戦は望むところだろう。
サンギルロイは昨年、中央未勝利から転入して5連勝。岩手の水が完全にあった。今季はC1へ昇格したが、初戦で見せ場を作って3着。通用のメドが十分立った。
ラッキーゴールドは特別開催を好タイムで快勝。もまれ弱い面があり展開次第だが、スンナリの流れなら再現まで。
ひと叩きされて変わり身を期待エクセラン、距離不足でも地力上位マンボプリンスも軽視できない。
◎(6)エントラール
〇(2)アマアマ
▲(12)サンギルロイ
△(1)ラッキーゴールド
△(11)エクセラン
△(5)マンボプリンス
<お奨めの1頭>
5R クラジェントリラブ
2戦連続2着は巡り合わせが悪かった。今回はメンバー関係が緩和され、絶好の勝機と見るべき。
特別開催から格付け再編成され、クラスが大幅に変動。上位級に在籍していた馬が最下級に降格。その結果、C2は本命サイドで決着するケースが多く、有力馬も絞りやすかった。
ところが3歳戦は波乱の連続。3歳C1以上のレースが計5レースあったが、1番人気の1着馬は"ゼロ"だった。
よって単勝の平均配当が2028円、馬単が3万364円、3連単に至っては18万7802円という大荒れの結果となった。
理由はいくつか考えられる。冬場の休養期間に成長をとげた馬、逆に体がしぼんだ馬が多かったこと。体重の増減が大きく有力馬の体調がひと息だったこと。この時期に歯替わりするケースは少なくなく、必然的に食も細くなった影響もあるかもしれない。
3日メインは3歳牝馬による重賞「第41回あやめ賞」(水沢1400m)。先輩女子を退けて岩手競馬最優秀牝馬に選ばれたサプライズハッピーが始動する。
昨年成績が9戦3勝2着4回。内容も文句なく、牡馬相手のビギナーズカップを圧勝。また全国交流・プリンセスカップも自慢の切れで快勝。他にも若駒賞、金杯2着など断然の実績を誇っている。
もちろん圧倒的1番人気に支持されること必至。特別開催の3歳戦が荒れに荒れたが、牝馬同士ならサプライズハッピーは抜けた存在。
特別開催を使った組に対し、3ヵ月ぶりの実戦は確かに割引き。果たして女王の実力を誇示し、来る"GRANDAME-JAPAN2016"3歳シーズン・留守杯日高賞(4月24日)に向けて好発進を決めるか。期待を抱いてレースぶりを見守りたい。
逆転筆頭はディックカントウ。北海道1勝2着2回から昨年暮れに転入。初戦の寒菊賞でイチダイの2着を確保し、地区レベルの差を見せつけた。
続く金杯はハイペースにも巻き込まれて6着に終わったが、冬場も乗り込まれて帰郷。最終追い切りでもいい動きを披露した。初タイトルを手にするシーンも十分。
アクエルドは特別開催を豪快なまくりで快勝。タイムは平凡だったが、ひと皮むけた印象を与えた。
母アプローズフラワーは現役時代、一世を風靡し繁殖入り後もアテスト、アスペクトなど重賞ウイナーを輩出した。母が制したあやめ賞で素質を開花させる。
マーチンは中央芝1200mで2着1回。一連の走破タイムから通用十分。ダートも2度経験済みも心強い。パワーの要る水沢をこなせるかが最大の課題となる。
ドリームチャイルドは小柄な牝馬ながら父ネイティヴハート譲りの絶対スピードが武器。初戦はマイルも長く直線一杯4着だったが、ここは距離短縮を味方にする。
スクリーンハッピーは前走、大幅な体重減だったにもかかわらず2着。馬体回復ならさらに怖さを増す。
◎(4)サプライズハッピー
〇(3)ディックカントウ
▲(9)アクエルド
△(8)マーチン
△(2)ドリームチャイルド
△(5)スクリーンハッピー
<お奨めの1頭>
6R ステージアート
B2でも勝ち負けを演じ、今季は最下級へ降格。時計のかかる馬場でも1分25秒6の好タイムで快勝した。2連勝もらった