今週から水沢競馬場が戦いの舞台。11月1日(土)メインはC2級馬による水沢1400m戦・猊鼻渓賞、11頭立て。なおこの日から全10レースの実施でされ、メインは9レース(発走:15時15分)へ変更となる。
主軸はジャンドゥーヤ。中央7戦0勝(うち地方交流5戦0勝5着2回)から今年10月に転入。初戦、2戦目とワンサイドで連勝。盛岡ダート1400m1分28秒4はB級でもそう出せるタイムではなく、ここでは抜けた存在と言えるだろう。
あえて不安を捜せば水沢への輸送競馬だが、中央時代に南関東へ5度も遠征済みだし、右回りも4度経験。おそらく問題にしないだろう。
逆転筆頭はトーセンダズル。こちらは中央2戦0勝から7月に転入。初戦はレース間隔が若干開いたため6頭立て5着に敗れたが、一度叩かれて動きが一変。圧巻の5連勝を飾って今回に臨んできた。しかも一戦ごとにレース内容が良くなっており、ここ2戦は2着に0・6秒、0・5秒差。この上昇ムードが何よりも魅力だ。
ただレース日が違って馬場差があったにせよ、ジャンドゥーヤの盛岡1400mの持ちタイムが2・3秒もあり、常識的には序列は覆せない。それでもレースは生き物ゆえ、机上の論理で答えが出るものではない。
ジャンドゥーヤが水沢初めてに対し、トーセンダズルは水沢3戦3勝とパーフェクト成績。ここに逆転の目が残っている。
ウメノキャロルは中央在籍時、6着が最高。そのため持ち賞金(格付け賞金)が0円でC2の最下級からスタート。相手に恵まれてアッサリ2連勝をマークした。馬格も480キロ前後と恵まれ、しかも牡馬。現時点ではともかく将来性は前記2頭を上回るかもしれない。
クイーンオブナイトは岩手初戦1番人気に支持されたが3着。中央時、阪神ダート1400m戦で3着入線があったことが評価されたが、3番手追走のまま。この結果をどう判断するかだが、好メンバーがそろっていたのも事実。しかも前走比プラス10キロと重め残りもあり、ひと叩きされた今度は巻き返し必至と見るべき。
以上、4頭の争いになりそうだが、水沢5勝の実績からプラセンタを押さえ少々。
◎ ?ジャンドゥーヤ
○ ?トーセンダズル
▲ ?ウメノキャロル
△ ?クイーンオブナイト
△ ?プラセンタ
3連単は3を1着固定に7、11、5流し。あとは4を押さえ少々
馬複は3−7、3−11、3−5、7−11
<お奨めの1頭>
8レース ヨコハマボーイ
前回は出遅れが痛かったが、2着確保が成長の証。目下9連続連対中も強気にさせる
小野寺三男厩舎所属のムーンロードは2006年金沢デビュー。一時、佐賀を経て今年の開幕週から岩手競馬に出走し、菊池康明騎手を背にこれまで4勝と善戦している。
ムーンロードというと、直訳すれば月の道。太陽が星座の星々を背景に動いてゆく天球上の道筋を『黄道』というのに対し、月の道筋は『白道』と呼ばれる。しかし白道に当たる英単語は moon’s path だそうで、残念ながらムーンロードとは言わないようである。
黄道という言葉は『黄道12宮』つまり星占いの12星座で聞いたことがある方も多いでだろう。黄道12宮は黄道上を太陽が1年で一回りするときに通過する12の星座を占術のシンボルとして利用したもので、生まれたときに太陽が位置する星座がその人の星座(太陽宮)となるのはご存知のとおり。例えば冬の星座の代表格である牡牛座や双子座の人は6月7月あたりの生まれということに、私などは少し違和感を覚えてしまうことがあるが、しかし生まれの星座は輝く太陽と一緒に昼間の空に上っているわけだから、いわゆる季節の星座として夜空に見られる星座のイメージとは正反対で当然なのである。
一方、白道○○宮という言葉は聞いたことがないが、これは白道が18.6年の周期でそのルートが変化するためであろう。黄道も僅かながら変化はしているものの、その周期は2万5千年以上ととんでもなく長いので、西洋占星術の起源となる古代バビロニア時代から現在まで大きくは動いていない。
ところが東洋には『宿曜経』という“月の星占い”があるのだそうだ。これは紀元前のインドで文殊菩薩(!)が作り、仏教と共に中国に伝来して日本へはかの弘法大師空海が持ち込んだと言われている。こちらはなんと27もしくは28の“宿”があり、月の位置が一晩ごとに変化するのに対応して誕生日1日ごとに宿が変わってゆくという、結構めまぐるしい占術である。
占星術というと、よく「人間の性格がたった12に分類されるハズがない」「同じ日に生まれた人間は性格が同じということになるではないか」という声を聞く。しかし、ちかごろ西洋占星術に凝り出した知人によると、太陽・月・惑星などが成す角度(同じ誕生日でも年が違うと異なる)や、生まれた瞬間に東の地平線から上ってきている星座(上昇宮・生まれた場所=経度で異なる)などによって全く違ったものになるのだそうで、ひとくちに星占いと言ってもなかなか奥深い世界のようだ。そもそも占星術は天文学と一体として発達しており、近代、アイザック・ニュートンが登場するあたりまでは科学の一部門として認められていたのだから奥深いのも当然なのかもしれない。
さて、件のムーンロードは占星術的にはどうなのであろう?ムーンロードは2004年4月17日の門別生まれ。さきほどの知人に見てもらったところ、生まれた時間が分からないので詳しくは言えないが、という注釈付きで
行動と思考が一致するタイプで、感情が表に現れやすい
悪く言えば気まぐれ自分勝手で調子に乗りやすいが、
褒めれば伸びるタイプ
と鑑定された。関係者のみなさん、参考になっただろうか?
(文/写真・佐藤到)
10月26日 第2回きんもくせい賞(3歳以上・地方競馬全国交流 盛岡芝2400m)
(きんもくせい賞ゴール 1着・カネショウエリート 写真・佐藤到)
1着 カネショウエリート
絶好のスタートを切り、一旦先頭に立ったが、コスモアンファングが手をしごいてハナをアピール。それを見て村上忍騎手がスッと2番手に控える。坦々とした流れで道中進み、勝負どころの3コーナーで各馬がスパート。
他の有力馬が雨を多く含んだ馬場に泣いて反応ひと息だったのに対し、カネショウエリートはスイスイ。4コーナーでコスモアンファングに並びかけ、直線を向いてアッサリ交わし、あとは後続を突き放す一方で2着に4馬身差。待望の重賞タイトルを手にした。
「強い相手(ボスアミーゴ)がいて、なかなか勝ち切れないレースが続いたが、今日は馬場、展開が味方してくれた。前回(パンジー賞)で逃げて手綱をがっちり押さえたが、それで伸びるタイプでないことは分かった。だから今回は2番手でもいいから気分良く走らせることだけを心がけたら、手応えも最高でこれなら行けると思った。これで今後の感触も掴めたし、ダートも力をつけた今なら問題なし。これからも期待が持てそう」と村上忍騎手。
そのコメントどおり今年本格化。2、3歳時に芝で1勝、水沢で1勝のみにとどまっていたが、6月から圧巻の5連勝マーク。未勝利だった盛岡ダートでも白星を飾り、奥手メイセイオペラの血が全面開花した。
A級昇級後、2戦目から芝路線を歩み、桂樹杯は直線の不利もあって4着。OROカップは4角で一旦先頭に立ちながら6着。そして前回・パンジー賞では逃げてスローに落としたが、ボスアミーゴに完敗2着。芝で要求されるピリッとした脚がないため、頭打ちのレースを繰り返していた。
しかし今回は村上忍騎手の好判断、そして馬場も味方につけて4馬身差で圧勝。ついに重賞ウィナーの仲間入りを果たした。
2着 コスモアンファング
スタートはそれほどでもなかったが、草地騎手が手をしごいて果敢に先手を奪う。あとはすいすいマイペース。直線入り口で早めに交わされたが、決め手がない半面、大きくバテないのが身上。また後続は不良の芝に手こずってモタモタしているのを尻目にまんまと2着を確保した。
同じ条件のかきつばた賞(6月21日)でもボスアミーゴの2着に入ったように芝2400mがベストの条件。今後も長い距離では目が離せない存在となりそう。
3着 オグリオトメ
道中はずっと4番手インでずっと我慢。OROカップでは1枠に入り、馬群に包まれてさばくのに苦労したが、今回は長丁場でバラけた展開。鞍上・佐藤友則騎手もコース適性を掴んでいたようで、直線に入ってからゴーサイン。一完歩ごとにコスモアンファングとの差を詰めたが、最後のひと伸びが足りずクビ差3着までに止まった。できれば良馬場でレースをさせたかった。
4着 クルセイズ
どんな展開にも対応が可能なタイプだが、今回は不利のない3番手外を追走。カネショウエリートが動いたのを見てスパートをかけたが、いつもの伸びが見られず4着。
5着 ボスアミーゴ
パンジー賞と同様、先陣からあまり離されない位置をキープ。向正面から早めスパートをかけたが、本来のシャープさが全くなし。他にも不良馬場に泣いた馬が多かったが、一番手こずったのがボスアミーゴ。意外にも芝の不良馬場は今回が初めて。やはり切れ味勝負型にこの馬場は合わなかったようだ。加えて馬体重がプラス5キロと若干太め残り。レース後、鈴木七郎調教師「追い切りが1本足りなかった」とコメント。
いよいよこの月曜日で今年の盛岡開催が終了。8開催、のべ48日間にわたって行われた・・・と書いてみて「あ、48日しかなかったんだ」と思ってみたり。
前は11月一杯盛岡で、11月23日のダービーGPが雪で延期になった事を覚えている方もいらっしゃるでしょう(98年だから、もう10年前ですねえ)。その頃は水沢に移るのが12月、いかにも“冬開催”だなと感じたものです。
旧盛岡競馬場の頃に遡ると、今と同じく10月下旬か11月上旬までが盛岡で・・・、というパターンが多かったようです。ただ、昔は開催期間自体が短く、11月一杯か遅くとも12月半ばで開催終了。冬の水沢は長くても1ヶ月半くらいでした。
昔は雪が多かったですからね。最近は雪を見ないままに年を越す事も珍しくなくなりました。そのうち通年開催になったりして・・・。
先週はコースをほぼ2周するレース。今週は一転して半周ちょっとの戦いです。あちらは2分40秒台の決着、こちらは1分少々。天皇賞(春)の翌週に高松宮記念をやるような感じですよね。瞬きする間もない戦い(ちょっと大げさ?)ですのでお見逃しなく!
ここは(6)トキオパーフェクトを信頼しましょう。9月29日に行われた同条件の八幡平賞を全盛期を思わせる走りで圧勝。再び同条件となればここも・・・という期待がかかります。 今回は同型が増えた分、展開はきつくなるだろうし、“もし流れに乗れなければ”という不安が増えたかもしれません。とはいえ、あのペースで逃げながら息を入れる、という芸当は並の逃げ馬に出来る事ではありません。また、日曜は雨、月曜も雨で軽いコース状態必至となればこの馬にプラスの材料です。
対抗は(10)ジェドバトラー。前走で勝ったのはマイル戦ですが、以前岩手にいた時の印象からは明らかにスプリンター。昨年の岩鷲賞で1200mを1分13秒6なら1000mも決して短すぎる事はないはずです。状態も良くなっており逆転候補筆頭。
(5)トーセンコマチは前回の1000m八幡平賞で3着。とはいえタイム差は0.9秒あってあまり強気にはなれませんが、距離2度目で慣れてくればもっと積極的に動く事も可能。
ぜひ押さえたいのが(4)ジャッキードリーム。長い距離で我慢しながら行くタイプではない印象の馬、今まで一番強い勝ち方をしているのが1200mだし、流れに乗りさえすれば上位争い可能。
(7)ムーンロードは最近不振ですが、父ウイニングチケットという血統は意外にスプリンターの素質が高いもの。この距離で変身あるかも。
●買い目
馬単(6)=(10)、(6)=(5)、(10)=(5)、(6)→(4)、(6)→(7)
◆お奨めこの一頭
10R:コスモスパーブ
確勝を期しての乗り替わり。今シーズン盛岡ラストのレースをこの馬が締める。
26日(日)メインは日高軽種馬農協(HBA)協賛・アドマイヤボス賞「第2回きんもくせい賞」(3歳以上・地方競馬全国交流 盛岡芝2400m)、12頭立て。OROカップに続き、笠松からオグリオトメが参戦してきた。
(パンジー賞ゴール 1着ボスアミーゴ 写真・佐藤到)
主軸はボスアミーゴで動かない。水沢2戦凡走後、盛岡開催に替わって芝1600m戦・あじさい賞を余裕で快勝。以降、かきつばた賞、せきれい賞、桂樹杯と圧巻の4連勝をマーク。
OROカップで史上初の盛岡芝グランドスラム達成に自信の登場だったが、クルセイズ=沢田騎手が一か八かのイン強襲に屈して2着。ボスアミーゴも直線で盛り返してクルセイズを猛追したが、わずかハナ差届かず盛岡芝、重賞全制覇の夢は惜しくもならなかった。
これは余談だが、昨年はコスモバルクが参戦し、当然のように圧勝。ボスアミーゴも見せ場をひとまず作ったが4馬身差2着。そして今年はハナ差2着に敗れ、ボスアミーゴにはOROカップがどうやら鬼門。
今回のレースにはまったく関係ないが、来期こそグランドスラム達成できるのか否か、ちょっと注目してみたい。
前走・パンジー賞はカネショウエリートが1周目スタンド前で15秒台に落とす超スローペース。さすがにボスアミーゴも若干掛かるシーンもあったが、一瞬だけ。菅原勲騎手がうまく折り合いをつけて3コーナーから徐々にスパートをかけ、4コーナーで早くも先陣を射程圏。直線はエンジンの違いマザマザに後続を突き放し、貫禄の1着。OROカップ2着の雪辱をアッサリ晴らした。
レース後、菅原勲騎手が「このペースで折り合いがつくのだから、かなりズブくなっているのは確か。だから今ならマイル前後より2400mの距離の方が合う」と語っていたとおり、まったく危な気なく完勝。同距離のきんもくせい賞2連覇はほぼ手中にした。
興味は相手捜しに絞られカネショウエリート、クルセイズが有力だが、2頭の序列は非常に難しい。
直結するレースはパンジー賞。カネショウエリートが逃げ、調教並みのスローペースに落とし、クルセイズが直後2番手を追走。2頭の隊列は4コーナーまで変わらず、外からボスアミーゴが交わして先頭。一方、カネショウエリートとクルセイズは互いに譲らず一進一退の攻防を繰り広げゴールまでもつれ込んだが、カネショウエリートがわずかハナ差先着2着を死守した。
このレースでカネショウエリートはオープン通用を証明したわけだが、かなりペースに恵まれたのも事実。クルセイズは折り合いを欠くシーンが結構あり、これで勝負づけが済んだとはとても思えない。
ただ、カネショウエリートは今が充実期の4歳に対し、クルセイズはレースセンスに長けているとは言え、昇り目の薄い7歳牝馬。最終的にこれが決め手となり、カネショウエリートを上位に採った。
3歳馬の動向にも目が離せない。まずオグリオトメ。未勝利脱出まで19戦も要したが、強いメンバーに揉まれながら地力アップ。8月、名古屋の東海クイーンカップを制し、待望の重賞タイトルを獲得し、続く古馬B級戦も快勝。勢いを駆ってJRA・ローズステークスに挑戦して1・7秒差11着。初の芝、メンバーが一気に強化されたことを考えれば善戦の部類。
そして中6日の強行軍でOROカップへ臨み、0・2秒差4着。レース後、佐藤友則騎手は「おばあさんがオグリキャップの妹なので元々、芝は合うと思っていた。今回はレース間隔がなかっただけに仕方なしの結果」とコメント。2度目の盛岡コースでさらに期待が集まる。
ピンクゴールドはOROカップでオグリオトメに先着3着。不来方賞で待望の重賞タイトルを手にし、古馬へ殴り込み。ダートでも切れる脚を身上とし、芝適性も高かったが、唯一の不安は馬体減り。繊細な牝馬ゆえ飼い葉食いのいいタイプではなく、陣営は調整に毎回苦労。しかしOROカップではプラス3キロで臨み、結果も3着。不来方賞優勝がダテではなかったことを証明した。今回は休養をたっぷり取ってOROカップから直行。古馬に一泡吹かせるシーンも十分にあるだろう。
コンバットキックも軽視できない。今季期待を集めた1頭だったが、本来の実力を出せずにずっと勝ち星なし。しかし芝2400mのサファイア賞で豪快に圧勝してついに復活を遂げた。楽に追走ができる長距離戦が結果的に功を奏し、久々にコンバットキックらしさを披露した。タイムは明らかに見劣るが、3歳馬は何かをきっかけにひと皮むけるケースも数知れない。
◎ ?ボスアミーゴ
○ ?カネショウエリート
▲ ?クルセイズ
△ ?オグリオトメ
△ ?ピンクゴールド
△ ?コンバットキック
3連単は2を1着固定に7、2の折り返し本線だが、2から3歳10、8、5にぶつけてみるのも面白い
馬複は2−7、2−12、2−10、2−8
<お奨めの1頭>
11レース ケイジーウォリア
岩手で3着以下に沈んだのは芝5着の1回のみ。他はオール連対を果たし、目下5連勝中。迷わず追いかける一手だ