16日、JpnIII「第22回マーキュリーカップ」(盛岡ダート2000m)の枠順が確定した。
最大焦点は昨年の覇者⑩ミツバ、7戦5勝2着2回と未完の大器⑭フェニックスマークの初対決。ミツバは一瞬の切れ味勝負型、フェニックスマークは派手な勝ち方はしないが、バテない渋太さが売り物でタイプがまったく別。秋のGIロードをにらみ、どちらに軍配が上がるか非常に楽しみだ。
15日メインはクラスターカップ(JpnIII)トライアル「第50回岩鷲賞」(M2 盛岡ダート1200m)。
ここで岩鷲賞の蘊蓄(うんちく)を少々。岩鷲の語源は6月ごろ、岩手山の雪解けとともに残ったところが鷲の形に似ているから、別名・岩鷲山(いわわし―ではありません。がんじゅです)と言われ、そこから岩鷲賞が命名された。
第1回は1969(昭和44)年。第1回はスズヒカリトップが優勝。当時、岩鷲賞は春と秋の2回行われていた時期あったが、それはカウントされず1回と記録。岩手競馬では3歳重賞・不来方賞と並んで最も古く、今年で半世紀。記念すべき50回目を迎える。
ただ条件が結構変わっている。1998年まではアラブ重賞、B級重賞の時代もあった。そして1999年にサラブレッドB級で実施。2000年から3歳(当時表記は4歳)重賞で行われ、2007年から古馬重賞で実施。距離変更もあったが、近2年は今回と同じ盛岡ダート1200mで行われた。
当初、大本命になるラブバレットの登録もあったが、大事を取って自重。栗駒賞からクラスターカップへ直行する。
そうなれば栗駒賞でラブバレットにクビ差まで詰め寄ったタイセイファントムにが然、注目が集まる。
開幕2戦・赤松杯3着、シアンモア記念2着ともベンテンコゾウに敗れたが、スローにも泣いた。そのうっ憤を晴らすかのように盛岡1200mで豪快なマクリを決めた。
続く早池峰SSは1000m特有のペースが合わなかっただけ。1200mと1000mはまったく別物で1番人気は酷だった。
これまでの内容を振り返ればロングスパートが決まる盛岡向き。距離も1200mなら好走条件がそろった。
メイショウオセアンは短距離へ路線変更したのが大正解。最後のひと踏ん張りがきくようになった。
シーズン初戦の水沢850mで岩手初勝利をマークし、一戦置いて早池峰SSで0秒1差2着。ナムラバイオレットにイン強襲に遭ったが、普通ならば勝ったレース。苦手盛岡も克服した。距離を味方に悲願のタイトル制覇に燃える。
イーグルカザンは成績だけを見ると年齢的な衰えを隠せない印象に映るが、実は内枠にも手こずっていた。
皮肉なことに今シーズンはすべて3番枠以内。ダッシュつかないタイプで包まれる競馬を強いられていた。
しかし今度は願ってもない大外9番枠。ようやく自分の競馬に徹することができ、一気に突き抜ける可能性もある。
ナムラバイオレットは早池峰スーパースプリントを優勝。スタート直後、砂を被って戦意を喪失したが、気を持ち直して迷わずインを突いたら恐ろしいまでの末脚を発揮した。
おそらくメンバー的にハナを奪うことは難しく、関本騎手は思い切った待機策に出るはず。そうなると鬼脚の再現も十分考えられ、他陣営には脅威の的。
フォルスはスティルプリンスと先行争いを演じると思うが、うまく先手を取れれば粘りを発揮するシーンまで。
◎③タイセイファントム
〇⑧メイショウオセアン
▲⑨イーグルカザン
△⑦ナムラバイオレット
△⑥フォルス
<お奨めの1頭>
6R エブリモーニング
再転入初戦で余裕の逃げ切りを決めて圧勝。B2でも勝ち負けの馬でC2では地力が違いすぎた。もう一丁いける
先週から始まった盛岡開催だったが、大雨の影響で7日メインの「レインボーカップターフチャレンジ」が芝からダート変更。また逃げ有利になったり、差し有利になったり捕えどころのない3日間となった。
その中で8日、重馬場の芝で行われた3歳交流「第19回オパールカップ」は北海道・スタークニナガが優勝。鞍上・瀧川寿希也騎手を背に4馬身差で圧勝。2歳時、知床賞に続いて重賞2勝目を手にした。
この時点ですでに門別、盛岡、水沢、園田、笠松、中山芝、東京芝を経験した強みとタフさが生きた一戦だったとも言えるだろう。
瀧川騎手「2歳の知床賞も騎乗予定でしたが、ケガのために乗ることができなかった。それでも馬主さんが寿希也に重賞を取らせたいとチャンスを下さった。その期待にも応えることができてうれしいです」
実際、瀧川騎手のアシストもすばらしかった。ここ2戦連続で出遅れを喫したが、好スタートを切らせて絶好の5番手をキープ。途中で前が相手と判断して逃げた1番人気ナムラバンザイを早めに交わしたのも勝因だった。
余談だが、知床賞は水の浮く不良ダート。そして今回は水をかなり含んだ重馬場の芝。もしかするとスタークニナガは、芝ダートを問わず雨馬場が好きなのかもしれない。
14日メインは"GRANDAME-JAPAN2018"古馬シーズン・ビューチフルドリーマーカップのトライアル「第19回フェアリーカップ」(盛岡ダート1800m)。有力各馬が死角を抱え、波乱の要素たっぷり。自信度=Cの一戦だ。
ユッコはメンバー中一番の実績。昨年、岩手の根幹重賞・シアンモア記念を制し、最優秀牝馬にも選ばれた。
ただ今シーズンは本来の動きを取り戻せず4戦とも着外。相手を考えれば仕方ないが、大敗が気になるところ。
それでもシアンモア記念9着ながら走破タイムは1分39秒8。果たしてほかの馬が好調でもマークできるかどうか。
さきたま杯も4秒差10着に終わったが、前走は走路悪化のため競走取り止め。遠征疲れを考えたらちょうどいい休養になったかも。ここはユッコの地力に託す手か。
フレンドパリは中央ダート1400m1勝から転入。いきなりオープン格付けで入着止まりを繰り返していたが、前走・水沢1600mを逃げ切って快勝。待望の岩手初勝利を飾った。
距離1800m対応に若干不安があるが、盛岡ダ1800mは総じてペースが落ち着き、展開有利は明らか。自分の競馬ができれば距離も克服。
ダンストンレガーメは水沢なら本命視までの存在だが、盛岡は反応ひと息。2歳時の知床賞1勝のみにとどまっている。
とは言え、今季A級で2、3着それぞれ1回。みちのく大賞典でも5着入線し、牝馬同士なら盛岡でも勝ち負けに持ち込めるか。
ファイトウィンは牝馬らしく切れ勝負派。前々走のC1・大井1400mでタイム差なし3着にまとめた。直線長い盛岡なら移籍初戦で準重賞制覇の可能性もありそう。
スパンコールは4年連続で出走し、過去3着1回4着2回。昨年の交流・ビューチフルドリーマーカップ2着の実績を誇るが、地元1800m戦は流れが合わない印象。突き抜けるためには展開の手助けが必要。
アークマイニングは昨年のフェアリーカップでスパンコールに先着2着。前回1着で弾みもついた。
◎⑦ユッコ
〇⑨フレンドパリ
▲⑥ダンストンレガーメ
△②ファイトウィン
△①スパンコール
△⑤アークマイニング
<お奨めの1頭>
10R シンキーノ
盛岡ダ1200mは3戦2勝3着1回と適性を証明済み。コース替わってうっ憤を晴らす