例年、お盆の時期に行われている名物レースだが、前々日に行われた佐賀・サマーチャンピオンJpnIIIと、前日の水沢・クラスターカップJpnIIIにそれぞれ東海地区から有力馬が遠征。ここには金沢から1頭の挑戦があるものの、8頭立てのやや寂しいメンバー構成となった。
条件クラスからの挑戦も少なくなく、勝負になるのは近走で重賞やオープンクラスを勝っている、マヤノサムサラ、マサアンビション、ウイニングウインドの3頭だろう。
ただし、この3頭に順番をつけるとなると、ちょっと悩む。
中心は、連覇がかかるウイニングウインド。原口次夫調教師、安部幸夫騎手は、前々日のサマーチャンピオンを制したキングスゾーンと同じコンビ。おそらくどちらも勝てる可能性を考えて、使い分けてきたのだろう。今シーズンは、中央芝への挑戦を別とすれば、オグリキャップ記念を制し、前走名港盃でも2番手追走から直線抜け出して楽勝と、東海勢同士なら安定した成績を残している。
安定感でいえば、マサアンビションも抜群。今年中央からの転入以降、ダートグレード以外では5戦4勝。4月の東海桜花賞ではキングスゾーンに競り勝っている。
金沢のマヤノサムサラが不気味な存在。中央から転厩した南関東のA級では入着すらできなかったが、金沢転厩初戦のA1ダイヤモンド特別では、4番手追走から3コーナー過ぎで先頭に立つと直線は独走。金沢に転厩したことで状態が上向いていれば、名古屋2強の一角崩しがあってもおかしくない。
人気が集中しそうで、馬券の買い方が難しそうなレースではある。
◎ウイニングウインド
○マサアンビション
▲マヤノサムサラ
毎年同じようなことを書いているような気もするが、このブリーダーズゴールドカップは、第1回で笠松のフェートノーザンが勝ったものの、その後地方馬がまったく勝てない。この状態がもう17年も続いている。
それでも初期には2着に食い込む地方馬がけっこういたものだが、94年に地元のササノコバンが2着して以降、地方馬は連対すらさせてもらえない。
で、今回は、昨年3着のジンクライシスが回避。地元のエース級がダートグレード初挑戦のギルガメッシュでは、今年も地方勢の食い込みは難しい。せいぜい3連単の3着だろう。
中央勢4頭でどう順番をつけるかだが、これが意外と難しい。
近走の成績では、東海ステークスGIIで差し切り勝ちを決めたメイショウトウコンが目につく。が、その東海ステークスは見せ場なく10着に敗れたものの、続くブリリアントステークスで後方から大外一気を楽に決めたオリンピアンナイトのほうを評価したい。
マイネルボウノットは近走不振だが、昨年の東海ステークスでは、その後ブリーダーズゴールドカップを勝つことになるハードクリスタルの2着という実績がある。一息入れたここで復調していれば可能性はある。
アルドラゴンは、名古屋大賞典JpnIIIでブルーコンコルドとキクノアローをまとめて負かしたのは見事だったが、フロックっぽい勝ち方で、ここではまだ疑ってかかったほうがよさそうだ。
◎オリンピアンナイト
○メイショウトウコン
▲マイネルボウノット
△アルドラゴン
△ギルガメッシュ
摂津盃は10頭立てとやや寂しいメンバー構成となった。重賞タイトルがあるのは、このレース連覇がかかるジョイーレのみ。
重賞2着という実績のある馬は何頭かいるが、どれも成績が安定しているわけではなく、一長一短。直前までオッズとにらめっこをして、ジョイーレから流すことになりそうだ。
相手筆頭は、前走の楽天競馬特別でジョイーレに先着の2着マグマサイン。しかし、そのときはマグマサインのほうが3キロも軽かったのに対し、今回は1.5キロ差に縮まった。ならばやはりジョイーレの頭で間違いないだろう。
その次はアグネスミステリー。昨年の名古屋大賞典GIIIで地方馬最先着の4着というのがあり、兵庫大賞典ではロードバクシン、マグマサインに続く3着。休養明け後の今年はA2からA1まで4連勝。昨年重賞で善戦していたころの力が戻っていれば、ジョイーレと好勝負になってもおかしくない。
昨年3月以来、勝ち星から遠ざかっているものの、オープンクラスでそれほど差のないレースをしているホクザンスターダムに、中央から転入2戦目のタマモアーチストまで。
今年3月の六甲盃2着後、S1を2連勝したビッグインディだが、その後の2戦はいずれも最後に脚をなくしているだけに、今回は見送る。
◎ジョイーレ
○マグマサイン
▲アグネスミステリー
△ホクザンスターダム
△タマモアーチスト
------------------------------
福山・金杯は、真夏に行われるドリームレースであることに変わりはないが、今年からサラ・アラの混合戦となった。しかもサラ・アラそれぞれのトライアルレースが設定され、その上位5頭ずつが顔を揃えた。
どちらのトライアルも1、2番人気の決着で、サラのトライアルを勝ったアブソルートウインと、アラのトライアルを勝ったフジノコウザンのどちらが強いかという比較になるのだが、持ちタイムではアブソルートウインのほうが上。
トライアルの着順そのままの予想というのもどうかと思うが、持ちタイムを見ると、やはり2番手、3番手もやはりサラブレッドのほうでよさそうだ。
アラブもタイム的には1秒も変わらないのだが、サラとアラではレースの流れが違う。アラのトライアル1、2着のフジノコウザンと、ヤスキノショウキは押さえまで。
◎アブソルートウイン
○ファニーカイザー
▲ハヤザキ
△フジノコウザン
△ヤスキノショウキ
当初、水沢で行われていたマーキュリーカップが盛岡に移って以降、ダートグレードが水沢で行われることはもうないのかも、と思っていた。それにつれて水沢競馬場に取材に行く回数も極端に減っていたのだが、第1回から盛岡で行われていたクラスターカップが水沢で行われることになるとは。
1200メートルと1400メートルでは、距離が200メートルしか違わないものの、レースの性格はかなり違うように思う。1200メートルあたりまでは、道中ほとんど息を入れず、展開もほとんど関係なく、単なるスピード勝負になるのだが、これが1400メートルになると流れがガラリと変わる。
そのあたりが今回の見どころになると思うのだが、まさに1400メートルからマイルあたりまでがベストというメイショウバトラーが出走してきた。前走、7月4日の川崎・スパーキングレディーカップJpnIIIを勝ったときから高橋成忠調教師は「今年は佐賀ではなく水沢へ」と明言していた。
どちらかといえば1200メートル以下のほうがいいアグネスジェダイが58キロ、11歳のノボトゥルーが59キロなのに対し、メイショウバトラーは55キロ。その上昨年もこの夏の時期に調子を上げて連勝しているとくれば、メイショウバトラーに死角はない感じだ。地方競馬もさまざまなコースを経験しているだけに、初コースだからという心配もないだろう。
前日に行われる同じ距離の佐賀・サマーチャンピオンJpnIIIに出走する中央勢が、ディバインシルバー以外はダートグレードでの勝ち星がない、やや格落ちのメンバーなのに対し、こちらには3頭とはいえダートグレードでの活躍馬が集まった。
さらに対照的なのは、サマーチャンピオンのほうにはもう少しでダートグレードのタイトルに手が届きそうな東海勢が遠征したのに対し、こちらに遠征してきた東海勢は、勝ち負けにはかなり厳しい感じだ。
というわけで馬券は、メイショウバトラーとアグネスジェダイの馬連複と、メイショウバトラー頭の馬単がいくらつくだろうかと悩むところ。
地元勢ではやはりテンショウボスだが、1200メートルの早池峰賞を勝っているとはいえ、1400メートル以下の経験がそれほどなく、いきなり中央勢のペースについていくのは厳しいだろう。△は3頭挙げたが、あくまでも3連単の3着候補。
今年の夏もかなり暑いだけに、よほど体調を崩しているとか、落馬や大きな不利などのアクシデントでもない限り、上位2頭の決着は動かしがたい。
◎メイショウバトラー
○アグネスジェダイ
△テンショウボス
△ノボトゥルー
△ケイアイダンシング
昨年の船橋・クイーン賞GIII(JpnIII)に続く、地方のダートグレードとしては2つ目のハンデ戦。今年はさらに12月26日の兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIもハンデ戦となっている。
JpnIIIならもう少しハンデ戦が増えてもいいように思う。地方馬が勝てる可能性が大きくなるという贔屓目もあるが、それ以上に馬券の妙味が増す。これまでだと地方で行われるダートグレードでは、中央馬に、地方馬1〜2頭くらいしか馬券の対象にならないというようなことも少なくなかったが、ハンデ戦なら多くの馬にチャンスが広がる。
今回のサマーチャンピオンは上が56キロのディバインシルバーで、下は地方馬4頭が52キロ。もうちょっとハンデ差がつかないと馬券的にはおもしろくないような気もするがどうだろう。
たとえば仮にGI馬とかが出てくれば、58キロとか59キロになるだろうからGIII勝ちのあるディバインシルバーが56キロなのは仕方ないとして、下は50キロくらいにしてもいいと思うのだが。
ダートグレード勝ちがあるのは、中央勢でもディバインシルバーのみ。ピークは過ぎた感じで、04年11月の笠松・全日本サラブレッドカップGIII以来勝ち星がない。連対したのもちょうど1年前の盛岡・クラスターカップGIIIがいちばん最近のもの。
ならば中心は名古屋のキングスゾーン。昨年の彩の国浦和記念GIIも、今年のさきたま杯JpnIIIも、もうちょっとのところで勝てたというレース。そろそろこの馬に順番がまわってきてもいいだろう。
中央勢ではオフィサーとライラプスに可能性がありそう。ディバインシルバーもいつ走るかわからないようなところがある上に、今回のメンバーなら勝負になってもおかしくないので一応押さえておく。フサイチホクトセイは、これまで芝のレースしか使っていないため切る。
◎キングスゾーン
○オフィサー
▲ライラプス
△ムーンバレイ
△ディバインシルバー
△ザオリンポスマン
ところで、ライラプスの鞍上は鮫島良太騎手。佐賀でも親子対決かと思ったところ、残念ながらサマーチャンピオンには父の鮫島克也騎手に騎乗馬がない。なんとも残念なところではある。