この土曜・日曜と行われたWSJS。菅原勲騎手は総合では8位でしたが、1勝を挙げてひとまず格好はつきました。また来年、というチャンスもありますし、菅原勲騎手には次の機会での活躍を期待。
今年のWSJSを制したのはフランスのI.メンディザバル騎手。2着2回と3着が1回ありましたが優勝はなし。つまり「シリーズで1勝もしていない騎手」が総合優勝しました。
過去の歴史をひもとくと、シリーズ0勝の騎手が総合優勝したのはWSJSでは3度目の事です。
まずは90年の第4回。4戦(3・10・1・2)で50ポイントを獲得したM.キネーン騎手を、岡部幸雄騎手が(5・3・2・2)の53ポイントで抑えきりました。3位は39ポイントだったかな。いかにも岡部騎手らしいマジックという印象。
次は04年の第18回。こちらはD.ホワイト騎手とA.スボリッチ騎手が同点優勝したのですが、スボリッチ騎手は4戦(3・8・3・6)と連対すらない成績での優勝でした。
昔のWSJSは騎乗馬が完全に抽選で決められ、いい馬をまとめて引いた騎手がまとめ勝ちして、総合優勝もさらってしまう事が珍しくなかったですが、今のシステムに変わってからは堅実にポイントを積み重ねた騎手が上に来る事が増えたように感じます。
システムが変わった02年以前は15年で1回。変わってからは7年で2度目ですからね。未勝利でも総合優勝、という結果は今後もしばしば起こる事になるのでしょう。
さて、月曜メインの義経賞はC1級の強豪が揃い、目移りする様な好メンバーになりました。7連勝あり5連勝あり4連勝あり。出走11頭の、馬柱に出てくる前5走の勝ち星を合計すると34にもなりました。
こうなるとどこをどう絞ってどこから入るか、非常に悩むところ。正直、6頭くらいまでは絞り込みましたが、そこから先は展開次第・・・という気がしますね。
本命は、いろいろ悩んだ末(6)マイネベリンダとしました。400kgそこそこの小柄な牝馬ながらスピードはかなりのもの。同型多数と見られていますが、しかしこの馬が本気でハナを奪いに行ったらまず奪い損なうことはないでしょう。1400mという距離ならスピードで押して一気に。
(1)ラビットサプライズが対抗。前々走、ハイレベルの戦いの中でマイネベリンダに先着しているようにこの馬の力も確かなもの。ここ2戦は人気したこともあって自力で動き、その分甘い感じになりましたが、引いた位置からレースができる今回はより戦いやすいはず。
3番手は(4)ヒカルメイオー。わりと相手なりに走る馬で、他馬のように大差ぶっちぎりの連続、みたいな派手さはないですが、8連勝している実力は本物。当然勝ち負けに加わってくるでしょう。
絞った中でも上記3頭が一歩リードと見ました。(8)ジャンドゥーヤ、(3)コスモフェデラーも足りていいですが、しかしここまで戦ってきた相手が上3頭よりやや落ちる分、控えめの評価に留めます。
●買い目
馬単(6)=(1)、(6)=(4)、(1)=(4)、(6)→(8)、(6)→(3)
◆お奨めこの一頭
9R:カネショウエリート
もはやオープンの主役を張れるまでに成長。ここは通過点に過ぎない。
7日(日)メインは年明け1月12日(今シーズン冬休み前の最終日)に行われるトウケイニセイ記念トライアル「第18回白嶺賞」(水沢1600m)、12頭立て。
同条件で行われた9月・すずらん賞を制し、総合力でも他をリードするヤマニンエグザルトを主軸視していたが、主戦の板垣騎手が病気のために騎乗を見送り。今年の成長株・菅原俊吏騎手に託す手もあるだろうが、前走・北上川大賞典で中団から差を詰めたが、1・4秒差6着。距離2500mが長すぎたにせよ、この内容に不満が残る。
それならば水沢マイル適性、順調度で勝るダンディキングから入りたい。今季はいい意味でのズブさが出てきて3勝2着2回。距離1800mもこなすようになったのが最大の収穫だが、本質的にマイラーは疑いのないところ。無理せず好位キープから直線抜け出しを狙っている。
逆転筆頭はトーホウライデン。南部杯、JBCスプリントとG?へ連続挑戦を敢行したが、いずれも善戦及ばず12着。帰郷初戦の前走は手薄な地元オープン馬相手で貫禄の違いを見せつけるかと思ったが、中団待機策から3コーナースパートをかけたが、伸びを欠いて5着。これは遠征疲れと反動と解釈もでき、今度は反撃に出ること必至。何たって今シーズンの重賞2勝馬はトーホウライデン1頭のみなのだから。
逃げるジュリアが絶好の2番枠を引き当てた。マイペースに持ち込むと直線二の脚を使って押し切るのが勝利パターンだが、半面モロさも同居。終始、つつかれて息の抜けない流れになると逃げ馬の宿命で直線バッタリのケースも多い。
ただ、前走はクルセイズの執拗なマークにあいながら、それをクビ差振り切って逃げ切り。馬場が軽かったにせよ、水沢1800m1分54秒3のタイムも優秀だった。要は好、凡走のカギは展開とペースがすべて。それに尽きる。
冒頭に記したヤマニンエグザルトはオウシュウクラウンがスランプから抜け出せない中、メンバー中一番の実績を誇り、寒い季節も歓迎。アッサリのシーンも十分ある。
あとは格不足の印象はあるが、好調度で迫るアンダーボナンザ、赤松杯は案外の結果に終わったが、マイルで巻き返し図るコスモスパーブも争覇圏内に位置し、混戦必至だ。
◎ ?ダンディキング
○ ?トーホウライデン
▲ ?ジュリア
△ ?ヤマニンエグザルト
△ ?アンダーボナンザ
△ ?コスモスパーブ
3連単は8、10、2のボックスを本線としたが、逆に6、5、4から入る手もあるか
馬複は8−10、2−8、6−8、2−10、5−8
<お奨めの1頭>
6レース トーセンダズル
胆沢川賞は距離1800mに泣いた印象。守備範囲の1400mに戻って反撃に転じる
先週のフレッシュジョッキーによる「シルバーステッキ賞」は9頭中5頭が落馬する大アクシデントが発生。逃げたマルワグランディ=高松亮が1コーナーで落馬転倒。その直後にいたプリズンガール=高橋悠里、続いてアサクサロータス=山本聡哉、ドリームゴロー=木村暁、ホウイツ=菊地康朗が相次いで落馬。おそらくだが、岩手競馬では史上最多の落馬となった。
高橋悠里騎手は落馬のとき、頭を打ち1週間の安静、精密検査を受けるため今週は騎乗なし。怪我の箇所が箇所だけにちょっと心配だが、一日も早い復帰を待ちたいところだ。高松騎手は手首を強く打ったが、幸い骨折ではない模様で今週から復帰。他の3名のジョッキーも元気で騎乗するが、改めてジョッキーの大変さを痛感する次第。
今週6日(土)はトップジョッキーによる「第31回ゴールデンステッキ賞」(水沢1900m)、12頭立て。
現在、同勝利2位(140勝)につけている菅原勲騎手は6、7日、阪神競馬場で行われる「ワールドスーパージョッキーズシリーズ(WSJS)」出場のため、繰り上がりで菅原俊吏騎手が騎乗することになった。
前週のシルバーステッキ賞に続いて高松亮(リーディング5位)、山本聡哉(10位)、菊地康朗(12位)、菅原俊吏(13位)の4騎手がダブルで騎乗。岩手も世代交代が進み、ジョッキーの勢力図が大きく変わったことを証明している。
シルバーステッキ賞と同様、どの馬が勝っても不思議なし。1900mも距離も勝敗の重要ポイントになりそうだが、主軸にアポロパトリオット=山本聡哉を指名する。
中央1勝500万下から今年3月に転入。当初はひと息のレースを繰り返していたが、徐々に岩手に水にも慣れ始め、5戦目の盛岡戦で当地初勝利をマーク。その後も盛岡をメインに活躍し、水沢は3着が精一杯だったが、前々走の秋嶺賞(水沢1800m)でステニスハートのタイム差なし2着でついにコース克服。
そして前走・ひいらぎ賞(水沢1600m)では前半後方2番手に待機し、3コーナーから豪快なまくりを決めて快勝。2着サクラアリエルに2馬身差をつけ、水沢初勝利が嬉しい特別制覇となった。
鞍上は今年に入ってメキメキと頭角を現してきた山本聡哉騎手。何よりも成長した点は馬のあたりが柔らかいことに加え、レースの流れを掴んだこと。今回はひいらぎ賞のようにハイペース模様にならないかも知れないが、それならば早めに動いて直線抜け出しを決めてくれるに違いない。
逆転候補は迷ったが、ヘライカントリー=沢田盛夫利を抜擢してみたい。常識的にはケイジーウォリアが妥当だろうが、前回8着が不満。ヘライカントリーは昨シーズンまでA2で走っていたが、今季降格。B1<2.6.3.3>と安定した取り口を披露し、前走もモエレハナオーのタイム差なし2着。
特筆できることは水沢1900m実績。一昨年12月、ディセンバーC(B1)を快勝し、今年8月のレインボーカップで3着。このときの1着馬カネショウエリートは現在A級に在籍し、アタマ差2着ブラックオーメンも同A級。距離延長を最も歓迎するのがこのヘライカントリーだろう。
ケイジーウォリア=佐々木忍は今季転入し<11.4.0.3>と驚異の連対率。前走・ひいらぎ賞まで連対を外したのは芝とオープン挑戦・赤松杯4着のみで、当然のように1番人気に支持されたが、中団から退いて8着。ダートで初めて大敗を喫した。これで評価が難しくなったが、流れが合わなかったことも事実。巻き返す余地は十分にある。
以下は超堅実派マイネルティーダ=菊地康朗、水沢の鬼ハウプトローレ=草地保隆、A級から降格サイレントステージ=村上忍と見たが、他にサクラアリエル=関本淳、ワラッテオクレヨ=小林俊彦も圏内に位置し、激戦必至だ。
◎ ?アポロパトリオット
○ ?ヘライカントリー
▲ ?ケイジーウォリア
△ ?マイネルティーダ
△ ?ハウプトローレ
△ ?サイレントステージ
3連単は8を1着固定に3、10の折り返し本線。あとは5、11、2を3着押さえ
馬複は3−8、8−10、5−8、8−11、2−8
<お奨めの1頭>
8レース ヤマニンエレメント
前回・はまゆり賞2着はマイネベリンダが強すぎた。メンバーが手頃になってきっちり白星を飾る
上映期間ももう終わりに近いのですが、ようやく「三本木農業高校、馬術部」を見てきました。もし今後、DVDやテレビ放送をまっさらな状態で見たいという方は、以下は読まないでくださいね。
ストーリーは青森県十和田市の三本木農業高校馬術部に所属する視力に障害を持った競技馬と、担当となった女子生徒が次第に理解し合い、ラストでは障害飛越競技に出場するという実話に基づいた物語。主演?馬のモデルはタカラコスモスというサクラシンゲキ産駒の元競走馬で、東京の大学で競技馬となってからは数々の大会で優勝し「女王」と呼ばれた名馬だそうです。ところが残念なことに目の病気で左の視力を失い、処分されそうになったところを顧問の先生が引き取って三農馬術部に来たのでした。
映画はタカラコスモス(愛称コスモ)が既に馬術部におり、主人公の香苗が2年生のときから始まります。視界の半分を失ったコスモは気性が荒く、すぐ暴れて担当する香苗の言うこともまったく聞きません。そんなコスモに香苗も始めは「バカ馬」と言い放ってキレてばかりいたのですが、ある時から目が見えない不自由を理解し、懸命に世話をするようになって次第にお互い気持ちが通じるようになります。そして3年生最後の競技会を前に、「私がコスモの目になります!」と言ってジャンプに挑むのですが…
私も一度は乗馬を習う機会があったので、馬と心が通じたり通じなかったりするあの気持ちは少し分かります。それもあってかなり感情移入してしまったのですが、でも乗馬経験の無い人でも、馬が好き、馬の温もりが好きな人なら、ぜひ見てほしい作品だと思いました。
柳葉敏郎さんが演じる顧問の古賀先生は、競技に使えない馬を置いてどうするのかと言われながらも、「こういう馬がいることが何か生徒のためになるんじゃないか」と反対を押し切って引き取りました。そんな古賀先生と、それを許した校長は、それを最高の形で体現した香苗とコスモに、「ありがとう」と感謝の気持ちを表します。もちろん、暴れてばかりの担当馬に心底嫌気がさし、馬術部に入ったことも後悔しはじめていた香苗も、恐怖心から心を閉ざしていたコスモも、お互いが信頼の絆で結ばれ、心を開いてお互いに感謝。そして仲間の部員達などなど皆がみな、馬を中心に暖かな気持ちに包まれる…。それが青森南部地方の自然を背景に、しっかりと描かれていました。見て心温まる映画とは、こういうのを言うのですかね。
最近の日本映画は有名俳優やタレントをたくさん出して、その出演シーンをつくるためか話が散らかって、なんだかすっきりしない作品が多い気がします。この映画も柳葉敏郎さんや、校長役で松方弘樹さんが出演し、そして主演の長渕文音さんは長渕剛さんの娘だそうです。しかしキャスティングで話題を稼ごうという感じが全く無く、しっかりストーリーに没頭することが出来ました。また、こういう出演者が体当たりで何かを体得し、吹き替え無しで演技に挑む映画が私は大好き。例えば『スウィングガールズ』なんかも私のオススメ日本映画に入ります。この作品もエンディングで役者さん達の“修行風景”が映されますが、こうして撮られた映画はなぜか本物の迫力が伝わるんですよね。
余談ですが、柳葉敏郎さんはいまは実家のある秋田の大仙市にお住まいとのこと。こんな日本を代表する素晴らしい役者が、比較的近くの街で生活しているというのはなんだか嬉しいですね。田舎者丸出しの感覚ですが、私は柳葉さんを角館の祭りの中で見掛けたことがあり、それもあってなんだか親近感がある俳優さんです。(笑) そうそう、この映画の主題歌『この胸に…』でメジャデビューを果たしたSTMG(「ステゴマ」と読みます)は岩手の紫波町出身でした。これでますますこの映画を応援したくなりますね。機会がありましたら、みなさんもぜひ見てください。