先週23日、古馬伝統の「第41回一條記念みちのく大賞典」(水沢2000m)は驚異の上がり馬コスモフィナンシェが見事な逃げ切りを決め、岩手の頂点に立った。名古屋から騎乗に駆けつけた岡部誠騎手の腕も冴え渡った。
コスモフィナンシェは昨年8月、JRA札幌・3歳未勝利でデビュー。2戦未勝利から岩手転入後、最下級スタートからアッサリ4連勝をマーク。C1昇級戦で2着に敗れ、その後、名古屋へ移籍し5戦3勝2着1回の成績を残して岩手へ里戻りした。
当初格付けはB1。メンバーが大幅に強化されたが2連勝を飾り、重賞・あすなろ賞へ挑戦。そこでも逃げて2着に粘って優先出走権を獲得してみちのく大賞典へ臨み、並み居る先輩を退けて快勝。前年の覇者トーホクキングの追撃を1馬身差封じ、栄光を手にした。
驚くのはわずか10ヵ月半で岩手伝統の重賞を獲得したこと。かつてトーホウエンペラーが中央未出走から1999年12月31日、岩手デビュー。それからちょうど1年、暮れのファン投票・桐花賞を制したことがあったが、その記録を大幅に短縮。岩手競馬史上最短で古馬重賞を制した。
コスモフィナンシェは現在4歳。これからどこまで成長し続けるのか、熱い視線で追いかけていきたい。
29日メインはB1・水沢1400m「こっとんこ市レース」。B2から3頭クシコスポスト、ビュレットライナー、マイネルピエノが短距離適性を求めて挑戦してきたが、負担重量のアドバンテージはなく牡馬56キロ、牝馬54キロ。それならばB1馬を重視するのがセオリーだろう。
主軸はタケノトレジャー。昨年、南関東A3から転入して2勝マーク。重賞にも駒を進めた古豪。今季スタートもA級だったが、白星こそないものの2着2回3着2回と安定度抜群。
前走は短距離重賞・早池峰賞(盛岡ダート1200m)へ出走2着。快速自慢が集結したが、直線で豪快な伸びを披露してスーパーワシントンの2着確保。低評価を覆した。
その実績を誇る馬が今回からB1へ降級ならメンバー有利は明白。距離1400mももちろん守備範囲とくれば絶好の勝機。シーズン初勝利の局面を迎えた。
タケノトレジャーに死角があるとすれば勝ち味の遅さ。そこに他陣営が付け入る余地がある。サーストンサブリナは開幕2連勝を飾り、これ以上ないスタートだったが、以降は伸びを欠いて入着止まり。
前走はその流れを断ち切るため、果敢に逃げたが直線一杯4着。当時、逃げ馬が圧倒的に有利の馬場だったが、それにしても飛ばし過ぎの印象。道中、後続を5馬身以上も離してオーバーペースだった。
今回の枠順は内枠2番枠。包まれるのを嫌って先行した際、ハイペースに巻き込まれる可能性あるのがネック。決して逃げにこだわるタイプではなく、流れが落ち着いた場合に本領を発揮する。
その展開のカギを握る1頭がモンテムーン。南関東から再転入後も1勝2着1回とマズマズの結果を出し、ねむの木賞では2番手追走からサーストンサブリナに先着2着。加えて水沢1400mは3戦3勝。C2、C1での成績とはいえ、適性高いのは間違いない。
あとは位置取りをどうするか。短距離なら控える競馬も可能だが、超ハイペースになったら持ち味が相殺。同型の出方と自身の戦法に勝敗の分かれ目がある。
ギシアラバストロは中央4勝・準オープンで格最上位。慢性的な脚部不安のため使い込めないのが痛いが、今季は月1回のローテーションを守り、1400m戦1本に絞って出走。前走6着に終わったが、これは1枠が災いしたか。そう解釈すれば流れを見ながらレースを進める外枠は好材料。このまましぼんでしまうのか、真価問われる一戦。
レッドヴェレーナは中央未勝利ながら芝1500m、ダート1200mで2着2回。B1格付けが微妙だったが、4、2、3着と毎回上位争いを演じ、前走はオープン・水沢1400mへ挑戦して3着。大外からいい脚で伸びてきた。B1条件でさらに上を狙える。あとは距離短縮歓迎クシコスポストは前崩れの展開になったら怖い存在だ。
◎(5)タケノトレジャー
○(2)サーストンサブリナ
▲(4)モンテムーン
△(11)ギシアラバストロ
△(10)レッドヴェレーナ
△(9)クシコスポスト
<お奨めの1頭>
8R クロワッサン
デビューが遅れたが、5戦4勝2着1回。ようやくA級入り直前まで迫った。未完の大器がはばたくか注目