東京大賞典JpnIとメンバーが分散してしまいがちな名古屋グランプリJpnIIだが、今年はダートの長距離に適性がありそうな楽しみなメンバーがそろった。
それにしてもボンネビルレコードは、帝王賞JpnIを勝っているにもかかわらず、浦和記念JpnIIでも東京大賞典JpnIでも、登録が発表された段階ではいずれも補欠だったのはなんともかわいそうな感じだった。それだけ中央勢の層が厚いということなのだろう。いっそのこと大井に戻ってしまうという選択肢はなかったのだろうか。
中央から北海道に移籍したジンクライシスや、船橋に転厩したトーセンジョウオーなどは、おそらく地方に在籍していたほうがダートグレードに出走しやすからという理由での転厩だったのではだいだろうか。
人気になるのはジャパンカップダートJpnI で2着のフィールドルージュだろうが、それ以外の重賞ではいまひとつのレースが多いだけに、中心にはしにくい。そのジャパンカップダートで2着に来られたときも、そういえば去年は3着だったなあという印象を抱いた人も多かったのではないだろうか。
それならば、この距離でこそとここを狙ってきたマズルブラストを中心にしてみたい。これまでに勝った重賞は2400メートルの東京記念と、2600メートルの大井記念。いずれも圧倒的なレースぶりを見せたが、2000メートルあたりのレースになると、南関東限定の重賞でもコロっと負けてしまう。地元南関東の東京大賞典JpnIではなく、わざわざ名古屋まで遠征するにはそれだけの理由があるのだろう。
人気はフィールドルージュとロングプライドに偏るだろうから、手広くいきたい。印はボンネビルレコードまでしかつけていないが、クーリンガー、ウイニングウインド、クインオブクインあたりまで流すかもしれない。
◎マズルブラスト
○フィールドルージュ
▲チャンストウライ
△ロングプライド
△ムーンバレイ
△ボンネビルレコード
金沢では年末の大一番、中日杯。
王者ビッグドンが名古屋グランプリJpnIIと東京大賞典JpnI両グレードレースの選定馬となっていて地元のここは不在。残念といえば残念だが、馬券的な妙味は増したといえるだろう。
ただ中心は北國王冠を大差で圧勝したマヤノオスカーで堅そうだ。
北國王冠で2.3秒もちぎられてしまっては、相手はやはり別路線の馬を狙うべきだろう。
白山大賞典はやや離された4着も、前走1900メートルのA1を勝ったリュウヨウに、金沢転入後15戦して未勝利も、堅実に馬券にからんでいるナムラカイソク。
穴っぽいところでは、前走初めてのA1特別で1番人気に推されるも5着だったフェスティブドパリ、近走不振も長距離で力を発揮するテンリットルあたりが馬券的にはおもしろそうだ。
◎マヤノオスカー
○リュウヨウ
▲ナムラカイソク
△フェスティブドバリ
△テンリットル
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昨年まではアラブの3歳2冠目として行われていた鞆の浦賞が、今年からはサラブレッド3歳のレースとなった。まったくの推測だが、時期的なことを考えると来シーズンあたりからはこのレースがサラブレッド3歳の3冠目となるのではないだろうか。
ここはよほど展開がまぎれない限りモモカプリンセスで間違いないだろう。後方から追い込む脚質だけに、前残りの展開になったらどうかという不安はあるが…。古馬C2あたりで勝ちきれない馬が多いなかで、モモカプリンセスは前走でB1特別を勝った。たしかに重賞は牝馬同士でしか勝っていないが、福山ダービーで先着を許したモエロアルカング、サンアルカローラが、その後は古馬に編入されるとC2あたりでもまったく勝てなくなってしまったことを考えれば、モモカプリンセスの充実ぶりが際立つ。
福山3歳牝馬特別では、勝ったモモカプリンセスの次に入線したサラブレッドは4着のサンアルカローラで、その間にアラブに食い込まれているだけにやはり差はある。ならば近走充実著しいシークラッカーが相手。
この2頭の組合せを厚く、押さえは実績のあるサンアルカローラとスターゴールドまで。
◎モモカプリンセス
○シークラッカー
▲サンアルカローラ
△スターゴールド
福山では、アラブ3歳馬によるアラブ王冠が行われる。
今年の福山のアラブ2歳馬の在籍頭数(10頭前後か?)を考えると、このアラブ王冠がおそらく馬齢限定のアラブ重賞としては、日本で最後のレースになるだろう。
出走馬の血統を見ても、まさに残るべくして残ったという活躍馬の名がいくつも見られる。
イケノセブマインの母ピカイチは、大井最後のアラブ三冠馬トチノミネフジが1世代のみ残した産駒から出た活躍馬。兵庫に在籍して、園田・益田・福山交流特別(福山)と、フクパーク記念(姫路)の2重賞を制した。思い出すのは楠賞全日本アラブ優駿。12頭立ての11着だったのだが、ゴールラインを過ぎた瞬間に、馬場にペタッとへたりこんで動かなくなってしまった。心臓でも止まったかと思ったが、しばらくしたら立ち上がって歩き出し、厩務員さんに引かれていった。その後も普通に出走していたので、特になんともなかったようだ。
エイケイボーイの母ピアホルテは、岩手でアラブ大賞典や紫桐杯など重賞6勝を挙げた女傑。同世代で、大井の全日本アラブ大賞典を制したミスターホンマルと繰り広げた名勝負の数々は思い出深い。
ユノギャラクシアの母ギャラクシアは、福山で2歳時にヤングチャンピオン、3歳時にクイーンカップを制した。
イチテンプの父レオグリングリンは上山に所属して重賞を13勝。大井の全日本アラブ大賞典では惜しくも2着。東北地区交流の重賞では、前記ピアホルテやミスターホンマルとも何度か対戦した。
ニュースキーの父ミスターオリビエは、ピカイチと同世代の兵庫2歳(旧3歳)チャンピオン。楠賞全日本アラブ優駿は3着だった。
エイケイボーイとキヨノトウザイの父コウザンハヤヒデは、荒尾所属馬としてはダイメイゴッツに次ぐ2頭目の楠賞全日本アラブ優駿勝ち馬。デビューから無傷の11連勝での同レース制覇だった。
さらにキヨノトウザイの母モデルは、重賞勝ちこそなかったものの、ミスターオリビエとピカイチも出走していた楠賞全日本アラブ優駿で8着だった。
記憶をたどってちょっと調べただけでもこれだけの活躍馬が出てきた。時代の流れとはいえ、なんとも寂しいものである。
で、アラブ王冠だが、イケノスリリングが堅い中心。福山アラブダービーを勝ち、古馬A2クラスを2連勝で卒業、前走A1特別でも4着と好走した。
相手には同厩舎、同馬主のイケノセブマイン。前々走の福山3歳牝馬特別では、この世代のサラブレッドでトップクラスにいるモモカプリンセスの2馬身差2着と健闘した。
2歳時に破竹の勢いで勝ち進んだミスジョージは、やや勢いが衰えたとはいえ、サラブレッドも含めた古馬が相手の金杯で3着、福山3歳牝馬特別ではイケノセブマインからハナ差の3着。以上3頭がこのメンバーでは実績的に抜けている。
格下からでは、C級を2連勝中のケイコウウンナン、エイケイボーイが力をつけていれば上位に食い込む可能性も。
◎イケノスリリング
○イケノセブマイン
▲ミスジョージ
△ケイコウウンナン
△エイケイボーイ
ばんえい競馬は、6月の黒ユリ賞、9月のばんえいプリンセス賞に続く3歳牝馬3冠の最終戦、ばんえいオークス。先の2冠が別定重量だったのに対し、ここは定量戦。
メンバー中格付け最上位のペガサスプリティーが、ばんえいプリンセス賞に続く2冠達成濃厚。黒ユリ賞で6着に敗れて以降は、14戦10勝で、前走では300万クラスもクリアした。実績では断然抜けた存在。
相手にはハンデに恵まればんえい大賞典を制したプリンセスモモ。ばんえいプリンセス賞はニシキガールと同じトップハンデで8着に敗れたが、定量のここなら実力上位。
クラスは下だが狙っておもしろそうなのがプリンセスミント。勝ちきれないレースは多いものの、近走は3着を外さない堅実なレースを続けている。格付け上位馬の一角崩しを狙いたいところ。
重いハンデに苦しみ続けてきたニシキガールも、定量戦のここなら再び台頭してもおかしくはない。
◎ペガサスプリティー
○プリンセスモモ
▲プリンセスミント
△ニシキガール
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今年からサラブレッドのレースとなった福山のヤングチャンピオン。
地元5連勝で兵庫ジュニアグランプリJpnIIに挑戦したウルトラエナジーだが、さすがにダートグレードだけあってレベルが高く、しんがりに敗れた。しかし地元に戻ってのここは、ほとんど勝負付けの済んだメンバーばかり。初の1600メートル戦となるが、血統的にも心配はない。輸送と大敗の反動が心配だが、それさえなければここもあっさりだろう。
相手は互いに勝ったり負けたりを繰り返しているメンバーで難しい。筆頭には、前走1600メートル戦になって後続を7馬身ちぎったマルチグランドボス。
そして未勝利馬だが6戦連続2着というテンテンマルスも気になる。見れば父はステイゴールドではないか。なかなか勝ちきれない脚質というのも遺伝するのだろうか。
◎ウルトラエナジー
○マルチグランドボス
▲テンテンマルス
△ゴールドスリリング
△スターハンセン
園田金盃は、かなりむかしには姫路の2000メートルで行われたこともあるようだが、アラブの時代は長らく2300メートルで、馬場が現在の形態になってからは2400メートルで行われている。
99年まではアラブのレースだったが、00年には前年から導入されたサラブレッドが3歳(旧年齢4歳)になったことで3歳限定のサラブレッドのレースとして行われた。
01年には古馬のサラ・アラ混合戦となり、園田最後のアラブの名馬といってもよい、ワシュウジョージが勝った。
02年にも混合戦として行われているのだが、さすがにこの年以降はサラブレッドが勝つようになる。
02年 コスモクロス(父タマモクロス)
03年 マイネルエクソン(父スキップアウェイ)
04年 ロードバクシン(父サクラバクシンオー)
05年 ニューシーストリー(父フサイチコンコルド)
06年 タガノインディー(父ガルチ)
と、勝ち馬と父馬を並べてみると、さすがに長距離戦らしい種牡馬が並んでいる。
が、その中で異色なのはやはり父サクラバクシンオーだろう。ロードバクシンは、父とは違い、園田の1870メートルまではまったく苦にしなかった。母のほうににスタミナがあるのかと思って見たら、母の父がキュアザブルースで、これもどちらかというと産駒はマイル以下での活躍馬が多い。さらに母系を遡るとそういう血統なのかもしれないが、専門分野ではないので、これ以上の深入りはやめておく。ただサクラバクシンオー産駒は、ロードバクシンに限らず父ほど短距離一辺倒という馬ばかりという感じはない。
で、今年のメンバーだが、近走の成績を見ると5連勝中のベストタイザンが抜けている。ただ、短距離戦ばかりを選んで使っているのが気になるところ。それでもやはりこの馬の安定度は抜群で、昨年のこのレース2着というのも心強い。
相手は難しい。重賞ではダートグレードも含めて見事に3着、4着しかないが、かといって一般戦では一度9着に負けた以外は連戦連勝のアグネスミステリーは、どこかで一発がありそうな感じ。
人気がなければ狙って面白そうなのがタマモアーチスト。兵庫に移籍後は5戦して3着が最高という成績だが、中央時代は頑なにダートで2000メートルを超えるレースばかりを使われてきた。
8月の摂津盃でジョイーレ、アグネスミステリーとの接戦を制したマグマサインも争覇圏。
ギャランティビートは、前走、楠賞でジョイーレから4馬身離されての2着だが、アブクマポーロ産駒ということで贔屓目も込めて期待したい。
◎ベストタイザン
○アグネスミステリー
▲タマモアーチスト
△マグマサイン
△ギャランティビート