
園田で伝統の古馬重賞というとほとんどが1700メートル以上の中長距離戦だったが、短距離路線の充実ということで、第60回を迎えた兵庫大賞典が1400メートルに距離短縮となった。
中心は黒船賞JpnIIIで3着に激走したタイガーインディ。逃げ切ったシャマル、早め2番手で粘り込んだ地元高知のヘルシャフトに対して、3コーナーからまくって前に迫っての3着は見せ場たっぷり。ただその伏線はあった。4走前、10馬身差で圧勝した神無月特別の勝ちタイム、良馬場1分28秒1は、ダートグレードでも通用するもの。兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIは9着だが、内枠で最初の直線で外から何頭かに被されて厳しい展開。2走前の兵庫ウインターカップは遠征有力馬を相手に直線突き放して5馬身差の圧勝。地元同士のここでは抜けた存在だ。
ハナブサは重賞タイトルが金沢に遠征した2年前の金沢スプリントカップだけで、兵庫の重賞ではようやく掲示板までという成績だったが、7歳になって休み明けのここ3戦での充実ぶりが目立つ。特に前走では58キロを背負って4コーナーで狭いところから抜け出しての完勝。今回定量56キロならタイガーインディに迫る場面もあるかもしれない。
サンロアノークは、前走ラジオ関西特別では直線外を伸びて勝ったハナブサに1馬身半差まで迫った。長期休養明けとなった昨年11月以降、3着を外したのはJpnIIIの兵庫ゴールドトロフィー(8着)だけ。地元同士なら上位争い。
兵庫ウインターカップでタイガーインディの3着だったオーバーディリバー、中央3勝クラスから転入2戦目の前走1400メートル戦で強い勝ち方を見せたドンカポノ、特別戦連勝のあと前走ハナブサの4着だったケンジーフェイスなど、連下争いは混戦。
◎9タイガーインディ
◯8ハナブサ
▲12サンロアノーク
△4オーバーディリバー
△5ドンカポノ
△7ケンジーフェイス
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西日本交流の東京ダービー指定競走として新設された西日本クラシック。東京ダービーへの優先出走権はないが、「出走馬選定にあたりその成績が重視される」とある。そして高知からネクストスター西日本の2、3着馬を含め大挙4頭が遠征してきた、ということでは、いまの高知の勢いを示しているといえそう。
その高知のワンウォリアーは、兵庫ユースカップ、ネクストスター西日本と、ともにリケアサブルの2着。3〜4コーナーからまくって前をとらえにかかったが、直線で抜け出したリケアサブルをとらえきれずという、2戦ともほとんど同じようなレースぶりだった。高知では年末に1800メートルの満天星特別を勝っており、年明け初戦の1600メートル戦、土佐水木特別では、高知のこの世代最強のプリフロオールインを4コーナーでとらえにかかって1馬身差で食い下がった。勝ちきれないレースが続いているとはいえ、3コーナーからスパートして長く使える脚は、この距離でこそ生きる。
同じく高知のシンメデージーはデビューから5連勝。前走土佐春花賞では、その後ネクストスター西日本で3着となるホーリーバローズを寄せ付けずということでは、ワンウォリアーと少なくとも同等か、それ以上の能力と考えられる。今回は距離延長がどうかだが、吉村智洋騎手が鞍上となってどんなレースを見せるか。血統的には距離も問題なさそうだが、果たして。
地元の筆頭はマルカイグアス。年末の園田ジュニアカップでは3〜4コーナーでまくって出て、直線での追い比べから抜け出した。そして名古屋に遠征したスプリングカップでは、早め先頭の勝ち馬をとらえきれなかったものの2着。3着だったフークピグマリオンは、その後ネクストスター中日本を制したという実力。今回は菊水賞を回避して2カ月半ぶりの実戦で、仕上がり具合が気になるところ。脚質的に距離延長はむしろ歓迎だろう。
菊水賞を制して4戦4勝のオーシンロクゼロは押し出されて△。それだけ今回はメンバーが粒ぞろいということ。
菊水賞で1番人気に支持されるも3着だったウェラーマンは、スタートでダッシュがつかず馬群の中で脚の使い所が難しかった。直線は大外に持ち出してしっかり伸びていただけに、好位でスムーズに運べればチャンスはある。
ネクストスター西日本3着のホーリーバローズは距離延長がどうか。
◎1ワンウォリアー
◯6シンメデージー
▲4マルカイグアス
△11オーシンロクゼロ
△7ウェラーマン
△2ホーリーバローズ
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ギガースはとにかく前走川崎のネクストスター東日本の勝ち方がよかった。逃げたライゾマティクスをぴたりと2番手でマークし、余裕の手応えのまま3コーナー過ぎでとらえにかかると、直線では後続を寄せ付けず。早めに抜け出したため直線は遊んでいたということだから、余裕の圧勝だった。雲取賞7着は、1番枠でスタート後に包まれ後方まで位置取りを下げてしまっただけに度外視としていいだろう。中央勢が相手なら早めに抜け出して遊んでしまうようなこともないと思われ、小回り1400メートルは能力を発揮できる舞台だ。
相手は当然中央勢ということになるが、チカッパの前走は行きたがるような手応えを抑えながらの2番手で、逃げたジョージテソーロを競り落とした内容は評価できる。いかにも短距離でというタイプで、あとは園田の小回りコースへの対応がカギになる。
エコロガイアは、前走ブルーバードカップJpnIIIはゴール前でアンモシエラにとらえられたが、血統的にこの馬も距離短縮であらためての評価。
兵庫ジュニアグランプリJpnIIを制したイーグルノワール、バイオレットステークスを完勝したエートラックスも能力的に差があるというわけではなく、押し出される形での△。
クルマトラサンはニューイヤーカップでギガースに半馬身差で食い下がったという実力。砂を被るとよくないというだけに、外枠に入った今回は好位の外につければ粘り込む場面はあるかもしれない。
◎7ギガース
○1チカッパ
▲6エコロガイア
△5イーグルノワール
△3エートラックス
△9クルマトラサン
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佐賀の短距離重賞で上位争いのリーチに期待する。昨年の道営スプリント5着のあと佐賀に移籍し、準重賞、1300メートルのゴールドスプリントと連勝。園田に遠征して兵庫ウインターカップは5馬身差の2着だったが、勝ったタイガーインディは、その後黒船賞JpnIII で3着という実力だけに評価を落とすものではない。前走九州クラウンは3着だったが、勝ったジョンソンテソーロは佐賀ではほとんど無敵の快進撃を続け、その後南関東に移籍してA2B1の特別でも僅差2着という実力だ。その2戦より相手は楽になった。
バーニングペスカは、前述兵庫ウインターカップは5着だったが、今回と同じ舞台の白銀争覇では4コーナー手前で先頭に立ち、直線では外から並びかけてきたゴールドレッグスに一旦は完全に前に出られながらも差し返す根性を見せた。昨年10月には名古屋・ゴールド争覇でも2着好走があり、東海遠征で能力を発揮している。
金沢の短距離戦線で底を見せていないのがオヌシナニモノ。昨年末には勝ちきれないレースが続いたが、冬休み明けにはA1特別で2連勝。前走はショウガタップリに2馬身差をつけて完勝だった。相手強化でも互角以上の勝負を期待。
中距離を中心に使われている兵庫のタガノウィリアムは、姫路1500メートル戦で3着、1着と好走。この距離にも対応できそう。
地元東海勢では、名古屋記念3着から梅見月杯を制したメルト、重賞も含め1年近く連続連対を続けているコンビーノが一矢報いるか。
◎2リーチ
○11バーニングペスカ
▲5オヌシナニモノ
△8タガノウィリアム
△10メルト
△7コンビーノ
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ウルトラノホシが昨年10月のカペラ賞以来の地元戦。新たなダート三冠を目指して前哨戦のブルーバードカップJpnIII、雲取賞JpnIIIでは好走といえる走りを見せたが、もう少しのところで結果を得られず。羽田盃JpnIは8頭立てだったため、出るといえば出られただろうが、地元の三冠を獲りに来たようだ。輸送と強敵相手の激戦の反動がなければ、ここでは能力は抜けている。
相手にはやはりトゥールリー。佐賀若駒賞、飛燕賞を含め、ウルトラノホシが不在となった地元で昨年11月から6連勝。その後、古馬A2戦の6着は仕方ないとして、ネクストスター西日本(園田)の6着は負けすぎのような気がする。地元で立て直してくるかどうか。
トレベルオール門別未勝利での転入だが、佐賀ではここまで7戦して6連対。前走飛燕賞では直線外から一気に伸びてトゥールリーに半馬身差まで迫った。1700メートルは門別で一度経験があるが(4着)、あらためて佐賀のこの距離でどうか。
ケンタッキーグレイは、1月の花吹雪賞では差のある7着だったが、前走ル・プランタン賞では高知のグラインドアウトに1馬身差2着と地元の意地を見せた。今度は牡馬の一線級相手でどうか。佐賀競馬は現在、騎手の人数が足りずに苦労しているようで、ここまで4頭の鞍上はいずれも他地区からの遠征。
佐賀若駒賞でトゥールリーの2着があるフークファンタジーは、1月の花吹雪賞(3着)以来、3カ月ぶりの実戦となるのがどうか。
2月の飛燕賞、ホワイトスター特別でトゥールリーとそれほど差のない走りを見せたキトーウィンは、前走で1750メートル戦を制しただけに距離延長での好走に期待。
◎11ウルトラノホシ
◯4トゥールリー
▲8トレベルオール
△1ケンタッキーグレイ
△12フークファンタジー
△6キトーウィン
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