今年は各クラスごとに短距離レースが組まれ、ファンの評判もすこぶるいい。実際のところ中距離以上のレースは折り合い優先。特に小回り水沢になるとラスト3ハロンからの勝負。
もちろん騎手の駆け引きもおもしろいが、その中にあって短距離戦はちょうどいいスパイスとなる。前走結果を覆す意外な適性馬が出現し、高配当も続出。改めて適性の重要度を認識する次第だ。
8日メイン「セプテンバーカップ」も水沢1300mが舞台。前走で同距離を使った馬が10頭中6頭。各陣営とも距離適性を重視してエントリーしてきた。
主軸にモンテムーンを指名する。今年4月、南関東から再転入。2戦目の盛岡戦を快勝したが、その後は勝ち切れないレースの連続。堅実に着を拾っているが、最後の伸びの甘さに泣いている。
とはいえ、これまでB1級馬が相手。前走も結果4着ながら、水沢1300m1分21秒6のタイムは優秀。馬場差を考えてもB2・騎手ハンデ戦1着ウイントゥヘヴンより1秒速いのは見逃せない。
あとは内枠がどう出るか。うまく馬群をさばけずにモタつくようなら、脚を余して負けることもあり得る。その点が不安要素となる。陶騎手の手綱さばきに期待したい。
オーバーザレインボは中央未勝利、南関東1勝を経て転入。当初は4着最高だったが、短距離に替わって反撃。ここ2戦を3、2着にまとめて息を吹き返した。前走も内枠有利の馬場をはねのけてロングスパートから0秒1差2着。末脚が冴え渡っている。メンバー的にもハイペース必至。展開も味方にして岩手初勝利まで十分。
ウイントゥヘヴンはオーバーザレインボに先着して快勝。今季未勝利だったうっ憤を一気に晴らした。名古屋時代も8勝のうち7勝を1400mでマーク。折り合いを気にしなくていい短距離で持てる能力をフルに発揮する。ただ前走はうまく内が開いた印象もあり、今回の8番枠が微妙。よって▲評価。
ヤマニンノワゼットは好、凡走の落差が激しく全幅の信頼を置けるタイプではないが、大敗直後の前回2着。加えて水沢1300m2戦2勝。持ちタイム1分21秒7もなかなか優秀だ。
コロニアルペガサスは岩手転入後、すべて3着以上と抜群の安定感を誇っている。相手が骨っぽくなっている上、スペシャリストがそろったが、どんな条件でもきっちり結果を出しているだけにノーマークにできない。
フジノチーターは軽快なスピードと強じんな粘りが身上。今回は逃げ同型がそろい流れは苦しそうだが、人馬ともにそれを跳ね除ける根性がある。
◎(4)モンテムーン
○(6)オーバーザレインボ
▲(8)ウイントゥヘヴン
△(3)ヤマニンノワゼット
△(7)コロニアルペガサス
△(5)フジノチーター
<お奨めの1頭>
4R ファウヌス
岩手初戦を鮮やかに逃げ切って完勝。走破タイム1分20秒7はコースレコードに0秒3まで迫り、スピードの違いは明白
先日のスポーツ紙にフェブラリーステークスを優勝したグレープブランデーが南部杯で戦列復帰を考えている―の記事が載っていた。フェブラリーS後、軽い骨折が判明し、リタイアを余儀なくされたが、仮に出走すれば目玉の1頭。
またかしわ記念、帝王賞とGⅠ2連勝中のホッコータルマエ、昨年、見事な逃げ切りで復活を遂げたエスポワールシチーなども参戦意向があり、例年以上に豪華な顔ぶれとなりそう。南部杯まで1ヶ月あまり。今後も動向に注目していきたい。
7日メインは2歳重賞「第31回ビギナーズカップ」。水沢1400mを舞台に9頭がエントリーした。今開催から発走時刻が変更。11時ちょうどスタートと30分早まったが、メインも基本は最終11R(17時10分)だが、曜日によって変更がありますのでご注意ください。
主軸はラブバレット。デビュー3連勝で臨んだ芝重賞・若鮎賞は2番手をキープしたが、直線一杯6着。直線で内に刺さったターントゥタイドに前をふさがれる不利もあったが、それ以上に芝が合わなかった。
デビュー戦で芝1000mを勝っているが、当時は5頭立ての少頭数。能力が違っていただけ。本質的にはダート向きで前走負けはあまり気にしなくていい。
菅原勲調教師「ダートで巻き返しを期待しているが、一戦ごとに体重が減っている点だけが気がかり」。今回は輸送のない地元競馬でさらに減っているようなら若干割引きが必要かもしれない。
シグラップロードはデビュー戦・水沢850mを51秒5の今季一番時計で快勝(その後、リュウノメダリストも同タイムをマーク)。若鮎賞は未経験の芝、盛岡などにも戸惑って7着に終わったが、地元に戻った前走を快勝。中団から馬群を割って抜け出す中身にも好感が持てる。距離経験を前面に逆転を狙う。
ジャイアントスターはトレーニングセール出身馬で、750万円で落札。大種牡馬ジャイアンツコーズウェイの直仔ジャイアントレッカーの産駒でデビュー戦をスケール大きく快勝した。
キャリア一戦のみでいきなり重賞挑戦だが、500キロ前後の雄大な馬格を誇り、将来性も確か。ここを勝ち上がるようだと2歳戦線の主役に躍り出る。
ミスノブタはデビュー戦2着。2戦目は芝からダート変更となったが、見事な逃げ切りを決め、前走・若鮎賞では逃げてメンバー最先着2着を確保。小柄に牝馬だが、非凡なスピードと勝負根性が売り物。
モリノワカバは前走、シグラップロードの1秒差3着に完敗だが、距離2度目なら差を詰めること必至。ランデックセブンはまだ成長途上だが、馬格の良さならヒケを採らない。
◎(8)ラブバレット
○(1)シグラップロード
▲(3)ジャイアントスター
△(7)ミスノブタ
△(6)モリノワカバ
<お奨めの1頭>
5R メジロオマリー
中央3勝の内訳はダート1400m2勝、ダート1200mで1勝。1000万下条件からC2編入なら地力の差は誰の目にも明白
9月2日のメインレースは牝馬の伝統ある戦い『ビューチフル・ドリーマーカップ』です。 ビューチフル・ドリーマーとは、明治時代にイギリスから日本に輸入された20頭の繁殖牝馬のうちの一頭。小岩井牧場にやってきた直後から活躍馬を送り出し、以来100年以上経った今でも競走馬の血統の中にしっかりと生き続けています。
第二次世界大戦前の日本では岩手の小岩井牧場と千葉の御料牧場がライバルとして優れた競走馬の生産を競っており、それは今でも「小岩井牧場系」「御料牧場系」といわれる血筋としてちょっと特別な目で見られています。
例えば先日亡くなったトウカイテイオー。この馬の母トウカイナチュラルはトウルヌソル・星友の御料牧場系を引き継いだ血統でした。そのトウカイテイオーのダービーで2着になったレオダーバンは母系がビューチフル・ドリーマー直系。同じダービー3着のイイデセゾンも母系にプロポンチスやシアンモアという名前が見える小岩井血統の出です。
トウカイテイオーが勝った91年のダービーは数十年の時を挟んでの御料牧場対小岩井農場の戦いだった・・・。そんな想像ができるくらい血統のドラマは長くかつ壮大なんですよね。
ビューチフル・ドリーマーカップを勝った馬の中から、また次の世代の「ビューチフル・ドリーマー」が生まれてくるかもしれない。このレースが行われる度にそんな事を想います。
●10Rの買い目
馬単(9)=(5)、(9)=(3)、(5)=(3)、(9)→(8)、(9)→(6)
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