6日メインは"岩手競馬史上最強馬"と言われた伝説の名馬を冠名にした「第20回トウケイニセイ記念」(水沢1600m)。例年(昨年度は休止)なら年明け最終週の重賞だったが、今年は1ヵ月ほど早まった。理由は今シーズンのレギュラーシーズンも終了が1週間ほど早く1月3日に変更したから。
12月にトウケイニセイ記念が行われるのは第5回(2004年12月19日 優勝トニージェント)以来のこと。第1回(優勝ハイフレンドピュア)も12月17日に実施されたが、12月第1週は史上最速。次回重賞・桐花賞が12月31日に行われ、ローテーション的にも手頃な日程。その意味でもトウケイニセイ記念は桐花賞にも直結する重要な一戦となった。
ヒガシウィルウィンは今シーズン、赤松杯から始動。前年のマイル重賞・青藍賞、絆カップ、準重賞・すずらん賞優勝の実績も買われて1番人気に支持されたが、伸びを欠いてチャイヤプーンの5着。
元々が叩き良化型とはいえ、先行失速に前途多難を思わせた。しかし、ひと叩きされて反応が一変。続くシアンモア記念では直線、内ヒガシウィルウィン、中エンパイアペガサス、外チャイヤプーンの叩き合いに持ち込み、ハナ差でエンパイアペガサスに先着。岩手古馬の根幹重賞を制した。
続く一條記念みちのく大賞典も3頭のマッチレース。早め先頭に立ったチャイヤプーンの外からヒガシウィルウィン、さらに大外エンパイアペガサスが強襲。今度はエンパイアペガサスがハナ差で優勝したが、ヒガシウィルウィンも負けて強しの内容だった。
その後は夏休みに入り、青藍賞から復帰。余裕の抜け出しを決めて2連覇を飾った。当初予定は青藍賞→笠松グランプリだったが、態勢が万全ではないと陣営が判断して自重。矛先をトウケイニセイ記念に代え、満を持して登場する。
先にも記したが、休み明けは反応がひと息のタイプだが、春に戦ってきたメンバーに比べて大幅に弱化。8分の仕上がりでも勝てる相手関係となった。青写真はトウケイニセイ記念を使って昨年2着に敗れた桐花賞の雪辱。順当に制して最終目標・桐花賞へ向かいたいところだろう。
タイセイブラストは今シーズン春から快調に飛ばして2連勝。重賞・赤松杯3着、シアンモア記念4着に健闘し、7月には栗駒賞を完勝。8歳にして悲願の初重賞を手にした。また2戦置いて準重賞・すずらん賞も制し、充実ぶりを披露した。
ここ2戦連続で8着に終わったが、年齢的なものか1200mの忙しいのが合わなかった印象。これまでも追走に手こずると凡走のケースがあったが、そのパターンだった。加えて1開催スキップした方が結果も出ていることから1ヵ月、間隔を開けたのは間違いなくプラス。さらにベストの1600m戦に替わり、巻き返すお膳立てが整った。
ツクバクロオーは中央ダート3勝後、高知へトレード。6勝をあげ、重賞・福永洋一記念も制した。この実績があれば即、通用。不安は4ヵ月半ぶりの実戦に尽きるが、仕上がり良ければ勝ち負け必至。当日の馬体重とパドック気配に注意を払ってほしい。
プロヴィデンスは東京ダート1400m3勝。3勝クラス昇級後は二けた着順に終わり、岩手へ新天地を求めてきた。転入2戦とも2着だったが、1800mも長かったのが敗因。1ハロン短縮は大歓迎だろうが、あとは右回り実績がないのがネック。コーナーワークがカギを握る。
ユノートルベルは名古屋A級から転入。重賞・青藍賞でヒガシウィルウィンの2着、牝馬準重賞・フェアリーカップでも2着を確保。直線で必ずいい脚を使うのが最大の武器。前走・北上川大賞典は守備範囲を大きく超えた2500m。マイルが舞台なら上位食い込み十分。
アーバンキッドは最大の惑星馬。転入後はOROカップ2着、芝1勝。前走が中央時代も含めて初のダートだったが、3着ならマズマズ。先週は雨の影響で高速決着の連続。芝馬には持って来いの馬場になるかも知れない。
◎③ヒガシウィルウィン
〇⑪タイセイブラスト
▲①ツクバクロオー
△④プロヴィデンス
△⑦ユノートルベル
△⑥アーバンキッド
<お奨めの1頭>
5R インテグリフォリア
前走2着に敗れたが、相手が強すぎた。それでもダート替わりも問題なかったのが収穫。首位奪取に燃える
5日メインは「ゴールデンジョッキーズシリーズ第1戦」(C1級 水沢1400m)。先々週、盛岡競馬終了時点のリーディングジョッキー12名による争いで全3戦の合計ポイントで優勝ジョッキーが決まる。
総合優勝ジョッキーにはボーナス50万円、2位ジョッキーには30万円、3位ジョッキーには20万円が支給される。ボーナス50万円はレース身上金に例えると賞金1000万円に相当。直近では1着賞金が500万円から1000万円に倍増された桐花賞と同等になる。
昨年は降雪、馬場凍結により第2戦(1着は山本政聡=ピエナアルティシア)のみ。残念ながらシリーズは成立しなかったが、2019年は村上忍騎手、2018年は休止、2017年は斎藤雄一騎手、2016年は山本政聡騎手、2015年は陶文峰騎手が総合優勝を果たした。
快心の優勝ジョッキーインタビューは2016年の山本政聡騎手。「前々から買いたかったダイソンの掃除機をボーナスで購入します」。今年、総合優勝を果たす騎手がボーナスを何に使うか。それも楽しみにしてほしい。
個人的に注目騎手はデビュー19年目で初めてゴールデンジョッキーズシリーズ(旧ゴールデンジョッキーも含む)に選ばれた木村暁騎手(千葉博次きゅう舎所属)。現在、リーディング6位。自己最高位を保持し、ここ一番での勝負強さが目についた。初出場でどのようなレースを見せてくれるか。みなさんも注目してほしい。
エリーグローリー(村上忍)は中央未勝利から名古屋7勝。最高格付けはB級だったが、2020年9月以降は勝ち星がなく、今年9月、岩手C2へ編入。2戦目を快勝したが、その後の3戦は足踏み。しかし秋から調子を上げて現在3連勝中。1200mから1600mを舞台にワンサイド勝利を決めている。水沢コースは未経験だが、似たような名古屋競馬で7勝なら望むところ。同一クラス3勝で54キロの定量も後押しし、4連勝に王手をかけた。
フルオブウィット(山本政聡)は中央2戦0勝、金沢交流3着から名古屋へトレード。1勝のみながら着外1度と相手なりに駆ける堅実さを身上とした。5ヵ月休養を経て岩手入りし、初戦を2着にまとめ、2戦目から2連勝。久々を叩かれながら上昇一途をたどっている。今年、名古屋からの転入馬の活躍が目立ったが、その1頭。岩手の水が合った。
ビーエイブルトゥ(坂口裕一)は南関東C2から転入。初戦こそ7着だったが、以降は4、3、2、1、1着。まさに尻上がりに調子を上げて目下2連勝中。ここ3戦は1000m~1200mを使ったが、大井1400m・新馬勝ち。今なら距離延長も苦にしない。
ホーリーバジル(高橋悠里)は今年8月、中央6戦0勝から転入。4勝2着1回3着3回。馬券対象から外れたのは4走前の芝8着のみ。安定度に定評がある。前走は置かれすぎたのが痛かったが、それでも直線で追い込んで3着。ハイペースになれば一気突き抜ける可能性もある。
ホワットエヴァー(山本聡哉)は南関東C1から転入。前々走B2戦で鋭く伸びて3着確保した。決め手を生かせる展開に持ち込めるか―がカギを握る。
シュバリエサージュ(鈴木祐)は春初戦を快勝後、戦列離脱。8月に復帰し、時に凡走あるが、2着1回3着3回。自在に立ち回れるのも武器となる。
◎③エリーグローリー
〇②フルオブウィット
▲④ビーエイブルトゥ
△①ホーリーバジル
△⑨ホワットエヴァー
△⑧シュバリエサージュ
<お奨めの1頭>
4R ネオアビー
前走は相手が強く3着に敗れたが、タイムが出色。メンバーが甘くなって首位奪回するチャンス