3月、松阪競輪場でのウィナーズカップで行われた『ガールズケイリンコレクション2021松阪ステージ』。今年初めてのガールズケイリンコレクションを優勝したのは女王・児玉碧衣選手(福岡108期)でした。レースの振り返りや今年の目標、次のビッグレースへの意気込みをお伺いしました。
山口:『ガールズケイリンコレクション2021松阪ステージ』優勝おめでとうございます。
児玉:ありがとうございます。
山口:どのような気持ちで臨みましたか?
児玉:今年初めてのコレクションでしたし、優勝賞金の200万円は今年のオッズパーク杯ガールズグランプリに出場するためには大きい上積みです。またウィナーズカップでのコレクションは去年の福井も優勝しているので、今年も優勝したい、優勝してグランプリへ一歩近付きたいなと思って臨みました。
山口:去年は5月のコレクションに出られない中での3月のコレクションでしたが、今年は違いましたね。
児玉:去年はトライアルレースで(5月の)コレクション出場の権利を取れなかった分「3月で優勝しないとグランプリ出場も危うくなる」という焦りの気持ちがありました。今年はそれに比べて気持ちの余裕もあったし、ガールズグランプリを3連覇したことで自信も持てていたので、気持ちの面で大きく違いました。
山口:レースを振り返っていただきます。他の選手が児玉選手の仕掛けを待つような展開に見えました。
児玉:そうですね。道中もですが発走機についた時から梅川さん(梅川風子選手・東京112期)と真備さん(高木真備選手・東京106期)と私で「誰が出る?」と見合って、我慢比べではないですが、牽制がありました。道中も「誰が仕掛けるのか」とみんなが他の選手の動きを注目していたように思いました。
私は今まで自分以外を意識してレースをした時に、良い走りができたことが一度もないんですよ。
山口:そうなんですか!
児玉:はい。なので「誰がどう仕掛ける、それによってどう自分が動くか」よりも「自分がどこから思い切って仕掛けるか」を重視してレースをしています。今回のように見合って牽制が入っても、私が考えていたのは「どこから思い切り仕掛けようかな」ということでした。
山口:それが最終ホーム前だったんですね。
児玉:そうですね。当日は雨が降っていたこともあり、早めに仕掛けました。今の自分の力がどれだけ通用するか試したかったのもあります。優勝は目指していましたが、レース内容は考えすぎず、自分の全力を出し切ろうとだけ考えていました。
山口:児玉選手の動きに合わせて高木選手や梅川選手、石井貴子選手(千葉106期)も踏んでいきましたが、見えていましたか?
児玉:梅川さんが車間をきって後ろを見ていたのはわかっていました。でも私もダッシュには自信があるので、思い切り踏もうと思っていました。
山口:児玉選手の後ろがもつれ、2コーナーでは坂口楓華選手(京都112期)が単独で2番手でした。
児玉:それは確認してなかったです。出きってからは誰かが後ろにいるのはわかったんですが、それが誰なのかは全くわからずに全力で踏んでいました。ゴール手前でようやく黄色いユニフォーム(5番車坂口選手)が見えたくらいでした。
山口:それだけ全力だったんですね。
児玉:はい。力を出し切りました。
山口:今年初めてのコレクションでの優勝でした。結果を出していかがですか?
児玉:一安心ですね。先ほども言ったように、去年と比べて臨む前にも気持ちの余裕がありましたが、このコレクションを優勝したからガールズグランプリにも一歩近付けたと思います。
山口:このコレクションの優勝で、100回目の優勝だったんですね。
児玉:そうみたいです。私も全く知らずに記者さんから聞きました。数字で見れば凄いですが、そこは気にしていないですね。「そうなんだなー」くらいです(笑)。
山口:それよりも獲得賞金の方が気になりますか(笑)?
児玉:そうですね(笑)。
山口:史上初のガールズグランプリ3連覇を達成して、今年のここまでのレースを振り返るといかがですか?
児玉:自分でもびっくりするくらい活躍できる選手になってきているなと思います。SNSをやっているんですが、私の車券を買ってくれているお客さんから直接コメントをもらうこともあり「おめでとう、強かった、やっぱり女王だ」など嬉しいコメントも多いです。本音を聞ける時もあるので、凄く嬉しいですね。
山口:直接お客様の気持ちが伝わりますね。
児玉:そうですね。
山口:ここまで2着が2回、あとは全て1着というのは素晴らしい活躍だと思います。
児玉:確かにそうかもしれません。私自身も賞金が欲しいのでもちろん完全優勝を目指していますが、私をずっと応援してくれている方の車券が当たって、お客さんのお金も増やせるというのも嬉しいです。それもSNSでコメントをいただいて嬉しいことの一つでした。お互いに嬉しくなる、それが私の走りでできるのは良いなと思います。やっていて自分も気持ちが良いです。
山口:今年の目標は何ですか?
児玉:3連覇をした後、実は少し目標を見つけられなかったんです。グランプリが終わってすぐに「つぎは4連覇!」と言いたかったんですが、気持ちがそれに追いつかない時期がありました。でも2着を取ったことで悔しいと思ったので、今は「どうせ走るなら勝ち続けたい」と思っています。どういう風なレースでも勝ちたいですね。
山口:「どういう風なレースでも勝ちたい」という思いだから、先ほど仰っていた後ろの選手を気にせずの仕掛けができるんでしょうか。
児玉:そうかもしれません。余計なことを考えなくなりましたね。「負けたらどうしよう、差されたらどうしよう」などは、今は全く考えていません。
気持ち的に一皮むけたかもしれませんね。「差されたら、差されないように練習したらいい、とにかく自分の力を一つのレースごとに100パーセント発揮しよう」という気持ちでレースに臨んでいます。
山口:それはいつ頃から実感しましたか?
児玉:今年に入ってからですかね。
山口:そうなんですね!では3連覇した後に、更に一皮むけたのが今の児玉選手なんですね。強い!
児玉:そうですね(笑)。
山口:5月のコレクション京王閣ステージも迫っています。メンバーはトライアルレースで勝ち抜いてきた選手ですので、コレクション初出場の選手も多くいますがいかがですか?
児玉:今までと少し違う顔ぶれでのコレクションですが、私は変わらず優勝して賞金が欲しいです。なので、誰を気にすることもなく、レースに対して力を120パーセント出すだけですね。
山口:同期108期もたくさんいるコレクションですね。
児玉:はい!尾崎睦さん(神奈川)や細田愛未さん(埼玉)も一緒なので、走るのが凄く楽しみです。
山口:尾崎選手には平塚トライアルレースを優勝した後にお話を伺ったのですが、「先に児玉さんと細田さんがコレクション出場を決めたから、私も!と思いました」と仰っていました。
児玉:そうですか!走る時はもちろんお互いが1着を目指す相手ですが、私は同期が同じ開催にいるのはとても心強いんです。お互いに高め合えるような気がしています。
山口:京王閣バンクのイメージはいかがですか?
児玉:そこまで強烈な印象はないですが、風が強かったようなイメージがあります。でも悪いイメージもないので、大丈夫かなと思います。
山口:豊橋の欠場はどうしたんですか?
児玉:松阪のコレクションが終わり、腰に違和感を感じて欠場しました。それまでコレクションへ向けてかなりキツく練習で追い込んでいたので、優勝して力が抜けてしまったみたいです。腰の違和感でうまく踏めなかったので大事をとって欠場させていただきました。ただ練習はできているしケアもしているので、小倉は走って次の京王閣へ繋げたいです。
山口:コレクションまではどのように練習していきますか?
児玉:私は大きいレースがあるからといって特別なことはいつもしていません。いつも通りに、特別な気持ちは持たずに普段通りの練習をしていきます。
山口:ありがとうございます。では最後にオッズパーク会員の方へメッセージをお願いします。
児玉:いつもたくさんの応援ありがとうございます。自分ももちろん優勝して賞金を稼ぎたいし、お客さんも車券が当たって稼ぎたいと思っているはずです。少しでもお客さんのお金を増やせるように勝って貢献できるように頑張ります。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
2020年7月のいわき平競輪場で開催されたGIIサマーナイトフェスティバルを制してからビッグレースの優勝とは遠ざかっていた清水裕友選手(山口105期)。2020年を振り返ると苦しい時期もあったと言います。だからこそ、3月に松阪競輪場で行われたGIIウィナーズカップの優勝は今までで1番嬉しいものになりました。そのウィナーズカップの振り返り、そして5月に行われるダービーに向けての話も伺いました。
星野:ウィナーズカップ優勝おめでとうございます。
清水:ありがとうございます。
星野:清水選手にとっては久々にビッグレースで優勝となりましたが、いかがでしたか?
清水:昨年は不甲斐ない成績が続いていたので、今までの優勝の中で1番嬉しかったですね。昨年は、自分はもうこのまま終わってしまうのかと思うこともあって、今振り返れば苦しかったです。でも、そこで試行錯誤した結果、新しく始めたトレーニングが成績として出てきたんだと思います。
星野:具体的にどんなトレーニングを始められたんですか?
清水:ウエイトトレーニングですね。今まで取り入れてなかったんですよ。でも、始めてみたら、体の使い方が自転車に乗ったときも意識できるようになって変わってきましたね。
星野:体が引き締まった印象があったんですが、その成果なんですね。
清水:体重は変わってないんですが、最近周りからもシュッとしたね!と、良く言われます。
星野:そして、自分専用の道場も作られたと伺いました。
清水:今までウエイトトレーニングをしようと、ジムに通っていたこともあったんですが、なかなか続かなかったんです。それで、やるしかない環境をまず作らないとダメだと思って作りました。昨年の12月の後半に道場が完成して、今年に入ってからはトレーナーの方についてもらっています。1月の時点で走った感じは、まだヤバイかなと思っていましたが、2月に入ってから自転車の乗り方、体の使い方など意識していた事が、徐々に競輪の成績に繋がってきたかなって感じですね。
星野:そんな中、ウィナーズカップが行われたんですね。レースも振り返っていただきたいのですが、初日は1着スタートでした。
清水:あのレースは細切れ戦で若手の大石(大石剣士選手・静岡109期)と眞杉(眞杉匠選手・栃木113期)の先行争いになるかなと思っていました。実際にそんな展開になったんですが、僕と郡司さん(郡司浩平選手・神奈川99期)が併走になったのは予想外でしたね。まずいなと思いましたが、郡司さんがそこから捲りに行ってくれたので、上手く切り替えて行った感じです。
星野:郡司選手に続いてから、最後は楽に抜け出したように見えましたが、手応えはいかがでしたか?
清水:手応えはありましたね。脚の感じも軽かったし、タイムも良かったので、気持ち良く2日目を迎えられました。
星野:その2日目は位置にこだわるレースでしたね。
清水:単騎の選手がいたので、一人でもいれると厳しくなるなと思って、そこは拘りました。もう一回走っても、あそこは主張したと思います。ただ、単騎のヒデさん(山田英明選手・佐賀89期)と併走になったんですが、ヒデさんがホームで仕掛けたときについていかないとダメでしたね。
星野:他の単騎の選手も山田選手の仕掛けに続く形になって、清水選手は苦しい位置になりましたが、最後は3着まで迫りましたね。
清水:あの日は風が強くて周回中から重たかったんです。だから、僕のデキが良かったというより、他の選手も風で脚力を消耗していたんだと思います。でも、自分の走った感じからは最終日まで勝負できるなという感覚はありました。
星野:そして、3日目の準決勝戦は中四国地区は3人いて、門田凌選手(愛媛111期)が先頭、2番手に松浦悠士選手(広島98期)、そして清水選手はライン3番手の競走でしたね。
清水:準決勝は、3番手の仕事に徹しようと思って走っていました。もし3番手の自分が内を空けてしまって別のラインに来られたら、前に迷惑を掛けるので脚を使ってでも役割を果たそうと。結果、番手から松浦さんが捲る展開で松浦さんとワンツーが決まり、門田の頑張りも無駄にならなくて良かったと思います。
星野:そして、決勝戦は松浦選手との連携でした。清水選手は松浦選手にマークする競走でしたが、振り返っていかがですか?
清水:何がなんでも優勝したいってのがあって、最後は松浦さんを残す余裕はなかったですね。松浦さんからもそんな展開になったら、優勝を狙ってくれと言われていたので、遠慮なく行かせてもらいました。
星野:そう言える松浦選手に、しっかり応えられる清水選手。ラインの信頼関係ですね。
清水:そうですね。お互いを信頼してるから、お互いがしっかり走れてるというのはありますね。ただ、僕が前を走る時は松浦さんに迷惑を掛けることがあるので、そこは課題だなと思って走っています。
星野:松浦選手とは終わってから話されましたか?
清水:おめでとうって言ってくれて、自分の事のように喜んでくれました。調子が悪かった頃もずっと気に掛けていてくれていましたし、素直に嬉しかったですね。
星野:中国地区のゴールデンコンビ復活ですね。
清水:そうですね。欲を言えば、僕が先頭で押しきるレースがしたいんですよね。でも、松浦さんは強いので、抜かれても仕方ないなとも思って走っています。これは、お互いに言えることなんですが、お互いがお互いを振りきりたいと。でも、抜かれても良いと思いながら連携している。この信頼しあえている関係が、自分達にとってプラスになってるんだと思います。
星野:つぎに行われるGIは日本選手権競輪、通称ダービーと呼ばれていますが、清水選手が1番獲りたいタイトルだと伺いました。
清水:そうなんです。6日制ですし、選手も1番多く参加するGIです。そのダービーならではの雰囲気が好きなんですよね。それに、2年前は準優勝だったので、いつか獲ってやろうと思っています。
星野:松浦選手を振り切って!
清水:そうなると良いですね。
星野:では、ダービーもたくさんの方が清水選手を応援されています。最後にオッズパークの会員の皆様にメッセージをお願いします。
清水:ウィナーズカップの応援ありがとうございました。この優勝に満足することなく、GI優勝に向けてがんばりますので、変わらず応援をよろしくお願いします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
3月に松阪競輪場で行われる『第5回ウィナーズカップ』。最終日の28日にはガールズケイリンコレクション2021松阪ステージがあり、昨年後半の競走得点上位7選手が集まりました。
その中でコレクション初出場となる坂口楓華選手(京都112期)に、出場が決まった時の気持ちやこれまでの振り返り、そしてコレクション松阪ステージへの意気込みをお伺いしました。
山口:坂口選手は、ガールズケイリンコレクションへは初出場ですよね。決まった時のお気持ちはどうでしたか?
坂口:コレクションの出場は目標にしていたので、素直に嬉しかったです。
山口:選考基準が「2020年7月~12月の競走得点上位者」でしたが、狙ってはいましたか?
坂口:何も狙っていなくて、選考基準なども気にせず自分のレースをしていました。それで結果が出たことが嬉しいですね。自分のやりたいことをやっていたら、後から付いてきたのが結果だったので、余計に嬉しかったです。
山口:特に昨年の後半は連勝も続きました。ご自身で結果が結びついてきたという実感は、その時にありましたか?
坂口:練習環境を変えたので、集中して練習ができるようになりました。他のことを考えず、毎日自転車のことを考えられる生活にしたんです。
レースでも自分のやりたいことをやり、それが発揮できるようになったので実感はあったかもしれません。
山口:何度か直接取材をさせていただいた時にも「たくさんのことを考えて走っているんだな」と感じました。やりたいレースができるようになったきっかけは何だったんですか?
坂口:オッズパーク杯ガールズグランプリに出場している選手たちと対戦をすると、私との力の差が大きくあるんだと痛感したことですね。毎年、競輪祭でのグランプリトライアルレースには出場できているんですが、いつも力の差をそこで感じていました。突きつけられるトップの選手との差、それが大きいのが悔しかったんです。
「同じ人間、同じ女性なのに、ここまで差があるんだ」と考えさせられました。そこでしっかり自分と向き合ったのがきっかけでしたね。
山口:先ほどの話の「練習環境を変えた」のと同時期くらいですか?
坂口:そうですね。どうしたらトップ選手との力の差が縮まるかを考えた時に、今の自分の練習環境を変えるしかないと思いました。それまでは一人で練習をしていたんですが、限界を感じたんです。
更に上を目指すために、何の誘惑もない自転車のことだけを考えられる環境に身を置くしかない、と覚悟を決めて、豊橋に練習拠点を移しました。
山口:どうして豊橋に決めたんですか?
坂口:豊橋にはガールズケイリン選手がたくさんいて、ガールズの選手と一緒に練習できるのが良いなと思ったからです。それまで一人で練習していて、もちろん一生懸命練習はしていましたが、闘争心など「人と比べて負けないぞ」という気持ちはなかなか持ち続けられませんでした。練習をしても誰とも比べられないので、本当に自分が強くなっているかがわかりにくかったんです。それだと自信にも繋がりません。
豊橋は常にたくさんのガールズの選手が練習していて、7人以上いるのでレース形態の練習もできます。それが大きいきっかけでした。それ以外にも、ウェイトトレーニングの機材がそろっていたり、競輪場も綺麗で環境も良いなと思っています。
山口:ガールズケイリン選手との練習でどのような所が強化されましたか?
坂口:メンタル面の強化が大きいと思います。レースで結果も出てきたので自信に繋がります。
山口:具体的にはどのようなところでしょうか?
坂口:戦法を変えたことです。もともと私の戦法は自在を主体とし、自力はあまり出さずにレースを組み立てていました。動くタイプの選手を追い上げてマークしたり、飛びついたり、自分でレースを作っていくことはなかったんです。でもそれだとなかなか勝てなかったので、自力に戦法チェンジしました。
自力の練習をして、レースでもそれを出せるようになってから結果が出はじめたので、自信もつきました。今までの自分じゃ仕掛けないポイントで思い切って仕掛けたら逃げ粘れて着に繋がったり、しんどいところ、みんなが仕掛けないところでレースを動かすようにしたら結果が出てきました。
練習では長い距離をもがけるようにはしていたので、レース本番でもそれを思い切ってできた、しかも結果に繋がったというのは大きな自信になりました。
山口:豊橋のガールズケイリン選手も自力タイプの選手もいますもんね。
坂口:そうですね。今はずっと自力を出す練習をメインにしています。
最近は男子の選手にも混ぜていただいて練習をしているんです。スピードが圧倒的に違うので練習で男子のスピード感に慣れてきたら、レースでも流れをしっかりと見極められるようになりました。
山口:男子選手と一緒にレース形態の練習をすることもありますか?
坂口:はい。ライン戦の練習を男子選手がするときに私も混ざったりします。私が先行したり、逆に強い選手が先行しているのを私が捲りにいったり、いろんなパターンでやっています。自分より強い相手(男子選手)と一緒に練習をするとレベルが上がる気がしますね。
山口:男子選手にも「先行して逃げ切りたい!先行を捲り切りたい!」とライバル心が出てきそうです(笑)。
坂口:はい(笑)。まさに、ライバル心を持っていますし「男子選手に勝てればガールズのトップ選手に勝てる!」と闘争心も出ます。
山口:良い刺激を感じながら練習ができているんですね。
まもなくある松阪のガールズケイリンコレクションですが、坂口選手以外は昨年末のガールズグランプリを走った選手です。他の選手の印象はいかがですか?
坂口:私はガールズグランプリ未経験です。いつもそのメンバーと走る時はどうしても気後れしてしまい、どこかで皆さんの気迫に負けてしまっていました。
でも今回のコレクションが決まったことで「自分も同じくらいまで上がってきたんだ」と自信に思うようにしています。実力を自分自身で認めてあげて「ちゃんと対等に戦えるんだ」と言い聞かせて当日は結果を出したいです。
山口:競輪祭でのグランプリトライアルレースなどのように3日間のビッグレースは経験されていますが、単発レースは初めてです。そこへ向けての気持ちの調整はいかがですか?
坂口:私の場合はメンタルが一番重要だと思っています。力は対等に戦えるくらいはついてきたし、練習量でも負けないくらいたくさんやってきていると自信は付けてきたんですが、後は自分のことをどれだけ信じてベストを尽くせるかです。今はそこを一番に考えて、本番のレースでどれだけ本領を発揮かが勝負ですね。
山口:松阪のバンクは8月に完全優勝をしていますが、イメージはいかがですか?
坂口:いつもバンクの相性などは考えて走っていないので、良し悪しなどは関係ないですね。気後れしないように頑張りたいです。
山口:初めてのコレクションです。どんな走りを見せたいですか?
坂口:普段のレースでは自力でレースを動かすようにしていますが、コレクションでは本来の持ち味である自在性もしっかり発揮して、勝負しにいきたいです。
自分らしい走り、魅力を伝えられるようにしたいです。
山口:今年の目標は何ですか?
坂口:去年は何も考えず走ってガールズグランプリに出られるかもしれないという賞金ランキングでした(補足:最終的に2020年賞金ランキング9位)。今年は去年意識しなかった分、グランプリトライアルレースが終わった時からガールズグランプリ出場を狙っています。狙って出場、できれば賞金ランキングのベスト5を目指しています。
山口:例年通りですと11月のグランプリトライアルレースで2名は出場確定ですから、できればそこまでに賞金5位以内には入っておきたいですよね。
坂口:その通りです。去年はボーダーライン上にいたので逆転されてだめでした。なので、確実にグランプリに出場するには、少しでも上位にいたいです。
今は上位の選手との力の差をわかっています。でも立てた目標は実現が不可能ではないと思うので、目標はベスト5です。
山口:年末を目指すという点では、1月初戦のコレクショントライアルレースは大きいものだったと思います。そちらを走ってどうでしたか?
坂口:実は1月のトライアルレースの直前の練習で怪我をしてしまい、力があまり入らない状態でした。ベストな状態で走れなかったのは悔しいです。
山口:そうでしたか。それではその分も松阪で頑張ってください! では最後にオッズパーク会員の方へ、初めてのコレクションの意気込みをお願いします。
坂口:自分のやれることは全てやってきたつもりです。あとは本番のレースでベストを尽くすのみ。頑張ります。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
2020年11月に日本競輪選手会愛知支部から静岡支部に移籍する事を発表した深谷知広選手(静岡96期) 。移籍後、初めてのビッグレース参加となった全日本選抜競輪(GI)では4日間、圧倒的な存在感で南関東勢の信頼を築く走りを見せました。その深谷選手に全日本選抜競輪の振り返り、これからの目標、次に行われるビッグレース・ウィナーズカップに向けてお話を伺いました。
星野:全日本選抜競輪はお疲れ様でした。静岡支部に所属になってから初めてのGI開催でしたが、いかがでしたか?
深谷:東京オリンピックを目指し、拠点を伊豆に移して活動していましたし、静岡支部に所属になったから、GIだからといった特別な感じはなく、意外とそのままの気持ちで迎えられました。
星野:初日から地元のエース郡司浩平選手(神奈川99期)との連携になりましたね。
深谷:今までは約10年間、中部地区の自力選手として積み上げてきた実績があったので、同じ番組になった選手とも話し合うことなくラインの先頭で戦う選択は出来たのですが、南関東地区では郡司が格上の選手になるので、前を回るか後ろを回るかは、郡司の意見を尊重して決めました。もちろん、自分の気持ちとしては前を回るつもりでいました。
星野:実際に走ってみていかがでしたか?
深谷:初日はスピード感のズレもありました。自分では良いペースだったんですけど、実際は遅くて、後方から仕掛けてきた山崎(山崎賢人選手・長崎111期)に出られてしまいました。でも、その後は郡司のサポートもあって、ワンツーとはなりませんでしたが、お互い3着までに入れたので、しっかり対応出来たと思います。
星野:そして、初日の特別選抜予選で3着までの選手が2日目の優秀競走を走る事になりましたが、ここでも郡司選手との連携で、積極的なレースをしていきました。移籍されてからの深谷選手の走り方を見ていると更に迫力を感じるんですが、ご自身ではいかがですか?
深谷:自分では意識してないんですが、気付かないところで刺激を受けているんだと思います。やっぱり南関東は和田さん(和田健太郎選手・千葉87期)や郡司といったS級S班がいる地区ですし、自然と気持ちも入っていたんだと思います。
星野:そして、準決勝戦は、今お話に出た昨年のチャンピオン・和田選手と連携して、深谷選手は先行で後ろを振り切り、ラインでワンツーも決めましたね。
深谷:初日、2日目と長い距離を踏んだので、それに比べればこの日も先行はしたんですが、距離は短かったので自信を持って道中は走っていました。この1着で久しぶりにGIの決勝戦に進めましたし、準決勝でこの走りが出来たのは良かったと思います。
星野:その久々の決勝戦は深谷選手の後ろに郡司選手、更に3番手に和田選手と、南関東のS級S班二人の先頭で戦うことになりました。
深谷:決勝戦のメンバーも強い選手ばかりでしたし、GIの決勝戦は久しぶりということもあって、スタートは前を取ってから、先行したいと思っていました。でも、別線もそれを分かっているので、スタートは前を取る事が出来ず、後方からの組み立てになりました。対戦相手の清水(清水裕友選手・山口105期)や平原さん(平原康多選手・埼玉87期)はレースの組み立てが上手い選手なので、この時点で自分は早めから先行していかないといけないなと覚悟をして、先頭誘導員が退避する残り2周で仕掛けました。
星野:別ラインの選手からは深谷選手の仕掛けたタイミングが想定外に早かったとの話もありました。
深谷:それ位のタイミングでないと、僕の後ろに飛び付かれては元も子もないので。4日間の中で一番風も強かったですし、オーバーペースで仕掛けたので最後は苦しかったんですが、ラインの後ろ二人がワンツーなので、自分としては最低限の走りは出来たかなと思っています。
星野:南関東の深谷知広選手としてもアピールできた開催だったのではないですか?
深谷:存在感を示したいと思っていたので、それは出来たと思います。
星野:さて、今回は郡司選手と連携された時は深谷選手が前を走っていらっしゃいましたが、今後この並びは逆になる事も考えられますか?
深谷:自分はラインの前で戦いたい気持ちが強いですし、人の後ろを回る覚悟、人に任せる覚悟がないので、今は誰かの後ろを回る事は考えていません。次のGIIウィナーズカップでは若い自力選手が多く参加するので、同じ番組になることがあるかもしれませんが、もしあったとしても、自分はラインの先頭で走りたいと伝えると思います。
星野:そうなんですね。そのウィナーズカップに向けて 深谷選手自身の調整面はいかがですか?
深谷:今はトレーニングのメニューをすべてナショナルチームに任せているので、ウィナーズカップに向けて、何かしていくというのはないですね。自転車も競技のトレーニングの時と競輪では違いますし、現場に行ってから考える感じです。日頃やっていることを競輪にどう繋げるのか、セッティングの差、気持ちの差、ここを開催中に埋めていく感じですね。
星野:やはり、今の目標はパリオリンピックですか?
深谷:はい。まずはパリオリンピックですね。
星野:パリを目指されるということは、東京オリンピック後のチームの中では深谷選手が最年長になると思いますが、その辺りはいかがですか?
深谷:教える立場になってきますので、ある意味、良い刺激を受けそうですね。そして、上手くコーチと選手の間に入って立ち回れるようにしたいです。
星野:さて、忙しい中でもSNSでの発信やメディア出演、獲得した賞金の一部を医療従事者に寄付されたり、本当に幅広く活動されていますが、どんな思いからですか?
深谷:ナショナルチームの活動を初めてから、様々な人と出会うようになって、自分の世界の狭さを感じたんです。そこから、自分に出来る事は何かを考えて、やりたい事をやっている感じです。そして、自分が発信することで、別の誰かが行動するきっかけになればと思います。
星野:これからの深谷選手のビジョンはありますか?
深谷:競輪選手という職業は本当に魅力的です。だからこそ、もっと良い業界にしていきたいという気持ちが強くなってきました。今、競輪界を内側から支えている方はたくさんいますが、外から支えているのは中野浩一さんだけだと思っています。なので、自分も色々な活動の中で、この魅力的な競輪選手という職業を辞めてでもなりたいと思える職業に出会えたら、引退して競輪界を外から支えられる人になりたいと思っています。
星野:そうなんですね。競輪にオリンピック、そして、次のステップに向けて、また色んな場所でその経過を目にする事もあると思いますので、皆さんにも楽しみにして欲しいですね。では、最後にオッズパークの会員の皆様へメッセージをお願いします。
深谷:様々な活動を通じて、競輪界を盛り上げて行こうと思っています。これからも、応援をよろしくお願いします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
55年振りに川崎競輪場で行われた特別競輪・GI全日本選抜競輪。ここで地元のエースとして出場した郡司浩平選手(神奈川99期)が、昨年末に行われたGI競輪祭に続く、2つ目のタイトルを手にしました。早くも気持ちは年末の頂上決戦KEIRINグランプリ。そこに向けて、これからの取り組み、今の心境、そして、全日本選抜競輪の振り返りも伺いました。
星野:全日本選抜競輪優勝おめでとうございます。
郡司:ありがとうございます。
星野:川崎競輪場では、55年振りに行われたGI開催でしたが、いかがでしたか?
郡司:地元バンクで開催される事が決まってから、ずっとここに照準を絞ってやってきたので、準備もしっかり出来たし落ち着いて臨めた開催でした。とにかく悔いのないように走りたいと思っていたので、優勝という最高の結果で終われたのは嬉しかったです。
星野:前回、取材をさせていただいた時に、オリンピック位の気持ちで望みたいとおっしゃっていましたね。
郡司:そうですね。それ位、気合いが入っていました。それだけに、日頃お世話になっている方や応援して下さる方の前で走りたいって気持ちもあったんですが、新型コロナウィルスの影響で無観客開催になり、その点では寂しさもありましたね。でも、その方々が場内にいるつもりで、声援があるつもりで連日走っていたので力になりました。
星野:終わってから、少しゆっくり出来ましたか?
郡司:優勝した直後は完全燃焼、やりきった感で、いつもより多めに休養を取りました。でも、暫くして、グランプリに向けて南関東勢が1人でも多く、権利を獲得するためにも、今の自分の状態をしっかりキープしていかないといけないなと冷静に思うようになり、キリの良い3月1日から仕切り直しで取り組んでいます。決勝戦が2月23日だったので、完全なオフとまではいきませんでしたが、5日程はゆっくり出来ました。
星野:さて、今回は愛知県から静岡県に移籍した深谷知広選手(静岡96期)が南関東地区に所属になってから初めてのGI戦でした。初日から連携されましたが、深谷選手にマークしていかがでしたか?
郡司:そうですね。頼もしいの一言でした。
ナショナルチーム特有の力強さとスピードの上がっていく感覚がすごいなと思ってついていました。勝ち上がりのレースでは初日、2日目が僕との連携で、3日目の準決勝戦は和田さん(和田健太郎選手・千葉87期)の前で良いレースをしていましたし、今後の南関東勢が更に盛り上がってくるなと思います。
星野:そして、決勝戦も深谷選手にマークしての戦いになりましたね。
郡司:深谷さんが先頭で、2番手に僕、後ろに和田さんの3人のラインでした。深谷さんが良いペースで掛けてくれたので他のラインの先頭選手もきつかったんじゃないかなと思っています。僕の力というより深谷さんの力で周りがダメージを受けて、自分に向いたって感じですね。
星野:後ろから別ラインの仕掛けもありましたが、対応はいかがでしたか?
郡司:7番手から清水(清水裕友・山口105期)が仕掛けてきて、その影が見えたので合わせて踏んだつもりが、横を見ると5番手にいた平原さん(平原康多選手・埼玉87期)で、慌ててしまいましたね。そのあと、4コーナーで平原さんと接触した時に、平原さんが車体故障して、自分は1着でゴール線を通過したんですが、審議になるだろうなと思いましたし、優勝の確信はありませんでした。
星野:審議の結果が出た時はいかがでしたか?
郡司:優勝をする為に来た大会だったので、嬉しさというより、ホッとした気持ちの方が直後は強かったと思います。それに、決勝戦も力強い走りをしてくれた深谷さん、3番手を固めてくれた和田さんのお陰で最後まで踏み切る事が出来たので、ラインの力で優勝させてもらったと思います。
星野:この優勝で、年末のグランプリへ1番乗りとなりました。昨年までとは心境も違うのではないですか?
郡司:今まで2回グランプリに出場していますが、こんなに早く出場を決めたのは初めてなので、残りの1年は気持ち的に余裕はありますが、奢らず気を引き締めていこうと思っています。
星野:今回のGIでは深谷選手がラインの先頭で戦っていましたが、今後、並びが逆になることも考えられますか?
郡司:今まで南関東の自力選手としてやってきたので、もちろんその気持ちもあるんですが、そこは深谷さんがどう受け止めるかですね。今回は僕の地元の開催ということもあり、後ろを回らせてもらいましたが、走っていて感じた事は、自分には深谷さんの前をまわる資格がないのではないかという事です。自分がもっとこれから強くなって、深谷さん以上のレースができれば、その時は志願したいですね。
星野:次の特別競輪は若い自力選手も多く参加するGIIウィナーズカップです。今回の南関東ラインのように、別地区も自力で並ぶレースがあると思いますがいかがですか?
郡司:若手が揃うということは、自力選手の後ろに自力選手、更に3番手にも自力選手というラインが出来る可能性もありますね。やっぱり強力なラインになってきますし、その場合、自分が先頭で戦うならどう組み立てるのか。今はここをポイントに色々と考えてやっている所です。そして、気持ち面ではこのまま良い状態でウィナーズカップを迎えたいですね。
星野:なかなか完全にオフを取ることは難しいと思いますが、もし1週間、オフを取って下さいって言われたら何をしたいですか?
郡司:1週間ですか、、、。海外旅行に行きたいなと思いますけど、そんなに長いお休みを取る勇気がないですね(笑)2日位で十分です。長く休んでしまうと、体力面や自転車に対する感覚など鈍ってくるんじゃないかと不安になりそうですから(笑)
星野:では、今後の抱負を含め、オッズパークの会員の皆様にメッセージをお願いします。
郡司:昨年の競輪祭からグランプリも含め、南関東勢は良い流れで来ていると思います。グランプリでは1人でも多くの仲間と走れるように自分自身も更に力を付けて行こうと思っています。そうなれば、グランプリでも自分にチャンスも来ると思いますので。これからも応援をよろしくお願いします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社