17日はいよいよG3・マーキュリーカップ。毎年このレースの時期になると「暑いなあ、夏が来るなあ」と思います。まあ、8月のクラスターカップが終わる頃には秋の気配も漂ってくるのですから、短い北国の夏を目一杯満喫しておきましょう。
さて、今年のこのレース、私は早くレースを見たくて仕方がないんです。というのも、乗っている騎手の顔ぶれが非常に個性的かつ魅力的なんですよね。
例えばビッグゴールドに騎乗する徳留康豊騎手は名古屋−高知−金沢と移籍しながら30年間、それぞれの地でトップジョッキーを張ってきた大ベテラン。コアレスハンターの御神本訓史騎手は『日本で一番小さい競馬場』と呼ばれた益田競馬場でのデビューして、益田廃止に伴って大井に移籍しました。シノブホマレに騎乗する岩手の板垣吉則騎手も上山競馬から岩手に移籍した騎手ですよね。川原正一騎手や安藤勝己騎手・岩田康誠騎手はもういうまでもないでしょう。
彼らのような“最初にデビューした土地を離れて新しい場所でがんばっている”騎手がこれだけ集まって、それもこの岩手の地で争う・戦う、というのが妙に嬉しいですね。
もちろん、あの武豊騎手もいますし、岩手からもTOP2、菅原勲騎手と小林俊彦騎手が迎え撃ちます。今年のマーキュリーカップ、馬の戦いももちろんですが、それ以上に人間の戦い・騎手の戦いが興味深いのではないでしょうか。
個人的には、今回は、武豊騎手よりは徳留騎手だなあ。“見てみたい度”でいうと。
さて、予想に行きましょう。マーキュリーカップの私の本命は牝馬のグラッブユアハートです。
私がこの馬を初めて見たのは、3年前の金沢・サラブレッドチャレンジCでした。安藤勝己騎手を背に逃げまくるタマモリッチを追い、レマーズガールと、そしてグラッブユアハートが猛然と追い上げたレース。結果は優勝タマモリッチ、2着レマーズガール、3着グラッブユアハートとなりましたが、この時の彼女の脚はいかにも盛岡向きに思え、それ以来ずっと盛岡に来てくれる日を待っていました。それがいよいよ来てくれたわけですから、これを本命にしないわけにはいきません。
グラッブユアハートは牝馬ダートグレードを中心にG35勝を挙げており、その距離の内訳は1600m2勝・1800m2勝・2100m1勝。しかしこれは牝馬ダートグレードにマイル戦が多いからというだけで、この馬の本来の適性は中距離戦、それも瞬発力の活きる軽いコースにあるのではないかと思います。そして、平坦コースだと前が止まらず捉まえきれないきらいがあるので坂があったりすればなお良し。そう、盛岡こそこの馬の持ち味が最大限に発揮されるコースなのではないでしょうか。気になるのは牡馬との力関係ですが、これは昨年の白山大賞典優勝の実績で十分クリアできるでしょう。
対抗は、ちょっとひねってビッグゴールドでいかがでしょう。JRA6勝、うちG3を1勝。そして昨年の天皇賞(春)では14番人気ながら2着に飛び込んで大波乱を演出。実績的には問題ないですし、ダート適性も金沢移籍2戦で証明しました。左回りもむしろ得意そうな点が魅力です。
レマーズガールも今回の条件で面白い一頭。昨年までほどの勢いには欠けるとはいえ、なにせ重賞7勝の女傑。スムーズに流れに乗れる展開になればしっかり末脚を発揮してくるでしょう。
本来なら本命に推したいスターキングマンですが、3月以来、それもドバイ遠征からの久々という点がどうしても気がかり。状態面は特に問題ない模様ですけれど、元々休み明けは走らないタイプでもあり・・・。今回は鞍上に期待というところで押さえまで。スナークレイアースも、マーキュリーカップとは抜群の相性を誇りますが、今年は例年に比べやや苦しいローテーションで、こちらも押さえまでの評価が妥当でしょう。
もう一頭、忘れちゃならない岩手のエアウィード。この馬、結局走るか走らないかは本人の気持ち次第で、スイッチが入ればシアンモア記念のように強いレースを見せるし、入らないと前走のように凡走してしまうんですね。スイッチが入ってしまえば、昨年のこのレースのように粘り強い走りを見せてくれそうな気がします。
買い目は7枠12番グラッブユアハートから2、3、6、9、14へ。馬複だとトリガミになりそうなので馬単か3連単。当日の馬体重等を見る余裕があるのでしたら、この中からもう少し絞っていきたいところ。
岩手競馬ではこのレースを皮切りに、8月・クラスターカップG3、9月ダービーグランプリG1、10月南部杯G1と4ヶ月連続でダートグレード競走が行われます。その最初のレース、しっかり当てて弾みをつけたいですね。