地元で10年振りに行われたビッグレース「第37回共同通信社杯GII」でタイトルを獲得し最速GII優勝記録を更新した山口拳矢選手(岐阜117期)にお話を伺いました。
大津:共同通信社杯優勝おめでとうございます。
山口:ありがとうございます。
大津:優勝したお気持ちはいかがですか。
山口:地元で結果を残せたので凄く嬉しいです。
大津:GII制覇の最速記録を大幅に塗り替えましたね。
山口:個人的にはあまり最速記録というのは意識はしてなかったです。それよりも地元でタイトルを獲れたってほうが感慨深いです。
大津:地元戦でプレッシャーもあったのではないですか。
山口:大会前とかは周りの人が思っているほどプレッシャーは感じていませんでした。ただ、勝ち上がるにつれて自分の中でプレッシャーが重くのしかかってきました。
大津:今大会はどのような思いでのぞまれたのでしょうか。
山口:そこも特に気負うことなく他のレースと同じ感じで入りました。
大津:立川から共同通信社杯まで少し日にちが空きましたが、調整面などはいかがでしたか。
山口:立川からフレームを新しくしたので、そのフレームを共同通信社杯でも使うかどうかというのを悩んでいました。その中で師匠にセッティングをみてもらってだいぶ良くなったので使うことにしました。実践で使って、もしダメだったら変えようかなと。
大津:今大会は自動番組が組まれました。初日は積極的にいく場面もありましたが振り返ってはいかがでしたか。
山口:想定内の動きでした。詰まったところで仕掛けられたので、結果は4着でしたが悪くはないなと思いました。
大津:2日目は芦澤辰弘選手(茨城95期)の先行をバンクレコードタイの10秒7の快速捲りで捉えました。
山口:芦澤さんのコメントがすごくヤル気だったので駆けていくだろうと考えてました。なので自分は焦らずに仕掛けていこうと冷静にレースの流れを見ていました。2日目が風がなくて一番走りやすかったです。踏み込んだ時点でいけるという感触がありました。
大津:準決勝戦は吉田選手(吉田拓也選手・茨城107期)、新山選手(新山響平選手・青森107期)、嘉永選手(嘉永泰斗選手・熊本113期)との細切れ戦となりましたが、どのような作戦を立てていましたか。
山口:新山さんと嘉永くんが主導権争いをするかなと思ったので、そういう時に自分がどの位置にいるかなってところだったんですけど、スタートから並びが想定外っていうのがあって瞬時に動けませんでした。結果的に前が仕掛けてくれたので最終的に自分が届いたのですが、動かなければならないところで動けなかったのが悔しかったです。
大津:ここまでお話を伺っていると山口選手はかなり綿密に作戦を練ってのぞむような印象を受けます。
山口:メンバーを見て直ぐにシミュレーションはします。前の日からけっこう何パターンか作戦は考えますね。
大津:シリーズを走っていく中で脚の感じはいかがでしたか。
山口:日に日に良くなってました。こういった感覚っていうのは自分の中で今までになかったのですが、決勝戦にピークは持ってこれたなという自信はありました。
大津:かなり良い状態で決勝戦を迎えられたのですね。
山口:そうですね、アップした段階で四日間の中で一番動くなって感覚はありました。
大津:これまでもサマーナイトやオールスターと大舞台を経験されましたが、その経験が今開催に活きた部分はありましたか。
山口:準決勝戦で負けてはしまったのですが、オールスターでは様々なパターンで前々に動けて、ある程度は通用したかなと思ったので、そこで得た自信は大きな経験として活きたと思います。
大津:決勝戦の顔ぶれを見た時はどんな印象を受けましたか。
山口:強い人がみんな勝ち上がってきましたし、特に北日本は新田さん(新田祐大選手・福島90期)が番手ということだったので、正直そこを打ち崩すイメージというのはなかなか湧かなかったですね。
大津:その中でどんな作戦でのぞまれたのでしょうか。
山口:裕友さん(清水裕友選手・山口105期)や平原さん(平原康多選手・埼玉87期)含め位置取りがシビアな人ばかりで簡単に良い位置を回らせてもらえないなって思ったので、行けるところからしっかり動いてって考えてました。地元から唯一勝ち上がって何も出来ずに終わるのだけは避けたかったです。
大津:実際にスタートしてからのレース展開はどうでしたか。
山口:郡司選手(郡司浩平選手・神奈川99期)が前受けというスタートから自分の中で想定していた展開と違ったので、レースの流れで前々に攻めようと思いました。
大津:勝負どころの立ち回りはいかがでしたか。
山口:自分の中では誰かが仕掛けて、新山さんの番手から新田さんが出たところを仕掛けたほうが届きやすいかなって思ってたんですが、2コーナーで詰まったので想像よりも早く自分の出番が来たなと思い縦に踏みました。捲りに行った瞬間に2日目の捲りよりも感触が良かったので新田さんの横まではいけるかなって思いましたね。
大津:並びかけた時に新田選手が併せる動きもありました。
山口:新田さんがギリギリまで引き付けて出ていったのでもがき合いみたいになったのですが、そういう動きは練習でもしていたので、横並びになった時には4コーナーから外が伸びるっていうのは分かっていたので、この感じだったら下りで前に出れるなって思ってました。
大津:最後の直線はどうでしたか。
山口:もう早くゴール線来てくれーって感じです。今までにないくらいフォームがぐちゃぐちゃになってました(苦笑)目の前にGIIのタイトルがあるわけですから、力の限り踏まなきゃって感じでした。
大津:ゴールの瞬間は覚えてますか。
山口:自分のスピードも鈍っていたので外側から絶対誰か来ると思ったので、まさか自分が一着でゴール出来るとは、一瞬半信半疑な部分がありました。ただ、ゴールした後には自分が一着っていうのは分かりましたし、敢闘門ではたくさんの中部の方々が拍手で出迎えてくれたんで本当に嬉しかったですね。胸の中で昂るものがありました。
大津:ルーキーチャンピオンも地元でしたし、地元で最高の結果を残してますね。
山口:自分の地元で僕が出場出来るルーキーチャンピオンっていうのもなかなかないことですし、ビッグレースが岐阜で行われるのも10年振りで、次に大きい大会が地元で行われるのがいつになるか分からない中で結果を残せたのは本当に嬉しかったです。
大津:優勝インタビューではお父様の山口幸二さん(62期引退)からのインタビュアーを務められました。より感慨深いものもあったんじゃないんですか。
山口:いやぁ、もうお父さんにインタビューをされるのも3回目だったので正直もう慣れちゃいました。
大津:帰ってからは山口幸二さんとは父と子としての言葉は交わされたんですか。
山口:その日は会えなかったので話すことはなかったんですが、その2日後に家族でご飯に行った時に会話はしました。
大津:優勝インタビューの中で、この優勝はご家族に伝えたいというお言葉もありましたが、ご家族の反応はいかがでした。
山口:珍しく弟からもLINEが来てたので嬉しかったです。弟は競輪は全く知らないんですが、他のレースとは全く違うっていうのは分かってくれてたのかなぁって思いました。
大津:他の友人たちからの反響も凄かったんじゃないですか。
山口:新聞にも取り上げてもらったので、普段競輪を見ない友人たちからも連絡をもらいました。
大津:同期の反応はありましたか。
山口:同期だけのグループLINEがあるんですが、その中でも色んな同期から「おめでとう」って声をかけてもらいました。嬉しかったです。
大津:ロールスロイスの購入が話題になりましたが、優勝して何かご褒美は買いましたか。
山口:時計を買いました。金額は聞かないでください(笑)
大津:デビューして、一年足らずでGII制覇という結果をどのように受け止められていますか。
山口:この先はそれ以上の結果しか求められないということになるんですが、その期待を糧にして自分の中では高みを目指していきたいですね。
大津:共同通信社杯が終わって松戸FIを走りましたが、自身の中でタイトルを獲る前と獲った後で変化はありましたか。
山口:正直自分の中ではなかったのですが、周りからはGIIを獲った選手という目で見られるので、そういった部分では周囲の変化を感じました。自意識過剰かもしれないんですが、アップしている時とかも見られているのかなぁなんて思ってました。
大津:今回の優勝でグランプリ出場も視野に入ってきましたが意識はありますか。
山口:現在8位に入りましたが、まだまだ安心できる位置ではないので一戦一戦目の前のレースを大切に戦っていきたいです。
大津:これからのレースでご自分の中で強化していきたい部分はありますか。
山口:力でねじ伏せる競走が少ないので、そういう競走をしていきたい思いもあります。 レース展開を上手く読み解き、どう動くべきか判断するというのが僕の持ち味でもあるんですが、他の選手が力でねじ伏せていく競走を見た時に、あの人強いなって自分も感じるので。
大津:今後の目標を教えてください。
山口:GIの決勝に乗ることです。
大津:最後にオッズパークの読者の皆様にメッセージをお願いします。
山口:まだGIIを獲っただけなので、今後はGIやGPの舞台で活躍できるよう頑張ります。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
8月にいわき平競輪場で行われたオールスター競輪でのガールズドリームレースを優勝したのは、児玉碧衣選手(福岡108期)でした。ガールズケイリン総選挙では5年連続でファン投票1位に選出され期待に応えました。
直前のガールズケイリンフェスティバルでは決勝に進むことができず、調子も心配される中、強いレースを見せた児玉選手に振り返りや気持ちの変化などをお伺いしました。
山口:ガールズドリームレース、優勝おめでとうございました。
児玉:ありがとうございました。
山口:7月のガールズケイリンフェスティバル(函館)では苦戦されましたが、ご自身ではどう振り返っていますか?
児玉:函館の時は、実は目標を失っていて「何のために走ったらいいんだろう」と迷いがある中で参加しました。デビューしてからずっと決勝にのれていたんですが、その記録も途切れてしまい、3日間1着がとれないのも初めてでした。
その大敗で「私、やっぱりトップで走っていたいんだ」と気づけたんです。ガールズケイリンフェスティバルの成績だけを見ると残念な結果だったんですが、気持ちは「またもう一度頑張ろう」と前向きに思えたので、自分の気持ちとしては悪いことばかりではない開催でした。
また開催が終わってSNSを開いた時に、「1着も取れなかったし批判も多いんだろうな、それは見たくないな」と思って覚悟していたんですが、励ましのメッセージがとても多かったんです。「そういう時もあるよ」や「次は頑張ってね」など本当にたくさんの励ましをいただきました。
それで「頑張らなきゃな」と更に前向きになれました。
山口:そこからガールズドリームレースへ向けてはどうされたんですか?
児玉:ガールズドリームレースへ向けては、次は負けたくないという気持ちもありましたし、無我夢中で毎日練習をしていました。今までは「勝たなきゃいけない」という気持ちがあり自分を追い込んでいたんですが、それを一度捨てました。「楽しんで走ろう」と切り替えたんです。そのおかげで緊張も普段よりしませんでしたし、終わってみても「楽しく走れたな」と思いました。
山口:うまく切り替えられたんですね。
児玉:はい。あと、大きな気付きもありました。ガールズケイリンフェスティバルの初日は妹弟子の尾方真生(福岡118期)と走ったんですが、私はいつも真生にアドバイスをしている立場です。練習も一緒にしているので、誰よりも彼女の強さを知っているし肌で感じています。
いざレースで『姉弟子』と『妹弟子』の立場で走るとなると「姉弟子として負けられない」と凄くプレッシャーを感じ、口から心臓が飛び出るくらい緊張をしました。
ガールズドリームレースは逆に、自分が小林優香さん(福岡106期)の妹弟子という立場で、「勝たなきゃいけない」という気持ちよりも、チャレンジャーとして姉弟子の優香さんの胸を借りるつもりで走れました。
そこで、妹弟子として走るときの気持ち、逆に姉弟子として走るときの気持ちを比べたときに、圧倒的に『姉弟子』として走るときのメンタルが弱いと気付きました。その部分はもっと強化をしていかなければいけないですね。
山口:ガールズドリームレースの共同会見の現場に私もいたのですが、「女王だけどチャレンジャーとして」という言葉を仰ったときに、また新たな気持ちで臨んでいるんだなと感じました。
児玉:はい、そんな気持ちでしたね。
山口:ガールズケイリンフェスティバルから静岡へ追加参加されそこでは完全優勝されましたが、その優勝というのは自信を取り戻すきっかけになったんでしょうか?
児玉:気持ちを立て直すという部分でも脚力を再確認する意味でも、走って良かったなと思いました。
山口:そうでしたか。今年のガールズドリームレースも、ガールズケイリン総選挙1位、しかも5年連続での選出でしたが、いかがでしたか?
児玉:毎年毎年、今年も1位になるなんて思わなかったと言っていますが、今年もそうですね。とてもびっくりしました。特にファン投票期間中の5月京王閣でのガールズケイリンコレクションでは優勝できていないんです。負けたとしてもこんなにたくさんの方が私を評価してくれているんだなと思いました。
ドリームレースに関しては昨年、一昨年と2年連続でゴール前抜かれて2着だったんですが、今年は初めてビッグレースを優勝したいわき平でのドリームレースだったので、優勝できたことで私に投票してくれた方に恩返しができたと思います。
山口:初めてのタイトルの時は笑顔の優勝インタビューでしたが、今回は涙もありました。3年間でたくさんの変化があったんですね。
児玉:そうですね。最初にガールズケイリンフェスティバルが終わるくらいまではずっと悩んでいたという話をしたんですが、実は師匠にも泣いて相談するくらいだったんです。モチベーションの持っていき方がコントロールできずに「どう頑張っていいかわからない、目標もないのに練習をしたくない。トップでいたいと思わない」と泣いていました。でも師匠は「でもやるしかないやろ」と励ましてくれます。
私の中では「やるしかない」のひとことではまとめられないくらいの葛藤があったし、自分自身でも追いつめていたんでしょうね。そのメンタルのまま参加した函館で1勝もできず、決勝も上がれなかったことで「トップで走っていたい」と気付いたんだと思います。変化はたくさんありましたね。
山口:気分が沈んでしまった要因は思い当たるところはありますか?
児玉:オッズパーク杯ガールズグランプリを3連覇してやりきった、という気持ちが大きかったのかもしれません。前人未踏と言われ「この成績を残せたし、もう良いんじゃないかな」と思ってしまったんでしょうね。
山口:そうだったんですね。でもまた新たな気持ちで前へ進めそうですね。以前もモチベーションが保てなかった時期があったと伺いましたが、そこからも復活してきましたしね。
児玉:そうですね。ガールズケイリンを始めて、初のタイトルが3年前いわき平でのガールズドリームレースでした。そのレースが自分にとっての1つめのターニングポイントで「自信を持って走れば勝てる」と気付けたレースでした。
そこからグランプリを3連覇してからは悩んでしまって、2つめのターニングポイントはガールズケイリンフェスティバルで「やっぱりトップで走っていたい、強いままでいたいな」と気付けました。
私は表向きには「お金が大好き、お金が欲しい」と言っています。それはもちろん本心です。でもフェスティバルで思った「トップで走りたい」という気持ちは、お金だけじゃない選手としてのプライドを自分に感じました。「私、こんな気持ちも持っていたんだ」と新しい自分に気付いたんです。それに気付けたからドリームレースも凄く頑張れたんだと思いました。
山口:尾方選手は特にいつも一緒に練習している存在だからこそ、一緒に走る時にプレッシャーに感じるんでしょうか?
児玉:真生はたくさん練習するんです。私は逆であまり練習量は多くありません。ガールズケイリンフェスティバルまではそのことを特に気にせずに「練習したければすれば良いよね」と思っていました。
でもフェスティバル後は「強い選手はやっぱりたくさん練習するんだな。真生も練習しているんだから自分もしないといけない」と、特別にメニューを増やした訳ではないですが、毎日しっかり練習をしていました。
山口:ドリームレースは姉弟子の小林優香選手がピッタリ後ろをマークしていましたが、その状況よりも妹弟子の尾方選手との対戦がプレッシャーに感じたんですか?
児玉:勝手に私だけが思っていることかもれしませんが、妹弟子が姉弟子に負けても「まだ姉弟子には適わないよね」と思われるのに対して、妹弟子が勝った場合だと「やった!姉弟子に勝てた!」とか周囲の感じ方が違うと思うので、私は妹弟子と走る方が緊張するし、プレッシャーを感じるし、プライドも持って走っています。その他いろんな重圧がかかっているんでしょうね。
ドリームレースは逆にその重圧を優香さんが全部背負ってくれていたので、私は緊張せずにのびのびと走れたんだと思います。
私は真生と一緒に走って、『姉弟子として走る重圧』がどんなに大変か気付けました。その直後にドリームレースで優香さんと走れたから「今まで優香さんは私と一緒に走る時にこんな気持ちで走っていたんだ」とも思えました。勝手に私がそう感じているだけかもしれませんけどね。そう思ったら、「やっぱり優香さんは凄いんだな」と実感しました。
山口:その新たな気付きを経て今後、尾方選手とは何度も対戦もあるかと思いますがいかがでしょうか。
児玉:プレッシャーを感じないように、というのは無理だと思います。でも緊張やプレッシャーをプラスに考えて、これからはポジティブな気持ちで臨みたいです。姉弟子として走る時のメンタル強化をしていかなければいけませんね。
山口:貴重なお話を伺えました。では今後について質問させてください。 今年のガールズグランプリは、ご自身の初めてのグランプリ優勝のバンク、静岡で行われますがいかがでしょうか?
児玉:初めてグランプリをとったバンクなので、今年も優勝したいと思います。まだ少し時間はあるし、遠すぎる目標を立てても自分の気持ちがどうなるかわからないので、まず目の前のレースを一走一走走り切り、それが4連覇に繋がるようにしたいですね。
山口:現在の賞金ランキングは2位ですが、それは気にならないですか?
児玉:はい、特には気にしていません。最終的なランキングが勝負なので。
山口:今後への強化ポイントは、先ほど仰っていたように気持ち面が大きいですか?
児玉:そうですね。メンタルを強化していきたいです。
山口:話が変わりますが、先日は地上波の番組に出演されていましたが、反響はいかがでしたか?
児玉:SNSのフォロワー数がすごく増えました。メッセージにも「ガールズケイリンは知らなかったけど、ファンになりました」や「男子の競輪があるのは知っていたけど女子があるのは知らなかったので、これから応援します」など、今まで知らなかった方からの反応が多くて「私がこうやってガールズケイリンを盛り上げられるのは良いな」と思いました。なのでもっと番組などでガールズケイリンをPRできるようになれれば良いですね。
山口:ぜひPRしていってください。 それでは今後への意気込みを、オッズパーク会員の皆様へお願いします。
児玉:自分がどんな結果を出しても変わらずに応援してくださるファンの方がいることは、SNSのコメントなどですごく伝わってきます。そのファンの方を裏切らないように一走一走目の前のレースを集中して走って、それがガールズグランプリ4連覇に繋がるように一生懸命頑張りたいです。ぜひ今後も応援してください。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
いわき平競輪場で行われた第64回オールスター競輪で自身初となるGIタイトルを獲得された大阪の古性優作選手(大阪100期)に喜びの声を伺いました。
大津:オールスター競輪優勝おめでとうございます。
古性:ありがとうございます。
大津:オールスター競輪から10日が経ちました。優勝直後は夢みたいで実感がないということでしたが、今はいかがですか。
古性:そうですね、実感が沸いてきました。
大津:周りからの反響はいかがでしたか。
古性:たくさんの方々からLINEや連絡をいただいて凄く嬉しいです。
練習仲間たちからも「おめでとう」と声をかけてもらいましたし、家族のみんなも本当に喜んでくれました。
大津:ご家族やご自身へ優勝のご褒美で何か買ったものなどはありますか。
古性:自分には脱毛器を買いました。
大津:脱毛器ですか。
古性:医療脱毛に通っていたんですが、その治療が終わってしまって脚を見たらところどころ毛が生えていたので欲しいなと思い、足の脱毛器を買いました。
大津:今開催では脇本雄太選手(福井94期)との斡旋になりました。
古性:脇本さんがオリンピック終わってすぐなんですけど、オールスターに参戦してくれて精神力の強さも感じましたし、なんですかね、言葉が出てこないんですけど、凄すぎて同じ人間かと思いました。
大津:選手からしてもオリンピックから中0日でGIに挑むというのは考えづらいものですか。
古性:5年かけて走って直ぐですから、自分に置き換えると考えられないですね。
大津:脇本選手が参加することになって近畿勢のモチベーションはいかがでしたか。
古性:脇本さんがいることで近畿の層が厚くなると思うので、凄く活気はあったと思います。
大津:古性さんは常々インタビューの中で、脇本さんのお名前を出されていますが脇本さんの後ろを回るというのを強く意識したのは、どのあたりからですか。
古性:3年前のオールスターの決勝戦です。
脇本さんに千切れてしまい、脇本さんや村上さん(村上義弘選手・京都73期)に迷惑をかけてしまったのでその辺りからです。
大津:お話を聞いていると脇本選手の存在というのは本当に大きいんですね。
古性:フォームやペダリング、自転車の進ませ方っていうのが普通の人とは違うので、それをどれだけ自分が吸収するかということが大事だと感じています。
大津:ここ数年、ご自身も常に賞金ランキング上位での活躍が光っておりますが、自分の中で力が付いてきたと感じたのは、どのあたりからですか。
古性:周りからはここ数年レースを走る中で惜しかったとか、もう少しで獲れると言われることもあったんですが走ってる僕からすれば上位とは凄い差を感じていて、自分にはまだまだGPは相応しくないなと思っていたんですが、今年の二月に斡旋が止まって、その時に試行錯誤したことが復帰してから結果としてついてきたので、今年は狙えるんじゃないかって感覚はありました。
大津:今回のオールスターはオリオン賞からのスタートとなりました。
古性:自分が今までやってきたレースというのがファンの方に伝わって、自分みたいな選手でもファン投票で選んでもらえて本当に嬉しかったです。
大津:そのオリオン賞は寺崎浩平選手(福井117期)、古性選手、村上義弘選手での並びになりました。
古性:寺崎君が本当に強くて、村上さんにも番手を回らせていただいたんですが、寺崎君の凄く強い気持ちも番手で伝わってきましたし、後ろからは村上さんの安心感も伝わってきててレースを走ってて楽しかったっていうのが素直な感想です。
大津:2走目は南潤選手(和歌山111期)が積極的なレースを見せてくれました。
古性:本当に心強い後輩です。今は少し南も調子を落としていますが、今後絶対に近畿の要になる選手ですから。その潤の気持ちが凄い伝わってくるレースでした。発走前には博幸さん(村上博幸選手・京都86期)にも色々とアドバイスももらいました。結果的には自分の判断ミスで一着には来れなかったんですが、潤の気持ちを感じたレースでした。
大津:「気持ち」という言葉を多く使われていますが、この2走で前を任せた寺崎選手と南選手の走りというのが古性選手にとっても大きかったのですね。
古性:そうですね、前の二人の思いが嬉しかったですし、この2人とのレースがなかったら僕は優勝出来てなかったと思います。僕にとって2走ともとても大切なレースになりました。
大津:シャイニングスターでは自身が村上義弘選手を連れてのレースになりました。
古性:村上さんが付いてくれたので、とにかく自分の力を100%出し切ることを考えてレースにのぞみました。
大津:勝負所では深谷知広選手(静岡96期)の4番手を確保して、そこから仕掛けていきました。
古性:平原康多さん(埼玉87期)を出させてしまったのが反省点です。平原さんも全然隙がない選手ですのでしんどかったです。
大津:レース後に村上義弘選手が「古性選手が超一流の選手に育ったというのを感じた」と仰っていました。
古性:自分としてはまだまだだと感じています。村上さんと同じ走りは出来ませんが、僕は村上さんの背中を見て育ってきたので、尊敬している先輩にそのように言ってもらって嬉しいです。
大津:準決勝では古性選手らしい俊敏な動きが随所に見られました。
古性:正直予想外なレースでした。ナショナルチームの二人が相手で自分が圧倒的にスピードがないのが分かっているので、後方になったら勝負にならないと思ったので、ジャンで松井君(松井宏佑選手・神奈川113期)が見えて、さらに新田さん(新田祐大選手・福島90期)が見えた時に、これ以上引かれへんという判断で捌くような走りになりました。
大津:最後の2センター付近で再度タテに踏む場面もありました。
古性:理想は2コーナーや1センターで勝負に行きたかったんですが、ジャンでけっこう脚を使ってしまい仕掛けられず竜生さん(三谷竜生選手・奈良101期)と博幸さんには迷惑をかけてしまいました。
大津:決勝進出を決めた時のお気持ちはいかがでしたか。
古性:竜生さんと博幸さんを連れ込めなかったので全然喜べませんでした。
大津:準決勝の最終レースでは脇本選手の登場でしたが、どんな思いでレースを観てましたか。
古性:もう観客と同じ目線です。どんなレースするんだろうって観てました。
大津:最後は苦しい位置から一気に飛んできましたね。
古性:もうバケモンですよね(笑)
大津:その脇本選手と決勝戦で連携が決まったお気持ちはどうでしたか。
古性:まずはしっかり付いていこうと思いました。
大津:大阪の先輩の稲川翔選手(大阪90期)が2走目で脇本選手をマークしていましたが、稲川さんと脇本さんのことは話をしたりしましたか。
古性:いえ、そういったことは全く話しませんでした。
大津:決勝戦は5走目となりましたが疲れはありましたか。
古性:今シリーズは2走目までは後輩選手が前で頑張ってくれていたので、楽にではないですが体力を温存して勝ち上がれたので昨年の競輪祭のような疲れはなかったですね。
大津:近畿2車での結束で、どのような作戦でのぞみましたか。
古性:脇本さんに任せてたので作戦は全くなかったです。初手もどこにいくのか分からなかったですね。後ろ攻めも脇本さんの判断です。
大津:レースは古性さんの差し目が一番人気になってましたね。
古性:マジでって感じでしたね。普段もオッズは見るのですが、GI決勝での一番人気ですから緊張しすぎてマジかよって思いました。
大津:決勝戦は振り返っていかがですか。
古性:脇本さんのスキが全くなかったですね。踏み出しも強烈ですし、スピードも強力でした。後ろには平原さんがいて、後は捲る新田さんだったんですが、その辺りは想定内でした。
大津:最後のゴール前はいかがでしたか。
古性:影で見えなかったので自分が勝った感覚はなかったのですが、1コーナーくらいで獲ったかなって感覚にはなりましたね。
大津:バックストレッチ付近では脇本さんと言葉を交わしていたようにも見えたのですが。
古性:どんな言葉を交わしたか全く覚えてないんですよね。 ほんまに訳わかんなくて、多分「ありがとうございます。」みたいなことは言ったとは思うんですが。
大津:昨年のオールスターの時に脇本選手の後ろを回ることだけを考えて毎日過ごしていると仰ってましたが、実を結びましたね。
古性:その感覚は去年でなくなっていたんです。
自分が脇本さんの後ろを回らせてもらって差すというトレーニングをしている時期に、松浦君(松浦悠士選手・広島98期)や清水君(清水裕友選手・山口105期)は脇本さんを自力で倒すことをイメージして練習してたと思うんです。そういう気持ちの甘えが自分と松浦君たちとの差に繋がっていたんじゃないのかと。
もし脇本さんと別線で戦うことになった時に、脇本さんを倒せるくらいの自力があれば
連携した時にもっと良い連携が出来るんじゃないかという意識になり、そこから僕自身を変わってきた実感があります。
大津:いま各選手から古性さんは「日本一の捌き巧者」「レースの流れを読むのが上手い選手」という評価をされていますが、ご自身ではどのように受け止めていますか。
古性:うーん、純粋に嬉しいです。流れを読むのは、全体を俯瞰で見ることですかね。客観的に見て自分が負けるようなレースはしないでおこうって心掛けています。
大津:デビュー10年目で掴んだ初タイトルとなりましたが、この10年を振り返ってはいかがですか。
古性:あっという間でした。最初の2年から3年は長く感じたんですが、GIに出てからは一瞬で時が経ちました。刺激があり過ぎてダラダラ過ごす暇がなかったので本当にあっという間に10年になりました。
大津:GIチャンプとして今後に向けてはどんなレースを見せていきたいですか。
古性:今まで近畿の先輩や後輩に信頼してもらえるように走ってきたのはこれからも変わらないですが、しっかりと走っていきたいと思います。
大津:最後にオッズパークの読者の皆様にメッセージをお願いします。
古性:ファンの皆さんのおかげで自分には相応しくないオリオン賞という舞台からスタートすることが出来て、そこから決勝に辿り着けたのだと思います。ファンの皆様に投票してもらえなかったら自分はそこを走れなかったので凄く嬉しかったです。また一生懸命頑張りますので、これからも応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
7月に行われたサマーナイトフェスティバルで通算5度目のビッグ制覇を成し遂げた松浦悠士選手(広島98期)。競輪王・ダービー王に続いて夜王の称号も手に入れました。残すは賞金王の称号。そこに向けて。そして、サマーナイトフェスティバルの振り返りも伺いました。
星野:サマーナイトフェスティバル、優勝おめでとうございます。
松浦:ありがとうございます。
星野:4月の武雄記念競輪からGI日本選手権競輪(通称ダービー)、函館記念競輪、全プロ記念競輪と怒涛の4場所連続優勝され、その後、少し思うような結果が出ない開催もあったかと思いますが、シリーズを迎えるに当たっての状態や心境はいかがでしたか?
松浦:6月の別府記念競輪(決勝9着)やGI高松宮記念杯競輪(決勝8着)の感じならどうかなって思いもあったんですが、その後の小松島記念競輪で、決勝戦に勝ち上がれなかったのですが、不調の解決の糸口が見つかったので、特にサマーナイトフェスティバルを迎えるに当たって調子に関して不安はなかったですね。
星野:松浦選手の書いているコラムを拝見したのですが、「脳が疲れていた」と表現されていましたが・・・
松浦:そうですね。今年の前半戦はノンストップで走ってきて、頭もフル回転させている状態だったのか、レースの中での感覚もおかしくなっていましたね。レースの感覚が鈍ると、レース中の迷いに繋がります。その頭と体がかけ離れている状態が小松島記念まで続いていました。ただ、そこで糸口を見つけられた事がサマーナイトフェスティバルの結果に繋がったんだと思います。
星野:では、そのサマーナイトフェスティバルを振り返っていただきたいのですが、初日は清水裕友選手(山口105期)選手との連携でした。松井宏佑選手(神奈川113期)が主導権を取っていき、3番手に単騎の古性優作選手(大阪100期)4番手に清水選手という展開でした。古性選手が3番手から踏んで内を突いた清水選手が詰まる展開になりましたが、後ろでどのように見ていましたか?
松浦:内にささったのが見えたので、なんとか抜け切ってくれと思いながら、自分は一気に行かず、じわじわと踏みました。踏んでからは、僕の仕掛けに付いてきてくれー!とも思ったんですが、裕友も立て直すまでに少し時間がかかったみたいでした。僕自身は直線は余裕もありましたね。ウォーミングアップの時は暑さでしんどかったんですが、レースはいい感じでした。
星野:そして、2日目は太田竜馬選手(徳島109期)との連携でした。
松浦:最近の太田のレースを見ていると黒沢くん(黒沢征治選手・埼玉113期)は叩けると思っていたんですが、すかさず切って切ってになり、打鐘の4コーナーから太田がペースに入れる事なく目一杯行ったので、距離も長いかなと思って、後ろでどうやって太田を残そうかと考えていました。最後は慎太郎さん(佐藤慎太郎選手・福島78期)が内から来たので、前に踏まないといけなくなりました。1着になった古性が失格になったので、繰り上がりでの1着になりましたが、ビッグレースでの連勝は久しぶりだったので自分の状態は良いのかなと思っていました。
星野:そして、決勝戦、再び清水選手との連携でした。どんなイメージで望まれたんですか?
松浦:裕友はスタートで後ろになったら一旦前に立ってから考えると言っていました。その通り、前に立つと岩本(岩本俊介選手・千葉94期)が叩きに来て3番手をキープ出来ました。あまりにもすんなりすぎて、裕友も僕もそわそわしていました。
星野:そして、3番手から清水選手が踏んで行きました。あの辺りはいかがでしたか?
松浦:今回の裕友のデキだと行けるなって感じがしていたんですが、慎太郎さんのブロックを避けすぎたのが、影響を受けて止まったなって感じがありましたね。でも、もう一度加速したので、難しい判断でしたが、ラインの3番手4番手を固めている選手の事もありますし、最後はしっかり外を踏みました。結果、僕は優勝出来たんですが、ラインで決める事が出来なかったので、もう少しラインのために何かやれることはあったのかなと思っています。優勝できたからOKではなく、完璧なレースをこれからも求めて行かないといけないなと思いました。
星野:この優勝でダービーに続き、今年2度目のビッグレースでの優勝となりました。
しかも自身初のビッグレース完全優勝でした。
松浦:3日間、番手の競走だったので、裕友と太田には感謝ですね。ビッグレースの3日間開催は特殊ですし、良いメンバーの中、優勝出来たのは嬉しいです。
星野:思うような結果が出なかった時からどのように立て直されたのですか?
松浦:そうですね。裕友も相談に乗ってくれましたし、師匠(脇田良雄・広島66期)ともしっかり練習して相談しながらやってきました。自分だけじゃなく、周りから力をもらいましたね。
星野:次のオールスター競輪まで松浦選手にとっては久しぶりに20日程、期間が空きますね。
松浦:斡旋の関係でサマーナイトフェスティバルまでレースが詰まっていたので、僕の中ではオールスター競輪からが後半戦だと思っています。オールスター競輪は昨年も優勝したので「連覇」も注目されるでしょうけど、「力を入れて連覇!」ではなく、久しぶりに間隔も空くので、休養入れながら、リフレッシュして望めるように練習内容も少し変えました。
星野:具体的にどんなメニューに変えられたのですか?
松浦:大きく変えた訳ではないんですが、裕友が競輪の自転車のセッティングが出ていれば、なるべくカーボンフレームで練習して自分の持っているスピードを最大限に出していた方が質の良い練習が出来ると言うので、僕は踏み方とか違ってくるからどうかなと思ったんですが、週に何日か取り入れる事にしました。
星野:となると、休養もとって更にパワーアップした松浦選手の走りが後半戦も楽しみな所ですが、ここまで「競輪王」「ダービー王」にサマーナイトフェスティバル覇者の称号「夜王」も増えて、残すところは「賞金王」の称号ですね。
松浦:年間通してここまでしっかり戦って来られたので、後はグランプリを取れば、賞金王も狙えるなって感じですね。周りからは年間獲得賞金3億円なんてハードル上げられたりしてますけど(笑)歴代の年間獲得賞金の記録(2億5,531万円)は更新したいと思っています。
星野:では、最後にオッズパークの会員の皆様にメッセージをお願いします。
松浦:僕の中ではサマーナイトまでが今年の前半戦でした。オールスター競輪はリフレッシュして望めると思いますので、更に強くなった姿を見てもらえればと思います。後半戦も応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
7月に函館で行われたガールズケイリンフェスティバルで優勝した石井寛子選手(東京104期)。2019年8月名古屋でのガールズドリームレース以来のビッグレース優勝でした。
久しぶりのビッグレースの優勝を振り返っていただき、また8月のガールズドリームレースへの意気込みもお伺いしています。
山口:ガールズケイリンフェスティバル優勝おめでとうございます。
石井:ありがとうございます。
山口:率直なお気持ちはいかがでしたか?
石井:2021年の目標が、このガールズケイリンフェスティバルを優勝することでした。この大会に向けて練習もやっていたんですが、でもまさか本当に優勝できるとは思っていなかったです。
山口:表彰式では涙を流すシーンもありましたね。
石井:はい。ガールズケイリンフェスティバルは2年連続で決勝にいけていなかったので、まずは決勝に上がることを目標にしていました。今年はリベンジのつもりで頑張るぞ、と。
優勝インタビューでは特に「ゴール前の直線勝負はどうでしたか?」という質問に答える時に、今までのことを思い出してうるっときましたね。というのも、まさにゴール前のその直線でどう勝つかを思い描いて、練習やイメトレ、他の人にアドバイスを求めたりなど、集中していたんです。
全てやってきたことが出し切れたし、それ以上に私にアドバイスをくださった方に良い報告で恩返しできるなという思いで感極まりました。優勝という結果も嬉しいですが、感謝と出し切れた達成感が大きかったです。
山口:2走目について伺います。1走目7着だった児玉碧衣選手(福岡108期)もいたレースでしたね。どのようにレースを考えていましたか?
石井:どのレースもメンバーみんなが強いので、1走目私は2着でしたが、2走目の結果が悪ければ決勝に行けないかもしれないという考えが少しよぎりました。でも、とにかく自分を信じて自分のレースをしようと集中しました。
山口:太田美穂選手(三重112期)が先行になり、石井選手はその後ろからのレースでしたね。
石井:太田選手は今年何度も対戦があり、先行で強いのを知っていました。それに初日は仕掛けられていなかったので、その分も2走目は先行するだろうなと予想したんです。そうしたら号砲で前に出ていったので、チャンスだなと思いその位置からのレースになりました。
そこに梅川風子選手(東京112期)が捲ってきました。
山口:捲る梅川選手にスイッチし、最後は差し切って1着でした。手応えはいかがでしたか?
石井:1走目は佐藤水菜選手(神奈川114期)を全く差せず「今までやってきた練習が全くいかせていない」と悔しかったです。その反省もありどうやったら1着を取れるかと修正し、2走目は脚を溜めるところを変えました。その結果、最後差し脚を一気に出して思い切り踏んだら1着でした(笑)。
山口:修正がうまくいったんですね!決勝もまさに直線の伸びが素晴らしかったです。
石井:そうですね!初日の負けがあったからこそかもしれません。流れがあります。
山口:レース中なども全てが決勝へ、優勝へ、繋がっているんですね。
石井:はい。ガールズケイリンフェスティバルだけではなく、前のレースもその前のレースも、全てがこの決勝のためにあったんだなと思います。
山口:昨年の夏は体調を崩して苦しかったと、昨年末のインタビューで伺いました。今年の夏はいかがですか?
石井:昨年は脱水症状気味だったので、今年は絶対ならないように水分とミネラルをしっかり取って対策をしています。そしたら6月から今までの成績は良いので、体調管理はしっかりできているなと思います。
山口:昨年を糧になさっていますね。
石井:はい、しっかり対策して成績や調子も上げられていると思います。
山口:もともと夏は得意と仰ってましたもんね。
石井:はい、一昨年までは(笑)。今年も得意かも!と思ってたんですが、函館から帰ってきたら東京のあまりの暑さにびっくりしたので、今後もしっかりと体調管理をします。
山口:同じく昨年末のインタビューから質問なのですが、「新しいことを取り入れている」という話をしていただきました。言える範囲で構いませんので、何か身になっているものはありますか?
石井:その新しいことが一番大きく結果に繋がっていると思います。言える範囲では、練習量を増やしたのと、フォームの改善をしました。
山口:今までのフォームはしっくりきてなかったんですか?
石井:いえ、新しい理論を聞いたのでそれをやり始めたんです。
山口:なるほど!すぐ結果に繋がるのは凄いですね。現在の練習環境はどんな感じですか?
石井:バンクは東京支部が練習で使っている4か所(京王閣、立川、西武園、松戸)に入っています。
山口:形状が様々ですからそれぞれで違った練習ができそうですね。
石井:はい、いろんなところで違う練習をしています。
山口:最近タテ脚というのは意識されていますか?
石井:フォームを改善してからダッシュ力がついたり、持続力もあがっています。それがタテ脚に繋がっているかもしれません。
山口:ではここからはオールスター競輪でのガールズドリームレースについて伺います。まずはガールズケイリン総選挙の結果はいかがでしたか?
石井:今年も3位でめちゃくちゃ嬉しいです!たくさんの方が投票してくれたんだなと思いました。
山口:ガールズドリームレースのメンバーを見ていかがですか?
石井:皆さん強いですね。
山口:いわき平競輪場の印象はいかがですか?
石井:直線も長いので相性は良いと思います。今からメンバーを見ながら展開をしっかり考えたいです。
山口:ガールズケイリンフェスティバルの優勝もあり、現時点では賞金ランキング1位ですが、それについてはいかがですか?
石井:オッズパーク杯ガールズグランプリへの出場は毎年の1番の目標なので賞金ランキングももちろん大切なんですが、今年は1着にこだわるレースをしたいなと思っています。ガールズケイリンの連勝トップタイ記録の24連勝もできました。
「まずは目の前の一戦をしっかり1着を取る。その結果優勝を重ねていく。賞金はその後についてくるもの」と今年は思っています。
山口:記録が途切れた後の松戸で3連勝で優勝した時のインタビューでは「また連勝を重ねていきたい」という言葉が私は印象に残っていたんですが、まさにだったんですね。
石井:はい。これからも1着にこだわっていきたいです。
山口:この後、後半戦はどう過ごしていきたいですか?
石井:少しゆっくりしたいと思っていたんですが、この後はガールズドリームレースまで連続で斡旋が入っています。選んでいただいたガールズドリームレースなのでもう一度、調子をピークに持っていけるようにしたいです。
山口:単発レースですし、調整が大切ですか?
石井:そうですね。しっかり調整したいんですが日程がカツカツなので、難しいですが頑張ります!
山口:それでは最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。
石井:また1戦1戦1着を取り続けたいです。そして自在の走りに磨きをかけていきたいので、その辺りも見てもらえると嬉しいです。ガールズドリームレースは楽しんでいただけたらと思います。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA