岩手の根幹レースは世代別に2歳・南部駒賞、古馬・みちのく大賞典、そして3歳は27日(日)メインの「第45回不来方賞」。
最近はダービーウィークに行われる岩手ダービー・ダイヤモンドカップ、復活したダービーグランプリの影に隠れてしまいがちだが、正真正銘の岩手版ダービーは不来方賞以外にない。
昭和44年、第1回優勝スズヒカリトップ(ジョッキーは福田(現小西)重征騎手)を皮切りに、タガワキング、タガワリュウオー。カウンテスアップ、トウケイフリート、シャドウイメージ、スイフトセイダイ、サンドリーズン、モリユウプリンセス、ブラッククロス。極めつけはメイセイオペラ。数々の歴史的名馬を輩出してきた。
もう一つ見逃してならないのが不来方賞を制した3歳馬が3年連続で年度代表馬の座を射止めていること。3年前のロックハンドスター(新三冠達成)、一昨年はカミノヌヴォー、昨年がロッソコルサは不来方賞からダービーグランプリ、桐花賞と重賞3連勝。
つまり不来方賞が今後の重賞路線を占う重要な一戦。伝統の重みはもちろんのこと、その意味でも必見のレースといっても過言ではない。
岩手ダービー・ダイヤモンドカップ優勝ヴィゼロワン、2歳戦線をリードしてきたロックハンドパワーが不在。例年ならば手薄な不来方賞になるのだが、なかなかの好メンバー。岩手3歳も層が厚くなったのを実感する次第だ。
本命は実績重視、ハカタドンタク。2歳デビュー2連勝を飾り、早々と重特路線に乗ったが、追い込み脚質のため届かないレースの連続。あと一押しが足りず重賞タイトルを獲得できなかった。
そのハカタドンタクが一変したのは冬場のJRA移籍から。3戦着外に終わったが、帰郷2戦目の格上げ重賞・やまびこ賞を逃げ切って快勝。当時は意表を突いたかと思ったが、JRAの強豪相手に揉まれ、先に行ける脚を身につけた。
その後もはまなす賞、3歳交流・オパールカップを制して重賞3勝。勝ち味の遅さが解消して完全にひと皮むけた。
ここ2戦は2着だったが、桂樹杯は初の古馬挑戦。またOROカップは全国から芝自慢が集まり、ナターレの2着は立派。古馬との対戦でさらに自身のパワーに磨きがかかった。盛岡2000mも一度経験して問題なし。不来方賞からダービーグランプリ、桐花賞の王道を突き進む。
テンショウリバイヴは550キロ前後の雄大な馬格を誇る一方で、気性難を抱えてなかなか頭角を現せなかった。芝2400m・サファイア賞4着後の古馬B2戦を圧勝。デビュー以来の2勝目を飾り、続くイーハトーブマイルを完勝。待望の初重賞を手に入れた。レースに集中できるようになれば鬼に金棒。重賞2勝目なるか注目。
コウギョウデジタルも今年の成長株。水沢1400m重賞・ウイナーカップ、岩手版オークス・ひまわり賞を連勝。とりわけ強烈だったのはひまわり賞の走破タイム。盛岡2000mをグレードレース並みの2分6秒0の驚異的なタイムで駆け抜けた。
これは休止前のダービーグランプリでハルサンヒコとタイ。7月時点でこれをマークできる3歳馬はめったにいない。軽い馬場になれば逆転も十分ありえる。
ヴェリイブライトは南関東在籍時、ハイセイコー記念2着。東京ダービーにも出走(13着)した。意外にも岩手ダートは未経験だが、単なる巡り合わせ。切れる脚勝負派ではないのでむしろ合うはず。いきなりまで。
コスモデスタンは中央未勝利から初戦はズブさを露呈して3着に終わったが、2戦目から反応が一変。イーハトーブマイル2着、前走B1・B2戦を圧勝。一戦ごとに上昇一途をたどっている。
不来方賞を重厚にした1頭がエノテカ。大型馬でデビューは遅れたが、これまで7戦5勝2着2回。依然、底を見せていない上、一連の走破タイムがすばらしい。距離経験が1400mまで。2000mは正直、厳しいと思うが、父ゴールドアリュール、母パラダイスフラワー、母父ティンバーカントリーは大舞台に強い血統だ。
◎(4)ハカタドンタク
○(9)テンショウリバイヴ
▲(5)コウギョウデジタル
△(1)ヴェリイブライト
△(7)コスモデスタン
△(6)エノテカ
<お奨めの1頭>
11R イーサンジャンパー
メンバーが甘くなった前走、好タイムをマークして逃げ切り完勝。ほぼ同じメンバー構成なら2連勝濃厚と見て間違いない