5日(日)メインはJpn?・クラスターカップへの道「第41回岩鷲(がんじゅ)賞」(水沢1400m)、10頭立て。
岩鷲賞トライアル・早池峰賞はフリーモア、メタモルキング、トーホウライデンの順で入線。転入2戦目のフリーモアが見事な逃げ切り勝ちを収めた。中央時代の2勝はダート1000m、1150m戦。1200mをメインに使われて<2.3.2.10>とダート短距離戦でマズマズの成績をあげていた。早池峰賞はその適性ぶりを存分に発揮。転入初戦は守備範囲外の1800m戦で8着凡走したが、その雪辱も晴らした。
今回のカギは1400mへ距離が延長されたこと。1300m以上では3着はおろか、入着すらなかった馬が果たして克服できるか否か。
過去データからは苦戦―となるのだが、あくまでも中央時代のこと。水沢1400mはコーナーが4つある小回り。盛岡1400mならともかく、コーナーで息が入るのはフリーモアには好材料。絶好の1枠も引き当て、新コンビ・内田利雄騎手が果敢な逃げから押し切る可能性は高いかもしれない。
(トーホウライデン 写真・佐藤到)
しかしあくまでもデータにこだわってみたい。早池峰賞は確かに鮮やかだったが、2着にもメタモルキングが粘り、行ったきりで決まったレース。その中でメンバー最速の上がりで3着に突っ込んできたトーホウライデンを主軸に推してみたい。
昨年、良血が素質開花して岩鷲賞、青藍賞の2重賞を制覇。能力で距離もこなしていたが、本質的にはスプリンター。昨年、盛岡1200mで行われた岩鷲賞で鮮やかな直線抜け出しを決め、重賞ウィナーの仲間入りを果たした。
毎年だが、休み明けは精彩を欠いて凡走を繰り返していたが、叩かれながら上昇。5月の盛岡1800m戦で快勝するや、早池峰賞3着、前走はクインオブクインの2着。ついに好調サイクルを取り戻した。
正直なところ昨年ほどのパワーがなくなったのは事実。早池峰賞で前半もたついていたのは年齢的にズブくなったことを実感させた。
それでも短距離適性はトーホウライデン。その考えは今でも変わらない。右回りはあまりうまくはないし、水沢1400m戦も06年12月以来(その後、浦和1400m戦を快勝)となるが、同条件4戦4勝も見逃せない。今度こそ短距離適性を爆発させ、岩鷲賞2連覇を期待したい。
メタモルキングの個性が光っている。休み明け3戦目の水沢1600m戦で大逃げを打ち、後続を最大200mは離したと思うが、スタンドからどよめき。直線で一杯になりながらも粘って2着争いで僅差の3着。久々に胸のすく大逃走劇を見せてくれた。
その一戦をきっかけに前々走、アッサリ逃げ切り。前走・早池峰賞でも2着を死守し、名脇役の本領を如何なく発揮している。
アンダーボナンザの評価が難しい。ベストは1600m。あすなろ賞では1800mも克服し豪脚を披露したが、みちのく大賞典=2000mからいきなり1200mへ距離短縮。ペースに戸惑わないかが心配だが、いずれすばらしい切れ脚を持っている。フリーモアがスローに落とすと厳しいが、先行激化なら一気浮上のシーンまで。
あとは早池峰賞凡走だったが、1ハロン延長は歓迎オウシュウクラウン、みちのく大賞典4着で復調の光が見えてきたサイレントエクセルが押さえ。
◎ ?トーホウライデン
○ ?フリーモア
▲ ?メタモルキング
△ ?アンダーボナンザ
△ ?オウシュウクラウン
△ ?サイレントエクセル
3連単は10、1の1、2着折り返しから8、2、3、7へ3着流し
馬複は 1−10、8−10、1−8、2−10
<お奨めの1頭>
5レース ダンストンヴァール
父がミスプロ系グリーンアプローズ、母父がトウショウボーイから豊かなスピードをもらい、初戦もらった
4日(土)メインはC1級・水沢1600m戦「三陸リアス賞」。目下6連勝中と破竹の進撃エアメギドが中心。
中央2戦0勝から転入し、9ヶ月ぶりの実戦となった岩手初戦こそ2着に敗れたが、2戦目から連戦連勝。前走・焼石岳賞は1ヵ月半ぶりながら、アッサリ逃げ切りを決めて圧勝。盛岡開催を休養に当てたのがズバリ正解。初の1800m戦をモノともせず、強いレースを披露した。
父がウォーエンブレム、兄がエアシャカールの配合だけでも期待のほどがうかがい知れるが、中央では2戦とも10着に終わり、岩手へ新天地を求めてきた。その選択はズバリ的中。一戦ごとに迫力が増す一方で前回タイムも非常に優秀。さらに上でも通用することを証明済みだ。
最大ネックは57キロの負担重量。すでに56キロは克服しているが、450キロを切る馬体にトップハンデ57キロはちょっと微妙。不安点はただ一点、それだけだ。
逆転筆頭はグラスバラード。昨年9月、中央3戦0勝で転入し、初戦で6着に沈んだが、その後は5勝2着1回3着2回と8戦連続で馬券の対象となっている。
4月、3連勝で臨んだ田沢湖賞で3着に敗れたあと、思い切って2ヶ月ほど休養。エアメギドと同様、その選択が功を奏して前走をアッサリ逃げ切り。馬体重も448キロと大幅に増え、さらにパワーアップした印象を与えた。
大外に入ったのは痛いが、どんな流れにも対応できるのが強み。エアメギドとのハンデ差2キロを生かして首位を狙う。
ドーリーゴンザレスは前走・焼石岳賞で7番人気の低評価を覆して2着。向正面から早めスパートをかけてスルスルと進出し、反応の良さを披露した。勝負どころでもたつくのが弱点だったが、板垣騎手がうまく乗ったのが目についた。グラスバラードと同じ55キロも味方にして再現を狙う。
まさに伏兵の評価がふさわしいのがサドラーズアレグロだろう。南関東で3勝マークしてB3級へ在籍。その後、名古屋へ転籍したが、クラスがきつかったのかほとんど着外。それで岩手格付けがC2となり、現在<4.2.1.1>。とりわけ水沢は連対100%と抜群の安定度を誇っている。今回はメンバーが一気に強化されたが、前走タイムが非常に優秀。岩手ではマイル初だが、旧地で経験豊富。一発ならこの馬か。
今回、逃げたい馬が勢ぞろい。常識的に考えればハイペース必至で展開有利に運ぶのがニシネホウジュ。シーズン当初は波に乗れなかったが、待望の白星で弾みもついた。
逆に展開はきつそうだが、ハイタイムで圧勝の連続クリスティラビットも押さえが必要。
◎?エアメギド
○?グラスバラード
▲?ドーリーゴンザレス
△?サドラーズアレグロ
△?ニシネホウジュ
△?クリスティラビット
3連単は8、12の1、2着折り返しから2、9、7へ
馬複は8−12、2−8、8−9、7−8
<お奨めの1頭>
11レース ヒカルメイオー
前回はスタートで後手を踏んだ上、トキノプリンセスが絶妙の逃げ切りにしてやられた。ここは仕切り直しの一戦
先週予告いたしましたので、鞍掛山をご紹介いたします。
岩手競馬では、昨シーズンより一部の一般競走にもレース名を付けて実施しています。4月26日の9レースは、「岩手の山」シリーズのひとつとして『鞍掛山レース』がおこなわれました。
レース名になった鞍掛山は、盛岡側からは岩手山の手前に見えるこんもりとした山。岩手山に比べると小さな丘のように思えますが、標高897mと低めながらも立派な峰で、気軽な登山コースとして、小学校の団体登山からシニアクライマーまで高い人気があります。
人気がある一番の理由は、やはり山頂からの眺望でしょうね。木々の間を抜けて頂上の広場に出たとたん、これです。
目の前にどーん!と聳える岩手山。まさに「どーん!」としか言いようがありません。この景色を見れば登りの疲れなど吹っ飛んでしまうというものです。
このピークに至るには2つのルートがありますが、なだらかな尾根道を歩きながら樹間にちらちらと岩手山が望める西側コースの方がオススメ。キツイところはあまり無く、登山に慣れていない人にも難しくない山だと思います。ただし、そこには落とし穴が・・・・ やや急な上りを過ぎて尾根に出ると、ゆるやかな上りとほとんど平らな散歩道のようなルートが続きます。所々で視界が開け、牛や馬のいる放牧場や遠くに北上山地が望め気持ちの良い道なのですが、林間を登っていて前方に空が開けてくるとピークが近いように感じるもの。「よ〜し、もうすぐ頂上だ!」と思ってしまいます。しかし広場に出ると目の前にはまた上りが。これが3回ほど繰り返され精神的に疲れるルートでもあるのです(笑)
出発点は東西どちらのコースも村営の「相の沢キャンプ場」で、このキャンプ場は小岩井農場の奥にあります。山頂までの所要時間はゆっくり歩いても2時間ほどなので、早朝から登ってお昼は小岩井の牛乳とジンギスカンというのもアリかもしれませんね。
盛岡からほど近く高さも手頃なこの山は、冬でも登山客が絶えません。天候さえ安定していれば、テレマークスキーやスノーシュー(洋かんじき)で冬山を楽しみながら山頂へ達することができます。あるいはそれらを装備した人がある程度登山道を踏み固めれば、長靴でも十分。そして山頂はこの光景。
上の写真にある立て看板がすっかり雪に埋もれています。長靴でも登頂可能と書きましたが、踏み固められた1本のラインを踏み外すと膝上まで雪に埋まってしまいますよ。
このように岩手山の絶景スポットとしても人気の高い鞍掛山。位置関係から岩手山の寄生火山と思われがちですが、しかし地質的には岩手山よりも古いのだとか。それを発見したのはかの宮沢賢治といわれています。童話作家として有名な賢治ですが、地質学者としてこの周辺は何度も調査をしており、作品中にも『くらかけの雪』『小岩井農場パート1』などに描かれています。
晴れた日にはOROパークからも岩手山の傍らに見える鞍掛山。登山なんてという方もいちど散歩気分で登ってみてはいかがでしょうか。
(文/写真・佐藤到)