先週5月29日、水沢1600mで行われた3歳重賞「第10回イーハトーブマイル」は4番人気フジクラウンが6馬身差で圧勝。重賞初挑戦で制覇の快挙をやってのけた。
瀬戸幸一調教師「昨年、デビュー3戦目を勝ったが、どこか苦しいところがあって順調に使うことができなかった。それが今年春まで尾を引いていたが、今回は追い切りを見て、これなら行ける。馬が変わったと思った。デビューする前から期待を集めていた馬ですからね。ようやく本来の実力を出してくれました。次走予定はオーナーの希望でもありますから東北優駿。一線級相手にどの程度戦えるか。期待を持って臨みたいと思っています」
今年の"ダービーシリーズ2022"東北優駿(岩手ダービー)は6月14日。スプリングカップを圧勝したクロールキックが水沢へ帰厩。また一冠目・ダイヤモンドカップを完勝したグットクレンジング、そして今回、イーハトーブマイルを圧勝したフジクラウンも名乗りをあげ、ようやく布陣がそろった印象。みなさんも有力各馬の動向を注視してほしい。
6日メインは「初夏特別」(A級一組 水沢1900m)。6月19日、水沢2000mを舞台に行われる岩手古馬の最高峰・一條記念みちのく大賞典にも直結するメンバーは顔をそろえた。
注目一番手はマツリダスティール。2歳時に最優秀ターフホースに選ばれ、昨年はシーズン半ばからダート路線へ変更。いきなりイーハトーブマイルでダート初勝利を飾り、不来方賞へ勇躍登場。2着ゴールデンヒーラーに2秒6差で逃げ切り、同厩だったリュウノシンゲンの三冠を阻止した。
続いて地元の期待を集めてダービーグランプリに挑戦したが、超ハイペースに巻き込まれてブービー13着。続く古馬A級戦を完勝し、北上川大賞典へ臨んだが、エンパイアペガサスの壁が厚く大敗6着。強さとモロさの両極端な面をのぞかせた。
その後は休養に入ってリフレッシュに専念。赤松杯から始動したが、逃げ一杯4着。シアンモア記念では出遅れが尾を引いて6着と苦戦を強いられている。
結果、あすなろ賞をスキップしてこれが仕切り直しの一戦。少頭数に加え、自分の競馬に徹することができる1900mが舞台。復活を遂げて、みちのく大賞典へ駒を進めることができるか。そのまま引き下がってしまうのか。マツリダスティールは正念場を迎えた。
マコトガラハッドは中央1戦から名古屋へ移籍して2勝。再び中央へ戻って芝3勝、GII・アルゼンチン共和国杯で3着を確保した実力馬。その後、障害、金沢3戦2勝から南関東へ転籍。A2級下で3着2回の成績を残し、岩手転入。重賞・あすなろ賞へ挑戦して4着。スローにも落とされたが、じり脚タイプの印象。それならば7頭立ての少頭数は馬群をさばくのにも手こずらず歓迎。コース2度目で本領を発揮する。
ミスティネイルは中央3戦0勝から金沢へトレード。2戦目から4連勝を飾り、南関東転籍後も2連勝。連勝を6に伸ばした。続く一戦で3着に敗れたが、さらに白星2つを積み重ねて再度中央入り。しかし自分の競馬ができず、南関東へ移籍。4勝をマークしてB3級に在籍した。理想とする戦法は逃げ。マイペースに持ち込めばあっさりまで十分。
ダルマワンサは3歳時、笠松から転入。ウイナーカップ、ハヤテスプリントで連続2着。直後に笠松に戻り、岐阜金賞を快勝。東海ダービー馬ニュータウンガールを破る金星をあげた。以降は白星から遠ざかり、中央を経て岩手入り。過去実績から勝ち負けに持ち込める。
ブラックバゴは中央芝4勝。重賞の常連に定着した。一昨年、南関東へトレードされて入着一杯だったが、OROカップ参戦で反応が一変。鮮やかな直線抜け出しを決めた。その後は浦和1400m2着1回が最高。岩手へ新天地を求めてきた。ダートは割り引きだが、格が不気味。
◎⑤マツリダスティール
〇①マコトガラハッド
▲④ミスティネイル
△②ダルマワンサ
△⑦ブラックバゴ
<お奨めの1頭>
1R フジラプンツェル
デビュー戦は850mの忙しい競馬を克服して快勝。幸先のいいスタートを切った。もちろん距離延長は望むところ
5日メインは"地方競馬スーパースプリントシリーズ2022"「第7回早池峰スーパースプリント」(水沢850m)。
前身は旧盛岡競馬場(緑ヶ丘)の名物レース『早池峰賞』。毎年、お盆に行われた電撃の5ハロン半(1100m)戦でアカネプリンス、ホワイトシローなど個性派が続々と誕生。年に一度、オープン馬による短距離戦はファンから熱い支持を受けた。
それが現在のJpnIII・クラスターカップにも受け継がれ、早池峰賞も継続されたが、2016年、「早池峰スーパースプリント」を創設。距離も盛岡ダート1000mへ変更されてリニューアル。カウントも2016年が第1回となった。また昨年から舞台が水沢に移り、距離も850mへ短縮。まさにスーパースプリント戦にふさわしい重賞となった。
本命はキラットダイヤで迷いなし。優勝確率は90%強とみている。札幌ダート1000mで2勝をマークして昨年4月に転入。初戦はプラス17キロの大幅増に加え、1400mが長く3着に終わったが、2戦目の早池峰スーパースプリントを2馬身差で完勝。以降は圧倒的な強さで岩鷲賞、ヴィーナススプリント、絆カップと重賞4連勝。結果、満票で最優秀短距離馬に選出された。
今季始動は水沢1400m重賞・栗駒賞から。5ヵ月半ぶりの実戦、プラス8キロの太め残りだったが、3コーナーで早め先頭。最後はロックスピリットに交わされたが、ハナ差2着に粘って改めて地力の高さをアピールした。この一戦を使って早池峰SSは当初の予定どおり。今の岩手短距離戦線で敵はなし。2連覇に王手をかけた。
コンサートドーレは一昨年4月、南関東B1から転入。あっさり2連勝を飾り、盛岡ダート1000mで行われた早池峰SSをコースレコードで完勝。初重賞を手にした。続く2戦は2着に敗れ、高知へ移籍。4戦1勝から再転入し、水沢850m戦2連勝。早池峰SSで1番人気に支持されたが、キラットダイヤに完敗3着。
その後は休養に入り、10月25日、復帰戦の盛岡1200m戦を勝ってシーズン終了。今年3月に戦列に戻り、初戦8着に沈んだが、ひと叩きされて前回あっさり逃げ切り勝ち。850m4勝目をマークした。昨年の内容からキラットダイヤとの差は明らかだが、2着は何が何でも死守したいところだろう。
ケイティディライトは中央9戦0勝から園田3戦2勝2着1回の成績を残して再び中央入り。小倉ダート1000m・1勝クラスを快勝した。昨年11月、南関東へ転籍したが、5戦とも着外に終わり、岩手へ新天地を求めてきた。初コース、初距離など不確定要素は多いが、小倉ダート1000m58秒5の持ちタイムから通用の可能性はある。
サマニーは強烈なまくり脚が武器。前走はコーナー4つの1300m戦で6着も仕方なし。ワンターンで自慢の切れを発揮し、水沢850m1勝2着3回。先行激化で台頭十分。
カッチャオは今季6戦4勝2着1回。850mのみを使われて好成績を収めている。今回はメンバーが大幅に強化されたが、距離適性を前面に、上位進出をもくろむ。
アークオブメジャーは距離への融通性あるが、本質的には850m向き。ひとまず3着候補には押さえたい。
◎③キラットダイヤ
〇④コンサートドーレ
▲⑨ケイティディライト
△⑤サマニー
△⑧カッチャオ
△⑥アークオブメジャー
<お奨めの1頭>
1R キバルスター
転入戦2着は勝った相手を誉めるべき。コース2度目で全能力を発揮。今度こそ突き抜ける。