10日メインはオープン馬による盛岡ダート1200m戦「早池峰賞」。このレースの創設は昭和50年。今年で38回目を数える伝統の一戦で、当時は旧盛岡1100mが舞台。年に1度、真夏の風物詩として定着し、個人的にも大好きなレースだった。
オープン馬によるスピード決戦はとにかく迫力満点。なおかつ普段は脇役に甘んじていた馬が主役に踊り出、隠れた才能を数々見せてくれた。アカネプリンス、ホワイトシロー、インターシオカゼ...。1100mで水を得た魚のように個性を際立たせていた。
その後、OROパーク創設に伴い、舞台が水沢に替わったり、開催時期が変わったりして位置づけがあいまいになったのは残念な限りだが、今の条件(盛岡ダート1200m)、クラスターカップ・トライアルの位置づけには納得。これも個人的な意見だが、もっともっと短距離戦を増やし、スペシャリストを育成して欲しいと願っている。
さて本題。前日に芝2400m特別・かきつばた賞があり、オープン馬が分散。それでも層が厚くなったと感じるのは今年、元中央馬が大挙転入したから。この早池峰賞にも個性派がずらり顔をそろえた。
有力3頭ヒカルジョディー、ダイワマックワン、スーパーワシントンから主軸にピックアップしたのはスーパーワシントン。盛岡へコース替わり、距離短縮、陣営の意気込みなど総合的に判断した。
スーパーワシントンは佐賀でデビューして新馬戦を快勝。その後は佐賀所属のままでJRAへ何度も挑戦。2戦目に芝1200m戦を勝ち上がり、GⅢ・ファルコン賞で0秒4差6着に善戦した。
その後、3歳4月にJRAへトレードされ、同じく芝1200mで2勝マーク。準オープンまで駆け上った。残念ながらオープンの壁は破れなかったが、通算3勝2着4回の成績を残して岩手転入。
初戦・赤松杯は5ヶ月ぶりの実戦だったが、それ以上にずっと外を回る不利がこたえて5着。しかし続くA級戦で2着を確保し、通用のメドが立った。
今回、盛岡ダートは初めてだが、前走の1着馬はトーホクキングで続くあすなろ賞で僅差2着。仕掛けどころさえうまくいったら勝つ勢い。そのトーホクキングに対し半馬身差なら価値は高い。
しかも村上忍騎手に騎乗を依頼し、陣営の意欲は相当なもの。枠順も手頃だし、前走は3番手の積極策。前に行ける脚があるのも心強い。
ヒカルジョディーも中央準オープンから昨年11月に転入。当初はチグハグなレースを繰り返していたが、年明けのトウケイニセイ記念で動きが一変。鮮やかな直線一気を決めて待望の重賞タイトルを手に入れた。
好走要因は小林騎手が手の内に入れたから。前半で折り合いを欠いてしまうと末脚が不発に終わるため、意識的に出遅れて脚を貯めることに専念した。それが功を奏し、重賞に続いて今季初戦の赤松杯も快勝。
前走・シアンモア記念は2着に敗れたが、船橋から参戦リュウノボーイが強かった。地元同士には先着を許しておらず、現時点でのトップといっても過言ではない。
懸念材料は今の盛岡が先行有利の馬場であること。果たして届くかどうかだが、折り合いを気にしなくていい1200mは望むところ。小林騎手は追い込みに乗せたら天下一品で、一気突き抜けるか注目してみたい。
ダイワマックワンも距離適性では勝るとも劣らない。中央5勝すべてを芝1200mでマーク。ダート戦も経験豊富なのが心強い。中山ダート1200mで1分10秒3の持ちタイムがあれば当然、勝ち負けになる。
ただ気になるのが名古屋、そして前走4着。相手甘かったにもかかわらず勝ち切れなかった点が物足りなし。得意距離で反撃なるか。
年度代表馬カミノヌヴォーの参戦には意表を突かれた。今季はシアンモア記念から始動したが、伸びを欠いて5着。続くあすなろ賞で巻き返しを期待したが、昨年の迫力とは程遠く4着凡走。完全に歯車が狂った印象だ。
おそらく短距離で気合いをつける意味で出走だと思うが、1200mの忙しい競馬は現状は苦しそう。底力は認めても△止まり。
マイネルプロートスは昨年、盛岡1400m重賞・岩鷲賞を優勝。1200mの短距離戦が若干不安あるが、得意の盛岡に替わったのが強調材料となる。あとはシーグランディを押さえ少々。
◎(6)スーパーワシントン
○(3)ヒカルジョディー
▲(1)ダイワマックワン
△(4)カミノヌヴォー
△(12)マイネルプロートス
△(9)シーグランディ
3連単は6、3、1の3頭ボックスが本線。あとは4、12、9を3着押さえ
馬複は 3-6、1-6、4-6、6-12
<お奨めの1頭>
2R ディナーラッシュ
1年6ヶ月ぶりの前走を馬なりで圧勝。いずれ中央へ復帰すると思うが、ここでも能力の違いを見せつける