7日メイン、3歳牝馬特別「あやめ賞」は前日6日同様、おもしろいメンバーがそろった。牡馬戦線以上に層が厚いと断言しても差し支えない。実際のところ各馬とも牡馬を勝る実績を残している。
まずブリリアントロビン。北海道2勝から昨年11月に転入後、2歳B1戦、牝馬交流重賞・プリンセスカップ、伝統の金杯と圧巻の3連勝。しかもすべて戦法を変えて勝ってしまうのだから驚きも2倍だった。
初戦は2番手追走から3角先頭で圧勝。2戦目・プリンセスカップはスタートで後手を踏んで後方からの競馬。なおかつ直線で前が壁になる不利がありながら、馬群をこじ開けて優勝。そして年明けの金杯では重賞2勝ロックハンドパワーを相手に逃げ切って完勝。道中、ずっと物見をしながら水沢1600m1分40秒0の驚異的タイムでロックハンドパワーの追撃を封じた。
以上の結果から2歳最優秀馬にも選出。優秀馬の選考基準は岩手5走以上だが、選定委員が強く推薦すればクリアー。ブリリアントロビンのパーフォーマンスがすばらしく、わずか3戦で最優秀馬の座を射止めた。
今回のネックは1月6日以来の実戦。岩手はいまだに寒さを引きずっているが、本当に春の到来が遅い。その影響はコース、厩舎周辺にも少なからず与え、陣営は乗り込み開始を意識的に遅らせた。
佐藤祐司調教師「決して体質が強い馬ではないので、ゆっくり仕上げるのが方針。ぶっつけで日高賞へ臨んでもいいと思いましたが、あやめ賞から日高賞まで3週間あるので出走を決断した。その点を割り引いてほしい」とコメント。
それでもプリンセスC、金杯の強さを考えれば、久々でも強い印をつけるのは当然。日高賞へつながるレースを期待したい。その結果次第では遠征も考えているという。
ラブソングは北海道時代、エーデルワイス賞でブリリアントロビンの後塵を拝したが、通算3勝マーク。ただ小柄な牝馬で食いが細く、仕上げに手こずって転入2戦3着。もうひと伸びが足りなかったが、2ヵ月半の休養明け初戦を快勝。同厩ブラックタイガーとの直線叩き合いを制し、待望の岩手初勝利を飾った。
これが本来の実力だろうが、思ったほど体重が増えていなかったのが気がかり。410キロを割って出走なら切れが鈍るかもしれない。当日の馬体重をチェックして欲しい。
セラミックガールはダイワメジャー産駒。門別新馬戦を勝ち上がったが、続く2戦は足踏み。しかし盛岡芝で行われた交流重賞・テシオ杯ジュニアグランプリでインを鋭く突いて快勝。周囲をアッと言わせた。牝馬ながら500キロを越す雄大な馬格がパワーの源と納得させた。
その後、戦いの場を南関東へ求めたが、6戦着外。レース内容にも精彩がなく、岩手へ新天地を求めてきた。注目の初戦は実戦を使われてきた強み、相手緩和から1番人気に支持されたが、痛恨の出遅れ。それでも巻き返せると思ったが、道中もたついて3着止まり。課題を残した一戦となった。
だが、菅原勲調教師はさほど悲観していなかった。「手探り状態だったので、追い切りもさほど強くはしなかった。課題が多かった分、収穫も多い。このレースで今後の方針が見えました」。今後も含めて結果はもちろんのこと、内容にも注目してみたい。
ショートカットは園田1勝2着2回3着2回。すべて馬券対象になっているだけではなく、園田プリンセスカップ2着。勝ったのがカツゲキドラマ。東京2歳優駿牝馬でも4着馬が相手なら評価は非常に高い。今回はそれ以来、6ヵ月半ぶりの実戦だが、いきなりのシーンまであるかもしれない。
エスケープは逃げて一杯のレースを繰り返し2着2回止まりだが、前走マイル戦であわやのシーンを作った。距離が1400m短縮なら、自慢のスピードが生かせる可能性もある。
◎(9)ブリリアントロビン
○(11)ラブソング
▲(12)セラミックガール
△(4)ショートカット
△(6)エスケープ
<お奨めの1頭>
2R バーニングジール
中央未勝利ながら芝で3着4回。名古屋移籍は賞金があるため、いきなりA級へ編入されたが、そこでも上位争いを演じてきた。C2では能力の違いが明白だ
2013年度の岩手競馬は4月6日(土)からスタート。年明け13日(月祝)までと3月下旬からの特別開催を含め、全129日間の開催。おおむね1410Rを予定している。来年には12年ぶり2度目のJBC開催も決定し、いろいろな意味でも重要な1年。今年度も岩手競馬をよろしくお願いします。
初日メインは恒例行事となった3歳馬による「第38回 岩手日報杯スプリングカップ」(水沢1600m)。今季、大幅変更となったのは重賞レースの大幅増(全46R)。新たに14Rが重賞で実施され、さっそくこのスプリングカップが重賞へ格上げされた。
スプリングカップは岩手クラシックを占う重要な一戦。一昨年は東日本大震災の被害を受けて実施が見送られたが、3年前はロックハンドスター、昨年はロッソコルサが優勝。両馬とも年度代表馬に選ばれたが、同レース優勝で弾みがついたのは間違いない事実。是非、スプリングカップに注目してほしい。
主軸はロックハンドパワー。昨年9戦4勝2着2回。若駒賞、寒菊賞と重賞2つを制し、他の重賞特別でも一貫して上位争いを演じてきた。金杯はブリリアントロビンの逃げ切りに屈し、0秒5差2着。完敗を喫した格好だが、金杯レコードを2秒1も更新したブリリアントロビンが強すぎた。ロックハンドパワーも従来レコードを大幅更新し、2着も仕方なしだった。
ただ、気になるのは調整が進んでいないこと。いつもならキッチリ追い切りを消化して臨むタイプだったが、今回は15-15の乗り込み。3ヶ月ぶりの実戦がどう影響するか、正直なところ未知数。それでも気のいいタイプでレースに向かうとガラリ一変。仕上がりの差は総合力でカバーすると判断した。
対するブラックタイガーは休み明け初戦2着。同厩ラブソングとの競り合いの末、首差2着に惜敗したが、積極的なレース運びで見せ場は十分。叩かれてさらに気配アップし、金杯4着の雪辱を晴らす絶好のチャンス。
ハカタドンタクは若駒賞5着、寒菊賞3着とロックハンドパワーに完敗。その寒菊賞後、JRAへ移籍。3戦とも二ケタ着順に終わったが、芝2戦は1秒差と決して悪くない内容。そして何よりも収穫はハイレベルのメンバーと戦ってきたこと。元々、タフな精神力には定評があり、この経験が必ずプラスに作用するはず。
ネックは小回り水沢への対応。タフな半面、器用さに欠けるところがあり、脚を余して負ける可能性も高いが、それさえ克服なら待望の重賞タイトルを手にするシーンまで十分。
ゴールドボンバーは層の厚い北海道で新馬戦を快勝。3戦1勝2着1回から転入し、2戦目をスケール大きく勝ち上がった。前走は果敢に逃げたが、早めに失速4着。しかし530キロ台の大型馬で叩き良化型。変わり身を期待できる。
ハワイアンリゾートは佐賀新馬戦を1秒3差で圧勝。4ヶ月の休養をはさんで南関東へ移籍して振るわなかったが、岩手初戦で鮮やかなマクリを決めて1着。今回は大幅に相手強化だが、決め手勝負なら侮れない。
◎(4)ロックハンドパワー
○(9)ブラックタイガー
▲(10)ハカタドンタク
△(2)ゴールドボンバー
△(7)ハワイアンリゾート
<お奨めの1頭>
1R シャイニータキオン
JRA・3歳新馬戦で2番人気に支持された逸材。勝ったのがダイワマッジョーレならレースレベルは推して知るべし。岩手で秘めた素質を開花させる