2020年7月のいわき平競輪場で開催されたGIIサマーナイトフェスティバルを制してからビッグレースの優勝とは遠ざかっていた清水裕友選手(山口105期)。2020年を振り返ると苦しい時期もあったと言います。だからこそ、3月に松阪競輪場で行われたGIIウィナーズカップの優勝は今までで1番嬉しいものになりました。そのウィナーズカップの振り返り、そして5月に行われるダービーに向けての話も伺いました。
星野:ウィナーズカップ優勝おめでとうございます。
清水:ありがとうございます。
星野:清水選手にとっては久々にビッグレースで優勝となりましたが、いかがでしたか?
清水:昨年は不甲斐ない成績が続いていたので、今までの優勝の中で1番嬉しかったですね。昨年は、自分はもうこのまま終わってしまうのかと思うこともあって、今振り返れば苦しかったです。でも、そこで試行錯誤した結果、新しく始めたトレーニングが成績として出てきたんだと思います。
星野:具体的にどんなトレーニングを始められたんですか?
清水:ウエイトトレーニングですね。今まで取り入れてなかったんですよ。でも、始めてみたら、体の使い方が自転車に乗ったときも意識できるようになって変わってきましたね。
星野:体が引き締まった印象があったんですが、その成果なんですね。
清水:体重は変わってないんですが、最近周りからもシュッとしたね!と、良く言われます。
星野:そして、自分専用の道場も作られたと伺いました。
清水:今までウエイトトレーニングをしようと、ジムに通っていたこともあったんですが、なかなか続かなかったんです。それで、やるしかない環境をまず作らないとダメだと思って作りました。昨年の12月の後半に道場が完成して、今年に入ってからはトレーナーの方についてもらっています。1月の時点で走った感じは、まだヤバイかなと思っていましたが、2月に入ってから自転車の乗り方、体の使い方など意識していた事が、徐々に競輪の成績に繋がってきたかなって感じですね。
星野:そんな中、ウィナーズカップが行われたんですね。レースも振り返っていただきたいのですが、初日は1着スタートでした。
清水:あのレースは細切れ戦で若手の大石(大石剣士選手・静岡109期)と眞杉(眞杉匠選手・栃木113期)の先行争いになるかなと思っていました。実際にそんな展開になったんですが、僕と郡司さん(郡司浩平選手・神奈川99期)が併走になったのは予想外でしたね。まずいなと思いましたが、郡司さんがそこから捲りに行ってくれたので、上手く切り替えて行った感じです。
星野:郡司選手に続いてから、最後は楽に抜け出したように見えましたが、手応えはいかがでしたか?
清水:手応えはありましたね。脚の感じも軽かったし、タイムも良かったので、気持ち良く2日目を迎えられました。
星野:その2日目は位置にこだわるレースでしたね。
清水:単騎の選手がいたので、一人でもいれると厳しくなるなと思って、そこは拘りました。もう一回走っても、あそこは主張したと思います。ただ、単騎のヒデさん(山田英明選手・佐賀89期)と併走になったんですが、ヒデさんがホームで仕掛けたときについていかないとダメでしたね。
星野:他の単騎の選手も山田選手の仕掛けに続く形になって、清水選手は苦しい位置になりましたが、最後は3着まで迫りましたね。
清水:あの日は風が強くて周回中から重たかったんです。だから、僕のデキが良かったというより、他の選手も風で脚力を消耗していたんだと思います。でも、自分の走った感じからは最終日まで勝負できるなという感覚はありました。
星野:そして、3日目の準決勝戦は中四国地区は3人いて、門田凌選手(愛媛111期)が先頭、2番手に松浦悠士選手(広島98期)、そして清水選手はライン3番手の競走でしたね。
清水:準決勝は、3番手の仕事に徹しようと思って走っていました。もし3番手の自分が内を空けてしまって別のラインに来られたら、前に迷惑を掛けるので脚を使ってでも役割を果たそうと。結果、番手から松浦さんが捲る展開で松浦さんとワンツーが決まり、門田の頑張りも無駄にならなくて良かったと思います。
星野:そして、決勝戦は松浦選手との連携でした。清水選手は松浦選手にマークする競走でしたが、振り返っていかがですか?
清水:何がなんでも優勝したいってのがあって、最後は松浦さんを残す余裕はなかったですね。松浦さんからもそんな展開になったら、優勝を狙ってくれと言われていたので、遠慮なく行かせてもらいました。
星野:そう言える松浦選手に、しっかり応えられる清水選手。ラインの信頼関係ですね。
清水:そうですね。お互いを信頼してるから、お互いがしっかり走れてるというのはありますね。ただ、僕が前を走る時は松浦さんに迷惑を掛けることがあるので、そこは課題だなと思って走っています。
星野:松浦選手とは終わってから話されましたか?
清水:おめでとうって言ってくれて、自分の事のように喜んでくれました。調子が悪かった頃もずっと気に掛けていてくれていましたし、素直に嬉しかったですね。
星野:中国地区のゴールデンコンビ復活ですね。
清水:そうですね。欲を言えば、僕が先頭で押しきるレースがしたいんですよね。でも、松浦さんは強いので、抜かれても仕方ないなとも思って走っています。これは、お互いに言えることなんですが、お互いがお互いを振りきりたいと。でも、抜かれても良いと思いながら連携している。この信頼しあえている関係が、自分達にとってプラスになってるんだと思います。
星野:つぎに行われるGIは日本選手権競輪、通称ダービーと呼ばれていますが、清水選手が1番獲りたいタイトルだと伺いました。
清水:そうなんです。6日制ですし、選手も1番多く参加するGIです。そのダービーならではの雰囲気が好きなんですよね。それに、2年前は準優勝だったので、いつか獲ってやろうと思っています。
星野:松浦選手を振り切って!
清水:そうなると良いですね。
星野:では、ダービーもたくさんの方が清水選手を応援されています。最後にオッズパークの会員の皆様にメッセージをお願いします。
清水:ウィナーズカップの応援ありがとうございました。この優勝に満足することなく、GI優勝に向けてがんばりますので、変わらず応援をよろしくお願いします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社