6日、3歳秋のチャンピオンシップ総決算「第32回ダービーグランプリ」(盛岡ダート2000m)は復活して区切りの10年目を迎える。
2007年、馬インフルエンザ禍の中、地元重賞で実施した翌年から休止。しかし2010年、3年ぶりにダービーGPが復活。地元の☆ロックハンドスターが見事三冠を達成し、岩手の看板レース復活を祝福した。
翌年以降もカミノヌヴォー、ロッソコルサと地元が3連覇を飾ったが、2013年から南関東勢が4連覇。ジェネラルグラント、ドラゴンエアル、ストゥディウム、トロヴァオとそうそうたる顔ぶれがダービーGP史に名前を刻んだ。
一昨年はスーパーステションが高知フリビオンの追撃を封じて優勝。前年、トロヴァオに続いてカネヒキリ産駒が父仔制覇。ご存じのとおりスーパーステションは北海道で圧倒的な帝王に君臨している。余談だが、北海道所属馬の優勝は1991年、リバーストンキング以来、26年ぶり2度目の優勝だった。
昨年は開催取り止めの影響で12月10日に順延。チャイヤプーンが不来方賞2着の敗戦を糧に優勝。母サイレントエクセル(3着)の果たせなかったダービーグランプリ制覇を達成した。
今年は昨年より2ヵ月開催が早まり、舞台も盛岡競馬場。東日本大震災の影響で水沢競馬が開催できなかった2011年以来、8年ぶりとなった。
リンノレジェンドは大井1勝から北海道へ帰郷後、クラシックすべてに挑戦したが、リンゾウチャネルの壁が厚く北斗盃5着、北海優駿2着、王冠賞3着に敗れた。
それならば、と南関東・黒潮盃へ遠征。2番人気に支持され、好位抜け出しを決めて2着グリードパルフェに2馬身半差で完勝。待望の初重賞を手にした。
3歳秋のCSシリーズで黒潮盃はランク"A"なのでダービーグランプリを制するとボーナス1千万円を獲得。1着賞金1千万円と合わせて計2千万円。さらに種牡馬ドレフォン(今年度は3百万円)の配合権利も加わり、額面で計2300万円。
以上のことからダービーGPは何が何でも優勝したいところ。陣営は黒潮盃から直行を選び、万全の態勢で臨む。
バンローズキングスは兵庫チャンピオンシップ(JpnII)でクリソベリルの3着、兵庫ダービー優勝と実績一番。
MRO金賞はマイナス22キロの大幅体重減も影響して0秒1差3着。逆に兵庫オータムトロフィーはプラス28キロ。馬体は回復したが、この大幅増では実力発揮を期待するのは酷。それで0秒1差2着なら負けて強しの一戦と見ていいだろう。
今回も最大ネックは長距離輸送。金沢遠征時の反省を生かし、前日に盛岡入りするとのこと。体重維持ならアッサリの実力馬。やはり気になるのは当日の馬体重。
ヤマショウブラックは不来方賞、ダービーGP狙いで再転入。その不来方賞では夏負けの後遺症が残っていたのは事実。
小林俊彦調教師「あと2週間がほしかった」とコメントしたが、勝負どころからの反応がひと息。直線で先頭に立ったニューホープとの差は絶望的ともいえたが、驚異的な末脚でハナ差捕えて優勝。周囲の度肝を抜いた。
リンノレジェンドが優勝した黒潮盃でのタイム差2秒は大きいが、盛岡2000m2度目と地の利を生かしたいところ。
ニューホープは2歳時に重賞・若駒賞を優勝。その後、寒菊賞5着から笠松、金沢と転籍。岐阜金賞を快勝して里帰り。不来方賞では意表を突く2番手を追走。1番人気パンプキンズを徹底マークの戦法に出て直線で競り落とし、勝利目前だったが、ヤマショウブラックの強襲にハナ差屈した。
コース印象から明らかに盛岡向き。内の動向を見ながらレースを進める外枠も好材料となり、前走の雪辱に燃えている。
オオエフォーチュンは<2.2.7.2>と安定度抜群。一度着外はJRA・若葉ステークス10着のみ。驚異的な複勝率を誇る。半面、詰めの甘さが課題だが、いい脚を長く使えるのが持ち味。マーク欠かせない。
ビッグシューターは園田デビュー2連勝を飾った逸材。半年の戦列離脱が痛かったが、復帰3戦目の岐阜金賞2着で復調のメドが立った。
◎④リンノレジェンド
〇⑦バンローズキングス
▲②ヤマショウブラック
△⑩ニューホープ
△⑤オオエフォーチュン
△⑨ビッグシューター
<お奨めの1頭>
1R セイントレイチェル
1000m適性の高さを誇示して目下2連勝中。今回はすでに勝負付けの済んだメンバー構成なら、勝って下さいの一戦。迷わず追いかける手
藤田菜七子騎手がコパノキッキングとのコンビでJpnII「第53回東京盃」を見事逃げ切った。
フェブラリーステークスで初騎乗して5着。続く東京スプリントは出遅れを喫し、直線猛追したものの、キタサンミカヅキの0秒2差2着。
以上2戦の結果から8月12日、「第24回クラスターカップ」で1番人気に支持され、好スタートを決めて逃げたヒロシゲゴールドの2番手を追走。道中の手応えも上々だったが、直線で伸びを欠いてヤマニンアンプリメの3着。
レース後、藤田菜七子騎手はこうコメントした。「スタートが決まっていいポジションを取れたし、4コーナーまでは勝てそうな手応えだったが、直線を向いて伸びなかった。前につけたらいいか、脚を貯めた方がいいか。関係者の皆さんと相談の上、自分もじっくり考えたい」
東京盃で引き当てたのは2番枠。「どう乗ろうか最後まで悩んだが、ゲートを出た瞬間、ハナを主張しようと決めた」と勝利騎手インタビュー。
外からクルセイズスピリツも逃げようとしたが、コパノキッキング=藤田菜七子騎手の譲らない気迫を見て2番手に控える。あとは追い出しを残り300mまで我慢し、2着ブルドッグボスに4馬身差。フロックではないのは走破タイム1分10秒7でも証明。
良馬場でこのタイムは破格。2011年、JBCスプリントでスーニが記録した1分10秒1に0秒6に迫るタイムだった。
藤田菜七子騎手はコパノキッキングに騎乗4度目でしっかり結果を出した。お見事というほかはない。
5日メインはOROターフスプリント・トライアル準重賞「第19回ハーベストカップ」(盛岡芝1000m)。
ナリタスターワンは中央5勝・オープンから大井1000m5着後、6ヵ月の休養を経て転入。芝1000m路線を狙って岩手入りした。
芝1600m、芝1200m、ダート1200mでも勝っているが、重賞はすべて芝1200m戦。一昨年、テレビ西日本賞北九州記念(GIII)でダイアナヘイローの2着を確保した。
休み明けでいきなり準重賞挑戦だが、芝1000m戦は臨戦過程より適性重視がセオリー。このメンバーなら主軸した妥当だろう。
シャドウパーティーは昨ハーベストカップ3着から本番・OROターフスプリントで上がり34秒0の驚異的な末脚を披露。鮮やかな直線一気を決めた。
今年10歳。今季成績だけを見ると衰えが隠せない印象を受けるが、馬体の張りを維持。3着最高は条件が合わなかっただけと解釈していい。
ハーベストカップは待望の芝1000m戦。先行激化も確実なら今季初勝利も見えてきた。
ユイノルフィは転入後、ダートでは3着1回に対し、盛岡芝5勝。前走の芝1700mでもアッサリ逃げ切りを決めた。特に芝1000mは5戦3勝2着1回。昨年のハーベストカップではシャドウパーティーの猛追をしのいで2着に粘った。
芝1000mの外枠はポジションを取るのに脚を使い、基本は不利だが、今の馬場を考えるとむしろ好材料。同型をさばいて一気逃げ切りを決める。
スティンライクビーは再転入戦を好タイムで逃げ切り、幸先のいいスタート。今度は芝に替わるが、新潟芝1000m2着1回と問題なし。弾みつけて2連勝をもくろむ。
ウインプラージュは下級条件だったが、盛岡芝1000m3戦3勝。スピードはオープン相手でも引けを取らない。
ロックオンは中央芝1200m2勝。大井では3着最高だったが、芝短距離で一変の可能性がある。
◎⑥ナリタスターワン
〇⑪シャドウパーティー
▲⑩ユイノルフィ
△②スティンライクビー
△⑦ウインプラージュ
△⑤ロックオン
<お奨めの1頭>
5R プリンシパル
京都ダート1200mで5着を確保し、マークした1分14秒5はC2フリーパスのタイム。初戦からいける