九州ジュニアグランプリは、まだ馬インフルエンザの影響が残っているようで、地元荒尾在籍馬のみで争われることになった。
やはり中心はトライアルの若駒特別で後続を離して勝利を争ったスズナリジッコウとコトブキムーンだろう。その若駒特別では、スズナリジッコウは差のない3番手追走から直線抜け出し。コトブキムーンは後方を追走し、向正面からおっつけどおしも直線よく伸び、勝ったスズナリジッコウに3/4馬身差まで迫った。距離が100メートル伸びる今回、コトブキムーンに逆転の可能性ありと見る。3着以下には6馬身も差をつけていることから、この2頭の力が抜けていると見てよさそうだ。
別路線組では、デビュー3戦目での初勝利が好タイムで7馬身差の圧勝となったテイエムワッゼエ。当初はJRAに入厩し、父テイエムオペラオーと同じ岩本市三厩舎からデビューする予定だった期待馬。ここで素質開花となるか。ちなみに「ワッゼエ」とは、鹿児島弁で「すごく」とか「すごい」という意味らしい。ちなみにもう1頭のテイエム「キバレー」は、「がんばれー」らしい。こっちはなんとなくわかるか。
そしてデビューから2連勝後の若駒特別では1番人気に押されるも見せ場なく7着に敗れたブルーダイマサだが、まだその一戦だけで見限るわけにいかない。
◎コトブキムーン
○スズナリジッコウ
▲テイエムワッゼエ
△ブルーダイマサ
東海地区では今シーズン初めて行われる2歳馬による重賞。通常なら笠松・名古屋所属馬は、例年活躍が目立つ金沢・兼六園ジュニアカップに遠征している馬もいるが、今年は馬インフルエンザの影響で金沢所属馬のみの重賞として行われたため、いずれの馬もこれが重賞初出走となる。
ここは準重賞の秋風ジュニアまでデビューから2連勝のチェイリュイが本命。
相手には、秋風ジュニアを上回る勝ちタイムで1400mのJRA認定未勝利戦を勝ったグッドプレイヤー。
そのほか、2戦以上している馬の多くはチェイリュイと勝負付けがすんでいるため、それならデビュー戦を勝ったのみの2頭、トチオトメ、デジタウェーブの可能性に賭けてみる。
◎チェイリュイ
○グッドプレイヤー
△トチオトメ
△デジタウェーブ
個人的に今年ちょっと注目しているのが、カルラネイチャーの産駒。きちんと調べたわけではないのだが、笠松のほかに兵庫や北海道でもカルラネイチャー産駒の2歳馬が勝ち上がっていたように思う。北海道ではネイチャーグロウがサンライズカップで惜しい2着だった。
今回のメンバーではチェイリュイとトチオトメがその産駒だ。
カルラネイチャーは91年生まれで、サラブレッドの地方最多勝記録を持つブライアンズロマンとは栃木での同期。3歳時の重賞戦線では、カルラネイチャーがとちぎダービーを制し、ブライアンズロマンはデビュー以来初の敗戦となる2着で、そこまではカルラネイチャーが栃木では断然の存在だった。その後カルラネイチャーは中央入りしたがまったく成績を残せず。その後は上山に在籍したが、レースには復帰できずに引退し、種牡馬入りした。
おそらく産駒は毎年一桁だろう。これまでの活躍馬には、北海優駿や道営記念などを制した北海道のビックネイチャーがいる。そんな中での活躍だから、もっと数多く、しかも良質の牝馬に種付けをしていれば、どれほど活躍馬を出していただろうと思ってしまうのである。
そういう意味でも今回のジュニアクラウンは、チェイリュイとトチオトメを応援したい。
ようやく東海地区でも、この笠松の開催から所属以外の馬の出走が解禁された。もともと笠松・名古屋は所属馬の頭数的にも新馬戦や下級条件などを除いて、常にどちらのレースにも出られることが前提で番組が成り立っているため、やはり笠松単独、名古屋単独の開催では厳しい。
これで発生が遅かった浦和を除き、地方競馬でもほとんどの競馬場で馬インフルエンザが収束したことになる。途中何日か開催を休止する主催者もあったが、何週間とか何カ月もの休止にならずにすんでほんとうによかった。
さて、笠松で交流が再開されて最初の重賞となる岐阜金賞。東海・北陸・近畿・中国地区の交流だが、ちょっと残念なことに名古屋以外からの遠征がなかった。それでも笠松・名古屋のこの世代の重賞常連が顔を揃え、注目の一戦となりそうだ。
大井の黒潮盃でアッと言わせたマルヨフェニックスは、優先出走権を獲得した盛岡・ダービーグランプリが、やはりインフルエンザの影響で地元馬だけの重賞になったことで出走がかなわなかったのはなんとも残念だったが、その代わりにこの地元の重賞を使えることになった。2歳時にライデンリーダー記念を制して以降は一貫して重賞路線を歩み、春のスプリングカップ(5着)や駿蹄賞(3着)のころはいまひとつのレースぶりだったが、東海ダービーを勝ったあたりから本格化。ここは当然不動の本命。
対抗には名古屋のワイティタッチ。駿蹄賞を制し、1番人気となった東海ダービーはマルヨフェニックスの2着。金沢に遠征したMRO金賞を制し、前走古馬オープンとの対戦となった秋の鞍はさすがに6着に破れたが、同世代同士の重賞で巻き返したいところ。ただマルヨフェニックスの充実ぶりと比べるとやや見劣りはする。
そのほかもやはり重賞常連組で、スプリングカップの覇者キャプテンハート、まだタイトルこそないものの前走古馬B2クラスを勝っているビヨンザシー、同じく古馬B3特別を勝っているトミノダンディなど。
ただ、馬券的にはマルヨフェニックスからだと絞る必要があるかもしれない。
◎マルヨフェニックス
○ワイティタッチ
▲キャプテンハート
△ビヨンザシー
△トミノダンディ
馬インフルエンザの影響が長引き、地元馬限定の重賞となった。
ここは百万石賞でハナ差の接戦を演じたビッグドンとマヤノオスカーの再度の一騎打ちと見る。
その百万石賞は、マヤノオスカーが3コーナーで一気に先頭に立つと後続との差を広げ、そのまま押し切るかに思えたが、直線追い込んできたビッグドンがわずかにハナ差で差し切った。その後ビッグドンは帝王賞に挑戦して8着、マヤノオスカーは名港盃に遠征して6着で、いずれも今回は遠征後の休み明けの一戦となる。
百万石賞ではビッグドン57キロ、マヤノオスカー56キロだったのが、今回はどちらも56キロだから、ビッグドンに分がありそうと考えるのが普通だろう。しかしここは、今年も金沢のリーディングでトップを走る吉原寛人騎手の、百万石賞のとき以上の奇策に期待をかけてみた。
以下は、ともにA1クラスで上位の常連となっているリュウヨウとサムソンリンリンだが、上記2頭とは差がありそう。展開のアヤでどちらかが崩れたときの2着候補。
◎マヤノオスカー
○ビッグドン
△リュウヨウ
△サムソンリンリン
出馬表を見てアレ?と思ったのだが、今回からビッグドンが加藤和宏厩舎に移籍しての出走となっている。騎手は引き続き加藤和義騎手で、出馬表の表記はどちらも「加藤和(金沢)」で同じなのだ。
「加藤和」と表記される騎手や調教師が多いのはなぜだろう。
加藤和宏調教師は元高崎の騎手・調教師で、中央にも同姓同名、漢字も同じ加藤和宏調教師(元騎手)がいる。さらに、おふたりが現役騎手だったころ、川口オートにも加藤和宏という選手がいたと記憶している。
そして、現在浦和所属の加藤和博騎手は、かつては足利の所属で、加藤和宏調教師が騎手だったころには、北関東でふたりの「加藤和」騎手が存在していた。
だからなんだというわけではないのだが、「加藤和」という表記が並んでいたのを見て思い出したので書いてみた。
4歳牝馬による重賞で、もっとも上位に格付けされている500万クラスのニシキユウとエメラルドが670キロで、ひとつクラスが下がるごとに5キロずつ減という別定戦。
過去5年のデータを見てみると、トップハンデの馬はことごとく負けていて、連対したのも03年2着のアンローズのみ。ようるすに牡馬と互角以上の力があるアンローズ級でないとトップハンデ馬には厳しいレース。しかも昨年までこのレースは岩見沢での開催で、アンローズのもっとも得意としていたコース。それほどのアドバンテージがなければ、トップハンデは用無しということになる。
同世代同士の別定重賞は、好調の軽ハンデ馬(格下からの上がり馬)を狙うのがセオリーだが、どうにもそういう馬が見当たらない。好調といえるのは、430万、500万と連勝しているトップハンデのエメラルドくらいなもの。
そこで消去法的に本命にしたのがキタノパワー。前走1番人気での9着に目をつぶるとすれば、その前の5走は250万から300万のクラスで5戦2勝、2着2回、3着1回と安定した成績を残していた。それから今シーズン18戦して8連対、掲示板を外したのも1度だけというセンコウラブリイ。この2頭の上がり目が期待できるのではないだろうか。
あとは250万クラスで堅実な成績を残し、今は300万クラスに格付けされているサクラガサイタ。
アンローズ級でないと用無しと書いたトップハンデ馬だが、前々走600万のクラスで連対しているニシキユウは気になるところ。前走ではエメラルドに負けているのものの、そこではニシキユウのほうが5キロ重く、今回は同重量となった。
一応キタノパワーとセンコウラブリイが中心だが、どの馬にもチャンスがありそうなレース。抜けた人気になる馬もいないだろうから、馬券はトリガミ覚悟で手広く高配当を狙いたい。
◎キタノパワー
○センコウラブリイ
▲サクラガサイタ
△ニシキユウ