7日メインはオープン馬による地方競馬全国交流「第46回せきれい賞」(盛岡芝2400m)。今シーズンの芝スタートは先週6月30日。7R、B1・朝顔賞、メイン11R、3歳・サファイア賞が行われたが、盛岡競馬場は激しい雨が降ったため翌日7月1日、第1、第2Rの2歳新馬は芝1000mからダート1000mへ変更。7月2日はJRA条件交流・アメジスト賞が8Rで行われたのみ。結果的に芝は3レースだけ。傾向を推測するデータ不足で、いきなり交流重賞・せきれい賞は行われる。当然のように波乱の要素は多いが、盛岡芝実績が高い馬がそろった。
アトミックフォースは中央芝2000m4勝、GIII・新潟大賞典2着から南関東へ移籍。2戦目から2連勝を飾り、せきれい賞へ参戦。盛岡芝2400mのコースレコードを25年ぶりに更新。1997年、ロイヤルハーバーがマークした2分29秒0を0秒5塗り替えた。
続いて11月、OROカップへぶっつけで臨み、2着コズミックフォースに1秒差(6馬身)をつけて圧勝した。続いて南関東帰郷戦を快勝し、GI・東京大賞典へ挑戦14着。その後は休養に入り、8月に復帰。その一戦を叩いて9月、OROカップへ駒を進めて見事連覇を果たした。以降は順調さを欠いて4ヵ月休養から中原オープン6着から今回参戦する。今年8歳の高齢馬だが、盛岡芝は3戦3勝。休み明けを叩いて変わり身も見込め、せきれい賞2度目の制覇する可能性は高い。
ヴィゴーレは中央芝1800m2勝、新潟ダート1800m1勝から南関東へトレード。浦和2000mを勝ち、昨せきれい賞へ参戦。ゴールドギアを退けて初重賞をゲット。キズナ産駒の期待馬が待望の重賞制覇を果たした。
続いて小倉日経オープンに挑戦したが、11着に終わって地元競馬に専念。1勝をマークして相手が強かった前走7着以外は堅実さを発揮してきた。アトミックフォース8歳に対し、ヴィゴーレは6歳。この2歳差を味方に逆転、2連覇を狙う。
ゴールドギアは昨年、中央芝5勝オープンから岩手入り。初戦のダート重賞・あすなろ賞で2着を確保して芝準重賞・かきつばた賞を優勝。続いてせきれい賞へ出走したが、惜しくもヴィゴーレの0秒1差2着に敗れた。OROカップでも3着を確保したが、以降はダート以外に選択肢がなし。当初は戸惑うケースが多かったが、今年は徐々に克服。あすなろ賞2着、一條記念みちのく大賞典でも3着に健闘した。
過去実績からも盛岡芝2400mがベストの条件。芝1700mでは追走に手こずっていることから、ゆったりと流れる2400m向き。今度こそ重賞タイトルを獲得できるか、期待が集まる。
マンダリンヒーローはデビュー4連勝を飾り、重賞・ハイセイコー記念を優勝。5戦目の雲取賞2着からアメリカへ遠征。サンタアニタダービーでハナ差2着に惜敗し、ケンタッキーダービーにも挑戦して話題を集めた。帰国後は3戦連続2着。ダービーグランプリはミックファイアに敗れ、以降は10、2着、4着。勝ち切れないレースが続き、芝に活路を求めてきた。最大ネックは初の芝対応だが、近親には芝で活躍馬が多数。2歳以来の勝利を手にし、今後の選択肢を増やしたいところ。
ブローヴェイスは中央2戦から再転入後1勝2着2回3着1回。芝2400m3歳重賞・サファイア賞を優勝した。持ち時計は劣るが、適性は証明済み。
ソロフレーズは一昨年、いしがきマイラーズ優勝後、勝ち星なし。3着が最高だが、盛岡芝3勝。一変の可能性がある。
◎⑨アトミックフォース
〇①ヴィゴーレ
▲④ゴールドギア
△②マンダリンヒーロー
△⑪ブローヴェイス
△⑥ソロフレーズ
<お奨めの1頭>
2R アークヴィルヌーブ
転入初戦を2着にまとめて上々の滑り出し。ここでは前走タイムが抜けており、順当に勝利を飾る
6月30日(日) 「第17回サファイア賞」(3歳 盛岡芝2400m)
当日4R以降、雨が降り始め、サファイア賞前から大粒の雨。かなり水分が含んだ芝で行われた。好スタートを決めたのはプリズムスペクトル。2番手にドリームキャッチがつけたが、3番手パラダイスリズムがハナを主張して3コーナー手前で先頭。超スローの流れに落とした。あとはマイペースに持ち込み、残り800mからジワジワと後方を離して、そのまま押し切ってゴール。2着シンプロレタリアトに4馬身差をつけて逃げ切った。
1着・パラダイスリズム=岩本怜騎手
「できれば逃げたいと思っていたので早め先頭に立ったが、道中いい感じで進めることができた。この馬は気性的に難しいところがあり、機嫌を損なわないように心がけたが、今日はスムーズにレースを運べたと思う。あとは後ろからどこまで来られるかだったが、セーフティリードを取れたのも勝因。手のかかる馬だそうですから、きゅう舎スタッフの方も喜んでいましたし、自分も勝てて嬉しいです」
橘友和調教師
「前走6着は小回りが合わなかった。中央時代は5戦とも芝を使っていたので、芝も2400mも合うと挑戦を決めた。今日の馬場なら先に行った方がいいでしょうし、転入前のレース(中京芝2000m)で2番手の競馬をしていたので逃げの手に出たも勝因だったと思う。今後については考えていません。これからオーナーと相談して決めたいと思っています」
7月2日(火) 「第12回ハヤテスプリント」(3歳・地方競馬全国交流 盛岡ダート1200m)
大外に入ったオスカーブレインがいつもどおりのロケットスタートを決め、早々と主導権を握った。2番手にポアゾンボス、3番手にスピニングガール。1番人気に支持されたマッシャーブルムは4番手を追走した。気分良く逃げたオスカーブレインは直線で内にササりながらもスピードは緩まず、5馬身差で逃げ切った。
1着・オスカーブレイン=山本聡哉騎手
「スタートが速いのは分かっていたので(自分が)置かれないように気をつけた。大外に入ったので相手が速かったらやりづらかったけど、楽に先手を取ることができた。直線でササるのは想定内。それでも後ろを突き放したから、盛岡の軽い馬場も合ったと思う。今日は強豪メンバーがそろいましたが、いいパフォーマンスを見せることができて嬉しいです」
角川秀樹調教師
「輸送の影響もあって体重がちょっと減っていたが、南部駒賞もそうだったように、このぐらいがちょうどいいかも知れない。今回が休み明け3戦目、時計が出る盛岡の馬場も合ったと思う。この馬はとにかくスタートセンスがすばらしい。次走は決めていないが、このレースを勝ったので北海道スプリントカップになるかもしれないね。メンバーは強いだろうが、持ち味を生かしてほしいと思っています」
オスカーブレインはダノンレジェンド産駒でデビューから一度もハナを譲ったことなし。今回も楽に先手を取った。今季2戦はストリームに完敗だったが、パワーの要る門別の馬場にも手こずっていたか。単調な逃げタイプでマークされる厳しさはあるが、速いタイム決着になれば今回の再現も十分可能だろう。
2着・マッシャーブルム
京都ダート1800m・新馬戦を快勝後、南関東へトレード。初戦の大井2000mを勝ち、クラシック路線へ名乗り。JpnII・京浜盃6着、JpnI・羽田盃6着に終わり、大井1200mを使ってみたところ2着を確保。今回は短距離適性を確かめる一戦だったが、オスカーブレインとの差は5馬身。エンジンがかかった時はすでに遅し―だった。今後の路線選択に注目が集まる。
今週の岩手競馬
7月7日(日) 「第46回せきれい賞」(オープン・地方競馬全国交流 盛岡芝2400m)
7月8日(月) 「小暑特別」(A級一組 盛岡ダート1600m)
7月9日(火) 「第56回岩鷲賞」(オープン 盛岡ダート1200m)
6月30日、この日から始まった夏の盛岡開催初日にあわせて今季最初の芝重賞『サファイア賞』が行われました。あいにくの強い雨の影響で稍重の馬場で行われたレースは5番人気パラダイスリズムが優勝。自身の2勝目を重賞制覇で飾りました。
ほとんどの馬にとって初めての2400mというだけでなく、先の盛岡開催に芝戦が組まれていなかったこともあって盛岡の芝が初めてという馬も少なくなく、戦前から予想以前に有力馬の絞り込みにも悩むレース。加えて雨の影響で末脚も封じられるような状況になってさらに難解になりましたが、終わってみればパラダイスリズムが2400mを逃げ切り勝ち。「こういう馬場になったことで差し馬の末脚が鈍るだろう。思い切って逃げて勝負と指示しました」とは同馬を管理する橘友和調教師。その読みが見事にはまった勝利でもありました。
7月2日のメインレースは12Rの3歳・地方競馬全国交流重賞『ハヤテスプリント』。遠征馬6頭・地元勢6頭が1200mの舞台で戦います。
夏の盛岡開催初日は先にも触れたように雨から始まりましたが2日目の7月1日は好天に転じて馬場の回復も急。その回復具合の刻々の変化によって馬場傾向が大きく変わる難解な1日にもなりました。7月2日も朝から好天が続く予報。傾向や展開は7月1日の終盤ともまた変わってくると思われますのでご注意を。
さてハヤテスプリント。本命は(5)マッシャーブルムです。
JRA時代にダート1800mの新馬勝ち、南関に移籍しての初戦でも大井2000mの準重賞を制し一躍クラシック候補の一角に挙げられる存在になった同馬。京浜盃、羽田盃でも上位に入ってきましたが東京ダービーには向かわず、かわって矛先を向けたのが1200m路線でした。前走の優駿スプリントトライアルはしかし、大幅距離短縮にもかかわらず、そして短距離路線の実績馬を相手にして2着を確保。敗れはしましたがスピード性能の高さを示す結果だったといえるでしょう。
そのまま優駿スプリントに向かっても上位争いできたでしょうが、ここに向かってきたということは勝ちを狙ってきたものと判断すべき。もちろんそれだけの力量があると見ての本命視です。
対抗は(12)オスカーブレイン。昨年の南部駒賞では初マイルを懸念されながらも快速を活かし切って2着確保。これで輸送やコース対応にもメドが立った様子でした。門別での今季二戦はもうひとつの結果でしたが今回はいわゆる叩き三戦目。門別とは違う軽い盛岡の砂を狙っての遠征なのも不気味。
三番手は(11)ワールドエンパイアを。2着が目立つ戦績ですが相手は重賞勝ち負けレベルの強敵がほとんど。むしろこの馬の能力の高さを示している結果といえます。前走は、水が浮くようなオーストラリア砂は巧拙が極端に現れるので度外視可。あとは初輸送がカギですがそれをクリアできたなら勝ち負けまで。
(4)ツキシロは南関でも早い時期にデビューしていた馬で、重賞級のタイトルこそないですが地力の高さは早くから評価されていた馬。距離短縮も恐らく好材料。もう一頭は(6)スピニングガール。昨秋までの実績ならこのメンバー中でも最上位レベルでした。大井の砂が苦手という可能性があり一変に注意を。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(5)=(12)、(5)=(11)、(5)=(4)、(5)=(6)
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