またまた馬に関係のない話と思われそうですが、今回は岩手の隠れた名品のご紹介。
先日頂いた仕事で、岩手の“炭”を撮影する機会がありました。皆さんは炭のブランドというと何を思い浮かべますか? ほとんどの人が『備長炭』と答えるでしょう。確かに備長炭は高級料亭などでも使用され、火持ちも良く、また炭自体が硬くて叩くと何とも言えない良い音がでるあたり、いかにも高級品という感じがします。
ですが!都道府県別木炭生産量No.1は何処かというと、それは岩手県なのですねぇ〜。(社)岩手木炭協会さんのホームページによりますと、国内生産量の1/4を我が岩手県が占めているそうです。もともと広葉樹林が豊富な北上山地を擁する岩手は、江戸時代から炭の産地。品質の面においても、岩手ブランドの黒炭は紀州備長炭に劣らない火力があり、また軟らかい黒炭ゆえ火付きが良くすぐに温度が立ち上がる扱いの良さは、焼き物をはじめどんな料理にも最高なのだとか。
さてこれからのレジャーシーズン。キャンプ場でバーベキューなどを計画している方もおられるでしょう。でも、いざ焼き始めようとしてもなかなか火が点かずに苦労し、点いたら点いたで煙にむせながら肉を焼いたという経験はないですか?その点、炭素率90%以上を誇る岩手木炭(ダイヤモンドに次ぐぐらいの炭素率だとか)は不純物が少ないため煙や炎が少なく、強い赤外線の熱で食材をきれいに焼くことができます。すると表面はパリッと中はジューシーになり、肉も野菜も素材の旨みが引き出されるのです。私は若干スモークされたような煙くさい肉がバーベキューの醍醐味と思っていましたが、間違っていたのですねぇ。
そんなに良い炭なのに、なぜ“隠れた”名品なのでしょうね?ホームセンターのキャンプ用品コーナーに行ってみると、置いてあるのはほとんどがマレーシア産のマングローブ炭。その隣にオガ備長炭(備長炭の製法で作られるがオガ屑を固めたものを原料にしている)という具合で岩手の炭は目立たないところか、まったく売られていなかったりします。やはりマレーシア炭の約3倍という値段がネックなのでしょうね。ところが実際の料理においては、火力が強く火持ちが良いため炭の消費量が少なくてすむということなので、結局はお得なのではないでしょうか。その上、残った炭は水を張ったバケツに沈めて消火し『消し炭』にすると再利用可能で、濡らしても簡単に再点火するのだそうですよ。
環境面においても、原料となるナラの森林は人の手をかけることによって再生能力が活性化し、元気な状態を維持できるのだそうです。決して禿げ山にするような伐採はせず、自然と人間が付き合いながら、資源を山から「分けてもらう」という姿勢がいいですね。また炭が燃えることによってできるCO2は、木が生長するときに吸収したもの。化石燃料と違って大気中の二酸化炭素を増やすことにはなりません。
こんなに良いことづくめの岩手木炭。ブランドとしてもっと広く知られるようになって良いと思うのですが。
(文/写真・佐藤到)
13日の土曜日、チャグチャグ馬コを見に滝沢村・蒼前神社に行ってきました。
雨という予報もあって心配しましたが、馬コたちが出発していく時間帯は晴れ間が拡がって爽やかな天気。装束の飾り付けや鈴が日差しにきらめいてとても華やかでした。
仔馬を連れたお母さん馬も何頭かいて、着飾ったお母さん達とは違って仔馬は裸(?)のままついて歩きます。生まれてまだ2〜3ヶ月の仔馬なんですが、そこは重種だけあって、サラブレッドの同じくらいの時期の仔馬よりひとまわり大きい感じ。でも、身体は大きく見えるけど、隙あらばお母さんのおっぱいを狙うところはやっぱり子供っぽいです。
隙あらば横になろうともする仔馬たちでしたが、最後まで無事に歩き通せたのでしょうか。
月曜のメインレースは11Rになります。サラ系B1級・ダート1600mの「石鳥谷夢まつりレース」。出走馬は10頭、ほとんどが盛岡よりも水沢の方が成績がいいタイプで、マイルという距離もあって、各馬にとも力を出し易い戦いだといえるでしょう。
割とどこからでも狙えそうなメンバーですが、その中から本命は(7)シルクライムライトを推しましょう。岩手転入後12戦して8勝、そのいずれもが水沢であり、掲示板を外した2度がいずれも盛岡。水沢では負けてもそれほど差がないのに盛岡だと大敗を喫してしまうのですからよほど盛岡は合わない模様。
春頃に競り合っていた相手は皆B1級上位の常連になっており、この馬の力が足りないという事はないはず。得意の水沢で前進あるのみ、です。
対抗は(1)アルディ。ここ数戦は着順以上に走りに安定味があり、いかにも上昇カーブだと感じさせます。有力馬が外枠に固まったここでは最内1枠も大きな武器になりそう。うまく立ち回れば差し切りまで。
(8)ケンタッキーハットは一時の不振からは脱してきた様子。そろそろ以前のようなスピード発揮を期待してもいいでしょう。ただ、前走が輸送があったとはいえ-15kgと大幅な馬体減でした。ある程度回復している事が条件かも。
あとは流れひとつというタイプから2頭を。まずは(9)ナムライシス。しばしば見せる差し脚の迫力はとてもB1級に留まる程度の馬のそれとは思えないもの。嵌った時の破壊力は最右翼でしょう。(3)ブラックオーメンも同様。流れに乗れるかどうかが鍵ですが、乗ってしまえば脚を使ってきます。
◆買い目
馬単(7)=(1)、(7)=(8)、(1)=(8)、(7)→(9)、(7)→(3)
◆お奨めこの一頭
7R:トーセンライジング
転入後2戦を完勝。距離延長・相手強化の影響は微々たるもの。3連勝に期待して当然だ。
14日(日)メイン10レースはB1級馬による水沢1800m戦「ねむの木賞」、10頭立て。
コース替わり、1800mへ距離延長、有力各馬のステップがそれぞれ違うなど不確定要素が多いが、これまでの足跡からヒドゥンアジェンダを主軸視するのが妥当だろう。
冬期は荒尾で1勝3着2回の成績を残して3月に帰郷。遠征疲れもなく、岩手でも4着以下は一度もなし。抜群の安定度を誇っている。しかも当初3戦は、現A級でも勝ち負けを演じているヒカルメイオーが相手。勝ち星に恵まれなかったのも仕方がなかった。
前々走・駒形賞はヒカルメイオーが不在ならオレが主役とばかり、好位から鮮やかに直線抜け出して完勝。勝ち切れなかったウッ憤を晴らすとともに、待望の今季初勝利を飾った。
その内容から緑風賞(盛岡ダート1200m)で1番人気に支持されたものの、ヘライカントリーが意表を突いて果敢に先行。ヒドゥンアジェンダは久々の短距離戦に戸惑って道中でモタモタしていたが、直線でジワジワ伸びて2着を死守。テンショウタイヨウにハナ差先着して面目を保った。
ローテーションを振り返ると1900m、1600m、1400m、1200mとあらゆる距離を使われてきたが、意外にも1800mは今季初めて。6番枠はちょっと微妙だが、中央時代も含めて<0.1.1.4>と距離経験に不足なし。チャンスはがっちりモノにしたい。
ケイジーウィザードは中央、南関東を経て昨年4月に転入。最下級C2へ編入されてメンバー有利は明白。17戦連続で馬券の対象(つまり3着以上)となり、B2まで昇格した。
一度、着外7着に敗れたのはM&Jジョッキーズカップ(盛岡ダート1200m)。冬に南関東へ移り、今年4月に戻ってきたが、9着に沈んだのは同じ1200m戦・緑風賞。単純に距離が合わなかったのが敗因で、それ以外の3戦はすべて2着。堅実ぶりは衰えなしをアピールしている。
しかも今回は4戦1勝2着3回と連対100%を誇る水沢1800m戦。最後のもうひと押しがほしいところだが、軸として見れば信頼度は非常に高い。
ヘライカントリーは無事これ名馬の典型。時に凡走があるものの、今季2勝2着1回。驚いたのは緑風賞での逃げ切りだったが、決め手があるタイプはこんな芸当もできる―を証明した。
前回は4コーナーで不利があって7着に終わったが、A級馬も混じっての一戦。これだけで見限るのはもちろん早計。鞍上・村上忍騎手は完全に手の内に入れており、変幻自在の脚で大勢逆転を狙う。
以下、前回快勝で吹っ切れたコスモスパングル、自己の条件に戻ってテンショウタイヨウ、復調気配サンワードグローも軽視できない。
◎ ?ヒドゥンアジェンダ
○ ?ケイジーウィザード
▲ ?ヘライカントリー
△ ?コスモスパングル
△ ?テンショウタイヨウ
△ ?サンワードグロー
3連単は6、4、9の3頭ボックスが本線。あとは6を軸に手広く流したい
馬複は 4−6、6−9、3−6、2−6、6−10
<お奨めの1頭>
11レース グリーンヒルフライ
目下3連勝中の中味がけた違い。どんな流れにも対応できるのも強みで、連勝どこまで伸ばすか楽しみ
13日(土)メインはB2級「ジューンカップ」(水沢1600m)、11頭立て。コースが替わってもダンストーンアレスの主軸は動かない。
昨シーズンはB1クラスで3勝マークしたが、着順が安定せずムラな面が目についた。しかし今季はB2へ降格し、メンバーも甘くなったのだろう。開幕から4戦連続で2着に粘り、前回は待望のシーズン初勝利を飾った。
身上とするのはスピードと粘り強さ。先手を取れないと脆さを出すときがあるが、今季5戦すべて逃げの手。それが功を奏して1勝2着4回の成績を上げている。
今まで以上に先行馬がそろって楽はできそうにないが、同型が外枠に入ったのも幸い、マイペースの逃げに持ち込んでそのまま押し切る。
ラビットサプライズは中央6戦未勝利から昨年10月、岩手へトレードされて5戦3勝2着1回。一度4着に敗れたのはC1・義経賞で優勝馬ヒカルメイオーは現在、オープンでも勝ち負けを演じるほどの実力馬。他のメンバーも強力で仕方なしだった。
その後、中央へ戻り、1戦のみ(11着)を使われて再度、岩手入り。再転入戦こそ3着だったが、2戦目は2着に1・4秒もの大差をつける圧勝劇。勢いの見方なら一番だろう。
フーマは北海道→佐賀→南関東→佐賀を経て岩手入り。佐賀時代には重賞・飛燕賞で後の九州ダービー栄城賞馬ナンブラッキーワンを退けた実績を誇る。南関東移籍後、そして佐賀に戻ってもずっと精彩を欠いていたが、岩手の20走ルールで最下級C2へ格付け。メンバー有利は明らかで7戦6勝と抜群の勝率。唯一の敗戦9着はハイペースに巻き込まれて好位から失速したもの。それでも0・9秒差だから大差負けではなかった。
今回はこれまで以上にメンバーが骨っぽくなり、好調馬もそろったが、ここも突破ならさらに上級を望める。
格最上位はシュクジャンヌ。盛岡戦は3、6着に終わったが、これはコース適性の差。今季は冬休み明けを含めて水沢は1勝2着2回と安定しており、反撃に転じて当然だろう。
ワタシノオウジサマは中央0勝ながらダート1400m戦で2着1回。その賞金からB2へ編入し、当初はクラスの壁に突き当たっていたが、一戦ごとにレースにも慣れて前回快勝。これで弾みがついたのは間違いない。
ソノマンマは園田で2勝をマークし、重賞・菊水賞で3着。南関東では未勝利に終わったが、2着1回。名前はソノマンマだが、脚質は差し。岩手初戦も4コーナーで一旦下がりながらも直線で盛り返してタイム差2着に入った。ハイペースになれば台頭の可能性がある。
◎ ?ダンストーンアレス
○ ?ラビットサプライズ
▲ ?フーマ
△ ?シュクジャンヌ
△ ?ワタシノオウジサマ
△ ?ソノマンマ
3連単は3、10、4のボックスが本線。また3を1着固定に10、4、6流しも一考
馬複は3−10、3−4、3−6、2−3、3−9
<お奨めの1頭>
9レース フジフーフー
七時雨賞は一線級牡馬が相手で4着も仕方なし。このメンバーならアッサリ逃げ切る
6月6日 かきつばた賞(3歳以上オープン 盛岡芝2400m)
(かきつばた賞ゴール 1着・ボスアミーゴ 写真・佐藤到)
1着 ボスアミーゴ
モエレマーメイドが逃げたが、コスモアンファングが1周目3コーナーから先頭。モエレマーメイドは2番手に控え、離れてカネショウエリート。ボスアミーゴは最初中団に控えたが、スローに落ちた1周目スタンド前で掛かり気味になる。
2コーナーでモエレマーメイドが押さえ切れず再びハナを奪い、ラスト1000mから徐々にペースアップ。「下がかなり水を含んでいたので意識して早めに動いた」(菅原勲騎手)ボスアミーゴが3コーナー手前で2番手に進出すると、カネショウエリートも早めに抜け出してラスト3ハロンから2頭のマッチレースに持ち込まれた。
直線半ばで先頭に立ったボスアミーゴだったが、内からカネショウエリートが差し返して2頭が譲らずそのままゴールへ。写真判定は5分以上かかったが、わずか数センチだけボスアミーゴが先着した。
「昨年のきんもくせい賞も不良馬場に泣いたので、重馬場が心配だった。それで早めに仕掛けたし、相手をカネショウエリート1頭に絞った。写真判定が長かったので、同着かなと思ったら勝っていたのでラッキーだった」と菅原勲騎手。
この僅差は馬場状態によるもので衰えはなさそう、と佐藤晴記調教師もホッとしたようだ。
2着 カネショウエリート
前の2頭を先に行かせてマイポジション3番手をがっちりキープ。ボスアミーゴが動いた3コーナーでは交わされないように早め早めに動き、直線で激しいデッドヒート。首の上げ下げに持ち込まれ、一瞬抜け出したかにも見えたが、悔しいハナ差2着に敗れる。
芝2400mに加え願ってもない重馬場になり、勝つ条件がそろっていただけに今回は悔しい結果となった。
3着 コンバットキック
前半はジックリ後方に待機し、2コーナー過ぎからスパート。3コーナーで先陣に取り付き、久々に“らしさ”を披露したが、2頭との4馬身差は如何ともし難かった。しかしこれで今後のメドは立った。
6月7日 早池峰賞(3歳以上オープン 盛岡ダート1200m)
(早池峰賞ゴール 1着・フリーモア 写真・佐藤到)
1着 フリーモア
「行ける脚があるならハナに立とうと思っていた」と村上騎手がレース後のコメントだったが、その言葉どおり手をしごいてハナを奪う。前半3ハロン36秒前半は短距離戦ではさほど速くなく馬なりで4コーナーを回る。この積極策が功を奏し、ラストはちょっと時計がかかったが、そのまま押し切る。
「短距離戦を専門に使われてタイムもソコソコだったので、この条件なら一発あるかと思って乗った。それに前半で脚を使ってもバタッといかないのがこの馬の良さ。最後まで粘ってくれた」と村上忍騎手。
肩に不安があるため、レース前の返し馬も入念。その成果がハッキリ出ていたし、大事に使っていけば今後も短距離戦で活躍ができそう。
2着 メタモルキング
フリーモアがハナをアピールしたので2番手に控える。結果、行った行ったの競馬となり、ゴール前で3頭が殺到したが、何とかしのぎきって2着を確保した。
シーズン当初は2戦大敗を喫したが、前々走の大逃げから3着に粘ったのをきっかけに復調。前回快勝した弾みをつけてここに臨んだのが好成績につながった。
3着 トーホウライデン
まだ本調子ではなかったのか、高橋悠里騎手が手をしごいても反応ひと息で後方2番手からの競馬。しかし直線ではインをついてすごい脚で猛追。ちょっと窮屈なところもありながら、僅差の3着。やはり盛岡1200mの適性は非常に高い。
4着 リュウノツバサ
中団インを追走し、中を割って抜け出すときの脚はなかなか。久々の短距離戦に戸惑った印象でもたつくシーンもあったが、2着争いに参加したのは収穫。一瞬の脚を使える展開になれば大物食いの可能性十分。
5着 グッドストーン
前半は3、4番手のインにつけ直線は外に進路を取ってジワジワと伸びる。最後は決め手勝負の差が出たが、短距離戦なら逃げなくても追い込める力はある。
8着 オウシュウクラウン
ハイラップにも対応できて絶好の3番手をキープしたが、4コーナー手前で脚色が怪しくなる。順調度と総合力で2番人気に支持されたが、息の抜けない短距離戦は合わないようだ。