30日メインは芝2400mを舞台に行われる地方競馬全国交流「第28回せきれい賞」。このレースは天皇賞・秋ステップ競走代表馬選定競走でもあり、1着馬には毎日王冠、京都大賞典、オールカマーへの優先出走権が与えられる。つまりステップ競走とは、実のところトライアルなのだが、主催者によるとステップ競走が公式の副題。まぁ、決め事だからあまり多くは言わないが、ファンが混乱しないように…とだけ望みたい。
さて本題。当初、エントリーのあった笠松シノブホマレは出走を自重。シアンモア記念、みちのく大賞典、マーキュリーカップと3回連続で盛岡遠征を敢行したが、さすがに一連の長距離輸送の疲れが取れなかったか。それでも岩手の交流で通用するのは証明済みで、リフレッシュをして再度トライしてもらいたい。
結果、他地区からは南関東の4頭、迎え撃つ地元岩手10頭の計14頭で覇を競い合うことになった。ポイントは遠征馬と地元馬のレベル比較だが、それ以上に盛岡芝への適性度が重要なカギを握る。それは前週23日、3歳芝重賞・オパールカップで地元岩手勢ブラックショコラ、カズノマックイーン1、2着が如実に物語っていた。遠征馬では船橋ジェスターズコートの3着が最高で、いい感じでレースを進めながら直線上り坂に戸惑ったようで、最後で伸びを欠いた。また芝キャリア豊富のシホウネリも最後方から3コーナーでスパートをかけたが、4コーナーで外方逸走。初の左回りに加え、盛岡芝の特殊コースにてこずった印象だった。
とすれば今回も実力もさることながら盛岡芝適性を重視したく、主軸にジェーピーバトルを指名する。今年の芝レースの使い出しはA2特別・FM岩手杯で余裕の直線抜け出しを決めて快勝。続いて格下から強気の挑戦、オープン・かきつばた賞でも0・2秒差2着。前半ハイペースだったため、ゴール前でヤマヨダイナミックに交わされたが、地力アップは誰の目にも明白だった。また前走、JRAとの条件交流フレンドリーカップ・シリウス賞ではとても届かないところから猛然と追い込み、タイム差なしの2着にまとめた。
すでに前々走・かきつばた賞で盛岡芝2400mも経験済み。待望の重賞タイトルは、もう目前に迫り、『新盛岡ターフ王』の勲章を手に入れるか注目。
(かきつばた賞ゴール 写真・佐藤到)
ヤマヨダイナミックは佐々木修一調教師が芝は合う、と導入した読みがズバリ。5月20日、FM岩手杯でスローペースをはねのけて2着に入ると、ジェーピーバトルと同様、格下からオープン・かきつばた賞に挑戦。ペースにも恵まれたが、スタートで出遅れながら直線豪快に抜け出して見事1着。以降の2戦は8、9着と凡走したが、これは水沢ダート戦のもので陣営も納得の結果。ここに照準をピタリと合わせた。
せきれい賞2連覇中のサイレントグリーンも、このまま黙って引き下がるわけにはいかないだろう。前々走・かきつばた賞まで盛岡芝2400mは4戦4勝のパーフェクト。当然のようにかきつばた賞でも1番人気に支持されたが、道中もたついてよもやの3着。直線の叩き合いで前記2頭に完敗を喫した。
続いてJRA・福島テレビオープン挑戦したが、15頭立て10着。これは岩手に条件の合うレースがなかったためで、ローテーション的にはベスト。新興勢力の台頭に待ったをかけるか、盛岡ターフ王の意地でもここは負けられないところだ。
一方、遠征馬ではアンフィトリオンが不気味だ。中央6勝はすべて芝2000m以上でマークしたもので昨年のG?・日経賞で0・3秒差4着。常識的にはアッサリ勝って当然の実績馬なのだが、続くメトロポリタンS4着後、1年の長期休養。船橋へ移籍して復帰を果たしたものの、2戦とも大差負けでしかも二ケタ着順。本来なら黙って◎なのだが、仕上がり具合を考えて△とした。
他ではゆったりとした流れが合う大井ウエノマルクン、岩手転入初戦を2着にまとめた中央芝4勝馬イエローボイスあたりにも注意が必要だろう。
3連単は4、14、3の3点ボックス。他に4を1着固定に14、3を2着から3着流しで2、11、7
馬複は4−14、3−4、3−14、2−4、4−11
<お奨めの1頭>
11レース マチカネダイキチ
岩手転入後<3320>とすべて3着以上にまとめ、依然底見せなし。しかも前回1着で弾みもついた
今シーズンの岩手競馬2歳戦が、いよいよ本格的なスタートを切った。その特別第一弾は毎年恒例の「第24回ビギナーズカップ」、盛岡ダート1200m。今年の2歳は粒ぞろいともっぱらの評判だが、その中でも注目はなんと言ってもボスアミーゴだろう。
(デビュー戦を完勝、ボスアミーゴ 写真・佐藤到)
ボスアミーゴは父アドマイヤボス、母サクラユキクイン、母父サクラトウコウ。姉に中央2勝サクラファンタジーがいるが、それ以上にボスアミーゴ自身のレースぶりに大物感を漂わせている。
6月16日に行われた能力検査で水沢850m53秒1の好タイムを持ったままでマーク。そして迎えたデビュー戦7月1日、水沢850mの新馬フューチャー競走では1枠(9頭立て)にいったが、よもやの出遅れ。850mの短距離でこの出遅れは致命傷とも言えたが、一旦後方に下げる思い切った戦法を菅原勲騎手は選択。そこから3コーナー手前で外に持ち出して態勢を立て直しからがケタ違い。直線では完全にセーフティリードを取ったはずのシュクジャンヌをあっさり交わして快勝。52秒5の時計以上に強いレース内容に周囲は驚いた。
後日談だが、実は水沢850mのレコード(51秒1 ニッショウウララ、01年9月15日)更新も陣営は狙っていたそうで、残念ながらそれは実現しなかったものの、破格のレースを披露して大向こうを唸らせた。
デビュー戦487キロの雄大な馬格もそれを裏付けており、芦毛ながらきりっとした好馬体も大物感を漂わせている。
アドマイヤボス産駒はこれまで岩手で芝を中心に活躍を続けてきたが、ボスアミーゴはちょっとタイプが別。とりあえずはダートの王道を歩ませたいという話だが、まずはこのビギナーズカップでどのようなスケールを見せてくれるのか非常に楽しみだ。
そんなボスアミーゴにも不安がない訳ではない。初輸送と初コースだ。2歳馬は初物尽くしによって、レースに集中できないケースもままある。
そこを突いて大勢逆転を狙っているのが牝馬パラダイスフラワーだ。父はダートで活躍馬を続々と送り出しているティンバーカントリー。母はダイナコマネチ、母父ノーザンテースト。顔のおよそ半分を占める“白”はその母父ノーザンテースト譲りで、遠目でも派手な特徴ですぐ判別がつく。
デビュー戦(芝1000m)は持ち前のスピードを生かして果敢に逃げたが、直線でセイントセーリングに交わされて2着。しかし、続く2戦目の水沢1300m戦ではアッサリ逃げ切って2着に0・7秒差と圧勝。やはり現時点では父の特長どおり、芝よりダート向きを印象づけた。
今回は調教でも走り慣れた地元盛岡戦。決して逃げ一辺倒のタイプではなさそうだし、完成度で打倒ボスアミーゴの一番手に位置する。
パチョリはオウシュウクラウンと同様、父ジェイドロバリーのUAEドバイ生まれ。こちらは牝馬鹿毛で430キロ台と若干小粒だが、デビュー戦の芝1000m戦で出遅れを喫しながらも直線で巻き返して2着。今後につながるレースを披露した。近親に米G?・ハリウッドTHを制したストームトロッパーがいる良血馬でもある。
他では昨年の年度代表馬マツリダパレス(父デュラブ)の半妹マツリダランラン(父ダンツシアトル)はデビュー戦芝1000mを快勝、またメイセイオペラ3世代目のカネショウエリート、父シャーディー、母父アジュディケーティングと仕上がり早そうなユキノスペシャルも押さえたいところだ。
3連単は4、2を1、2着固定に3着1、3,7、8へ流し。また2を中心に据える手もあるか
馬複は2−4、1−4、3−4、4−7、1−2
<お奨めの1頭>
9レース ユーワプロトス
前走、芝1600m特別・ふみづき賞で鮮やかな逃げ切りを決めた。ほぼ同じメンバーなら再現濃厚だろう