盛岡開催2日目、20日(日)メインは3歳特別「はまなす賞」。この一戦を皮切りに、今シーズンの盛岡芝のレースが始まる。
全国的な傾向だったが、特に岩手は春到来が非常に遅かった。現在も朝晩の冷え込みが結構あり、4月下旬並みの気温になることも多々。盛岡芝もその影響でなかなか成長せず、関係者はヒヤヒヤもの。ヘタをすれば盛岡開催まで間に合わない可能性もあった。
しかし、ようやく芝が青々と生い茂り、例年どおり11センチの長さで実施できるまでこぎつけた。盛岡競馬場=OROパーク自慢は地方競馬では唯一の芝コースを持っていること。一瞬で着順がガラリと替わる芝レースを楽しみにしてほしい。
中心はワタリドラゴンで不動。過去、盛岡芝4戦3勝。デビュー3戦目から3連勝を飾り、重賞・テシオ杯ジュニアグランプリまで制して2歳ターフ王に君臨した。圧巻だったのはそのジュニアGP。
北海道からイブニングラッシュが自信たっぷりで遠征し、当然のように1番人気に支持されたが、2番手キープのワタリドラゴンが直線でアッサリ交わして快勝。地元もそうだったが、当のイブニングラッシュ陣営もあきれるほどの強さを披露した。
その後は使えるレースがなく、ダートへ路線変更。寒菊賞3着、続くシーズン最終戦でダート初勝利をマーク。克服のメドが立ったかに見えたが、今季初戦・スプリングカップで2秒1差7着に惨敗。
これで早々とダートを見切り、芝1本に絞って調整。何と4本の追い切りをこなして出走。必勝態勢で臨んできた。しかも互角に戦えそうなライバル不在。勝つ条件がすべてそろったといっても過言ではない。陣営の目には次走の交流重賞・オパールカップ(7月15日 盛岡芝1700m)しか映っていないはず。ここは勝利よりもいかにして勝つか―に興味が集中する。
相手はファイアースカイ、キモンパーティーの2頭。ファイアースカイは芝が未経験、キモンパーティーはイレ込みが不安要素。しかしファイアースカイはダートでも披露する天性のスピードが武器。ここで先手を取るのは間違いなく、ワタリドラゴンが4コーナーまで可愛がれば残り目十分。
キモンパーティーはファイアースカイと同様、南関東から再転入し初戦2着。まずは上々の滑り出しだったと言えるし、盛岡芝は過去7回と経験豊富。勝利を飾ることはできなかったが、2着2回3着1回。盛岡芝1600mの持ちタイムもワタリドラゴン(1分42秒3)に次ぐ1分43秒0。極端な体重減がなければファイアースカイに先着まで。
あとは正直、順調さを欠くメンバーだが、スンナリの流れなら渋太さを発揮するライトマッスル、馬格の良さに精神面の成長を待ちたいセイントムーンが押さえ。
◎(2)ワタリドラゴン
○(6)ファイアースカイ
▲(7)キモンパーティー
△(9)ライトマッスル
△(4)セイントムーン
3連単は2を1着固定に6、7の折り返しが本線。あとは9、4を3着押さえ
馬複は 2-6、2-7、2-9
<お奨めの1頭>
6R セイウンノレッジ
再転入後、4戦2勝2着1回3着1回にまとめ、今度の舞台は連対100%の盛岡ダ1400m戦。連勝もらった
今週から新緑の盛岡競馬場が舞台。1周ダート1600m左回り、直線約300mには上り坂(最大高低差4・4m)があり、これが最大の見どころ。また内に1周1400mの芝コース。こちらはダートより急な上り坂(最大高低差4・6m)で馬順が一変するケースも多々。芝のこけら落としは明日20日メイン10レース、はまなす賞(3歳 芝1600m)。
盛岡初日メインはB1三組「盛岡市職員 盛駿会会長杯」(盛岡ダート1600m)冒頭と重複するが、前開催までの1周1200mフラットコース・水沢とは正反対。当のジョッキーたちも最初は手探りで臨むことになり、道中のペースが大きなポイント。おそらくハイペース模様にはならないだろうから、絶好枠を引き当てたアドマイヤマスターにはチャンスが到来した。
中央0勝3着2回。余談だが、ルーラーシップ(1番人気)と同じ2歳新馬戦で4着。2番人気に支持された。その後、ダート1400m、1700mで3着に粘った。大井で1勝2着1回。これで素質開花するかと期待されたが、以降は泣かず飛ばず。
特に移籍前の3戦は大差の二ケタ着順。ラスト2戦は4秒9、4秒と明らかにレースを投げていた印象。気性的な難しさをのぞかせていた。しかし岩手2戦は逃げ粘って連続3着。ひと皮むけそうな予感を抱かせた。
今回、左回りバンケットコースに替わったのがプラスに出るか、マイナスになるか。はっきり言って未知数。追い切りの反応は右回りの方が良かったが、盛岡ダート1600mはコーナーがわずか2つ。それほどマイナス材料にはならないのではないか。このタイプは白星が最大の妙薬。きっかけを掴んで素質を開花させたい。
ソノマンマは盛岡ダートを苦手としていたが、昨年最終戦で待望の初勝利を飾り、ようやく克服。今季は水沢戦で9、2、3着。9着は相手が強すぎたためだったが、それでも0秒6差にまとめ、以降の2戦は馬券対象となった。盛岡ダートでもスンナリの流れになれば好勝負に持ち込める。
ストリートダンスは今季初戦は1秒7差7着に沈んだが、ひと叩きされた前走2着。本来のシャープさを取り戻した。不安は一戦ごとに体重が減っていることだが、輸送のない地元戦ならプラス体重でレースに臨めるはず。当日の体重が重要なファクターとなる。
グラスヘッドはB1ではちょっと荷が重い印象もあったが3、5着。前走・新緑賞は相手がトーホクキングでは仕方なし。十分勝ち負けになることを証明した。しかも今回は得意の左回りが舞台。JRA時代、川崎遠征で2着2回の実績があり、コース替わりは歓迎。まとめての局面まで考えたい。
リスペクトキャットにも同様のことが言える。中央2勝はいずれも東京競馬場でマークし、コースが広くなったことも心強い。なおかつ一戦ごとに気配アップ。今度は軽視できなくなった。あとは状態そのものは悪くないケイジーウィザードも押さえが必要か。
◎(1)アドマイヤマスター
○(6)ソノマンマ
▲(5)ストリートダンス
△(4)グラスヘッド
△(2)リスペクトキャット
△(8)ケイジーウィザード
3連単は1、6、5の3頭ボックスを本線に、押さえ4、2、8
馬複は 1-6、1-5、1-4、1-2
<お奨めの1頭>
11R ウェイアウトバジー
連勝は7でストップしたのは残念だったが、前走1着で雪辱。初の左回りでも地力の高さで克服できる
この9日・10日、南関東の重賞を見に行ってきました。9日は羽田盃、10日は東京プリンセスカップ。どちらも3歳の重賞でした。
例年、この辺のレースの掲示板に入るかどうか・・・という馬があとで岩手に遠征に来たりするのでその様子見のつもりでしたが、羽田盃はアートサハラ、プリンセスCはアスカリーブル、いずれも今野忠成騎手の騎乗馬が優勝。羽田盃などは1番人気・2番人気が消え、3着同着にもかかわらず3連単の配当が二組とも30万円を超える大波乱ともなりました。
荒れた要因は天候と馬場にあったようですね。9日は午後からまとまった雨、10日も午後に雷雨が来て10日などは大井にしては珍しくコースに水が浮く不良馬場。京浜盃や桜花賞といった前哨戦とガラリと違う状況になって前哨戦の好走馬が苦戦した模様。
そもそも今年の3歳世代、特に牡馬にはそれほど抜けた馬がいない、とは昨年から言われていましたし、この後の重賞戦線もその時の馬場状態やメンバー構成によってころころと勝馬が変わるように思えます。
さて、この中から秋のダービーグランプリに来る馬は?いやオパールカップあたりに来る馬もいるかもしれない。ちょっと気が早いけどもいろいろと気になりますね。
昨年度の岩手競馬は東日本大震災の影響でシーズン開幕が5月14日までずれ込んだ。一時は再開のメドが立たず、厩舎関係者に焦りが見え始めたこともあったが、盛岡競馬場1場で開催が始まった。
あれから丸1年が過ぎ、通常どおり水沢競馬からスタート。早くも1ヶ月以上が過ぎたが、意外に知られていないのが休止した重賞はシアンモア記念の一つのみだったこと。
グランダム・ジャパン3歳シーズン・留守杯日高賞は開催時期をずらして実施。また当初、休止予定だった金杯、トウケイニセイ記念は水沢再開に伴い、急きょ復活。結果的に重賞ではシアンモア記念だけが見送られた。よって13日(日)の「第37回シアンモア記念」は2年ぶりの実施となる。
思い出すのは一昨年のシアンモア記念。キングスゾーンが逃げ、3番手を追走したマルヨフェニックスが早めに捕らえにかかり、ラスト400mから2頭のマッチレース。内キングスゾーンの手応えが怪しくなったが、外マルヨフェニックスに馬体を近づけるとキングスゾーンの闘志に火がつき、再び突き放す。結果、半馬身差でキングスゾーンが優勝し、シアンモア記念史上に残る名勝負となった。
今年もマルヨフェニックスの登録があったが、万全の仕上がりでないと陣営が判断。出走を見送った。これがちょっと寂しいが、今年、最も注目と期待を集める年度代表馬カミノヌヴォーがついに始動する。
当初、赤松杯から使う予定だったが、仕上がり途上のため自重。できればひと叩き欲しかったが、ぶっつけでシアンモア記念に臨んできた。「開幕前からずっと乗り込んできたので状態は問題ない。ただ、本質的に使いながら調子を上げていくタイプだし、水沢マイルの忙しい競馬に対応できるかどうか。それが不安点です」と千葉幸喜調教師。
カミノヌヴォーは決して器用な馬ではない。だから管理調教師も不安を隠せないが、ゲート難を抱える同馬に大外10番枠は好材料。仮に12頭立てだと好ポジションを採るのに苦労するが、10頭立てならおそらく大丈夫。千葉幸喜調教師の不安を十二分に理解した上でも本命に応えれると判断した。
過去実績を考えるとリュウノボーイ本命視が妥当なのかもしれない。ロックハンドスターと同期で2歳時に2勝マーク後、南関東へトレード。船橋代表で3歳芝重賞・オパールカップ、昨年は新設の重賞・絆カップを優勝した。
前走が3ヵ月ぶりの実戦で、一度叩いてシアンモア記念は予定どおり。ここに照準を絞って乗り込まれ、自信たっぷりで遠征する。
ただ良績は盛岡芝ダートに集中し、水沢では3着1回が最高。あくまでも2歳時のデータだが、適性があるとは言い切れないのは事実。早めに動くという予定だが、そうなるとヒカルジョディーの餌食になる可能性もあり、展開的にはちょっと苦しいところ。それが○評価になった理由だ。
ヒカルジョディーは陣営、小林騎手も完全に手の内に入れたようだ。トウケイニセイ記念、トライアル・赤松杯とも意識的に出遅れて最後方からの競馬。前半で脚を貯めることができると、すばらしい末脚を披露する。
赤松杯では1周目スタンド前で一瞬、スローに落とされて掛かり気味となったが、小林騎手がうまくなだめて完勝。マイル重賞・特別2連勝を飾った。
できればハイペースの流れを望みたいところだが、マルヨフェニックスの回避によってペースは落ち着きそう。これが微妙に影響しそうだが、リュウノボーイがカミノヌヴォーを早めに捉えにかかったら、一気突き抜けるシーンまで。
あとはトウケイニセイ記念、赤松杯で連続2着リリーレインボー、逃げ宣言をしたノーワンエルスあたりも要注。常識的には3頭の争いと見ていいが、どの馬にも死角があるだけに割って入ることも頭に入れておきたい。
◎(10)カミノヌヴォー
○(9)リュウノボーイ
▲(1)ヒカルジョディー
△(6)リリーレインボー
△(3)ノーワンエルス
△(7)シャイニーハリアー
3連単は10、9、1の3頭ボックスが本線。あとは6、3、7を3着押さえ
馬複は 9-10、1-10、6-10、3-10
<お奨めの1頭>
9R オウシュウサンクス
休み明けで仕上がりが不安視された前走だったが、強いレースで完勝。これで水沢4連勝とし、もう一丁いける
7日、高知競馬場で行われた「第3回福永洋一記念」を観てきた。朝4時半に盛岡を出発し高速道路をひた走り。仙台から伊丹経由で10時45分、高知龍馬空港へ到着した。着込んでいた服を一枚ずつ脱ぎ、ついには半そでシャツ。さすが通年でナイター競馬を実施する競馬場は違う。
高知を訪れたのは2年ぶり。同じ福永洋一記念の日だったが、今年は「花の15期生」と杉本清アナウンサーが来場すると聞き、いても立ってもいられず格安チケットをなんとか入手した。
今回、集まった「花の15期生」は作田誠二、武永祥、伊藤正徳、岡部幸雄、福永洋一、柴田政人、目黒正徳、星野信幸(敬称略)。ちょうど競馬にのめりこんでいった時期と「花の15期生」の活躍がかぶり、あこがれの存在。こんな日にみんなが集まってくれるなんて本当に感動した。
でも、もっと感動したことがある。3年前、落馬事故で顔面を複雑骨折した上、左目を失明した宮川実騎手がメイン「第3回福永洋一記念」で鮮やかな逃げ切りを決め、この日だけで4勝した。
第1回の実施当時、宮川実騎手は治療療養中。くじけそうになった時期もあったそうだが、創設した福永洋一記念を観て「自分も頑張って復帰しよう」と思ったという。
JRA交流レースを勝った表彰式インタビューで橋口アナウンサーが驚いていた。「こんなに自分からインタビューで答えるのは過去にありませんよ」。宮川実騎手はメインの表彰式でも集まった多くのファンの前でインタビューに答えていた。宮川実騎手の活躍を生で観戦できて心からうれしく思った。
12日(土)メインはA級三組「閉伊川レース」(水沢1600m)、10頭立て。焦点はオープン入りを果たしたトーホクキングが連勝を3に伸ばすか。それとも歴戦の古豪スーパーワシントンが先輩の意地を見せるか。
トーホクキングは昨年秋から本格化。勝ち切れなかったのがウソかのように快進撃を続け、B2から挑戦・桐花賞でも4着に健闘。今年はさらに凄みを増し、B1特別を連勝。両レースとも逃げた馬が2着と先行ペースの競馬だったが、それをはねのけ驚異的な末脚で勝利をもぎ取った。
しかし今回はA級三組とは言え、メンバーが大幅に強化。これから重特路線へ殴り込みをかけるためには格好な登竜門レースとなった。
スーパーワシントンは今年4月、中央準オープンから転入。初戦・赤松杯で4番人気に支持されたが、5着止まり。この結果だけだとピーク過ぎた印象を与えるが、道中ずっと外を回る不利があり、しかもダートは2006年11月以来、超久し振り。それでも0秒7差まで詰め寄り、今度はコース2度目。プラス要素が一気に上がり、逆転首位も十分ある。
この2頭のラインは堅そうだが、ダンストンリアルは走り頃の休み明け3戦目。今季2戦とも3着と最後の伸びを欠いたが、元々が使われながら良化するタイプ。人気の2頭がけん制し合えば割って入るシーンまで。
コアレスガバナーは前走8着。後方のままに終始し、ほとんど自分の競馬ができなかった。本質的には先行して粘るのが身上。おそらくビコーティアナが逃げ、ギシアラバストロかコアレスガバナーが2、3番手。流れも落ち着きそうだし、反撃に転じて不思議はない。
あとは一戦ごとに水沢の馬場に慣れてきたパブリックアフェア、9ヵ月半ぶりでも底力上位ギシアラバストロも軽視できない。
◎(6)トーホクキング
○(8)スーパーワシントン
▲(5)ダンストンリアル
△(9)コアレスガバナー
△(7)パブリックアフェア
△(10)ギシアラバストロ
3連単は6、8の1、2着折り返しから5、9を厚めに。あとは7、10を3着押さえ
馬複は 6-8、5-6、6-9、6-7
<お奨めの1頭>
3R ミスターガッテン
B2から降級して連続2着。消化不良のレース続くが、相手も強かった。ここなら負けられない