9日メインは盛岡芝1000mが舞台「FM岩手杯」(B1)。今年から芝の条件戦でも他地区へ門戸を開放し、当初は3頭の申し込みがあったが、残念ながら回避。次回以降の参戦を待ちたい。
今や岩手競馬の名物レースの一つに定着した芝1000m戦。個人的にとても楽しみにしている一戦だが、一昨年、昨年とウメノレイメイが2年連続で優勝。特に昨年はオープン・きんもくせい賞まで制し、芝ダートを問わず盛岡1000m7戦6勝。ついには重賞・OROターフスプリント新設までに到ったのだから、貢献度は計り知れない。
ウメノレイメイは当然だが、現在はA級格付け。そのため今回のB1条件には出走できないが、彼に続く個性派誕生を期待したい。
さすが芝1000mの特殊レースにふさわしくスピード自慢がずらり。戦前、短距離芝の適性がないと踏んでいたモンセルバンは鞍上に菅原勲騎手を指名し、意外にも脈があるらしい。そうなるとすべて消せない馬になってしまい、嬉しい悲鳴をあげてしまった。
迷いに迷った挙句、主軸はアドマイヤホームに決定した。芝、そして1000mの両面から適性一番と踏んだが、自信は...正直あまりない。
アドマイヤホームは一昨年9月、中央未勝利から転入。いきなり8連勝をマークする快進撃。どこまで出世するか楽しみ一杯だったが、昨年は精彩を欠いて凡走の連続。それでも9月、11月にそれぞれ白星を飾ったが、転入当初の連勝が強烈だっただけに物足りなさも残った。
今季はB1へ昇級したが、初戦を快勝。好スタートを切り、2戦目から芝に路線を変更してJRA交流・カシオペア賞3着、前々走4着。芝でも通用することを証明した。前走はダートに戻って4着だったが、勝ち馬から1・5秒差。
そこで矛先を芝1000m戦に求めてきたようだ。不安は短距離適性があるかどうかだが、中央時代に芝1200mを3回、芝1000mを1回使われていた。結果は6着が最高だったが、0秒5差にまとめたこともあり、心配不要か。確かに父がアドマイヤコジーンなら適性は十分かもしれない。
逆転候補はゲンパチオブラヴ、マイネルリファイン。ゲンパチオブラヴもアドマイヤホームと同様、中央未勝利から転入し、いきなり6連勝。3歳特別・はまなす賞(盛岡芝1600m)までノンストップで制した。
その後、3戦凡走したが、芝2400m・サファイア賞も優勝して特別2勝目をマーク。芝適性の高さを証明した。
ところがB1編入して以降はずっとスランプに陥り、ほとんど着外。一旦、園田へ転籍しても振るわず今年5月、再転入。初戦5着、2戦目3着。そして前走快勝し、ついに復活を果たした。
身上とするのは切れる末脚。忙しい1000m戦に戸惑う可能性もあるが、超ハイペース必至のメンバー構成。そうなればゲンパチオブラヴの出番となる。
マイネルリファインは昨年、不来方賞でロックハンドスターの2着。ここでは一番の実績を誇り、いずれはオープン戦線でも活躍すると思っていたが、意外に伸び悩んでいる。それで芝1000mで心機一転を図ったと思う。距離が合うかどうか未知数だが、迷ったら格重視が競馬の正攻法だ。
マイネルサウダージはアッサリ逃げ切るか、または大敗の両極端なケースが考えられる。1000m適性はダートだったが、前々走・ジューンカップをレコードで逃げ切ったように十分。
ただ、芝がネック。昨年10月、C1芝1600mを使ったが、重馬場にも手こずったのか3・3秒差のブービーに大敗。昨年とは状態が全然違うと言うが、その印象から△評価に下げてしまった。
芝1000m実績だけを考えるとビュレットライナーが断然。昨年もFM岩手杯に出走して2着。勝ったのが冒頭にも記したウメノレイメイなら仕方なしの結果。そのうっ憤を晴らすかのように、続く姫神賞(B2・芝1000m)を快勝した。
今年は4戦とも着外に沈み、年齢的な衰えを隠せないが、短距離戦は調子よりも適性。一転して反撃の目も十分ありそうだ。
◎(3)アドマイヤホーム
○(8)ゲンパチオブラヴ
▲(4)マイネルリファイン
△(10)マイネルサウダージ
△(2)ビュレットライナー
3連単は3、8、4のボックスが本線だが、10、2も連対圏。軸を決めて手広く流す手もある
馬複は 3-8、3-4、3-10、2-3
<厳選二鞍>
11R ダイショウルシアン
シーズン2戦は精彩を欠いたが、前走は動きが一変。タイム差2着にまとめ、復活宣言
先週の6月27日月曜日、11Rの騎乗をもって沢田盛夫利騎手が現役を引退しました。
沢田騎手は岩手出身ながら高崎競馬でデビューし、3年目で重賞制覇、4年目で100勝達成など若くして大活躍しました。しかし故郷・岩手での騎乗を諦めきれず、いったん騎手免許を返上して岩手で厩務員になり、さらに3年のブランクを経て再デビューを果たした・・・という異色の経歴を持つ騎手でした。
今でこそ騎手の移籍は珍しく無くなりましたが、沢田騎手が移籍した当時は競馬場が廃止された時に移籍する騎手がごく希にいたくらい。沢田騎手のように現役バリバリの騎手が免許を返上するリスクを背負ってまで移籍する、というのは特に岩手では珍しく、同時に風当たりも強かった。
例えば移籍時に厩務員として3年過ごさねばならなかった。他地区の例では長くて1年、短くて半年(それとて内規というか不文律に過ぎないのですが)。自身の勝利数が「岩手での勝ち星のみ」でカウントされる時期が長かった(高崎の分も含め地方通算でカウントされるようになったのは上山の騎手が移籍してきてから。それまでは"新人レベルの勝ち星しかないベテラン騎手"だった)。いわゆる"ヨソ者"扱いされる事も多かったし、ベテラン騎手の逃げに平気で競りかけていくものだから「レースの流れを壊す」と嫌われた事もあったようです。
そんな想いまでしてやって来た岩手を、今辞めちゃうのはもったいないんじゃないですか?と沢田騎手に問うてみました。「だからこそ、なんだよね。がんばってやって来て、できる事は全部やっちゃった。だからこそ今、なんだよ」。沢田騎手の答えはこうでした。
ちょうど今日は岩鷲賞の日。2年前の岩鷲賞、リュウノツバサであわやという追い込みを見せて、それでもひょうひょうとしていた沢田騎手の姿を思い出します。
転身先は岡山の育成牧場だそうです。今後のご活躍をお祈りいたします。
以下、地力の高さで(6)マイネルプロートス、格下でも距離合いそうな(7)アースグラヴィティ。ただしこの2頭、距離や力関係など注文がつく部分が多そうなだけに、今回はあくまでヒモ候補という評価で。
●10Rの買い目
馬単 (1)=(5)、(1)=(10)、(5)=(10)、(1)→(6)、(1)→(7)
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激戦区C1戦らしく好調メンバーがそろった「三陸リアス賞」(盛岡ダート1600m)。年齢構成も4歳から9歳まで。しかもどの馬にもチャンスがあり、波乱の目も十分に考えられる。
主軸はマアーラウ。中央4戦0勝から園田へ移籍して3勝マーク。B1級まで駆け上って北海道へ転籍したが、2着1回が最高。勝ち星をあげることができず、昨年12月、岩手へ新天地を求めてきた。
その選択がズバリ的中。B2編入とクラスにも恵まれて転入戦を快勝。後方待機策から鮮やかなマクリを披露した。続く特別・師走賞は先行ペースに持ち込まれて4着に終わってシーズンを終了したが、今シーズンはC1へ降格。
初戦はバルクの逃げ切りにしてやられたが、前走は3角から早めにマクって1着。切れる末脚が冴え渡った。今回はメンバーが骨っぽくなったが、距離延長はまったく問題ない―というより、むしろ歓迎。枠順も内の動向を見ながらレースを進められる外枠も味方した。
懸念材料は強力にハナをアピールする馬が不在のためペースが遅くなりそうなことだが、持ち味は自力で動けること。早めマクリを心がけ、2連勝を狙う。
タケデンエビスは中央から再転入後、1勝2着2回。前走は好スタートを決めながら、ナイトストーカーズを先に行かせてガッチリ2番手をキープ。直線まで脚を貯めてダイショウルシアンの追撃を封じて快勝。山本聡哉騎手が絶妙のプレーを披露した。
レースぶりを見ると1600mは気持ち長い印象もあるが、道中で楽をさせると克服できることを証明した。今回も絶好の内枠を引き当て、前走再現の可能性もあるだろう。
セイントプラウドは前走、タケデンエビスの0秒8差6着。後方から差を詰めただけで終わったが、砂をかぶって嫌がったのが敗因。2枠が災いした。しかし今回はいくぶん外7枠。高橋悠里騎手がうまく乗りさえすれば巻き返しも十分。
コアレスミューズは南関東C1から転入。2着2回3着2回と毎回上位入線を果たす堅実さが身上。その半面、勝ち切れないのは1400mの距離に求めることができ、それならば1600m延長で待望の白星を飾れるかもしれない。
あとは前回快勝で弾みついたオメガユーロスターまで印を附したが、鞍上に菅原勲騎手を指名したシュガーピュア、直線で確実台頭ランフォーカヴァーも怖さたっぷり。手を広げるか、絞るかにちょっと迷う一戦だ。
◎(11)マアーラウ
○(3)タケデンエビス
▲(7)セイントプラウド
△(5)コアレスミューズ
△(2)オメガユーロスター
3連単は11、3の1、2着折り返しから7、5、2を3着押さえ。しかし11を1着固定に手広く流す手もある
馬複は 3-11、7-11、5-11、2-11
<お奨めの1頭>
11レース ギシアラバストロ
中央ダートで4勝マーク。準オープンからの転入なら勝って当然。ここを勝って重特路線へ乗る