
G2ミッドナイトチャンピオンカップの展望
飯塚で実施された前回大会は佐藤摩弥が優勝。夏場の7月だったこともあり、決勝戦が実施された時の気温は23時台なのに28℃、走路温度は30℃で、勝ち時計は3.406秒だった。8周戦として決して速くない。
前々回は今回と同じ山陽でおこなわれた。その開催時期は2月末~3月上旬で、気温は連日ひとケタ~時に氷点下という5日間、松尾啓史は良走路3戦3勝で優出した。節間の最高タイムは本走3.331秒。ひとくちにミッドナイトといっても夏と冬では様相が異なる。雨走路の2日目と決勝戦は着外に沈んだが、比較的に似た気象条件になりそうな今回も活躍を期待できる。
今節の参加選手中、松尾啓は山陽勢のランキングトップ、すなわち地元エースとして臨む。今月上旬の山陽・消音ナイターでは試走24秒をマークしており、今回の舞台にもエンジンを合わせてハイスピードの捌きを見せてくれそうだ。
その、雨走路となった前々回の決勝戦を制したのは新井恵匠。山陽の夜開催への参戦はそのとき以来1年ぶりになるが、先月の後半は地元伊勢崎の夜開催で上位着順を多く獲得している。
そして、スタートの切れ味が上昇傾向にあることをセールスポイントに挙げたい。前節の浜松デイレースG1『プレミアムカップ』1~4日目は、10メートルオープン戦の5枠や7枠から3番手に出るスタートを何度も披露し、最終日5日目は0メートルオープン戦の大外8枠からトップスタートを決めている。
前々回大会の準決勝戦、新井恵匠を破って1着ゴールした丹村飛竜は、2022年3月に山陽で開催された本大会の覇者でもある。
先週のプレミアムカップは準決勝戦で展開の不利があり着順が大きくなってしまったが、その他の4日間は1着と2着が2度ずつ。2月の浜松SG『全日本選抜』から現在4節連続でグレードレースに出場し、21走して着外わずか4度と高いエンジン状態を維持している。
浜野淳も前々回大会に優出して3着。その後、昨年の半ば以降はグレード開催の決勝戦へ進む機会が増加傾向にある。さらに昨年12月には山陽ミッドナイト4日制に5走して(1日2回乗りを含む)全勝優勝。今年2月には山陽ナイターで準優勝したあと山陽デイレースG1『スピード王決定戦』にも優出して、機力も雰囲気も上昇カーブにある。
飯塚での開催だったが2022年6月の本大会のウイナーは篠原睦。昨年11月、おおみそか、今年1月に飯塚ミッドナイト優勝。そして今節の条件により近い今月上旬の山陽ナイターでも優勝を飾った。晴れでも雨でも強風下でも関係なく安定して動けていることが大いに強みとなりそう。
ランキング中堅以下の若手に目を向けると...
高宗良次と山本翔が昨年の後半あたりから攻撃力、特に内から捌く腕を上げている。加えて両者ともスタート力と、雨走路を乗りこなす技術の高さを備えている。
山本翔と同じ34期の松尾彩は、昨秋以降に出場した山陽ミッドナイトの成績はふるわなかったが、今年のデイレースではSG全日本選抜、スピード王決定戦、川口G1『開設記念グランプリレース』の全シリーズで2勝を挙げていて、グレード開催でハンデを後ろに下げられて最重ハンで戦うことになったケースでも活躍できるだけの地力を身に着けている。
小椋華恋は山陽ミッドナイトは昨年5月以来と久しぶりになるが、山陽デイレースは昨秋のG2『若獅子杯争奪戦』や先月のスピード王決定戦で好走。そして地元の川口では冬場の夜(消音マフラー)に高い実績を持っている。
直近の勢いが目に付く1車は花田一輝。先月のSG全日本選抜には補充選手として開催の途中から参加して3戦1勝。先週のプレミアムカップは正選手として初日から出場して、準決勝戦へは進めなかったが3日目と4日目に2連勝。最終日5日目は高宗良次に抜かれたものの2着と健闘した。全日本選抜でもプレミアムカップでも、普段よりも重いハンデ位置である最重ハンで走ってこの成績を残せたことが評価できる点だ。スピードを増したことに加えて、新井恵匠と同様にスタートの安定感が出たことも成績上昇につながっている。
歴代覇者や若き伏兵を列挙してきたが、今シリーズの玉座に最も近い存在は黒川京介とみる。
先月は川口ナイトレースVを含めて自身初の10連勝。そして先週のプレミアムカップは初日~準決勝戦まで4連勝して優出。決勝戦は青山周平の鉄壁ブロックに屈したが、節間には青山周より速い本走タイムが出ていたし、なんといっても爆発的なスタートの切れ味を示していた。
先月には昼開催でも夜開催でも本走タイム3.31秒台を記録。高速展開になることが想定される早春のミッドナイトは、スピード・出足ともに充実している今の黒川にふさわしいステージといえよう。
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主な出場予定選手
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松尾 啓史〔山陽 S-13(26期)〕
丹村 飛竜〔山陽 S-30(29期)〕
浜野 淳〔山陽 A-13(24期)〕
松尾 彩〔山陽 A-56(34期)〕
山本 翔〔山陽 A-76(34期)〕
黒川 京介〔川口 S-10(33期)〕
篠原 睦〔飯塚 S-16(26期)〕
新井 恵匠〔伊勢崎 S-37(30期)〕
高宗 良次〔飯塚 A-40(32期)〕
花田 一輝〔浜松 A-59(33期)〕
小椋 華恋〔川口 A-74(35期)〕
文/鈴木
高橋貢がきっちり勝ちきろう
前節の浜松デイレースG1『プレミアムカップ』からスピード感を上げてきていた高橋貢が、今節は勢いを一段と増しており、相手比較からも追いきりが有望だ。
もし逆転があるとすれば石川哲也。今節のオープニングレースを勝利したタイムは、初日ただひとりの3.3秒台。発走から序盤にかけて高橋貢より先制できれば、そのまま先着ゴールする可能性も十分ある。初日は2着だった大木光も、2番手へ上がるまでの攻撃は素早くて迫力もあった。
0ハン3名の中で先行力の優る竹本修が大外枠からでも先行できそうだが、準決勝戦では竹本に先手を許した北渡瀬充が同じ轍は踏むまいと最内枠から突っ張って出るケースも考えたい。
◎ 8 高橋貢
○ 6 石川哲也
△ 7 大木光
▲ 3 竹本修
穴 1 北渡瀬充
おすすめの買い目
8=6-731
穴なら
1=8-673
文/鈴木
念願の初優勝なる! 伊東玲衣
準決で試走、本走とも好タイムで優勝戦へ進んだ伊東玲衣が人気を背負った。今月の山陽ミッドナイトから調子上げてる北市唯、準決で阿部剛士を差し返した片野利沙とガールズが前団を形成する。大ケガから復帰後の初V狙う影山伸も人気の一角を担い、完全優勝がかかる早津康介は今節で一番悪い試走タイムと暗雲が立ち込める。3連単は1-5-7、1-5-6、1-5-3。2連単は1-5、1-6、1-3に5-1も売れていた。
まずは先行で伊東が逃げ態勢入り北市もなんとか後ろのスタート残して伊東に続く。10mは深沢隆が先行し影山伸の攻めを抑える。伊東は軽快に逃げ青旗通過も北市がアウト伸びてゴール前肉薄し「あわや」の僅差。気がつけば阿部剛士が4番手へ浮上していた。
川口ナイトレースでは初めての優勝戦で見事、自身初Vを遂げた伊東。負けはしたが北市の走りっぷりもアッパレだった。片野は見せ場なく終わったが、川口の夜空に花を咲かせてくれた伊東に『おめでとうございます』と言いたい。
伊東玲衣に初優勝のチャンス到来!
0ハン両者のスタート争いは1級車の伊東が断然有利。ここは先行していくだろう。10線3車並びのスタートは最内の片野が先行しそう。深沢も互角のスタート力を持つ。影山は長期離脱から復帰2節目だけに、まだスタート感覚は本物ではないとみた。20線両者も枠ナリ発進。
まずはレースを引っ張ることになる伊東。準決では上がりタイム406をマーク。同じタイムを出せば後続は追い込みづらくなる。最初から一番前を走る展開なので、最大の敵は自分自身。平常心で走ることができれば、そのまま押し切れる。10線最内の片野はスタートで北市を叩く可能性がある。そうなると伊東を追って一対一の態勢を作れる。状況によっては先頭に躍り出られるだろう。優出メンバーの中で今節最も良い上がりタイムを出しているのは早津康。初日から全て1着で優出しているので、完全優勝にリーチがかかってる。安定感からは阿部剛を重視。北市はスタートを残すことが絶対条件。その上で、後続が来る前に伊東を交わせればペースが上がる。
◎ 1 伊東玲衣
○ 3 片野利沙
△ 6 早津康介
△ 7 阿部剛士
▲ 2 北市唯
おすすめの買い目
1-2367-2367
穴なら 力をつけている北市
2-1367
序盤の攻防が勝敗を決めた
3連単のオッズは青山周平の首位と黒川京介の首位が上位を占めて、鈴木圭一郎を首位に採った組み合わせは10番人気に初めて登場。車券から2強と評価された、この今節全勝の2名は決勝戦の試走タイムも同じ3.27秒。勝敗のゆくえはどちらがスタート先行するかにかかっていると目された。
レースが発走すると、2枠の黒川がグーンと伸びてスタートラインをトップで、3枠の金子大輔が2番手で通過。しかし青山周は1周回1コーナーにおいて黒川の内をえぐるように伸び返して2コーナーからの立ち上がりで先頭を奪取。続く3コーナーでは黒川が再び前へ出かけたが、青山周は先頭を譲らなかった。そこからは彼が技術を磨き抜いてきたブロックが発動。黒川は望みを捨てずに攻め続けたが、鉄の壁はビクともしない。結局ほぼ8周回先頭を守った青山周による通算6度のプレミアムカップ制覇となった。
鈴木圭はスタート4番手へ枠ナリ発進したが、1周回バックストレッチで3番手の金子大へ仕掛けて車を引いたところを外から荒尾聡、内から佐藤励に交わされてしまい後退。だが5周目に荒尾を抜いて以降のアシ色は、現S1の看板がダテではないことを示した。7周回4コーナーで金子大を捲り3番手へ上がると、ゴール前の直線立ち上がりで黒川をも捲って2着。
今年の初優勝はまたしても持ち越しにはなったが、今年最高レベルと感じさせる伸びを示し、1か月後に控えるSGオールスターへの視界はむしろ明るくなったと捉えたい。
文/鈴木