逃げる2級車を1級車6人が追い込む!
本来1級車で走る選手の中で18人が2級車で参戦している今回のさざんかカップは、ついに優勝戦を迎えた。注目の2級車乗りで優出したのは新井恵匠と山田達也。レース展開は逃げる2級車2人がどこまでペースを上げられるか。それを1級車がきっちり追い込めるかどうかに焦点が当てられる。
まずハンデ構成の面で注意したいのは2級車のハンデ位置。初日は最重ハンの50メートル前だったが、準決までに10メートル引っ張られると、優勝戦では更に10メートル引っ張られ、最重ハンの30メートル前になってしまった。準決でもかろうじて逃げ粘っていた2級両者にとって、このハンデ構成はいかにもキツイ。更に優勝戦は2周延びて8周戦になることを考えると2級車の残り目は厳しいか。
当ブログでの本命には永井大介を推したい。準決では本来のパワーある走りが戻ってきていたし、8周戦になるのは好材料。いつもなら8周戦で有利になるはずの中村雅人は、レース後半の動きに不安をかかえているので、今回に限っては対抗止まりとしたい。1周バックストレッチで永井が好位置に付けて、早めに0ハンを追う態勢を作りそう。それを中村がマーク追走して行きそうだ。
他で怖いのは高橋貢。エンジンの仕上がりはイマイチだが、豊かな経験を活かして上位争いに食い込んで行きそう。永井と中村が競り合うような展開ならチャンスが生まれるかもしれない。
更に気合が良さそうなのは片平巧。近況はスタートの切れもよく、序盤の仕掛けが早くなってきている。捌きの腕は健在なので先駆けが決まるようだと連絡みもありそう。
厳しい展開になりそうな2級車だが、残り目あるなら山田の方か。2級車時代の輝きを取り戻すかのような、ここまで4連勝での優出はさすが。目一杯の粘りを見せてくるか。
◎永井大介
○中村雅人
△高橋貢
△山田達也
▲片平巧
充実の船橋勢、外来もトップクラスが参戦
今回のさざんかカップはGⅡらしく、企画が用意されている。新人選手が2級車で走るのは当然のことだが、本来1級車で走る選手の中で18人が2級車で参戦する。これは今まであった2級車バトルなどの企画レースとは趣が違う。今までのは完全に企画レースで、ただ単に2級車同士で戦うだけだったし準決や優勝戦に進めなかったが、今回は1級車とゴチャ混ぜの番組で、通常の勝ち上がりに組み込まれての参加になる。当然、2級車に乗る選手はいつもよりハンデが軽くなるので、初日の番組は注意して見てみたい。
主力選手の動向を追ってみる。まずは地元から。
全国ランク1位の永井大介は、前走が飯塚のGⅠで準優勝だった。今のエンジン「シーザー」になってからはなかなか良い走りが見られなかったが、3日目あたりからようやく良くなってきた。今回は地元なので更なる上積みを狙ってくるだろう。2番手の青山周平は、前走が地元の一般開催で優勝戦まで進み3着。しかし、これは初日からずっとスーパーハンデで戦ってきての結果。エンジンの仕上がり自体には全く問題ない。中村雅人も前走は地元でスーパーハンデでずっと走っていた。成績は準優勝。こちらもエンジン状態は良いと言える。他のS級陣もマズマズの状態で推移している。
飯塚地区のランク筆頭は荒尾聡。昨年末からの軽いスランプがずっと続いている。ドドドが完全には直っておらず、苦しいレースを強いられている。しかし、整備に対しては労を惜しまないので、完全なドドド解消の日も近いかもしれない。他では田中茂が良い。地元のGⅠの準決は攻め急いで失敗したが、その他の日はオール連対。調子の波がゆるやかな方なので、好調時の今は狙い。
山陽からは松尾啓史がランク筆頭。今年に入ってからは伊勢崎での優勝などを含め、成績は安定している。レースでも諦めずに追って行くので大きな着を取ることが少ない。藤岡一樹は1着が少ないものの、3連対に絡むことは多いので注意。岩崎亮一は今年は記念レースの出走が多くて成績的にはイマイチだが、元々実力者なので期待したい。
浜松からは金子大輔がランク筆頭。今年はまだリズムを作りきれていない。前走の飯塚GⅠでも不本意な結果に終わった。冬場のこの時期は試走で30近辺は出せる選手なので、そのあたりを基準に取り捨てしてみたい。渡辺篤は着実な成長を見せている。捌くレースでもだいぶ良くなってきた。浜松の選手で一発があるのは浅田真吾。メンバー的に厳しいレースでも、トップスタートから押し切ってしまうケースがよくある。
伊勢崎は大将格の高橋貢が参戦。近況は浜松のSGで優出4着、地元のGⅡで完全優勝、前走の飯塚GⅠでも優出3着とマズマズ良い結果を出している。最後のレースの飯塚優勝戦では、試走タイム29が出ていたのでエンジン自体は心配ない。他ではややスランプに入っていた三浦康平が前走の地元GⅡで優出と、復調の兆しが出ている。また、ベテランの域に入ってきた湯浅浩は近況エンジンが良い。
最後に川口からはランク筆頭が若井友和。前走の浜松でも元気な走りを見せて優勝。この流れのまま乗り込んでくるだろう。2番手の森且行の近況は、記念レースの出走ばかりで優出までは行けていないが、試走タイムは30近辺を安定して出せているのでエンジンは問題ないか。他のS級で青木治親や平田雅崇はやや物足りない近況。ここ船橋での巻き返しに期待したい。
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主な出場予定選手
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永井 大介〔船橋 S-1(25期)〕
青山 周平〔船橋 S-2(31期)〕
中村 雅人〔船橋 S-5(28期)〕
荒尾 聡〔飯塚 S-4(27期)〕
金子 大輔〔浜松 S-6(29期)〕
高橋 貢〔伊勢崎 S-7(22期)〕
若井 友和〔川口 S-11(25期)〕
松尾 啓史〔山陽 S-8(26期)〕
大将不在でも総力戦で外来勢を迎え撃つ地元勢!
今回は伊勢崎のエース高橋貢は不在だが、早川清太郎や浅香潤らS級勢を先頭に地元勢が奮起する。対する外来は、山陽勢や川口勢を主軸に襲いかかる。
地元S級は2人。浅香潤は長らく続いていたスランプが嘘のように良くなってきた。浜松SGの後半から兆しは出ていたが、前走の地元GⅡではほぼ復活を遂げた。試走タイムも30近辺が安定して出るようになったし、レースでも素早い仕掛けが見られるようになってきた。得意の速攻も決まりかけているので、今節で完全復活と行きたいところ。対照的に早川清太郎はドン底。前走の地元GⅡの3日目に内線突破の反則をしてしまうと、続く4日目には落車妨害の反則。ここ数ヶ月で妨害行為が続いており、攻めも無理できない状態にある。落車以来のレースになるので、せめて落車の悪影響が出ていなければいいが...。初日の試走を注意して見てみたい。
外来勢で注目は山陽の濱野淳。前走は船橋の一般開催で優出。その優勝戦では8着になってしまった。エンジン的にはまだ納得いく状態にはなっていないが、伊勢崎は過去実績から言っても相性のいいレース場。調子を取り戻すキッカケになるかもしれない。次に、注目なのは川口の大木光。前走は地元で優出。その優勝戦では6着。それでもエンジンの仕上がり自体はマズマズなので、今回も期待できる。
他に外来のS級は前田淳と岩田裕臣。前田は浜松のSGで優出したあとは、地元3日間開催に走っていた。準決で3着になり、優出はならなかったが、車の動きとしてはソコソコ良さそう。武器のスタート力も健在で、早い仕掛けを見せてくる。岩田は浜松のSG以来。その時はあまり良くなかったが、久々のレースになるのでやはり試走からは目が離せない。
A級では、青木勝美や福田勝則がエンジン良くなってきた。また、岩沼靖郎も相変わらずハイレベルのスピード力が健在。林稔哲も仕上がりが良く、逃げる展開では特に注意したい。
B級での斡旋になるが、田中賢と栗原俊介にも要注意。田中賢はここ5走で3連対を外していない。栗原の方は1級車に乗り替わってからメキメキと力を付けている。ハンデ的にもチャンスな今は絶好の狙い目だ。
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主な出場予定選手
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早川 清太郎〔伊勢崎 S-16(29期)〕
浅香 潤〔伊勢崎 S-33(23期)〕
濱野 淳〔山陽 S-19(24期)〕
前田 淳〔山陽 S-29(27期)〕
大木 光〔川口 S-35(28期)〕
岩田 裕臣〔川口 S-46(31期)〕
青木 勝美〔伊勢崎 A-5(19期)〕
田村 治郎〔伊勢崎 A-18(30期)〕
S級は5人のみ、A級にもチャンス十分!
今節はS級選手の参戦が極端に少なく、A級選手やB級選手が個性を活かしての戦いになりそう。主力級の動向はもちろんの事、その他でも気になる選手をピックアップしていきたい。
今回、優勝候補筆頭は木村武之。前走は伊勢崎のGⅡグランプリで、しっかり優出。優勝戦では精彩を欠き8着になってしまったが、予選道中は1着3本を含むオール連対の安定した成績を残した。その前の節は地元のSGで準優勝しているし、エンジンに関してはそれほど心配ない。今回も地元開催なので、初日から飛ばして行きそうだ。
その木村を阻止すべく他のS級勢で注目なのは、山陽の角南一如。前走は船橋の一般開催で、見事優勝。中村雅人や青山周平がスーパーハンデで苦しんでいた開催で、角南はその10メートル前からのレースではあったが、ハイペースで逃げる2級車を捕え、中村と青山を振り切っての優勝は価値が大きい。長いこと調子が上がらずにいたが、この結果でいつもの走りを取り戻したいところ。
他では山陽の岡部聡が、前走の伊勢崎のGⅡグランプリで優出。優勝戦は5着の結果に終わったが、準決では試走3・29の好タイムが出ていたし、エンジンの仕上がりは上々。混戦ムードになるなら自在の捌きを発揮してくる。若井友和や青島正樹も前走は伊勢崎のGⅡだったが、調子はイマイチ。浜松に入ってからの立て直しに期待したい。
以上5人がS級でシリーズの核となる存在。A級の中でも、注目したい選手は何人かいる。
まずは川口勢から佐藤摩弥。前走は地元の3日間開催で、久々に優勝した。優勝戦は0ハンから逃げる展開で快速を発揮した。近況は追い込む展開でも少しずつ結果を残しているので、その走りに注目したい。また、影山伸は前走が伊勢崎GⅡで、連日勝ち切れてはいないが4着以内にまとめ、良い走りを見せていた。
山陽勢では山本智大の調子が上がってきた。元々、スピードはそれなりにあったが、近況は課題だったスタートが良くなってきたのが好成績に結びついているようだ。
地元浜松勢では、山脇孝志が前走の伊勢崎一般開催で優出。その優勝戦は雪の影響で中止になってしまったが、エンジンの状態は良さそう。辰巳裕樹は前走が川口だったが、3走して全て3連対を果たしていた。乗り手の技術が上がっている。他では、新人2級車の4人が、初めての遠征を経験し船橋で走ってきた。ひと回り大きくなった姿にも目を向けたい。
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主な出場予定選手
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木村 武之〔浜松 S-9(26期)〕
青島 正樹〔浜松 S-27(22期)〕
若井 友和〔川口 S-11(25期)〕
岡部 聡〔山陽 S-23(19期)〕
角南 一如〔山陽 S-25(27期)〕
須賀 学〔浜松 A-42(19期)〕
辰巳 裕樹〔浜松 A-52(31期)〕
佳元 光義〔飯塚 A-243(27期)〕
GⅠ開設57周年記念レースの優勝戦が行われた3月5日は、第1レースは雨走路だったが、徐々に水気が引けてきて優勝戦の時間帯には走路も乾いて良走路で行われた。激戦を制したのは地元の浦田信輔だった。
試走タイムは高橋貢がトップの29。次いで永井大介と人見剛志が30。浦田は32だった。
0オープンのカギを握るスタートは最内から久門徹が飛び出した。しかし、2番手に出た高橋義弘に乗って行った浦田がバックストレッチで一気に好位を奪った。人気の永井は序盤で好位を奪えず、苦しい展開になった。それでも、中団を捌いて行って、浦田の背後まで迫ると渾身の突っ込みを見せた。これはやや無理な突っ込みで立ち上がりで流れてしまう。そこを浦田が冷静に対処し、再び首位を奪取した。大外からのレースになった高橋貢は、試走29の機力を活かし3着まで追い込んだ。エンジン良かった人見はスタートで遅れて厳しいレースになった。
浦田の勝因は高橋義弘のスタートに乗って出られた事と、チャンス所を見逃さなかった事。百戦錬磨の浦田は勝ち方を知っている。大舞台のレースにおいて大事な場面を熟知している。そのレースのポイントとなる所で的確な走りができる。試走タイムが多少劣勢でも経験と腕でなんとかできてしまうあたりは流石である。今年は早々とSGも制しているし、良い年になりそうだ。