キューポラ連覇を狙って女王が降臨
昨年の第47回大会は佐藤摩弥が鈴木宏和の猛追を封じ込めて初めてのG1獲得を果たした。佐藤摩の躍進はその後も止まらず、今春の飯塚ナイターSGオールスターは2年連続の準優勝。翌月の川口ナイターG2川口記念は優出3着、そして今月5日には飯塚G2ミッドナイトチャンピオンカップ優勝。通算4度目のグレード制覇となった。川口ナイターは黎明期から相性が良く、雨巧者でもあるので梅雨どきの天候・走路変化があっても不安なし。
今大会の宣伝ポスターに記載されているフレーズは『女王降臨』『真夏の夢へ、再び走り出す』。G1キューポラ杯の2連覇と、飯塚G2から2節連続のグレード優勝をダブルで兼ねる佐藤摩に、まさにピッタリではないか。
オート界のトップランナー青山周平は常に安定している中でも今回は上昇カーブを描いての参戦。今年3月に川口デイレースG1開設記念グランプリ、4月にSGオールスターを優勝したあと、浜松デイレースと伊勢崎ナイターG2稲妻賞は優勝できなかったが、先月末に伊勢崎ナイター4日制を全勝優勝。G1キューポラ杯は2019年に1度制しているほか、同じくナイターのG2川口記念は2020年・2021年・2023年の3度優勝している。近年、消音マフラーでの川口開催は昼夜を問わず実力を発揮できており、今回もV戦線の最有力候補であることは紛れもない。
鈴木圭一郎もG1キューポラ杯は2021年の1度、青山周に完勝してV。通算して川口でのタイトル獲得回数は青山周よりは少ないが、5月以降の成績は青山周が14戦して11勝、着外が1つあるのに対して、鈴木圭は27戦して20勝、残る7戦すべて2着と2連対パーフェクト。青山周が川口の夜開催は11か月ぶりなのに対して鈴木圭は今年6月に川口ナイターを走ったばかりという点も有利といえそうだ。
鈴木宏和は前回キューポラ杯決勝の最終8周回バックストレッチ、佐藤摩の背後を突く動きを見せたが執念実らず準優勝。今季もSGオールスター、浜松デイレースG1ゴールデンレースとG2曳馬野賞に優出しながらタイトルに手が届いていないが、川口の消音・夜は前述のキューポラ杯を含めて14走し着外3度のみと、近1年間は過去最高に成績が安定している。最新ランキングは全国第4位、スタート力は全国トップと称しても異論は少ないのではあるまいか。この実績と実力に見合うタイトルを得て、みずからに箔をつけたいところだ。
金子大輔も昨年G2キューポラ杯に優出したのち、今年1月の川口ナイトレースは予選~準決勝戦3日間3連勝で優出した。
木村武之は昨年6月の川口ナイター4日間オール2着で準優勝してから現在まで、今年のG2川口記念を含めた川口の夜3節は目立った活躍はできなかったが、先月下旬の伊勢崎ナイター(レギュラーマフラー)でエンジンが大幅に良化。上昇曲線の角度の大きさは今回参加メンバーの中でも屈指。キューポラ杯がナイター開催へ移行した初年、2016年大会の覇者でもある。
伊勢崎車は3強が勢ぞろい。高橋貢は川口の夜は昨年G1キューポラ杯に優出して以来の久々だが、デイレースながら先月下旬に浜松G2曳馬野賞を鈴木圭らに完勝で優勝しており機力と勢いの充実ぶりが光る。
近5年にG1キューポラ杯を2度制している早川清太郎は、昨年は準決勝戦入りを逸したが5戦して4走に2連対。9月の川口ナイターは優出2着。今年は先月上旬のG2稲妻賞に準優勝し、次の節も伊勢崎ナイターで優出した。お盆ナイターの実施が定着したSGオートレースグランプリにおける例年の活躍と合わせて、夏の夜にエンジンを仕上げる技術と適性がある。
西日本2場に目を向けると、飯塚の荒尾聡が先月に伊勢崎ナイターG2稲妻賞を昨年に続く2連覇。デイレース1節を挟んで飯塚ミッドナイトでも優勝。G2ミッドナイトチャンピオンカップは準決どまりだったが6走してオール3着以内と安定感は示した。篠原睦は今年5月に飯塚ミッドナイト優勝がある。長田稚也は昨年G2川口記念、岩見貴史は昨年G1キューポラ杯をいずれも予選中のフライングで失権しながら、それぞれ上位の着順を多く残した。
山陽勢は、丸山智史が昨年G1キューポラ杯に優出3着。松尾啓史は今年のG2川口記念に準優勝。激しく競り合う佐藤摩と黒川を一発で捌いた勝負勘が見事だった。岡部聡は今年5月の川口ナイター一般開催に優出。同じ節で強烈にエンジン出ていた高木健太郎は準決勝戦でフライングを喫してしまったが次の節、山陽ミッドナイト3日間3戦を全勝して念願の初優勝を遂げた。
この強力遠征陣に立ち向かう地元車は女王だけではない。
黒川京介は先述したG2川口記念のあと6月も川口の消音・夜での活躍が続いて、3節に出場し2優出・1V。若井友和と中山光は近1か月に川口の夜2節へ優出。中山光はその後G2ミッドナイトチャンピオンカップでも好成績を挙げている。佐藤励はG2ミッドナイトチャンピオンカップは仕上げきれなかった印象だが川口の夜開催は5月~6月に2連続優出。小林瑞季も川口の夜に限ると現在3節連続で優出中。
永井大介は先月の川口ナイターで10か月ぶりの優勝。佐藤裕二は先月下旬にデイレースだが2年半ぶりV。中村雅人はG2川口記念~G2稲妻賞~川口ナイター一般開催に3連続で優出した。加賀谷建明はG2稲妻賞に優出したのち今月3日に川口デイレース優勝。決勝で加賀谷に続く2着に入った森且行と3着だった山田達也はともに先月、川口の夜開催に優出実績がある。
永井大介は昼開催の2010年とナイターの2017年・2018年の通算3度G1キューポラ杯を制覇した。デイレース2013年に1度制している森且行は、2020年のSG日本選手権ぶりとなる復活Vも視野に車を仕上げていきたい。
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主な出場予定選手
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黒川 京介〔川口 S-3(33期)〕
佐藤 励〔川口 S-15(35期)〕
森 且行〔川口 S-22(25期)〕
佐藤 摩弥〔川口 S-26(31期)〕
加賀谷 建明〔川口 S-33(27期)〕
青山 周平〔伊勢崎 S-1(31期)〕
鈴木 圭一郎〔浜松 S-2(32期)〕
鈴木 宏和〔浜松 S-4(32期)〕
高橋 貢〔伊勢崎 S-5(22期)〕
荒尾 聡〔飯塚 S-10(27期)〕
松尾 啓史〔山陽 S-27(26期)〕
文/鈴木
久門徹が有吉辰也を振り切った
雨雲が近傍を移動しながら、かろうじて良走路で実施された優勝戦。軽ハン2級車3名の動向も注目された。
40線2車は、今節3戦して全勝の田中賢を置いて外枠から松尾彩がダッシュ。ところが前の2級車たちへ追いつけない。10線の祐定響を交わした20線の村瀬月乃丞も、今回が初優出となった石橋啓士の逃げへ近づけない。そこへ追い上げてきた久門徹が次々と捌いて、レース終盤は有吉辰也の追撃を抑えて先頭ゴール。先月中旬の飯塚デイレースに続く今年2度目、通算38度目の優勝を飾った。
抜かれて3番手に下がった石橋啓は5周回2コーナーで滑り村瀬が浮上するも、すかさず田中賢がインを突いて3着に入った。
文/鈴木
スタート切れている石川哲也が追い込む!
一般開催ながら5日間のロングシリーズだった今回の伊勢崎ナイター。ついに優勝戦のメンバーが決定した。なかなかバラエティに富んだハンデ構成で、優勝戦は白熱したレースになりそう。
0ハン単騎の山中は良走路での競走になった2日目からオール連対で優出。直線の進み方はかなり良く、優勝戦でもハイピッチの逃げを見せそう。10線両者のスピードでは捕まえるのは厳しいか。20線のスタート想定は難しいが、3日目から石川哲がよく切れており先行も十分。そして、今の石川哲のスピードなら山中の逃げを捕えられるかも。実力的には上位の田村と松本康だが、前団のペースが上がると追い込みが届かないケースもある。むしろ20線の鈴木聡や横田の方が車の進み方が良く、こちらを重視したい。
◎ 5 石川哲也
○ 1 山中充智
△ 6 鈴木聡太
△ 4 横田翔紀
▲ 7 田村治郎
おすすめの買い目
5=1-467
山中の大逃げもありそう
1-4567-4567
石橋啓士が初優勝へ向け必死に逃げる!
今回の飯塚オートは2級車の活躍が目立っている。優勝戦へは3人が進出した。その影響もあってか優勝戦は0、10、20、40、50メートルの大ハンデ戦。優勝戦は夕方の時間帯で真昼よりは走路温度が下がるとはいえ、7月のこの時期は通常よりも高い走路温度でレースが行われそう。
0ハン単騎からいきなり逃げに入れる石橋啓は展開が圧倒的に有利。準決のタイム比較から言えば10メートル後ろの祐定には捕まらないし、20メートル後ろの村瀬も振り切ることができる。走路温度が高くなりそうなので、重ハン勢も石橋啓に近づくまでに苦労しそう。ここは石橋啓がそのまま逃げ切るとみた。
追って行けるとしたら準決で好タイムをマークした田中賢や有吉。展開的には田中賢の方が有利で、早めに石橋啓にジカ付けできれば勝ち切れる。有吉は中団を難なく交わせるかどうかがポイントになりそう。機力の上積みが必要になるが、松尾彩は他の1級車相手に先手の攻めができればチャンスある。
◎ 1 石橋啓士
○ 4 田中賢
△ 7 有吉辰也
△ 5 松尾彩
▲ 3 村瀬月乃丞
おすすめの買い目
1-3457-3457
穴なら 後続が来る前に抜け出せれば村瀬のアタマも
3-1457-1457
永島潤太郎が復活の優勝を決めた!
0ハン単騎からの競争だった杉本は自分のペースで、自分のコース取りで軽快に逃げていた。直後に付けた重富は追走こそできたが、杉本を抜くまでにはいかなかった。逃げる杉本に追う重富で周回が重ねられていったが、後方から追ってくる選手が一人いた。30線3車の大外から好スタートを決めた永島が3番手に付けると、まずは重富を差し、そして最終3コーナーで杉本を捕えて優勝を決めた。
永島は今年に入ってからずっと好調が続いていたが、4月あたりから大きく調子を崩していた。なかなか立て直せず苦しんでいる時期が長く続いたが、前節あたりから良化の兆しが出ていた。そして今節は優勝。一気に状態を上向かせることができた。乗り手のセンスはかなり高いモノを持っている永島。さあ、ここから巻き返しが始まる。