2009年の岩手競馬はいよいよ29日が最終日。ここにきて騎手リーディング争いが白熱しています。
この春競馬が始まる前の時点では村上忍騎手が150勝、小林俊彦騎手が145勝でした。ところが先週、村上騎手が1勝に留まったのに対し小林騎手は7勝も挙げて一気に逆転。一時は12勝差まで開いていた差をついにひっくり返したのです。
村上騎手も黙ってはいません。27日の土曜日に4勝を挙げて再逆転。28日は小林騎手が2勝、村上騎手が1勝。村上騎手156勝・小林騎手154勝、その差「2」で最終日を迎える事になったのです。
その2人の29日の騎乗は村上騎手が6、小林騎手が5。どちらも本命級の馬がずらっと並んでいます。リーディング争いが最終日までもつれ込む、というのは過去にも何度かありましたが、2勝差で、しかもそれぞれが有力馬を集めて最終決戦に挑む、という事はなかなか無い事。
敢えて行方を考えてみると、まず村上騎手が2R・4Rで勝ち星を増やせるか?が一つのカギ。小林騎手がいないところでせめて1つ、できれば2つ勝って差を4とすれば、小林騎手は残り5クラを全勝しなければならず(2着数は村上騎手が多いため)、大きなプレッシャーをかけられるでしょう。
小林騎手としては直接対決となる5,6,9Rできっちり勝ちたい所。特に9R、お互い有力馬に乗るここで小林騎手が勝ち、その時点で勝ち星同数という事になっていれば、最終10Rの騎乗が残る分有利になります。
いずれ今年のリーディング争いは史上稀な僅差の決着になりそうです。
さあ、そのリーディング争いのカギともなる9R「楽天競馬賞」。A級一組の1800m戦には9頭が出走します。過半数の5頭が転入馬で力関係の比較に悩みますが、ここは(5)アンダーボナンザを本命とします。
以前は1800mは苦手と思われていた同馬ですが、最近はかなり確実に守備範囲にしています。実力はトップクラスだしシーズン初戦もさほど苦にしないタイプ。枠順もここなら手頃でしょう。先日1000勝を達成した村上実厩舎と1600勝を達成した村上忍騎手。その勢いでここでもう一つ勝っておきたいもの。
対抗は、これは悩みましたが枠順で(2)パワーコレクターを採りました。JRA時代の実績からはスウィープザボード産駒の典型的マイラーに思えますが、地方の少頭数なら先行力を駆使した戦いもできるでしょう。
(7)ソニックルーラーが3番手。JRA時代は芝の長距離が主戦場で、基本的には後方から差を詰めてくるタイプ。1800mはちょっと追走に苦しみそうだな、という印象があります。展開次第の面がどうしても残りそうで、鞍上の腕と意地に期待。
(1)トキワノマツカゼはここ通用の先行力を持っていますし枠順もベスト。徹底先行で活路を開く事は十分に可能です。ただ、今回は他馬の思惑もあり、早めに突かれそうなのが不安点。
(9)ゼットコマンダーの出方が鍵を握るかもしれません。大外枠ですが恐らくここからでも先行策を採りに行くでしょう。もちろんそれで押し切っておかしくない力もありますし、ペースを速めて差し馬に有利な流れを作ってしまうかもしれませんが、ひとまず流れ込み注意で。
★買い目
馬単 (5)=(2)、(5)=(7)、(5)=(1)、(5)=(9)
28日(日)メイン10レースはA級二組・水沢1600m戦「モツ屋権カップ」。主軸にヒカルメイオーを指名する。
昨年は特別開催から3連勝を飾り、ついにオープン入り。特別・あすなろ賞で3着に入り、JpnⅢ・マーキュリーカップにも果敢に挑戦。当然だったが、13頭立てブービーの12番人気に甘んじながら直線で猛追。地方最先着を果たしたクインオブクインにクビ差まで肉薄し。電光掲示板は惜しくも外したが、6着に大健闘した。
ただ、その後は燃え尽きたのか勝てる相手にも取りこぼしが目立ち、着止まりの連続。ようやく吹っ切れたのが11月の声を聞いてからで、待望のA級での初勝利をマーク。続く白嶺賞で2着、ファン投票・桐花賞でも0・3秒差4着に食い込んだ。
今回は1月10日以来の実戦だが、先に記したようにテッポー駆けにも自信があり、しかもA級でも二組なら相手有利は明白。勝ちグセをつけて再び重賞・特別路線での活躍を期待したい。
逆転筆頭はマイスターキング。中央デビューで6戦0勝2着2回3着1回から笠松へ移籍。4戦2勝2着1回の成績を収めて再び中央入り。昨年9月、新潟芝2000m戦で待望の中央初勝利を飾った。
以降は1000万下に昇格し、着外の連続だったが、大敗は喫せず転入直前の東京芝1800m戦でも1・1秒差には食い込んでいた。
現在、7歳。ダート戦は笠松時代までさかのぼり、07年以来と久々だが、2勝マークしたように適性面は心配ないはずだし岩手の場合、ペースがさほど速くはならないだろうから追走も楽。初戦から狙いは十分に立つ。
ソフトパワーは中央3勝1000万下から昨年7月に転入。初戦をアッサリ逃げ切り、2戦目はスタート直後に落馬のアクシデント。しかし立て直しを図って特別・すずらん賞でマヨノエンゼルの3着に食い込み、その後は南部杯に挑戦して9着。おそらく南部杯の反動もあったのだろう、以降3戦は伸びを欠いて3、4、4着にとどまってシーズンを終了した。
カギは冬休みで心身リフレッシュできたかどうか。能力の高さは岩手初戦で証明済み。体調さえ回復すれば勝ち負けはもちろん、重特でもいい競馬が可能だろう。
シルクライムライトは水沢1600m戦で6勝マーク。自慢のスピードにモノを言わせてB1級を突破した。不安材料は大外8枠に入り、同型アサクサロータスが6枠。スンナリ先手を取れるかどうかだが、逃げた時の渋太さには定評がある。
あとは10歳の高齢馬だが、休み前の一戦で2着に気を吐いて健在ぶりを誇示したヤマニンエグザルトの一発も警戒が必要。
◎(4)ヒカルメイオー
○(2)マイスターキング
▲(7)ソフトパワー
△(8)シルクライムライト
△(1)ヤマニンエグザルト
3連単は4、2の1、2着折り返しから7、8、1へ3着流し
馬複は 2-4、4-7、4-8、1-4
<お奨めの1頭>
6レース ラブエッセンス
名古屋A級の格はダテではなく、岩手初戦を2番手追走から1秒差で圧勝。やはりC2では実力が違った
27日(土)メイン9レース(発走:16時ちょうど)はA級三組「岩手競馬奥州サポートクラブ賞」(水沢1600m)、10頭立て。
実力伯仲に加え、各馬が一長一短のメンバーで難解な一戦となったが、エアムートンを主軸に抜てきする。船橋デビューで2勝後、同所属でJRAへ挑戦。いきなり2連勝を飾り、芝適性の高さをアピールした。
中央移籍後は精彩を欠いて昨年5月、岩手へ新天地を求めてきた。このトレードは正解。相手なりに駆ける堅実さをセールスポイントにほとんど上位入線。芝1000mで行われたオープン特別・きんもくせい賞を快勝。待望の岩手初勝利を飾った。
ダートでも転入初戦(水沢1800m)で2着。また終盤2戦でも連続3着。さすがにトウケイニセイ記念はマヨノエンゼルの0・8秒差6着に敗れたが、4角で一旦2番手に進出。見せ場を十分に作った。
今年は同じA級馬が相手でも三組。昨年は一組で走ったことを考えれば相手有利は明白。詰めの甘さがつきまとっていたが、ここは水沢初勝利の絶好機を迎えた。
逆転筆頭はアルディ。道中、抜群の手ごたえを見せながら、いざ追い出すと反応ひと息。それが災いして昨年は11月まで未勝利が続いたが、いきなり3連勝の固め打ち。まるで別馬のような動きを披露し、トウケイニセイ記念でもエアムートンに先着5着に健闘した。
この好走要因はコンビを組む山本政聡騎手が完全に手の内に入れたから。勝ち味の遅さを完全に解消した。
どちらかと言うとスロースターターの印象が強く、久々がどう影響するかだが、昨年の勢いを信じる手だろう。
同じ意味がマルブツワイルドにも言える。本質的には叩き良化型だが、この馬はまだ底が見えない。相手が強化されても、それなりに結果を出すタイプなので上位扱いが妥当なのだろう。当日の馬体重をチェックしてほしい。理想は500キロ前後だ。
エーシンスローインの評価が低いようだが、どうしてどうして。決して侮れない。終盤2戦は伸びを欠いたが、敗因は距離と解釈。水沢1600mを最も得意とし、これまで<2.4.0.1>と抜群の連対率。追い込み一辺倒の脚質ながら二段ロケット式の決め手が冴え渡るか。
ダンディキングの扱いが難しい。格最上位は明らかなのだが、昨年は順調さを欠いて未勝利に終わってしまった。この冬休みで心身ともにリフレッシュできればアッサリのシーンも十分に考えられる。
◎(5)エアムートン
○(1)アルディ
▲(3)マルブツワイルド
△(8)エーシンスローイン
△(10)ダンディキング
3連単は5、1の折り返しから3を厚めに。あとは8、10を3着押さえ
馬複は 1-5、3-5、5-8、1-3
<お奨めの1頭>
10レース ビュレットライナー
中央1勝、北海道B2から転入し、初戦のB1戦を快勝。それが今年はC1へ降格なら、メンバー有利はどう見ても間違いない
2ヶ月の冬季休催を終えて春競馬がスタート。今はこの間も騎手や馬が各地で活動していて以前ほどの"冬ごもりからようやく明けました"感はないけれど、やはりコースを走る馬を、ホームの競馬場で見るのはいいものです。
新シーズンの開催日程・重特日程も発表されましたし、5重勝の話題も、岩手だけが乗り遅れていましたけれども、これから盛り上がってくるでしょう。
うん、やっぱり5重勝、楽しみですよね。夢の1億馬券、岩手から出ないかなあ。
そこで本命は(8)シュクジャンヌを採りました。水沢マイルはめっぽう得意。昨年の終盤戦もB1級上位クラスでいいレースを続けていました。今のコース状態からすると枠順がちょっと外目過ぎてマイナスかもしれませんが、他もどちらかと言えば控えめに進むタイプが多いし、スムーズに流れに乗れれば自分の流れに持ち込めるでしょう。
対抗は(9)バクシンタッチ。ちょっと気分屋な所がある馬ですが地力はかなり高いものを持つ馬。高速馬場だと脚が無くなりがちなので、今のやや時計がかかるコース状態は合うでしょう。展開的にも、今回のようなまだ力関係が定まらないような混戦でこそしぶといレースをするタイプ、という印象があります。
安定感上位というなら(10)スウィープザボードでしょう。ここまで実に安定した戦いを展開し、どんな展開でもきっちり上位に食い込んでいます。前走で4着に敗れたのも、59kgを背負ってのもので度外視。春初戦も悪くないタイプだし、あとは展開次第という事に。
終盤戦の勢いを買って、というなら(7)ブライティアメッセですが、マイルよりはもう少し長い距離の方が良さそうな感じがします。もちろん、B1級の特別戦で連続好走している走りは目を惹くだけに要注意。
こちらも昨年終盤に活躍した(4)ドーリーゴンザレスは、距離は特に問わないし混戦模様の展開も手頃。ただ、例年春初戦は走らない傾向で、今回は仕上がり具合と相談という所。
★買い目
馬単 (8)=(9)、(8)=(10)、(9)=(10)、(8)=(7)、(8)=(4)
21日(日)メイン9レース(発走16時5分)は「みちゃおきいちゃおIBC賞」(B1 水沢1800m)。
"みちゃおきいちゃおIBC"とは地元民放局(TBS系)IBC岩手放送のキャッチコピー。創立は1953年。岩手では一番の歴史が古くテレビ、ラジオの両輪で県民、市民に親しまれている。
B1馬が相手ならコアレスレーサーで断然。焦点はどんなレースで勝つのか、その一点に尽きる。
中央1勝500万下から昨年8月に転入だが、2歳時には朝日杯FSにも駒を進め、ブービーながら0・9秒差。その実績はダテではなく、C1スタートから圧勝の連続で6連勝。2着につけた合計タイム差が4・7秒。すべてワンサイドで決め、しかもゴール前は持ったまま。
この内容から大晦日のファン投票・桐花賞でも報道推薦で出走。当時、B2から格下挑戦ながら、スケールの大きさを買われて3番人気に支持された。
しかし、いきなり一線級ではさすがにきつかったようで0・8秒差6着に敗れたが、レース中に落鉄のアクシデントもあり、これは仕方なしの結果だった。
今回は自己の条件に戻って実力の違いは誰の目にも明らか。530キロを超す大型馬でまだ仕上がり途上だが、底力で難なくクリアー。いずれ目標はもっと上。まずは順当に白星を飾って、再度オープン戦線に殴り込みをかけてくれるに違いない。
相手はグラスバラード、テンショウタイヨウの2頭。グラスバラードは中央3戦0勝から一昨年に転入。時に取りこぼしもありながら通算9勝。左回り(盛岡)では気性難を出すため実戦わずか1度のみだが、水沢は<9.2.2.1>と驚異の連対率。しかも目下3連勝中と勢いに乗っているのも心強い。不安は初の1800mだけ。
テンショウタイヨウは相手なりにかける堅実さを身上。その反面、詰めの甘さに課題を残し、なかなか勝ち切れないのがネックだったが、休み明け前のA・B1戦を勝ってスッキリした。
今回のカギはコアレスレーサーがどこから動くか。グラスバラードを可愛がれば残り目が有力だし、逆に早めにまくればテンショウタイヨウが浮上するが、冬休み明けでもあり、コアレスレーサーが無理をしないと判断。ペース落ち着くと見てグラスバラードを上位に採った。
あとは昨年8勝を荒稼ぎしたモエレアンドロメダ、決め手一目ワラッテオクレヨ、5ヶ月半ぶりでも実力A級ビッグファルコンが押さえ候補。
◎(6)コアレスレーサー
○(3)グラスバラード
▲(2)テンショウタイヨウ
△(8)モエレアンドロメダ
△(7)ワラッテオクレヨ
△(9)ビッグファルコン
3連単は6を1着固定に3、2の折り返し本線。あとは8、7を3着押さえ少々
馬複は 3-6、2-6、6-8、6-7
<お奨めの1頭>
6レース ダイワフォーチュン
岩手在籍時にオープン特別を2勝。11歳馬でもC2では実力が違いすぎる