12月5日に行われた古馬マイルの重賞『トウケイニセイ記念』はこれが転入初戦となるノーブルサターンが優勝。昨年2月以来の勝利を重賞制覇で果たしました。
2019年のマーキュリーカップにはJRA代表として出走、2着に食い込んでいた同馬はその後2020年になって南関東に移籍。2021年の名古屋・梅見月杯を遠征で制するなど活躍の兆しを見せました。しかし同年のブリリアントカップ2着後はしばしば健闘するものの勝ち星には届かず、11月のサンタアニタトロフィー6着後に岩手に移籍してきていました。
今回は既存勢力にも際立って抜けた存在がおらず勝てばほとんどの馬にとって"古馬重賞初勝利"となるような顔ぶれ。転入初戦での3馬身差勝利はそんな中でのJRAオープン→南関オープンの地力が優ったとみてよさそうです。
さて、先週11月27日からスタートした水沢競馬なのですが、今週は先週とは傾向が大きく異なって逃げ馬に厳しい馬場傾向が続いています。
先週も決して逃げ馬が楽な傾向ではありませんでしたが、しかし今週は差し馬のマクリがズバズバ決まる状況になっていて予想も苦戦の連続です。
天候も12月に入って一気に冬らしくなってきました。日中の気温が高くて5度程度、日が暮れる頃には体感マイナスですし、火曜日は午後になると軽い雪という予報も出ています。馬場傾向と天候と、悩む要素が多い一日になりそう。
さて火曜日のメインレースは11RのA級一組『師走特別』。本命は(9)ファルキートを採りました。
今季はB2級でスタートした本馬はその春初戦こそ7着に終わりましたが返す刀の2戦目を勝ち切るとその後は掲示板を外さない堅実な戦いの連続。クラスも徐々に上げて9月からA級、10月にはA級での初勝利も挙げました。堅実さだけでなくそれだけの相手強化に耐えるだけの力量も高く評価できるシーズンだったといえるでしょう。
二走前に4着に敗れたようにA級になるとさすがに常に馬券圏内とはいかないものの、とはいえその時の顔ぶれは今回と同様の強力メンバーで、その中での4着ならA級一組通用の力を再確認できたという評価も可能なはず。直近は先行競馬をしていますが差す形の競馬もできていましたから、馬場傾向による不利も大きくはないと見ます。
対抗は(5)スパイスマジック。夏の転入後は1勝に留まっていますがA級の一組二組、あるいは重賞で戦ってきているのですから低い評価は禁物。ここのところ末脚を活かした戦いをしてきているのは今週の馬場傾向を思えば不気味ですし、初の水沢になる点もJRA時代の戦績からは特に問題ないはずです。
▲三番手には(10)アマルインジャズでどうでしょうか。盛岡が不振でクラスの壁にぶつかった感もありましたが、夏の影響もあったのでは。冬になって立ち直ってきている点、春の水沢ではどこからでも動けるように見えた機動力。そろそろ怖い存在になりそう。
以下はまず(1)ツクバクロオー。最近の短距離での末脚をみて距離は短い方がより良い馬と考えてのこの印ですが、しかし昨年のトウケイニセイ記念でヒガシウィルウィンの僅差3着だったようにマイルが全くダメと言うことはない馬。好調さも計算できるところ。もう一頭は(11)サンエイブレーヴ。馬券を狙いづらい成績の馬ですが水沢のマイルはそんなに悪い条件ではないはず。連下まで位の気持ちでの一点。
●11Rの買い目
馬単(9)=(5)、(9)=(10)、(9)=(1)、(9)→(11)、(5)→(10)
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5日メインは冬の水沢競馬第一弾の重賞「第21回トウケイニセイ記念」(水沢1600m)。一昨年まで年明けのレギュラーシーズン最終週に行われていたが、昨年から開催時期が12月上旬に衣替え。位置づけも変わり、ローテーション的に桐花賞へも出走可能となった。
今シーズンのマイル戦線はシアンモア記念をヴァケーション、青藍賞をゴールデンヒーラーが優勝したが、2頭ともエントリーなし。一條記念みちのく大賞典を制したステイオンザトップは脚部不安のためリタイア中。混戦模様のままでトウケイニセイ記念を迎えた上、トライアル・白嶺賞が休止中。力量比較が難しい一戦となった。
グランコージーは2歳時6戦5勝、重賞2勝で2歳最優秀馬の栄誉を獲得。冬期間は南関東へ移籍してクラウンカップ6着から再転入。岩手クラシック一冠目・ダイヤモンドカップを9馬身差で圧勝した。以降はフレッチャビアンカの後塵を拝し、南関東へ再び移籍。5戦2勝の成績をあげ、岩手へ戻ってきた。
シアンモア記念から始動したが、馬体重が525キロ。岩手在籍時に比べ20キロも増え、体も一回り大きくなって成長がはっきりうかがえた。レースでも予定どおり主導権を握ったが、3コーナーでゴールデンヒーラーは早めに動いてプレッシャーをかけられたのが致命傷。最後まで粘ったが、ヴァケーションの0秒1差2着に惜敗した。
2戦目・一條記念みちのく大賞典はゴールデンヒーラーにハナを叩かれ、距離2000mも長く4着も仕方なし。その後、3ヵ月半の休養に入り、いしがきマイラーズで復帰した。芝はデビュー戦以来、しかも久々の実戦もこたえて8着に沈んだが、一度実戦を使われて気配アップ。前走逃げ切りを決め、上昇ムードでトウケイニセイ記念を迎えたのが心強い。
水沢1600m戦は3歳時、ダイヤモンドカップ圧勝で適性を証明済み。競りかける馬も不在でマイペースの逃げ必至。久々の重賞制覇が有望となった。
ノーブルサターンは中央ダート4勝後、2019年のマーキュリーカップ(JpnIII)に参戦してグリムの2着。その後、南関東へ移籍して梅見月杯(名古屋)1勝、2着1回。今年は着外の連続が気になるところだが、南関東の一線級が相手。前走・サンタアニタトロフィーは6着だったが、1秒4差なら悪くない内容。転入戦でいきなりタイトル獲得のシーンまで十分考えられる。
セイヴァリアントは中央ダート2勝、南関東A2を経て岩手入り。強烈なまくり脚を武器に3勝2着3回。連対を外したのは外を回される不利が影響した青藍賞4着のみ。依然、底を見せていない。水沢未経験だが、右回り2勝なら問題なし。ペース速くなれば一気突き抜ける。
カミノコは中央ダート3勝、南関東A2から転入。クラスターカップで5着に善戦し、盛岡ダート1200m3勝。自慢の切れが冴え渡り、目下2連勝中。一戦ごとに凄みを増している。絆カップは4着に敗れたが、内で揉まれたのが敗因。ポジションに注文がつくが、外枠なら持てる能力をフルに発揮する。その意味で大外枠は歓迎。距離延長も問題なく、あっさりまで。
ヴォウジラールは中央芝1800m、東京ダート2100m1勝から転入。初戦は10着凡走したが、2戦目5着から2着確保。前走は北上川大賞典へ挑戦して2着。ジェイケイブラックの末脚に屈したが、早め先頭に立ったのも敗因。本質的にはステイヤーだが、マイル対応も前々走で証明済み。軽視できない。
リリーモントルーは今季9戦連続で連対を果たして抜群の安定感。前々走は4着に敗れたが、前回快勝で軌道修正。重賞ではワンパンチ足りないが、マークは必要。
◎⑤グランコージー
〇⑧ノーブルサターン
▲④セイヴァリアント
△⑩カミノコ
△③ヴォウジラール
△⑥リリーモントルー
<お奨めの1頭>
2R ロジマスタング
転入初戦をあっさり逃げ切り北海道から2連勝中。タイムも文句なく、もう一丁いける
先週11月27日(日)から始まった水沢競馬。開催替わり3日間を終えた率直な感想は"結構、荒れたなぁ"だった。それを数字で現わしてみた。
1着 2着 3着
1番人気 16回 6回 2回
2番人気 5回 3回 6回
3番人気 3回 9回 5回
4番人気 5回 5回 2回
5番人気 2回 4回 4回
6人気下 2回 6回 14回
1番人気は33回中16回が1着。この数字だけだと人気サイドで決着したかに見えるが、2番人気5回、3番人気3回、4番人気が5回。1着は上位4番人気以内で決まっているが、注目してほしいのは6番人気の3着14回。これが荒れた最大の要因だった。そして2着も6回。1着は2回と少ないが、2着以下の数字は結構多かった。
一方、連対脚質を見てほしい。これは主観が入るので大まかな数字だと思ってほしい。
1着 2着 3着
逃げ 6回 7回 5回
先行 17回 13回 12回
差し 9回 12回 14回
追込 1回 1回 2回
先行17回、差し9回は想定内だろうが、逃げ切りが6回。実は有力馬に逃げタイプが多かったが、苦戦を強いられた。特に29日(火)は逃げ切り2頭、先行4頭が1着に対し、差しの1着が5回。逃げ馬が完全に不利な一日だった。だから最終11Rはユノートルベルが逃げ切りを決めたが、これは高松亮騎手の頭脳作戦。思い切って逃げ、マイペースに落としたのが勝因。差し有利のイメージが強かったから、逆に逃げ切ることができた。連対脚質は流れ次第の条件がつくが、改めて馬場傾向は重要だと思った次第。
さて今週はどんな馬場になるか。中間に冷え込み、雪も降った。果たしてそれが今週の馬場にどう影響するか。いち早く把握したい。
4日メインはオープン馬による「スプリント特別」(水沢850m)。今回はスプリント戦の中でも最短の850m戦。水沢競馬ではただ一つワンターンの競馬。当然だが、距離適性が最重要ファクターとなる。
トンデコパは昨年12月、北海道3勝から転入。850m戦で豪快なまくりを決め、コースレコードを更新。スティルプリンスが保持した49秒3を0秒2短縮した。直後に南関東へ移籍して2戦使って再転入。岩鷲賞は11着に沈んだが、2戦目のターフ特別で3着確保。生涯初めての芝をクリアーしたが、続く準重賞・ハーベストカップ6着後、戦線離脱。今回は2ヵ月半ぶりの実戦となったが、先にも記したとおり850mは特殊レース。久々でも息が持つケースが多く、トンデコパも久々は絶対能力でカバーできる。
カタナは中央ダート1400m3勝、ダート1200m1勝。その後、大井、名古屋を経て転入。初戦は7着に終わったが、休み明けを叩かれた前走逃げて4着。これで通用のメドが立った。カギは未経験のスーパースプリント850m対応だが、中央時代もスピードが売り物。あっさりの可能性も十分ある。
シングンポラリスは大井1200m2勝から今年4月に転入。2戦目から4連勝を飾った。夏場に調子を崩したが、涼しい季節になって反撃。絆カップ3着、以降も4、3着。軌道修正に成功した。こちらも850m初めてだが、器用さも兼ね備えるタイプ。
トミケンキルカスは中央オープン、南関東A2から転入。年をまたいで4連勝をマークし、交流・OROターフスプリントでも3着。古豪健在を誇示した。前走5着は出遅れがこたえたもので度外視。差しに転じても鋭い脚を使い、不気味な存在となる。
セイペイシェンスは前走10着は1600mが合わなかったため。短距離戦でも逃げの手に出て、今回も主導権を握る公算大。すんなりなら粘りを発揮。
カッチャオは近走苦戦を強いられているが、水沢850m4勝2着2回と実績一番。ノーマークにできない。
◎①トンデコパ
〇⑥カタナ
▲⑧シングンポラリス
△④トミケンキルカス
△⑦セイペイシェンス
△⑨カッチャオ
<お奨めの1頭>
2R フィアレスデザイア
転入2戦とも出遅れてスタートがカギだが、破壊力一目。このメンバーなら1300m短縮でも突き抜ける