19日メインは岩手の最高峰「第50回一條記念みちのく大賞典」(水沢2000m)。今年は記念すべき半世紀、第50回を迎える。優勝馬の名前は盛岡、水沢などを往来する馬運車にも名前が刻まれ、岩手ホースマンにとって最高の栄誉。昨年はエンパイアペガサスが3度目制覇を果たし、馬運車の更新はなかったが、今年はどの馬が勝っても間違いなく馬運車に名前が刻まれる。
岩手伝統の一戦にふさわしく岩手競馬史に残る強豪がずらり。古くはスリーパレード、テルノエイト、ボールドマックス。岩手デビュー馬で初めて1億円馬となったトウケイフリート(トウケイニセイの兄)、スイフトセイダイ、グレートホープ。トウケイニセイ、モリユウプリンス。メイセイオペラは史上初めてみちのく大賞典3連覇の偉業を達成した。以降もトニージェント、キングスゾーン、マルヨフェニックス、ナムラタイタン。そして昨年はエンパイアペガサスが史上2頭目の3度目制覇を果たし、三強が激突。最後はヒガシウィルウィンをハナ差で抑え、みちのく大賞典史に残る名勝負を演じた。
今年の最大見どころはヴァケーション、マイネルアストリアの雌雄対決。ヴァケーションはJpnI・全日本2歳優駿を制したビッグネーム。その後は秋の鞍(名古屋)の1勝のみにとどまり、岩手入り。初戦は前年8月以来の実戦で馬体重も大幅に増加。勝負どころの3コーナーで先陣から離されてヒヤッとさせたが、直線で再び盛り返してマイネルアストリアに0秒1差まで肉薄。JpnIホースの地力を垣間見せた。
続くシアンモア記念はひと叩きされて気配アップ歴然。課題だったコーナーワークもうまくクリアーして快勝。久々の美酒を味わい、復活ののろしをあげた。
今度の課題は2000mの距離。過去の白星は1600m以下に集中し、2000mは川崎で3着一度のみ。距離に若干不安があるが、畠山信一調教師「小回り水沢ならこなせるはず」とシアンモア記念優勝後にコメント。こなせる感触は十分あるに違いない。
しかし本命はマイネルアストリアにした。中央3勝のうち2勝が地方・船橋、盛岡・東京カップけやき賞。すべてダート1800m戦でマークして3勝クラスに在籍。昇級3戦とも二けた着順に終わり、地方ダートに活路を求めてきた。
初戦は赤松杯。好位外をキープし、直線半ばで先頭。最後はヴァケーションに差を詰められたが、そのまま押し切って初重賞を手にした。続くシアンモア記念は2番手をキープしたが、ゴールデンヒーラーにプレッシャーをかけられて直線一杯5着。マイルの忙しい競馬も合わなかった。
前走・あすなろ賞はメンバーも手薄になっただけではなく、1900m戦でペースが落ち着いたのも奏功。2着リリーモントルーに6馬身差をつけて圧勝し、重賞2勝目を飾った。
今回は2000mが舞台。格はヴァケーションが断然に上だが、距離適性は間違いなくマイネルアストリアが上位。さらに2000m延長はマイネルアストリア向き。若干だが、優位に立っていると結論を出した。
グランコージーは2歳最優秀馬。岩手一冠目・ダイヤモンドカップは南関東から帰郷初戦だったが、フレッチャビアンカに9馬身差で圧勝。まさに横綱相撲を演じた。以降は主客が逆転。東北優駿4着、不来方賞3着、ダービーグランプリ3着とフレッチャビアンカの後塵を拝した。
翌年4月、A級戦を取り消して休養。半年のブランクから南関東へトレード。復帰2戦は凡走したが、3戦目から連勝。岩手時代に比べて馬体重も20キロ以上も増えてパワーアップ歴然。シアンモア記念はマークが厳しかったが、それでも2着を死守した。本質的にはマイラーだが、逃げの手に出れば2000mもこなせるはず。ペース次第で2頭に割って入るシーンまで。
ステイオンザトップは中央ダート1700mを勝ち上がり、芝1600m2勝。前走、水沢1600mが4歳3月以来、久々のダート戦だったが、鮮やかなまくりを決めて圧勝。地力を誇示した。瞬発力型で2000mはどうかだが、転入戦のパフォーマンスを評価したい。
マコトガラハッドは中央未勝利から名古屋2勝後、中央へ復帰。芝で3勝をマークしてGII・アルゼンチン共和国杯3着。その後、金沢2勝、南関東を経て岩手入り。4、3着止まりだが、川崎2100m、浦和2000mで3着。距離延長で本領を発揮するか。
ゴールデンヒーラーはシアンモア記念3着だったが、勝ちに行っての結果。2000mは長い気もするが、4歳馬の成長力で突破の可能性もある。
◎③マイネルアストリア
〇⑪ヴァケーション
▲⑩グランコージー
△①ステイオンザトップ
△⑥マコトガラハッド
△⑧ゴールデンヒーラー
<お奨めの1頭>
1R ベアフィールド
転入戦をあっさり逃げ切って幸先のいいスタート。前走タイムで上回るイエローブーケとの一騎打ち濃厚