今年の岩手競馬は芝が熱い。特に芝1000m重賞・OROターフスプリントが創設され、まだ途上だが、1000m路線が充実。しかもFM岩手杯(B1)、姫神賞(B2)、ハーベストカップ(B1)の3戦ともスピード満点、迫力満点だった。次開催に本番、OROターフスプリントを控え、この神無月賞も目が離せない一戦となった。
メンバーを見渡せば一目瞭然。ほとんどの馬に勝つチャンスがあり、これでおもしろくない訳がない。さらレースをおもしろくしたのが重賞・OROカップ(芝1700m)から中6日の強行軍で臨んできたラブミープラチナ。そして笠松から参戦するオグリスペシャル、オグリピンクの2頭。
ラブミープラチナの使い方は一見すると無謀にも思えるが、調子いいときは連闘も大丈夫―が世界の常識。OROターフスプリントへ向かう意味でも、神無月賞は是非とも使って置きたい一戦だ。芝1000m適性を確かめることができる。
そのラブミープラチナは北海道、南関東を経て今年転入。初戦は見せ場なく7着に終わったが、芝に替わって反応が一変。続く3歳B1芝1600m戦を快勝し、特別・はまなす賞2着。以降も3歳交流重賞・オパールカップ4着、JRA交流・アメジスト賞3着。
さらに驚いたのは古馬オープン芝・桂樹杯、重賞・OROカップへ連続挑戦。いずれも4着だったが、中身がすばらしくあわやのシーンを作った。今回、B2馬が相手なら、たとえ強行軍、いきなり距離が1000mへ短縮されても適性でカバーする。
参考までにOROカップはラスト50mで一瞬先頭に立ち、メンバー最速の上がり35秒3を披露。小回り盛岡芝でこの上がりをマークできる馬もそうはいない。
逆転筆頭はディーエスファジー。前走、同じ芝1000mを舞台に行われたハーベストカップを快勝。しかもB1の格下からの挑戦で今回は自己の条件B2。ラブミープラチナが1000mに不安を抱えているのに対し、こちらはすでに実績があるのが最大の強み。芝1000m特別2連勝に自信満々で登場する。
オグリスペシャル、オグリピンクの笠松2騎はいずれも桜花賞馬オグリローマンの孫。芝を走る素地はあるが、実績はオグリスペシャルがはるかに上。デビュー戦の京都芝1200mで3着が光り、以降はダート2勝、笠松移籍後に6勝マーク。ただ、問題は外10番枠。逃げの手がベストだが、今回はスピード自慢が勢ぞろい。外を回されると苦戦だが、スンナリならアッサリもありえる。
以下のグループにもチャンス十分。サイレントステージは盛岡芝3勝2着5回。過去、芝1000mは2度経験して5、4着。持ちタイム58秒9なら争覇圏に位置する。また忙しい競馬には疑問附がつくケイジーウィザードだが、元A級の格上馬。鞍上に菅原勲騎手を指名してきた。コスモローダンセは徐々に体調アップし、ここに照準を合わせてきたのが不気味だ。
◎(11)ラブミープラチナ
○(4)ディーエスファジー
▲(10)オグリスペシャル
△(5)サイレントステージ
△(2)ケイジーウィザード
△(3)コスモローダンセ
3連単は4、11の2頭軸から2着10、5。3着2、3のフォーメーション
馬複は 4-11、10-11、5-11、2-11
<お奨めの1頭>
7R シルクメディエイト
岩手転入後、一度4着に破れたのは適性のない芝のみ。ダートでは4戦4勝と絶対の自信を持っている
すでに発表済みだが、水沢競馬が12月10日から再開。その10日以降の重賞・特別日程の主な変更点は岩手版グランプリレース「桐花賞」が12月5日から定番の大晦日12月31日に変更。
あとは明け3歳重賞・金杯が1月2日、マイル重賞・トウケイニセイ記念が1月9日に復活する。これは非常に喜ばしいこと。9月18日、盛岡競馬場でトウケイニセイのお披露目をしたが、9日にもトウケイニセイにかんするイベントを考えている。その日は水沢開催で今シーズンの最終日でもある。その日を楽しみにして欲しい。
10月1日はB1四組とB2一組の混合戦「増田蔵の日レース」(盛岡ダート1600m)、10頭立て。トップハンデ57キロ、最軽量53キロ。これも勝敗に大きく影響しそうだ。
主軸はバルク。今年8歳の高齢馬だが、最も充実したシーズンを送っている。11戦5勝2着4回。2度の敗戦は距離1000mに泣いたジューンカップ8着、JRA交流で相手が強かったアンタレス賞9着のみ。
自己の条件に戻ると抜群の安定感を発揮し、ここ4戦連続で連対を確保。前走は2着に敗れたが、大外強襲を決めたバラディーを誉めるべき。むしろ2着確保した粘りを評価したい。
今回、B1在籍で55キロを背負うが、前走も同斤量で克服済み。今回はクォーク、ブライティアヘアーと逃げたい馬が2頭いるが、決してハナにはこだわらないタイプ。先行抜け出しを決める。
ストリートダンスは厩舎方針で無理のないローテーションを堅持。6戦すべて入着を果たし、1勝2着1回。ここ3戦は足踏みが続いているが、B1在籍馬に対して2キロのアドバンテージは大きい。今度は反撃に転じる絶好のチャンス。
トーホクキングは追い込み一辺倒の脚質ながら主戦場は水沢。盛岡坂を苦にしているが、それでも直線鋭く伸びて毎回勝ち負け。特に前走はハナ差2着で初白星を逃がした。トップハンデの57キロで持ち味の切れが鈍らないかが不安だが、前走内容からアッサリあって不思議はない。
クォークは今シーズン3着が最高。あとゲート難を抱えて物足りない結果だが、前走は2番手キープから4角先頭。そのまま押し切るかと思ったが、最後苦しくなって4着。これは前半のハイペースがたたったと解釈でき、スンナリの流れなら首位も可能だろう。
チェリーブランデーは中央500万下から転入して8戦0勝2着1回。クラスの壁とも受け止めれる成績だが、この中間は熱心に乗り込まれて気配アップは明らか。人気の盲点を突いて大駆けをもくろんでいる。
◎(7)バルク
○(1)ストリートダンス
▲(9)トーホクキング
△(8)クォーク
△(10)チェリーブランデー
3連単は7、1の2頭軸から9、8、10に流したいところだが、穴党は8、10から狙う手もおもしろい
馬複 1-7、7-9、7-8、7-10
<お奨めの1頭>
7R メリーハート
転入初戦、盛岡ダート1200m1分13秒7。C2でこのタイムを出されたら、他陣営はひとたまりもない。距離延長でも追いかける手
今回は10月10日の盛岡競馬場で行われる騎手招待競走「東北ジョッキーズカップ」の話題。
重賞「絆カップ」と共にその日のメインイベントの一角を担う東北ジョッキーズカップ、他地区からの招待騎手は既に決まっていまして、北海道から九州まで8人の騎手の名前が明らかになっています。
北海道・小国博行騎手、浦和・秋元耕成騎手、船橋・江川伸幸騎手、金沢・服部大地騎手はいずれも元上山競馬の騎手で奇しくも同窓会のような感じになりました。佐賀の小松丈二騎手は元岩手所属でしたね。
大井・高野毅騎手、川崎・拜原靖之騎手は福島県の出身、愛知・戸部尚実騎手は青森県の出身との事。若手から大ベテランまでバランスも取れています。
さて、注目は岩手代表なのです。規定によれば「第10回盛岡競馬終了時点のリーディング上位4位」の騎手が出場できるとなっているんですけれど、1位・村上騎手、2位・菅原勲騎手、4位・阿部騎手はひとまず確定として、3位・齋藤騎手が南部杯でゴールドマインに騎乗する予定で不在。その1枠を巡る争いが激化中なのです。
このへんをさらにややこしくする要因がありまして、それは先週まで6位だった菅原俊吏騎手。「6位で騎手招待に出れそうにないですから」と、南部杯のロックハンドスター騎乗を受けたそうなのですが、なんと土日だけで5勝の大活躍。日曜終了時点で5位に浮上中。
まあ、それでも彼は南部杯に回るでしょうから、残るは山本政聡騎手・高松亮騎手・南郷家全騎手までの争いになる模様。これが大接戦。
それぞれ土日終了時点での勝ち星が、山本政聡騎手42勝、南郷家全騎手41勝、そして高松亮騎手が40勝。月曜に「42」を超えてきた騎手が、残り1枠の出場権を獲得する可能性が高くなるのです。
月曜のそれぞれの手駒が、これがまた最後まで予断を許さない印象の面々。誰が出場しても面白くなる騎手たちではありますし、3人それぞれ応援したい気持ちは山々なのですが・・・(注・遠征予定が変わる可能性もありますので、出場騎手の決定は主催者の発表をお待ちください)。
25日メインは「岩手県知事杯 第13回OROカップ」、舞台は盛岡芝1700m。まずは印関係なしに岩手の期待を一身に集めるボスアミーゴから入ってみたい。
デビュー当時から盛岡ターフ王の名をほしいままにし、2006年、テシオ杯ジュニアグランプリ。07年、オパールカップ、きんもくせい賞(当時:3歳以上・重賞)。08年、せきれい賞と世代別の重賞を軒並み制覇している。
ところが、このOROカップにだけは縁がなく、07年はコスモバルクの0秒6差2着、08年、クルセイズ(4番人気)のハナ差2着、09年、コスモバルクに0秒2差2着。そして昨年はスランプに陥りながらもOROカップ1本に照準を絞って調整したが、コスモヴァシュランの0秒7差5着と、どうしてもこのレースにだけ勝てないでいる。
仮にボスアミーゴがOROカップを制すると盛岡芝の重賞をすべて制覇し、史上初のグランドスラムを達成できるだけに俄然、陣営も力が入っている。
幸い今年7月、かきつばた賞(芝2400m)を優勝。一昨年9月、桂樹杯以来、久々の勝利をモノにし、せきれい賞マチカネカミカゼの0秒1差2着。そして前走、桂樹杯を制し、盛岡ターフ王がついによみがえった。
今年の遠征馬は例年以上に層が厚く、ボスアミーゴが勝利するのは厳しいかもしれないが、それでも悲願達成を願わずにはいられない。
例年以上に役者がそろったと思わせるのは、すでに盛岡芝重賞を優勝しているマチカネカミカゼ、コスモヴァシュランがいるから。コスモヴァシュランはコスモバルクを破る大金星を含め、せきれい賞2連覇。昨年のOROカップも優勝。盛岡芝に絶対の自信を持っている。
一方のマチカネカミカゼは、そのコスモヴァシュランを相手に今年のせきれい賞を快勝。中央3勝から名古屋を経て今年5月、北海道へ転籍。2勝目がうれしい初重賞制覇となった。今回は札幌日経オープンで0秒6差9着を使って参戦する。
以上、紹介した3頭を押しのけて本命視するのがダブルオーセブン。昨年、デビュー2連勝を飾り、JRAへ連続挑戦。クロバー賞3着に続き、すずらん賞(2歳オープン)を見事優勝した。
その後はダート2戦を使い、南関東移籍2戦目に選んだのが共同通信杯。結果5着に終わったが、メンバー最速の上がりを披露してナカヤマナイトに0秒3差。すずらん賞1着がダテではないことを証明した。
スプリングステークスは1秒1差の完敗だったが、勝ったのは後の二冠馬オルフェーヴル。以降、プリンシパルS15着、北海道へ里戻り2戦目、札幌日経オープン8着。ちょっと精彩を欠いている印象だが、日経オープンは4コーナーで前がふさがる不利。0秒6差なら、むしろ健闘したと見て間違いないだろう。
今回、1周1400mの小回り芝が不安だが、これまでの足跡が大きくモノを言い、勝って今後に弾みをつけたいところだ。
以下はせきれい賞の中身を評価してマチカネカミカゼ=○、地の利を生かしたいボスアミーゴ=▲。コスモヴァシュラン=△と評価が下がってしまったが、本質的には長距離の芝がベスト。1700m戦だと仕掛けが非常に難しいそうで、テン乗りの本橋騎手がどう御せるか。2連覇の期待がかかる。
あとは中央芝5勝、重賞でも勝ち負けエイシンタイガーも侮れない。地方移籍後は精彩を欠いているが、芝に替われば話は別。距離1700mは気持ち長いが、過去実績はメンバー中一番だ。
あとはハンデ差と好調度でレディージャスミンがどこまで上位食い込めるかも興味深く、非常に見どころ満載のOROカップとなった。
◎(2)ダブルオーセブン
○(6)マチカネカミカゼ
▲(9)ボスアミーゴ
△(7)コスモヴァシュラン
△(10)エイシンタイガー
△(5)レディージャスミン
3連単は2、6、9、7の4頭ボックス。買い目は多いが、それでも着順次第で高配当もありえる
馬複は 2-6、2-9、2-7、2-10
<お奨めの1頭>
8R マイネルフューラー
前走は内で包まれたのが致命傷。今回は外枠を引き当てて二のテツ踏まず。ここ2戦のうっ憤を晴らす
先週18日、テシオ杯ジュニアグランプリ当日、"伝説の怪物"トウケイニセイのお披露目を行ったが、おかげさまで多くのファンが集まってくださった。
8レース本場場入場後、初重賞制覇を果たしたみちのく大賞典と同じ『8』のゼッケンを着用してトウケイニセイがパドックへ登場すると、カメラのシャッター音があちらこちらから聞こえてきた。
驚いたのは思った以上のファンが集まったこととトウケイニセイ自身。午後1時、予定どおり馬っこパーク・いわてから盛岡競馬場へ到着し、さっそく会いに行ったが、ひたすら乾燥草をボリボリ。小西調教師、サークル関係者が訪れても、どこ吹く風状態だった。
ところが装鞍所に近づくに連れ、クビをグイッと下げ始め、現役時代とまったく同じ仕草をしたのには感動すら覚えた。すでに競走馬を引退して16年の歳月が流れたが、おそらく本能がそうさせたに違いない。完全に戦闘モードにスイッチが入った。さすがトウケイニセイだった。
さて本題。24日メインはA級二組「ねばれ二子さといもレース」(盛岡ダート1600m)、9頭立て。アドマイヤサムライ、コアレスランナーは甲乙つけ難い実力。どちらが勝っても納得がいく。2頭それぞれの長所、弱点をピックアップしてみたい。
まずアドマイヤサムライ。開幕前から好調をアピールし、初戦から勝ち負けかと思ったが、気性難をのぞかせて凡走の連続。着を拾うのが精一杯だったが、前々走から村上忍騎手を指名したところ見事1着。そのときもインで折り合いを欠いていたが、それでも2番手から抜け出して快勝。最後まで走ることに集中力が途切れなかった。
そして前走も掛かり気味に追走し、村上忍騎手は手を焼いていたが、2着を死守。勝ったクリスティラビットが得意パターンに持ち込んで3馬身差で圧勝。仮に折り合いついても勝てる相手ではなかっただけに、2着確保で上々だった。
岩手通算5勝のうち4勝が盛岡ダ1600m戦と条件ベストに加え、コアレスランナー以上に強い相手と戦ってきた。相変わらず気性難は解消されていないが、ここでは実績、底力とも上位は明白だ。
対するコアレスランナー。昨年まで盛岡ダートは2着が最高。6勝すべて水沢でマークし、盛岡坂を苦手としていた。しかし今年は12月5日まで盛岡競馬場のみの開催で致命傷とも言えたが、実戦を使われながら徐々に克服。近4走の芝ダートで2勝2着2回、苦手意識がなくなったと解釈していいだろう。
ただ一つネックがある。盛岡ダート2勝はいずれも1800m戦。これまで1600m戦は2着1回が最高で、どうしても詰めが甘くなってしまう。元々、レース運びのうまさで勝利をモノにしていたタイプで、コーナー2つのマイル戦が若干不安。
果たして今の勢いで盛岡ダート・マイルを克服できるか。仮に勝利できるようなら今後さらに活躍が期待できる。
キャニオンルナは転入後、一戦置きに1、8、1、8、1、10着。前々走ビューチフル・ドリーマーカップはスローの流れで珍しく折り合いを欠いて10着に敗れたが、豪快なマクリで3勝。いい脚を長く使えるのが最大の特長。
前走は1の順番だったが、出遅れに加え、先行競馬で決着したため4着。追い込み一辺倒の脚質ゆえ流れが合わなかったのが敗因だった。今回もカギを握るのは展開。ミドル以上のペースを期待したいところ。
ベルモントダイヤは中央500万下から転入。初戦は2番手をキープし、直線で離されたが、5着入線。この一戦を叩かれて気配アップし、スンナリなら侮れない存在となった。ダークライはずっと本調子を欠いていたが、ここにきて立ち直り気配。前走は後方待機策から3着に突っ込み、今度は連対を狙っている。
◎(8)アドマイヤサムライ
○(3)コアレスランナー
▲(1)キャニオンルナ
△(6)ベルモントダイヤ
△(4)ダークライ
3連単は8、3の2頭軸から1、6、4へ
馬複は 3-8、1-8、6-8、4-8
<お奨めの1頭>
6R フェルマグリオ
岩手初戦、盛岡ダ1200m戦1分13秒7という驚異のタイムで圧勝。C2では能力が違いすぎる