4月30日(日)、岩手クラシック一冠目「第43回ダイヤモンドカップ」(盛岡ダート1600m)は単勝1・2倍の圧倒的支持に応え、ミニアチュールが快勝。この勝利で北海道から転入後、無傷の5連勝。重賞4連勝を飾り、No.1の座を盤石のものにした。
ただ、余裕の勝利ではなかった。直線でリッキーナイトが猛追。0秒1差まで肉薄された。理由はいくつかある。まず生涯初めての左回り。「ところどころフワフワして、コーナーで外に張り気味だった」と山本聡哉騎手。返し馬もずっと右手前で走っていた。
とはいっても道中の手応えは上々。4コーナーでは逃げの手に出たダレカノカゼノアトを馬なりで捕らえ、余裕でゴールに入るかと思った。ところが盛岡の上り坂を過ぎた後、手応えが怪しくなって鞍上の手が動いた。最後は地力で押し切ったが、ヒヤッとさせるシーンだった。
これが競馬の難しさ。初の盛岡、初のバンケットにミニアチュールはとまどった。ハロンラップもそれを裏付けている。スタートから12秒7-11秒5-12秒0-12秒4-12秒5-12秒1-12秒6-13秒6。
前半3ハロン36秒2-上がり3ハロン38秒3。特に注目してほしいのはラスト2ハロン。盛岡ダートでは4コーナーからゴールまでだが、12秒6-13秒6。いかに上り坂がこたえたか、が一目瞭然。ミニアチュールの上がりが38秒1に対し、リッキーナイトは37秒8。メンバー最速の上がりでミニアチュールに襲い掛かった。
ミニアチュールは水沢1600mを難なくこなしたが、盛岡マイルは相当こたえた。それでもしっかり勝ち切れるのが強さの証であるのは間違いない。
佐藤祐司調教師「課題だった輸送はうまくクリアーできた。返し馬が右手前だったが、今回が初めての左回り。次はもう少し良くなってくるはず。この馬の能力は相当レベルだと思うが、牡馬はこれからどんどん成長する。実際、最後はリッキーナイトに差を詰められましたからね。今後は成長力がカギになると思います」
エンパイアペガサスで一時代を築いた佐藤祐司調教師。さすが、牡馬クラシック一冠目を制したことを喜びながらも、冷静さは忘れていない。エンパイアペガサスも3歳を迎え、走るたびに力をつけていった。
ミニアチュールの今後については「次走のことは柔軟に考えている。メインはもちろん東北優駿だが、馬の状態などと相談して決めたいと思っています」
今年の東北優駿(岩手ダービー)は6月11日(日)、舞台は水沢2000m。余裕で4連勝を飾った水沢に戻るのは100%プラス材料だが、距離がカギ。佐藤祐司調教師「柔軟に考えている」のは2000mを選んでいいか否か。決断を待ちたいところだ。