岩手競馬が冬休みの間、昨年話題の人・これから話題になるだろう人・遠征中の騎手達のお話しをうかがう『この人に聞く』を掲載します。第1回は騎手から調教師に転身した板垣吉則調教師です。
騎手から調教師になって、半年間があっという間でしたね。
「調教師」という仕事や立場は、今までずっと横から見ていたけれども、自分でやってみるとそれはもう大違い。全くの未知の世界、何事も初めての経験でした。
もともとスタートの時点から時間が無かったですからね。昨日まで騎手で今日から調教師、みたいになって慌ただしく開業。準備に取れる時間がほとんど無かったからいろいろ同時進行で。
ここまで勝てたのはオーナーの皆さんのおかげで馬が集まった事と、厩務員さんも一生懸命がんばってくれたおかげです。オーナーのおかげで馬房にはほとんど空きが出なかったですし、厩務員もよく頑張ってくれるから任せる事ができた。今年の勝ち星はちょっとデキ過ぎだと思うけれど、周りの皆さんのおかげですね。
うん、どっちが楽かと言えばやっぱり騎手だね。勝ち負けのプレッシャーはあるけれどレースの時だけだからね。調教師は調教からレース、レース後の管理、その後は次戦へ向けた調整とずっと考えなければならないし、それ以外にも獣医さん、鉄屋さんの手配、飼い葉をどうするか、預託料、給料、税金・・・。他に頭を使う事が一杯で。大変でしたよ・・・。
今年はうまく勝ち星を増やせましたが、この先2年目、3年目とうまく土台を作っていく事が大事だと思っています。5年くらいかけて、しっかりした「板垣厩舎の形」を作っていきたいですね。(談)
村上昌幸調教師みたいに調教師でも1000勝突破、どうですか?と振ってみると「無理無理!俺なんかじゃ100年かかるよ!」と笑い飛ばされてしまいましたが、こちらもぜひ・・・と期待したいですよね。1300勝を挙げた騎手が40歳を前に転身したのですから、計算くらいはしてみても、いいんじゃないでしょうかね・・・。【横川典視】