7日の日曜日、岩手でもいよいよ2歳新馬戦がスタートしました。7日に行われた2レースはいずれも芝。今年の新馬勝ち第一号はサッカーボーイ産駒のリュウノボーイ、鞍上は菅原勲騎手でした。
実は菅原勲騎手は、昨年も新馬勝ち第一号を挙げたのですが、その時の馬が岩手の3歳ダート二冠馬マヨノエンゼル。昨年の第一号がここまで大出世したとなると、今年の第一号にも期待がかかりますね。
そして、二つめの新馬戦を勝ったストリームがまた興味深いのです。父は九州産馬として活躍したユメノセテコウユー。今は青森で種牡馬生活を送っていりのですが毎年の産駒はわずかで、今年デビューの07年生まれの競走馬はストリーム号一頭しかいません。
一方の母スプリームドリームはバリバリの社台血統で、ムッシュシェクルやシクレノンシェリフの半妹という良血馬。
北海道の良血と九州の良血が青森で合わさった結晶がスプリーム。そんな想像をすると、この馬に肩入れしたくなってしまって仕方ありません。
しかし今年は、岩手の馬を本命に推したいと思うのです。(8)ヒカルメイオーです。最近A級に上がってきたばかりですが、前走を見て分かるとおりオープンでも遜色ない力の持ち主。
過去のこのレースの傾向では、オープンでそこそこ戦えるような馬なら勝てないまでも上位争いをしてきています。この馬ならその資格は十分あるとみていいでしょう
対抗はJRAの(9)メイスンファースト。前走では休み明け3戦目できっちり勝って昇級。ある程度前にも行けるし左回りも得意なのが魅力。例年のような、急上昇中の3・4歳馬がいない今年のメンバーなら、昇級直後でも差はないはず。
同じくJRAの(12)ドリームリバイバルですが、左回りの成績があまり良くない点が気になって控えめの評価。ただ、キャリアは少ないものの1000万下で勝ち負けをしてきているのは他のJRA馬より優位ですしポン駆けも効くタイプ。嵌った時の切れはこの馬が一番でしょう。
取捨に悩むのが昨年2着の(2)レントゲン。昨年ほどの勢いに欠けるのが不安点。一方、実質降級といっていいメンバー・盛岡コースとの相性がよさそうな点はプラス。菅原勲騎手を鞍上に配しているし、やはり軽視しきれないか。
岩手勢の中では大将格の(6)サンシャインヘイロ。この馬自身が人気を背負う時よりは今回のような盲点になる時の方が走りやすいでしょう。適度に時計がかかる今の盛岡コースも合うのでは。
◆買い目
馬単(8)=(9)、(8)=(12)、(9)=(12)、(8)→(2)、(8)→(6)
◆お奨めこの一頭
11R:クリスティラビット
距離延長は確かに課題だが、前走大圧勝の勢いでここも一気に。
7日(日)メイン11レース(発走:16時35分)はJNB協賛シリーズ、岩鷲賞トライアル「早池峰賞」(盛岡ダート1200m)。この早池峰賞を皮切りに7月5日、重賞・岩鷲賞(水沢1400m)、8月14日、Jpn?「第14回クラスターカップ」(盛岡ダート1200m)という流れで短距離ロードが進む。
(トーホウライデン 写真・佐藤到)
主軸にトーホウライデンを指名する。シーズン開幕当初は馬体の張り、毛ヅヤひと息。レースでも精彩を欠いて凡走を繰り返すが、盛岡開催をきっかけに本調子を取り戻して快進撃を開始する。不思議なことにこれが毎年のパターン。どうやら盛岡へ輸送されると眠っていた闘志に火がつき、体調もグーンとアップするようだ。
今シーズンもほぼ同じ足跡を歩み、水沢3戦を凡走。しかし盛岡コース替わった前走、A級戦で豪快な直線一気を決めて快勝。鮮やかな復活劇を演じた。
果たして昨年、岩鷲賞を制した頃のパワーを保っているか微妙なところはあるが、その時マークした盛岡ダート1200m、1分12秒1のタイムは出色。短距離戦は調子よりも絶対スピードと良く言われるが、仮にトーホウライデンが7分の仕上がりでも距離適性がカバーすると見るのが妥当だろう。
逆転筆頭はオウシュウクラウン。一昨年、丸1年の長期休養を余儀なくされ、昨年7月、岩鷲賞で戦列復帰。しかし、かつての迫力をなかなか取り戻せず自問自答の日々を送っていたが、昨シーズン終盤の白嶺賞、トウケイニセイ記念と連続2着でようやく復活の手応えを掴んだ。
今季は順調に使われて赤松杯4着、シアンモア記念3着。このシアンモア記念では逃げから一転して控える競馬に戦法を変えて3着。岩手勢で最先着を果たした。
盛岡ダート1200m戦は2歳時、ビギナーズカップ2着。そして昨年の岩鷲賞は11着だったが、これは長休明けのため度外視。本質的にスピードタイプだし、今回に限って言えば揉まれる心配のない大外枠も好材料となるだろう。
オヤマハリケーンは岩手初戦3着、2戦目は6着。この結果だけを見ると強調できないが、中央4勝のうち3勝がダート1400m以下。短距離をメインに使われて準オープンまで駆け上った。さすがに準オープンでは完全に頭打ちだったが、岩手ならば話は別。東京ダートで2勝マークも心強く、アッサリのシーンまで考えたい。
ダンディキングは長いサイクルで活躍。最近はズブさがプラスに作用して距離の融通性も備わり、安定感を増してきたが、本質的にはスプリンターだろう。父ダンディコマンドは最強スプリンターと言われたニホンピロウイナー。そして母はアラブの女傑ミスハクギン。その父トライバルセンプーと筋金入りのスプリンター血統。また一昨年の岩鷲賞で2着(1着はヤマニンエグザルト)に入って距離実績もある。
リュウノツバサも見限れない。あすなろ賞は向正面で外に出した途端、掛かって脚を使ってしまった印象。それならば折り合いを気にしなくていい短距離で一変の可能性を秘めている。
あとは中央時代、一度1700mを走った以外はすべてダート短距離戦を使われてきたフリーモアも怖い。ダート1200m以下は<2.3.3.10>。この実績が不気味だ。
◎ ?トーホウライデン
○ ?オウシュウクラウン
▲ ?オヤマハリケーン
△ ?ダンディキング
△ ?リュウノツバサ
△ ?フリーモア
3連単は5、10の1、2着折り返しから8、4を厚めに。あとは1、6押さえ
馬複は 5−10、5−8、4−5、1−5、5−6
<お奨めの1頭>
12レース モエレアンドロメダ
これまで後方からの競馬だったが、前回は中団につけて2着を確保。このレースができれば盛岡初勝利も近い
6日(土)メイン10レースは重賞・せきれい賞(7月19日)トライアル「かきつばた賞」(盛岡芝2400m)、11頭立て。
(ボスアミーゴ 写真・佐藤到)
主軸はやはりボスアミーゴ。ご存知、盛岡芝の鬼で名を馳せ一昨年、昨年と最優秀ターフホースの座を獲得。これまで<9.3.0.1>と断然の適性を誇っている。
唯一の敗戦は昨年10月、重賞・きんもくせい賞(芝2400m)の一度のみ。あの時は折からの激しい雨の影響で極端な不良馬場で、切れる脚を身上とするボスアミーゴには恨みの雨。逆にカネショウエリートには幸いし、早め先頭から2着に4馬身差。圧勝で初の重賞タイトルを手に入れた。
今週半ばから盛岡周辺は天候が安定せず、時に激しい雨が降ったりしているが、芝の状態を変えるまでは至っていない。それならばボスアミーゴの持ち味を出せるはずで、かきつばた賞連覇の可能性は非常に高い。
逆転筆頭はカネショウエリート。いかにきんもくせい賞が不良馬場だったとは言え、強さが際立っていた。その後、桐花賞も制して芝ダートの重賞制覇を果たし、最優秀古馬にも選出された。
しかも笠松遠征帰りのあすなろ賞では超ハイペースの一角を形成しながら、0・1秒差2着。先行馬が総崩れの中、最後まで渋太く粘って復調確かなことを証明した。
忙しい競馬向きではなく、ゆったりとした流れで最大能力を発揮し、それゆえ今回の芝2400m戦は大歓迎だろう。
コンバットキックは中央、大井、川崎へ遠征して2ヶ月半ほど休養。赤松杯から始動したが、元々がスロースターターのせいか赤松杯、A級戦と連続10着。常識的には反撃を期待するのは酷なのだが、こちらも距離が長ければ長いほどいいタイプ。持ちタイムは明らかに劣っているが、距離適性を重視したい。
エアムートンは転入初戦、水沢1800mを2着にまとめ上々の滑り出しを決めた。芝は船橋からJRA挑戦を試み、芝1200m、芝1600mでそれぞれ1勝。JRA入り後は4着が最高だったが、1000万下で通用した。
ネックは初の2400m。芝ではマイル以下しか経験がなく距離が微妙だが、1周1400mの小回りなら道中で息を抜くことができるし、2400m戦は基本的に上がりの競馬。ラスト800mからの勝負になるケースが多く、それならば克服十分。
コスモテンロウは500キロを雄に越える巨漢馬だが、芝で本領発揮。昨年10月、3歳芝重賞・ウイナーカップを快勝し、適性ぶりを存分に見せてくれた。その後はアッサリ休養に入り、今年4月に戦列復帰。ダートで精彩を欠いているが、一戦ごとに体が締まってこのレースに照準を合わせてきた。
本線はボスアミーゴ、カネショウエリートで迷わなかったが、以下が混戦模様のかきつばた賞となった。
◎?ボスアミーゴ
○?カネショウエリート
▲?コンバットキック
△?エアムートン
△?コスモテンロウ
3連単は7、10を1、2着固定に8、5、6へ3着流し
馬複は7−10、7−8、5−7、6−7
<お奨めの1頭>
9レース ネクストスター
佐賀B1から転入し、アッサリ2連勝をマーク。今回からC1へ昇級したが、タイムが抜けている
シルクライムライトは、中央3戦ののち2007年12月に岩手・小西重征厩舎に転入。C3からB1へとクラスを上げながら、水沢コースを中心に8勝をあげている。
「ライムライト」というのは、本来は白熱電球が登場する以前に使われた舞台照明の一種で、“ライム”(lime)は柑橘類ではなくこの装置に使用する石灰のことだそうだ。しかしライムライトと聞けば、チャップリンの映画を思い浮かべる方が多いのではないだろうか。
喜劇王チャールズ・チャップリンの代表作のひとつ「ライムライト」は、落ちぶれたかつての人気道化師と才能ある若きバレリーナの物語。男は献身的に優しく、純粋なヒロインも男に心を惹かれるが、しかし二人はすれ違うという暖かくもせつないストーリーは、同じく後期の作品である「街の灯」とともに、喜劇王の違った一面を見せてくれる。またチャップリンと言えば山高帽にチョビ髭・ステッキというイメージだが、ライムライトでは初めて素顔をスクリーンに登場させている。
一般的になじみ深い山高帽スタイルのほうは、浮浪者ではあるが心は紳士という人物像で」描かれている。そのキャラクターは、犬と1本のソーセージを分け合ったり、あまりの空腹に革靴を煮て食べようとする際にもナイフとフォークでテーブルマナーを尊守していたりと、可笑しくも非常に深く造り込まれており、社会の底辺に視点をおいて権力や戦争を風刺する作風の根幹となっている。
ところで、そんな視点では酒場のシーンがしばしば描かれる。チャップリン自身、酔っぱらいの演技は得意中の得意で名シーンがいくつもあるが、意外とギャンブルに関しては作品中にあまり登場していないのではないだろうか。筆者も全作品の半分も見ていないし、うろ覚えのものも多いが、競馬場が舞台などというのはちょっと記憶にない。いや、馬券を握りしめて罵声をあげるなんていうのが日本人の発想で、英国生まれのチャップリンにとっては競馬は高貴な富裕層のたしなみなのかもしれないが、それならそれでブルジョア層の背景的にあっても良さそうだが・・・・
もしチャップリン映画で競馬のシーン知ってるよ、という方がおりましたら、ぜひ教えて下さい。
(文/写真・佐藤到)
6月1日 第29回岩手ダービー ダイヤモンドカップ(3歳オープン 盛岡ダート2000m)
(岩手ダービー ダイヤモンドカップ 1着・マヨノエンゼル 写真・佐藤到)
1着 マヨノエンゼル
戦前の宣言どおりリュウノアレスが出ムチを入れて果敢に先手を奪う。2番手にトーホクプリンス、3番手外にシルバーカテリーナがつけ、マヨノエンゼルは中団を追走する。1コーナー過ぎ、一気にペースが落とされ、マヨノエンゼルは2コーナーで先団の外まで進出。ラスト800mでマヨノエンゼルが動くと一気に流れが速くなり、連れてトキワノマツカゼもスパート。
3コーナーで例によってモタつくシーンもあったが、一瞬だけ。その後は馬なりで先陣に詰め寄り、ラスト200mでトキワノマツカゼとともに抜け出してマッチレースへ。外トキワノマツカゼが一旦抜け出したが、内からマヨノエンゼルが再び差し返してそのままゴールへもつれ込む。「ゴールに入っても勝ったか分からなかった」(小林騎手)そうだが、ハナ差振り切って二冠を達成した。
「テン乗りだったが、クセもなくて乗りやすかった。スタートに気をつけて出たなりと考えていたら好ポジションを取れた。道中の手応えも良かったが、板垣君(トキワノマツカゼ)も手応えも絶好。直線で一旦交わされてどうかと思ったら、また差し返すのだからかなり根性がある。無事に今後も使われて是非、三冠を目指してほしい」と小林騎手。
ジャパンダートダービー挑戦は今のところ未定。当面は連戦の疲れを取ることに専念させたいと葛西調教師。
2着 トキワノマツカゼ
マヨノエンゼルをマークする形でレースを進め、1周目スタンド前は外からマヨノエンゼルをにらみ、ペースが落ちてマヨノエンゼルが外から前に進出したときは内に入れてマークする。
スパートはマヨノエンゼルが動いたのとほぼ同時。3、4コーナーで前のマヨノエンゼルを見ながら先陣に取り付き、直線で内から外に出してマッチレースへ持ち込む。内マヨノエンゼル、外トキワノマツカゼの抜きつ抜かれつの攻防となったが、最後はハナ差先着を許して惜しくも2着。
「道中の手応え、展開も思ったとおりで反応も上々だったが、最後の詰めがちょっと甘い。これが今後も課題となりそう」と板垣騎手。
トライアル・七時雨賞は初コース、初の左回りに戸惑って物見ばかりしていたが、今回は2度目で慣れた印象。一旦抜け出したところ、また差し返されたのは残念だったが、収穫は大きく盛岡でも今後もいいレースができそう。
3着 センリグランピー
前半は脚を貯めることに徹して後方2、3番手を追走。3コーナーから満を持してスパートをかけると鋭く反応。前を走る2頭とは決定的な差だったが、自身の持ち味は十二分に発揮した。
6着 シルバーカテリーナ
3番手外の絶好ポジションをキープ。マヨノエンゼル、トキワノマツカゼが後ろからスパートかけたのを確認して追い出し始めたが、伸びがひと息。4コーナーですでにお釣りがなく、力なく失速した。
「この感じだと距離の問題かも。3コーナー過ぎで手ごたえが怪しくなっていた」と菅原勲騎手。
5月31日 「はまなす賞」(3歳オープン 盛岡芝1600m)
(はまなす賞 1着・アンダージョイナー)
1着 アンダージョイナー
マーチボーイが逃げ、2番手にアンダージョイナーがつけ、前半3ハロンが37秒1。芝では速くもなく遅くもなく、 平均ペースで道中は進み、ラスト600mから11秒台にペースアップ。これがアンダージョイナーにはベストの流れとなり、内で粘っていたマーチボーイをラスト100mで交わしてそのままゴール。これまで特別ではあやめ賞3着が最高だったが、3勝目がうれしい特別制覇となった。
「被せられると怯んでしまうので、3コーナーからリリーミッションが被せてきたのを見てスパートをかけた。マーチボーイが思った以上に粘っていたが、バテないのがこの馬の良さ。このメンバー相手に勝つことができてうれしい」と高松騎手。
次走は未定。前走・日高賞から体重が減り始め、今回はマイナス6キロの432キロ。「当面は疲れを取り、馬体回復に専念したい」と伊藤和調教師。
2着 マーチボーイ
大外から果敢に逃げてマイペースに持ち込み、直線を向いても渋太く粘っていたが、ラスト1ハロンで脚色が鈍る。それでも後続から伸びてくる馬がいなかったので2着確保できた。
今季は3戦ともしんがり負けを喫していたが、「春に比べると数段良くなっていた」(千葉四美調教師)ことと適性ある芝で一変。今回は直線で失速することなく最後まで粘って復調をアピールした。
「ラストの伸びが甘くなったのは距離。もっと短ければもっと粘っていたはずなので、次は福島の芝1200m戦を使ってみたい」と千葉四美調教師。
3着 テンショウスズラン
前半は無理をせず中団インに待機し、直線外に持ち出した時の反応は悪くなかったが、前2頭の競馬で決着なら3着も仕方なしか。「この馬なりに頑張っていたが、一線級に入るとこの着順が精一杯かも」(小林騎手)
4着 ダンストンジール
久々の芝に戸惑ったのか鞍上・村上忍騎手が手をしごいても前につけることができない。それで4番手からの競馬になったが、勝負どころの3コーナーでモタモタし、直線を向いても置かれてしまう。それでもラスト200mでようやくエンジンがかかって猛追したが、時すでに遅かった。
「完全に芝に戸惑っていて前回(七時雨賞)の反応の良さがまったくなかった。今後はダート1本に絞った方がいいかも」(村上忍騎手)