先日もお伝えした太田陽子騎手ですが、岩手でのデビューに向けて着々と準備が進んでいます。
先週の木曜日には水沢競馬場で行われた能力検査に騎乗して、実戦さながらのレースの流れを経験しました。週末には勝負服も完成。これで物理的な準備は整いました。
太田騎手自身も盛岡競馬場で各所を見て回ったりして準備に余念無し。後はデビューを待つばかり・・・です。
●10Rの買い目
馬単(7)=(11)、(7)=(9)、(7)→(1)、(7)→(2)、(7)→(5)
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盛岡競馬場に芝があるメリットは計り知れなく大きい。血統からも適性を推し量ることは可能だが、実戦となるとやはり別。先週のテシオ杯ジュニアグランプリを圧勝したプレイアンドリアルも典型的な例だった。
デビュー戦の門別1700mで行われたスーパーフレッシュチャレンジを5馬身差をつけて勝ち上がったが、どこかもたついていたと思ったのは自分だけではないはず。陣営も「間違いなく芝向き」と断言していたが、実際に走ってみないことには分からない部分もあったはず。
プレイアンドリアルがそれをレースで証明できたのは収穫大。道中のラップでも大物の予感を裏付けているので紹介してみたい。
スタートから12秒5-11秒7-12秒6-12秒8-12秒5-12秒6-12秒6-12秒0。
このラップを見ればラスト200mで後続を一気に突き放し、6馬身差で圧勝したのも納得できるはず。それでも「遊び遊び走って物見をしていた」(関本淳騎手)というのだから、実力は推して知るべし。
参考までにラスト200mを12秒ジャストでまとめたのは「第2回東北ジュニアグランプリ」(当時の名称)を優勝したネイティヴハート以来のこと。
その後、ネイティヴハートはアイビーステークスを快勝し、京王杯3歳ステークス2着、朝日杯3歳ステークス(当時)3着の成績を残した。今と昔とは時代が違うが、プレイアンドリアルの可能性を図る格好の材料となる。
プレイアンドリアルの次走予定は東京スポーツ杯2歳ステークス。そこでの健闘を期待したい。
29日メイン11レース(発走17時)は芝1700mを舞台に行われる地方競馬全国交流「第15回岩手県知事杯OROカップ」。中央芝で好実績を残してきた馬、盛岡芝で実績を作ってきた馬が入り混じり、激戦必至となった。
主軸に川崎ナターレを指名。昨年、OROカップへ参戦して初の芝を問題にせず、アッサリ逃げ切って快勝。レコードに0秒7まで迫る好タイムもマークした。
川崎帰郷後もA2、牝馬重賞・しらさぎ賞と連勝。ここ2戦は退廃を喫しているが、グレードレース、牡馬相手の重賞で相手が強すぎたし、自分の競馬ができなかったもので度外視して考えたい。
今回は休み明け3戦目。当初からOROカップを照準を合わせて調整を進め、2日前に盛岡入り。陣営の意気込みも相当だと見て間違いないだろう。昨年よりメンバーは骨っぽくなったが、持ちタイムを素直に信じたい。
相手筆頭はハカタドンタク。冬場の中央移籍によって先行競馬ができるようになったのには驚いた。それによって勝ち味の甘さが解消。重賞3勝を上げ、3歳交流・オパールカップも制した。
トライアル・桂樹杯は初の古馬挑戦でアタマ差2着。格上マイネルファルケに直線猛追した。おそらく人気はないだろうが、見逃してならないのが一連の走破タイム。オパールCの1分46秒1は平凡に映るが、雨がたっぷり含んだ重馬場で、それを考えれば非常に優秀だ。何よりも成長続ける3歳馬。伸びシロに期待した。
高知ファイアーフロートは中央時代に中央1400m~1600mで7勝。2010年にはGⅢ・京王杯オータムハンデを制し、実績抜群。輸送さえうまくクリアーできればアッサリ勝って当然。
北海道ケイアイライジンも芝実績はヒケを採らない。プリンシパルステークスを快勝して日本ダービーにも出走(10着)し、芝4勝。その後、南関東へ移籍して報知グランプリカップを優勝して健在を誇示した。その後、白星から遠ざかっているのが気になるが、芝に替わって激走も十分。
マイネルファルケは盛岡芝で息を吹き返した。マイルチャンピオンシップ2着、ダービー卿CT2年連続2着の足跡があったが、ダートではまったく精彩なし。南関東時代は大敗の連続で岩手へ新天地を求め、それがずばり。トライアル・桂樹杯で芝適性を発揮した。コース2度目でさらに期待が高まる。
◎(6)ナターレ
○(8)ハカタドンタク
▲(10)ファイアーフロート
△(3)ケイアイライジン
△(5)マイネルファルケ
<お奨めの1頭>
5R ハーツコンセンサス
中央未勝利から転入初戦をパーフェクト内容で1着。馬体重アップも地力強化につながったか。距離延長はむしろ望むところ
先週22日、盛岡芝1600mを舞台に行われた2歳地方交流「第15回テシオ杯ジュニアグランプリ」は北海道プレイアンドリアルが圧勝した。
逃げたランデックキングの2番手外をぴったり追走し、いつでも抜け出せる態勢。追い出しを直線入り口まで我慢したのは「早め先頭に立たないでほしい」とのリクエストがあったから。
4コーナー手前で外からダマスクインゴットが馬体を併せにかかってようやくスパート。直線を向いてダマスクインゴット、内キープのライズラインが外に持ち出して並ぼうとした瞬間、プレイアンドリアルが一気に突き放して6馬身差。しかも「道中は遊び遊び」(関本淳騎手)だったというのだから、スケールは推して知るべし。
8月15日、スーパーフレッシュチャレンジを5馬身差で圧勝後、陣営はテシオ杯ジュニアグランプリ、東京スポーツ杯2歳ステークスの青写真を描いていたが、その期待に違わぬ強さを披露した。
「まだフラフラしたところがあって幼さが残っているが、30年の騎手生活でこんなに力のある馬に乗ったのは初めて」と関本淳騎手が絶賛した。
田部調教師も「コスモバルクより上かも」とレース後にコメント。まだ2戦のキャリアゆえ、伸びシロは十分。東スポ杯2歳Sは本当に楽しみになった。
28日(土)メインはオープン馬による盛岡ダート1200m戦「オッズパーク杯」、12頭立て。岩手を代表するスプリンターがそろったが、今の勢いを重視ライトマッスルが主軸だ。
ライトマッスルは2、3歳時になかなか頭角を現せなかったのは気負いが強すぎたため。パドックでの発汗が激しく、レース前に体力を消耗してしまっていた。その中でも素質の片りんをのぞかせていたが、本格化したのは昨年秋から。
芝短距離に活路を求めたところ、秘めた才能が花開いて芝1000m重賞・OROターフスプリントを優勝。最優秀ターフホースの栄誉にも輝いた。
その2戦後のレースで軽い骨折が判明。ヒザの骨片を取り除く手術を行ったため、今季始動が5月までずれ込んだ。おそらく骨折が尾を引いていたと思うが、復帰当初は本来のシャープさが影を潜めていた。
しかし、叩かれながら良化一途をたどり、目下2連勝中。ついに完全復活を遂げた。気になるのは盛岡1200m戦で結果を出していないことだが、不調サイクルとかぶったものと判断。OROターフスプリント2連覇に向けて、ここはきっちりと勝ちたい。
逆転筆頭はデュークワンダー。中央2戦0勝から福山で4連勝をマーク。再び中央へ戻り、ダート短距離へ路線変更がずばり。ダート1000mで2勝、1200m以下で2着4回3着6回と活躍した。転入初戦は4着だったが、これは1800mの距離が長すぎたため。今回はベストの条件といえる1200m戦で反撃に転じる。
エクセランはB1からの挑戦。中央から再転入後、3勝2着1回3着2回とすべて馬券対象を果たし、抜群の安定感。特に短距離戦のここ2戦2、1着だが、強さが際立っており、上昇一途。A級馬が58キロに対し、56キロのハンデも味方に好走必至。
スズヨシーズンは短距離で切れる末脚を存分に発揮。追い込み一辺倒の脚質ゆえ、届かないケースもあるが、すずらん賞2着。同じ1200m・早池峰賞でも3着に突っ込んだ。ペースに左右される面あるが、ハイペースなら一気突き抜ける可能性もある。
ファーストメジャーは2011年、岩手に転入。交流重賞・絆カップ2着、栗駒賞優勝。その後、南関東へ移籍して未勝利に終わり、岩手再転入。初戦を2着にまとめ、健在を誇示したが、ここ2戦は4着止まり。評価が微妙になったが、1200mなら反撃の余地がありそう。
ディアーウィッシュは2着3回。年齢的なものか最後のひと踏ん張りが足りないが、青藍賞(9着)よりメンバーは大幅に緩和。連下マークは欠かせない。
◎(6)ライトマッスル
○(7)デュークワンダー
▲(3)エクセラン
△(1)スズヨシーズン
△(4)ファーストメジャー
△(2)ディアーウィッシュ
<お奨めの1頭>
6R ブリス
転入初戦をアッサリ逃げ切って好タイムをマーク。相手は骨っぽくなったが、絶対スピードで押し切る
岩手競馬で久々に女性騎手が騎乗します。それもオーストラリアからの期間限定騎乗です。
オーストラリアから・・・といってもあちらで騎乗している日本人騎手の一人、太田陽子騎手の岩手での騎乗が正式に発表されました。太田騎手は1999年から豪州で騎乗し9月までの成績は通算1266戦87勝。10年以上にわたって騎乗しているベテランです。
豪州に行って騎手になる日本人はもはや珍しくなく、"逆輸入"される事も珍しくなくなりました。つい先日まで南関東で安部将之騎手が騎乗していましたし、そもそも岩手では菅原俊吏騎手が、豪州で騎乗後日本の騎手免許を取って・・・のパターン。
太田騎手は、そんな豪州の日本人騎手の中でも初期からがんばってきた方の一人です。経験は長いし騎乗経験がある競馬場も優に20場近い、まさにベテランといっていい経歴。あちらではやはり芝が主体でダート競馬はあまり経験がない・・・という事で、当初はダートに慣れる所から始まるのでしょうが、それでも岩手に面白い風を吹き込んでくれるのではないかと期待しています。
騎乗期間は10月5日から11月25日までの2ヶ月・開催24日間。太田騎手は既に水沢に来て調教にも乗り始めているとの事。楽しみですね。
●10Rの買い目
馬単(6)=(8)、(6)=(5)、(8)=(5)
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いわて競馬マガジン「テシオ」を創刊したのは1997年7月だった。「テシオ」とはイタリアの天才馬産家フェデリコ・テシオにあやかってのもの。
競馬の主流であるイギリス、フランスから見れば辺境の地・イタリアでネアルコを生産。現在のサイアーラインの90%以上を占める大種牡馬ネアルコを生産したことは、ある意味で奇跡に近かった。もちろんテシオは生産理論の確信があったのだが、ネアルコによって競馬の潮流は完全に変わった。
雑誌「テシオ」も岩手を発信源に競馬の流れに一石を投じたい。そんな気負いをこめて命名した。
もうひとつの理由は少人数でも『手塩』にかけていい雑誌を発行したかったから。年にわずか4回(一時はデータブックも発行したので5回)だったが、全力投球で雑誌を作り上げた。
「テシオ杯ジュニアグランプリ」は今年で15回目を迎える。当時、競馬組合から冠協賛の声がかかり、いくつかの候補があったが、迷わずこのレースを選ばせてもらった。
地方競馬で唯一の芝がある盛岡競馬場=OROパーク。間違いなくジュニアグランプリは発展をとげていくだろうと思ったし、しかもカテゴリーは2歳。芝適性を試した先には中央競馬がある。さらにはヨーロッパ、世界にも通じる。
現在、地方と中央の格差が広がる一方。1999年、メイセイオペラがフェブラリーステークスを制したのを頂点だとしたら、今は隔世の感。片や凱旋門賞優勝が現実のものとなる可能性が高いが、岩手競馬は2度の存亡危機を経て何とか継続できているのみ。本当の意味での再生には相当の時間とパワーを要する。
しかし、こう断言する。継続こそ力なり、と。継続の延長線上に必ず光が見えてくる。そう信じている。
テシオ杯ジュニアグランプリは2003年から全国交流となった。当初は地の利も生かして岩手勢が優勢だったが、ここ5年のうち4度は北海道勢が優勝。層の厚さ、レベル差がはっきり出ている。
今年も強烈なプレイアンドリアルが参戦する。北海道競馬開幕とブリーダーズゴールドカップ当日に行われる「スーパーフレッシュチャレンジ」に出走。わずか2レースのみの一戦をほぼ馬なりで圧勝。柴田大知騎手をわざわざ指名するのだから陣営の期待も相当だったと思うが、期待どおりに勝ち上がった。
わずか1戦のみで初芝、長距離輸送など普通の馬ならこたえると思うが、スパルタで知られるビッグレッド軍団。そんなことなど問題にしないと判断した。
しかし陣営に手抜かりはない。前日土曜日(21日)にパドック、芝でスクーリングを敢行。コスモバルクのときもそうだったが、万難を排して臨む。あとはスケールどおりの結果を出せるか。非常に楽しみだ。
逆転候補は地の利も加味してライズライン、ターントゥタイドとした。ライズラインは前走・若鮎賞3着。ターントゥタイドに完敗を喫したが、終始、外にもたれて4コーナーで一瞬、下がる不利。それでも直線で盛り返し、敗れて強しの一戦だった。今回はコース2度目だし、外にもたれる馬が1枠は願ってもない枠順。今度こそエンジン全開といきたい。
ターントゥタイドはデビューから無敗3連勝。若鮎賞は逃げから一転して4番手インに控える競馬だったが、まったくひるむことなく直線抜け出しを決めた。こちらは最後で内にササっていたが、まだ余裕を残してのゴール。小柄な牝馬だが、思った以上にたくましさがある。
ダマスクインゴットはデビュー2戦目を逃げ切り、続く1000m戦では4番手外を追走。道中、反応一息だったが、ゴールでの伸びがすばらしかった。結果2着だが、あの脚なら芝は歓迎のはず。
社台ファーム生産、オーナーが吉田照哉氏はエイブルインレース、ボヘミアン、スクランブルエッグと計3度、テシオ杯ジュニアグランプリを優勝。芝で勝算ありと踏んだに違いない。
ナデシコスピリッツは7戦1勝。ほかもすべて入着を果たしている。祖母は南関東クラシック・羽田盃を制したカシワズプリンセス。それにサンデーサイレンスを掛け合わせたのは期待が高かったことの裏づけだろう。
カカリアはデビュー2戦目1着。距離延長がどう影響するか未知数だが、父ヨハネスブルグは2歳時7戦7勝でヨーロッパ、アメリカのGⅠを制した逸材。あっさりあって不思議はない。
◎(2)プレイアンドリアル
○(1)ライズライン
▲(6)ターントゥタイド
△(11)ダマスクインゴット
△(3)ナデシコスピリッツ
△(10)カカリア
<お奨めの1頭>
4R コミュニティ
母ミチノクレットは岩手デビューで通算8勝。中央未勝利から転入後、すべてワンサイドで圧勝と強さけた違い。C2ではモノが違いすぎる