
―ガールズフレッシュクイーン、優勝おめでとうございます!
突っ張り先行での逃げ切りでしたが、やはり先行で戦いたいという意識が強かったんですか?
ありがとうございます。
養成所の競争訓練で逃げて勝つのがかっこいいなって思って、その時からずっと逃げるのを意識して頑張ってました。
―優勝直後はご自身では分からなかったとコメントされてましたよね。
そうなんです!必死過ぎて周りが全然見えてなくて、、
先頭の方にいるのは分かったんですけど、残ってたか全然分からなくて、お客様からおめでとうとか優しい言葉をもらって気付いた感じでしたね。
圧倒的な優勝が分かったらガッツポーズできると思うんですけど、結構接戦だったので分からなくて、、未だに「ガッツポーズすれば良かった~!!」って思ってます。それは心残りです(笑)
―今回は仲澤春香選手(福井 126期)が人気を集めていましたけれども、これまで先着されていた中で今回はしっかり先着して優勝できて自信になりましたか?
はい!フレッシュクイーンと言ってもすごく強いメンバーだったので、その中で勝てたっていうのはだいぶ自信になりました。
―養成所で最初は苦戦された時期もあったと思うんですけど、デビューしてルーキーシリーズでは優勝もありましたよね。養成所やデビュー後に苦しい時期もありましたか?
そうですね、養成所の全体的な成績を見てもずば抜けて良かったわけでもなくて、卒業時の成績の順位も8位でした。トップ3を目指して頑張ってたから残念だったし、悔しい思いをしました。
デビューして最初の頃は頑張って逃げても6着ぐらいになってしまって、確定版に乗れないレースでした。でも成績が悪くてもとにかく逃げることを意識して、成績というよりそのスタイルをちゃんと極めていきたいなと思って頑張ってました。
―その中でメンタル面の変化はありましたか?
はい、結構変わりましたね。高校でも自転車をやってたんですけど、その時は1回ダメだったら落ち込んで泣いてた記憶があります。その頃からよく母に支えてもらってました。養成所に入ってからもハァーってなる(落ち込む)こともあったし、デビュー後はレースのスパンが短いので成績が悪くても切り替えをしなきゃいけなかったです。母が「落ち込んでる暇はないよ!」って言って支えてくれて、メンタルが強くなったと思います。
レースの話もして、「あーもうどうしよう」とか言っても、「大丈夫。次があるよ」って感じで励ましてもらえて、母から切り替えを学びました。本当にいつも母が1番の支えになっています。
―Instagramのハイライトにいる自転車競技の小原乃亜選手は高校の先輩で、一緒に競技をやっていたんですよね。今でも仲が良さそうですよね。
そうです。本当に特別過ぎる存在です!フレッシュクイーンの時も連絡が来て、本当に感動したって言ってくれて嬉しくなりました!「乃亜さんのおかげで私がいるんだよ~」って思いました(笑)デビューした年(2023年)に乃亜さんとチームスプリントで組んで、最初で最後の国体を優勝で終わることができて本当に良かったです。乃亜さんも今年(養成所に)入所のはずなので、早く出てきてほしいです!ナショナルなので多分静岡で(練習を)やると思うんですけど、早く同じ開催になりたいです!
―お話しされている感じはすごく可愛らしい印象ですけど、負けず嫌いだったり、気の強さはあると思いますか?
はい、めっちゃ負けず嫌いだと思います。
この世界をはそもそも負けず嫌いな方がほとんどだとは思うんですけど、その中でもやっぱり私は競走成績というより、同じスタイルの方が一緒のレースの時は特に先行したい気持ちが強いです。
―同じ先行タイプの選手が一緒のレースの時は、勝つよりも自分のレースをしたい気持ちが強いですか?
今までのレースを振り返ると、そういう思いが強いかもしれないです。でもそこで自分からちゃんと仕掛けられた時は、良い結果に繋がったレースもあったと思います!もちろんダメな時はダメですけど、、
例えば今まで奥井さん(奥井迪選手 東京 106期)と一緒のレースになることも多かったんですけど、やっぱり自力の選手だし憧れなので、しっかり力勝負したいっていう気持ちがありました。他にも加瀬さん(加瀬加奈子選手 新潟 102期)や小林優香さん(福岡 106期)も憧れの選手です。
―先行をどんどん繰り返していく中で脚力も増していると思うんですけど、レースの動き方もご自身では含めていかがですか?
そうですね。やっぱり最初のデビューの頃は脚力、持久力がなくて、、今もまだまだ足りてはないんですけど、そこから比べるとだいぶついてきてると思います。
落ち着いて頭を使ってレースを考えるっていうのが、今もまだちょっと足りてない部分はあるんですけど、前より周りは見えてるとは思います。レース内で予想外の動きがあった時は、余裕があれば冷静に捲りに構えようとは思いますけど、まだ焦りはありますね。
―デビューして今年は3年目ですが、どのように戦っていきますか?
今年も逃げたいですし、しっかり自力を出して頑張りたいです。
―今回は同期の選手もいますよね。Instagramのハイライトにいる宇野選手(宇野紅音選手 岐阜 124期)とは仲が良いんですか?
仲良いですね!今は私が冬季移動で岐阜にいるので練習も一緒にやっていて、一緒に住んでるんです!ご飯も一緒に作って、家族みたいな感じです。
今日も宇野がレースを走ってるので、帰りを待ってます(笑)ご飯を作って待ってようかなって(笑)
―宇野選手との出会いはいつだったんですか?
高校の時にお互いに自転車をやっていて合宿で初めて会って、特に養成所に入ってからすごく仲良くなりました!とにかくもう私のツボで、本当に毎日笑ってるし面白いんです(笑)
練習になると宇野メインで練習メニューを組み立ててもらってて、私も一緒に頑張ってやってます!
―宇野選手も含めて、同期の選手と仲が良さそうですよね。
そうですね。「あのレースはどうしたら良かったかな」とか言ったら、宇野がちゃんと返してくれるので先生的な存在ですし、本当に良い友達です。
それに124期はみんな仲良しだと思います。高橋美沙紀さん(愛知 124期)も仲が良くて一緒に遊びますし、うちに遊びに来る人もいっぱいいます!舞夏さん(金田舞夏選手 福岡 124期)とか山口優依さん(愛知 124期)も来てくれましたし、一緒に練習もします。
―冬季移動中のオフの日は宇野選手と過ごすことが多いですか?
そうですね、一緒に出掛けたり、家にいる時はよく一緒にアニメを見てます。宇野とショッピングも行くんですけど、私たちはアニメが好きなのでグッズも買います!「何が出るのかな」って感覚がすごい好きなので、ランダムグッズが大好きなんです!
最近は宇野と一緒に2周目の進撃の巨人を観てます。あとは最近忍たま(乱太郎)の映画があったんですけど、それにドハマりしてそのグッズもめっちゃ買います。本当に毎日楽しいです。
なので(宇野選手がレース中で)今寂しいんですよ。(笑)寂しいから早く帰ってきてほしい(笑)
―冬季移動が終わったら、宇野選手とも離れてしまいますよね。
そうなんです。期間が空いていて一緒のレースの予定があったら、こっち(岐阜)にみんなを集めて合宿みたいな感じで練習させてもらおうかなって、勝手に思ってます(笑)
岩手と岐阜だと遠いのでなかなか会えないんですけど、ちょこちょこ連絡は取ってます。
―GIオールガールズクラシックはGI競輪祭女子王座戦に続いて2回目のGIですが、調整はいかがですか?
今は調整っていう調整はせずにいつも通りやってるんですけど、脚の状態は良い方向に持っていけてると思ってます。
最終的な目標はグランプリだし早く出たいと思ってるので、GIは獲りたいし燃えてきますね!
―競輪祭の時は緊張されたと思いますが、奥井選手を相手に先行して確定版に乗るレースもありましたよね。
はい、普段の開催も未だに緊張しますけど、競輪祭はGIが初めてで同期もいない開催でしたし、いつも以上に本当に緊張しました!!緊張の記憶が強いんですけど、そのレースは自分でもびっくりしました。まさか確定版に乗れるとは正直思ってなくて、しかも頑張って逃げて3着だったので自信になってます。
―今は冬季移動で岐阜にいらっしゃるとのことですが、バンク特性を理解している面で有利になりそうですか?
はい、冬季移動で使わせてもらっている岐阜競輪場は第2の故郷と言っても過言ではないですし、慣れてる方だと思います。やっぱりそこで成績を残したいので頑張ってます。
ーGIオールガールズクラシックへの意気込みを教えてください。
今回は同期の宇野とか竹野さん(竹野百香選手 三重 124期)もいるし、楽しみです。自力の逃げで頑張ります!冬季移動でも使わせてもらっている岐阜競輪場での開催なので、やっぱり爪痕を残したいと思います。自力で頑張りますので、応援よろしくお願いします。
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 太田理恵
東京大学 大学院卒、GIでは自力選手のタイムを計測。 モデル出身で、現在は競輪MCや毎月のコラム執筆を中心に活動する。 ミス・ワールド日本大会2014,2015,2020特別賞受賞。
-------------------------------------------------------
※写真提供:公益財団法人 JKA
プロフィールページからお気に入り登録ができます。
※お気に入り登録にはログインが必要です。
3月に玉野競輪場で行われたルーキーチャンピオンで優勝した福岡の阿部英斗選手にレースの振り返り、そしてこれからの目標などについてお伺いしました。
― 競輪選手として本格的にデビューされて10ヶ月が経ちましたけれども、ここまで振り返ってみて阿部さんの中ではいかがですか?
そうですね、思ったようにすべてがうまくいったわけではないですけど、それなりにしっかりと結果はついてきているのかなと思います。
― デビューして1年経たずにS級にも上がってということになってますもんね。
18連勝を目標にしてた部分も少しあったんで、やっぱりそういうところも含めて、自分が思った通りにはいかない部分はありました。
― 思った通りにいかなかったというのは、何が原因というか...まあ相手関係もあるかと思うんですけど、何だったんでしょうか?
やっぱり自分の脚力というか力が足りなかった部分も大きいですし、もう少しレースできれば良かったなって、今思えば思います。
― それは、レースに臨むときにプレッシャーみたいなものがあったということですか?
デビュー戦は、先行もしなきゃいけないのかなと思って、勝ち方にこだわり過ぎたところがありましたね。
― 森田一郎選手が先にS級を決めてましたよね?
そうですね、森田さんとは一緒に練習もしていましたし、練習でも一度も勝てなかったし、結果としても勝てなかったので、本当に悔しかったです。
― じゃあなおさら、森田さんが待っているS級に自分も早く上がってやろうっていう気持ちは強かったんですね。
そういう気持ちはありました。
― レースに臨む前って、「自分が売れてるな」とか、オッズを見て感じたりすることってありますか?
自分はオッズをすごく見るタイプの選手だと思います。
― それは、あえて見るようにしてるってことですか?
あえて見ますね。控室で音楽を聴きながらレースのことをずっと考えてるんですけど、お客さんがどういう考え方をしているのか、少なからずオッズからわかるので、そういう意味も込めて見ています。
― お客さんの考え方も?
そうですね。自分はお客さん側から選手を目指しているタイプなので、お客さんがどういう意図で買ってるのかな、どうして売れているのかなっていうのは、すごく考えながら控室で待っています。
― 阿部さんが本命でライン決着はもちろんですけど、筋違いのところでも10倍切ることが多いじゃないですか?そういうところも見ながらレース展開を考えたりされているんですか?
そうですね。一番人気はだいたい自分から売れることが多いので、「この組み合わせが何で売れてるのかな」とか、そういうのを考えていると結構面白いですね。面白いし、リラックスもできます。
― 先ほどともちょっと重なるんですけど、オッズがガチガチに被ってるときとか、緊張したりはしますか?
緊張することはあんまりないと思いますね。レースの時も、自分が人気だからってなにか変わることはあまりないと思います。
― 走る前のルーティンというか、ゲン担ぎとか、そういったことはありますか?
ゲン担ぎはあまりないんですけど、靴を右から履くのが当たり前になっていて、1回だけ左から履いたことがあったんですが、無意識にすごく気持ち悪くなって、履き直したことがあるんです。そういう、何気ない行動が無意識に染み付いてるのかなと思います。
― 1月の立川でS級初戦を迎えたわけですがシリーズを振り返って、阿部さんの中ではいかがでしたか?
人生で結構落ち込んだレースではありますね。あそこがターニングポイントだったような気もします。S級の舞台で戦うのを目標にしてやってきた部分があって初めてのS級でちょっとビビってた部分もありますし。目の前にタイトルを取ったことがある人と戦うわけだったんで。緊張感はかなりありました。今までで一番かもしれません。
― その立川のレースが終わってからというのは、ご自身の中で気持ちを立て直して、また練習にぶつけていった感じですか?
立川の初戦で7着になって、ボロ負けだったんですけど、逆にそれが自信になったというか。うまく言えないんですけど、あれからすごく自信を持ってS級でも戦えている気がします。
― 確かに、あの時がね。初日は負けてしまいましたけど、そこからの成績はかなりいいですもんね。
はい。そこからは自信を持って、自分のレースができているように思います。
― その次が地元の小倉で、さらに小松島のGIII開催もありましたよね。グレードレースを振り返って、阿部さんはいかがでしたか?
お客さんがあまりいなかったので、GIIIっていう感じは正直あまりしなかったですけど、目の前に新田さんとか、強い選手がいたので緊張感はありましたし、そういうところはすごく参考になったと思います。
― 新田さんとはお話ししたり接する機会はありましたか?
ナショナルチーム時代に新田さんに指導していただいていて、3年くらい一緒に練習させてもらっていました。なので顔見知りではあるんですけど、あまり込み入った話はできなかったですね。レースが終わった後は「お疲れ様でした」くらいしか話せませんでした。
― なるほど。じゃあレースについてのやりとりは特にはなかった感じですね。
はい、特にはなかったです。
― そのシリーズ、全部で最終バックを取るような競走をされていたと思うんですけど、そのあたりは意識されてたんですか?
そうですね。心がけている部分ではあります。
― そして、その次が優勝された玉野でのルーキーチャンピオンだったわけですが、やっぱりこのルーキーチャンピオンに出るっていうことは、一つの目標みたいなものもありましたか?
そうですね、やっぱり出たいレースでしたし、一つの目標ではありました。
― 実際にルーキーチャンピオンを迎えるにあたっての阿部さんのコンディション面は、いかがでしたか?
もう全く問題なかったと思いますし、精神面もすごくいい状態で入れたと思います。
― 先ほどまでは7車立てでのレースが多かったと思うんですけど、今回は9車立てでのレースでしたよね。そういったところで何か対策などはされていましたか?
小倉の1週間前ぐらいに練習で、9人全員単騎でデモレースみたいなことをやってくれたんです。練習仲間の方たちが、ルーキーチャンピオンを想定して、シミュレーション的な感じでやってくれて。めちゃくちゃありがたかったですね。
― それはすごくありがたいし、嬉しいですよね。
本当に不動会の皆様には感謝しています。
― その先輩たちの思いにも応えるためにも、「負けられない」っていう思いは強かったですか?
そうですね。自力じゃない選手たちも、自力でデモレースしてくれたので、そういう面でも本当にご迷惑をおかけした分、良い形で恩返しができてよかったなと思います。
― 阿部選手の中で特に意識していた選手はいましたか?
やっぱり125期のトップは森田さんだったと思いますし、今まで一度も勝てていなかったので、最後この機会に勝ちたいっていう気持ちは強かったです。
― どんな作戦でそのレースに臨まれたんですか?
小倉の合宿で練習した時に、やっぱり後ろがちょっと不利だなっていうのは強く感じたので、スタートから前を取りに行って、取れた位置から前々でレースしようって考えてました。
― 確かに、レースを見ていても前々で攻めていく姿勢を感じました。勝負どころでは、ちょっと詰まるようなところもあったと思うんですが、ああいった場面は苦にしないタイプですか?
そうですね。最悪こじ開けることは自分ならできると思ってましたし、焦らず、いつでも前に行ける気持ちでレースをしてました。
― そこからまた巧みなコース取りもあって、森田選手とのゴール前勝負になったんですが、あのあたりは振り返ってどうでしたか?
あんまり記憶がないわけじゃないんですけど、レースの中で自然と起きたことだったので、「次こうしよう」って考えたわけではないです。ただ、四コーナーを回った時に前に森田さんしかいなくて、「この人を交わせば1着だ」と思って踏んだのは覚えてます。
― ゴール前では、「かわしたぞ」っていう感触はあったんですか?
はい、ありました。毎日しっかり積み上げてきたので、確信を持ってゴールできました。
― あのガッツポーズもかなりかっこよかったですよね。
しようと思ってたわけじゃなくて、体が勝手に動きました。
― 最後に場内を回っていた時、ファンの声援はどう感じましたか?
すごくありがたかったです。卒業記念の時から応援してくれている人たちが多かったので、ようやく目の前で恩返しできたかなっていう感じがしました。
― 周りの人たちに対する思いも、すごく強いですよね。終わったあと、ご家族や師匠、練習仲間の皆さんの反応はいかがでしたか?
「よく獲った!」って褒めてくれました。やっぱり嬉しかったですね。なかなか形になってなかったんですけど、本当に最後、125期での最後のレースで形として残せたのは良かったなと思います。
― 確かに、同期の方たちだけで走るっていうのは、もうなかなか無いですよね。
そうですね。もう無いに等しいと思います。
― 終わったあとに同期の皆さんでご飯とか行かれたんですか?
塩島さんと遠藤さん以外とはご飯に行って、みんなでいろいろ話しながらご飯を食べました。
― やっぱりレースが終わったら敵じゃなくて「同期」っていう感覚なんですね。
はい、そうですね。逆に同期があそこまで集まるってことは、なかなか無いと思うので、楽しかったですね。
― ちょっと突っ込んだ話になりますけど、優勝賞金が140万円くらいありましたよね?なにか、ご自身へのご褒美とかってありましたか?
うさぎを飼うのが憧れだったので、うさぎを飼い始めました。
― そうなんですね!じゃあ、もうご自宅に迎えてから1週間くらいですか?
はい、そうです。すごく可愛いです。
― うさぎのいる生活になって、なにか気持ちの面での変化とかありましたか?
癒やされますし、帰る楽しみができたというか、落ち着きますね。
― そのルーキーチャンピオンを獲られて、次は地元・小倉での凱旋となりましたが自分の中で何か意識の変化ってありましたか?
ルーキーチャンピオンだけじゃなくて、その前からもいろいろと気持ちは高まっていたので、自信を持って突っ張れるようになってましたし、「何に対してもできる」っていう自信のもとでレースが運べたかなと思います。
― 気持ちの面でかなりプラスに向かっていったんですね。
はい。やっぱりメンタル面が弱い部分があったので、あれを獲ったことで、自分の中で考え方も変わってきたように思います。
― こないだの小倉の決勝でも横の動きがすごく目立ってました。なんでそんなに横が強いんですか?
自分は8歳から自転車競技をやっていて、競輪の選手たちに育ててもらったようなもんなんですけど、併走の練習とか横の練習とかを、小学生のころから選手の人たちが一緒にやってくれてたんです。だから、人が横にいることも正直そんなに怖くないし、その人を信頼して当たることが、小学生の頃から普通にできてたんですよね。
― すごいですね!逆に阿部さんにとってはそれが"当たり前"だったんですね?
はい、普通だと思ってました。でもデビューしてから「横が怖い」っていう選手の話を聞いて、初めて自分がちょっと特殊なんだって知りました(笑)
― 確かに、自転車に乗ってない人からすると、あのぶつかり合いは本当に怖いですよね。それを新人の段階で平然とやってるのはすごいなと感じてました。もう横に関しては、10年くらいやってる感じなんですね。
そうですね。横はずっとやってきてるんで、今は縦の脚力ももっと強くしていければ、と思ってます。
― じゃあ、その縦が強くなってきたら、もう本当に"最強"になっちゃいますね!
いや、でもSSの選手だったり、眞杉匠さんみたいな選手を見ると、やっぱり自分にはまだ足りないところがあると思います。この前の決勝で優勝できなかったのも、まだまだ甘い部分があるからだと感じてます。
― そういう選手を目標にされてるってことですか?
目標というか、自分の脚質的にも眞杉さんに近いものがあると思うので、すごく参考にさせてもらってます。
― 今、レースや練習の中で意識していることは何かありますか?
本当にどうしようもない時はあると思うんですけど、自分の中で意識してるのは、誰が見ても「これは仕方ない」と思ってもらえるように、最後までレースでは全力を尽くすっていうことですね。
― それも、やっぱり阿部さんが"お客さん目線"を持ってるからこその考え方ですよね。
はい、そう思います。
― ルーキーチャンピオンも獲られて、これから本当に活躍が楽しみなんですが、今の目標があれば教えていただけますか?
ヤンググランプリ出場を目標に頑張ってます。
― 最後にオッズパークの読者の皆様に一言お願いします。
はい。最後まで諦めない競走を心がけます。応援よろしくお願いします。
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
-------------------------------------------------------
※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
プロフィールページからお気に入り登録ができます。
※お気に入り登録にはログインが必要です。
― まずは去年を振り返っていかがですか?
ちょっと結果的には物足りなかったかなって感じですね。
前半に落車もあってリズムを崩しちゃって、後半は結構順調に走れたんですけど、その巻き返しが効かずって感じでしたね。
― 今年はもうすでに1月4本、2月は3本も走られていますけど、どのような気持ちでレースに臨まれていたんですか?
12月は1本しか走れてなくて、1月はもともと2本だったんですけど追加で2本入ったので、年始からしっかり走っていこうかなと思って走りました。
― 今年はもうすでに3回優勝され、現在賞金ランキング1位ですが、ご自身ではどう感じていますか?
うーん、まあでも2月が全部2着だったので、ちょっとなんとも言えないですけど、、でも脚力的には去年よりだいぶしっかり走れてるのかなって感じです!
賞金の方はまだ始まったばかりですし、だいぶ本数に助けられているなっていう感じですね。
― ガールズ競輪でGIが新設されて、賞金ではなくグランプリに出られる枠ができたことはどう感じましたか?
モチベーションの維持にもなりますし、ありがたいですね。
ピーキングとかを考えても、以前はトライアルとかで優勝しないと大きいレースに出られなかったので、ピークの持っていき方が難しいところはあったんです。
それがGIという形で固定されたので、そういう面では目標を絞って練習できるので助かってますね。
― GIがあるとモチベーションもコントロールしやすそうですよね。久米選手はモチベーションがあまり上がらない時はありますか?
うーん、まあ多少波はありますけど、そんなにはないですね。基本的にあんまり物欲もないので、この生活が好きでやってるって感じですね。走る度に課題を見つけて、次走った時にできるようになってたりするのが楽しいですね。なので私の場合は賞金よりもそういう過程が楽しみではあります。
― 高校時代は大学に進学する選択肢もあったというのも聞いたのですが、そこは違うなという感覚があったのでしょうか?
そうですね、やりたいことを見つけないまま一応進学だけ考えてた状態だったので、、もともと学生時代にはスポーツをやってたこともあって、父親も元競輪選手でしたし、どこかでプロスポーツ選手っていうものに憧れがあったんだと思います。
― お父様とは仲が良い印象があるんですけど、今もレースの話はされますか?
しますね!私のレースは全部チェックしてくれてるので、心強いです。
― 普通開催とビッグレースを走る時の心境はいかがですか?プレッシャーや緊張感は感じますか?
人気を全然背負ってなかった時に比べれば、自覚はしてなくても割とプレッシャーになったりしてる部分はありますけど、それが原因で思い詰めてしまうとかはないですね。
逆にビッグレースの時のほうが、気持ち的にはチャレンジャー精神で行ける割合は大きいので走りやすいです。
― ビッグレースでは強い選手がいっぱいいますが、レースの中ではどんなことを意識していますか?
自分で展開を作るというか、自分で位置を取りに行くことは意識しています。
あとはレースの流れにしっかり乗るっていう部分ですね。
― いつも良い位置にいらっしゃいますもんね。でも位置取りだけでなく、先行や捲りもありますよね。そのあたりはレースの中で判断されているのでしょうか。
そうですね。普通の開催だと、先行一車になったりもしますしね。それも絶対先行したいとか捲りが良いとかこだわりを持ってるわけでもないので、レースの流れを見て緩んだところをしっかり仕掛けるようにしています。それが結果的に先行や捲りになるだけって感じですね。
― 緩んだ時に仕掛けるのは、躊躇ってしまうことはないですか?
練習で状態があんまり良くない時にそういう展開になると、ちょっと迷ったりはしますね。
なのでレースに向けて準備は意識的にしっかりするようにはしてますね。
― 久米選手はインタビューでも落ち着いていますけど、プライベートでははしゃいだりもするんですか?
そうですね。関西出身なんで、仲良い人がいれば結構関西ノリは出ちゃいますね(笑)インタビュー以外は関西弁も話します。
仲が良いのは碧衣さん(児玉碧衣選手 福岡108期)とかさくらさん(山原さくら選手 山口 104期)とか!その2人は沖縄も一緒に行かせてもらったりしたんですよ。
― 楽しそうですね!以前のオッズパークの配信で、優勝した時の久米選手のガッツポーズやサングラスを外すのをいじられていたのが印象的でした。
そうですね。いじられますね(笑)
でもちょっとアピールしていかないと、と思ってます(笑)
― あまり趣味はないって聞いたことがありますけど、練習以外の時間はどんな風に過ごすのが好きですか?
基本は家にいて、掃除してるか断捨離してるとかですね(笑)いらない物買っちゃって、結局捨ててみたいな、もったいないことをしてます。Amazonで見てる時はこれ良さそう!と思って買うんですけど、いざ届いたら全然使ってないとかありますね。本当にもったいないですよね(笑)
― 意外な一面ですね!例えば最近だと、どんな物を買ったんですか?
最近はちょっと学習して買わないようにしてるんです(笑)
でもAmazonの履歴を見たら、持ち運び用のストローを買ってました。ペットボトルとかに差して飲める商品で、リップが落ちないから便利そうだし良いかも!と思って買ったんですけど、まだ一回も使ってないです(笑)結局リップを塗り直した方が早いんで(笑)
だから最近はトレーニング用品を買うのが多いですかね。
― 久米選手の勝負強さの秘訣はありますか?
うーん、なんだろうな。自分でも結構びっくりしている部分もあるって感じなんですよね。
もともとテニスをやってたんですけど、テニスをやってる時は結構上がり性で、練習の方が全然強いみたいな感じの選手だったんです。今はどちらかというと練習よりもレースの方が実力以上の力を出せてるっていう感じですね。
強いて言うなら色々考えなくなったっていうのはあります。レースの時に色々と考えちゃうことがあったんですけど、それをやめてその瞬間だけに集中する、みたいなことをちょっとずつやっていったら力の出し惜しみがなくなりましたね。
それが結果的に良い方向に繋がっているっていう感じだと思います。
― 今年の目標はありますか。
GIができたのでタイトルを獲っていきたいっていうのと、グランプリも去年は出られなかったので、グランプリに出て結果を残したいですね。
― 今年はグランプリに向けてどう戦っていきますか?
脚力自体がやっぱりまだまだトップの選手とは差があるので、そこら辺の底上げが基本になると思います。底上げをしつつ、GIをしっかり獲っていきたいです!
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 太田理恵
東京大学 大学院卒、GIでは自力選手のタイムを計測。 モデル出身で、現在は競輪MCや毎月のコラム執筆を中心に活動する。 ミス・ワールド日本大会2014,2015,2020特別賞受賞。
-------------------------------------------------------
※写真提供:公益財団法人 JKA
プロフィールページからお気に入り登録ができます。
※お気に入り登録にはログインが必要です。
今回は九州地区の先行レーサーとしてデビューから5年半、S級1班に昇格して丸三年を経て飛躍をつづける伊藤颯馬選手(沖縄・115期)に今年の展望などをうかがいました。
― 昨年の最終戦だった寺内大吉杯(静岡FI)での優勝に続き、年始めの高知FIと全日本選抜(豊橋)の直前も松山FIで優勝されました。
伊藤:ありがとうございます!年末年始は流れも向いたのだと思います。
― 今年初戦の高知戦は完全優勝。捲りの決まりにくいバンクで3連発でした。
伊藤:ええ。ただ実のところ内容や脚はまだイマイチな部分があるんです。松山も調子は絶対に優勝できない程度だったんです。これから寒い時期が終われば良くなっていくんじゃないかと。
― さて昨年は全てのビッグレースを走りました。名だたるトップレーサーに力勝負を挑みましたね。あらためて振り返っていかがでしたか。
伊藤:色々経験できて楽しかったです。ウイナーズカップの決勝を走ったのはその中でも大きかったです。
これからも全部かは分かりませんがビッグに出走して出来ればいい結果を残したい、そのために頑張りたいと思えた一年でした。
― ウイナーズカップの優出は沖縄出身の選手として初の快挙として話題になりました。さらなる飛躍が注目される今年の目標や課題は?
伊藤:一番の課題は"落車しないこと"です。調子が上がってきたときの落車は上向いた流れにブレーキを掛けますからね。
怪我をせず走って状態を維持していければ、たとえラッキーでも特別の決勝を走るチャンスがやってくるんじゃないかと思います。
― 伊藤選手といえば九州地区の中でもデビュー当初から仕掛けの早さが挙げられます。
伊藤:前で走るからには、ですね。あと仲良くしてもらっている皆さんのために頑張ろうって思うことはあります。
といってもラインに恩を着せるようなつもりはないですけど(笑)
― ダッシュを活かして先手を取るいわば急先鋒として走る強い意識はどのように維持してきましたか?
伊藤:負けても悩みすぎないことです。レースに内容があればきっと収穫があるし、続けてればいつか結果につながってくれれば。
行こうと思ったところで動いていればポジティブで居続けるとやってきました。
― 自力だけでなく捌きも強烈です。横の動きは練習で身につけたのですか?
伊藤:いやぁ、レース本番での引けないってなった気持ちだと思います。練習だと怖くて出来なかったです。
― それは意外でした!
伊藤:最近はようやく練習でもやれるくらいに慣れてきましたけど元々は競ったり、目の前で競られてもメチャ嫌だったんです。
それでもなんとなくレースでタイミングが合ったときに競ったら出来ただけでキッカケはたまたまなんです。
― 引くに引けずの状態を横の動きで切り抜けたのを見た師匠や練習仲間の皆さんの反応はどうでしたか。
伊藤:そのときは「やるじゃん、強いじゃん!」って言ってもらえましたけど戦法の幅を広げようと意識せずにまず脚をつけることに一生懸命でした。
― デビューから5年半、S級1班に昇班して丸三年で印象に残ったレースは?
伊藤:振り返って思い出すのは落車したレースばかりです。まだまだ胸を張れる結果を出したわけではないですから。
― GIIIの優勝は意識していますか。
伊藤:したいですけれど皆さん強くてなかなか厳しいのが現状。先行しても番手に差されるし、捲られている間は難しいです。
― 更なる飛躍をめざすために伊藤選手が必要と感じていることは?
伊藤:ゴール前の伸び脚が足りないのを感じています。中途半端なところで動く癖があるんです。サッサと仕掛けるなら仕掛けるで構えるなら構える。捲り追込みをする勇気とそれでも結果につなげる脚力をつけたいです。
― "たとえ立ち遅れても必ず動く"のは一般的に自力選手へのプラス評価ですが、それだけではダメだと?
伊藤:いつもベストなタイミングで仕掛けられたらいいんですが、展開上ここは捲り追込みだぞ!って場面でも焦って早めに踏み出してしまう。
これでは却って中途半端なレースになってしまう。だったらいっそ溜めて溜めて遅めに捲る。それが出来る勇気があればいいんですけど。
― これもひとつの戦法の幅ですね。
伊藤:ええ。今でもときどき突っ張ったり後ろから抑えたりと色々やっていますが競走スタイルが固定されると前受けが多くなり苦戦しがち。なので後ろになってしまってもチャンスを作れる強さもほしいです。
― 現在はどのような練習環境ですか?
伊藤:沖縄は環境は良いのですがいっしょに練習をする人数がどうしても少なくなるので熊本に行ったり、久留米へ行ったりと色々な所で練習しています。
最近だと...東矢圭吾や後藤大輝、冬季移動で来ていた小笠原光さんと4人で練習しました。
― 若手同士のつながりが九州勢をいっそう盛り上げますね。
伊藤:九州のひとりとして「戦えている」から「対抗する」ところまでいけば素晴らしいです。
― セッティングや自転車全般の情報交換なども?
伊藤:どちらかと言うと練習のメニューを話し合って決めて取り組んでお互いを刺激しあう感じですね。僕自身はバンク練習をしたいなと考えていて出稽古してます。
それでも冬場はなかなか思うほどに追い込めてないです。暖かい時期に比べると練習不足になりがちなんです。
― 今日は2月19日で全日本選抜競輪は目の前、ということで本格的に格上との対戦が始まる現在の心境は?
伊藤:自分はまだまだ縦では勝てないし横でも技術でも及ばないし中途半端なりにせっせと頑張るしかない。実際のところは流れ一本ですよ。
落車をしないようにで厄払いにもいってますし運気はいいと思うので少しでも優勝に近づけたらいいですけど。
― ちなみに初詣はどちらへ?沖縄では首里城も有数のパワースポットですよね。
伊藤:熊本と沖縄でもお詣りしました。今年の初詣は熊本駅から近い北岡神社でした。首里城は去年初めて行きました。
実力じゃまだ勝てないんで神様とラインを組んで頑張ります!
― 練習の後や合間の時間の過ごし方は?
伊藤:マッサージに行ったりするときもありますし、お酒を飲んだり、趣味の時間に使ったり。レースの結果を良くても悪くても考えすぎないように心がけています。
今までは無意識にがむしゃらにやってきたと自分でも思いますけどこれからは何事にも意識して取り組んでいきます。
― トップレーサーの皆さんにお話をうかがうと"意識する"というワードが出てきます。
伊藤:戦えてるって状態から上位の皆さんに少しでも近づけたらいいですね。
― では最後にオッズパーク読者の皆様、全国の伊藤颯馬ファンへメッセージをお願いします!
伊藤:いつも応援ありがとうございます。今年は落車なく怪我なくを第一に。
練習に打ち込んでレースは自分らしく気負わずに頑張ります!今後とも応援をよろしくお願いします。
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 大村篤史(おおむらあつし)
九州地区の競輪場でレース実況を中心に活動中。
出身地は大阪。1976年生まれ。
-------------------------------------------------------
※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
プロフィールページからお気に入り登録ができます。
※お気に入り登録にはログインが必要です。
・去年はGIでの活躍もありましたけど、振り返っていかがですか?
GIも含めてそこまで自信があったわけじゃなかったので、自分でもここまでできるんだっていう驚きがありましたね。自分の練習環境が整ってきて、すごく恵まれているのもあって自信がついて来ていて、もうちょっと頑張っていけばなんとか上を目指していけるんじゃないかっていう気持ちはあったんです。それがうまく結果に繋がって、6月のGIパールカップの結果だったので嬉しかったですね。4月のGIオールガールズクラシックは自分では良いと思って臨んだんですけど、体調的にもピークに持っていけなかったりとか、やってることが噛み合ってなかったんです。パールカップはそれまでにすごく練習したり、しっかり臨めてああいうふうに結果が出たので、噛み合えば結果も残していけるんだなっていう感じがありました。
・GIパールカップでは3日間Bを取る競争でしたが、走ってみてどう感じましたか?
GIでBを取る競争をして勝ち上がりたいっていう気持ちがあったので、3日間ともしっかりBを取って決勝に乗れたことはすごく自信になって良かったんですけど、やっぱりあそこまで行ったら勝ちたかったっていうのも正直な気持ちです。でもやっぱり勝てないっていうのは自分に何か足りないところがあるからこその結果なので、そこはやっぱり受け止めて向き合わなきゃいかなきゃいけないなとは思いました。
でも終わってみて、すごく悔しいって思えたんです。今までだったら多分2着ならやった方だなって感じだったと思うんですけど、2着で満足してなかったので自分の中でもびっくりというか、そういう舞台で悔しいって思えたことは収穫でした。
・今年のGIはどう戦っていきますか?
やっぱり自分の中ではBを取る競争でGIを獲りたいっていう気持ちはあるので、そこはブレずに、それでどうやったら勝てるのかってところを考えたいです。ガールズ競輪のレベルも上がってきて、正直なところ本当に自分のその走りで勝てるかって言われたら、去年はあまり自信が持てなかったんです。GIで勝つとかグランプリに出るっていうことも、自分の中でまだ実力が足りないんじゃないかっていうか思ってしまってたところがあって、、でも自分がそう思ってしまったら、もう絶対にそこは目指せないし叶わないと思いましたね。本気でGIを獲るとかグランプリに出るのを目指せてなかったのは気持ちが1番大きいと思います。自分で限界を作っていたし、まだ自分の実力ではちょっと足りないなっていうのを思ってしまってたなと。
たとえ力の差はあったとしても、獲りに行く自信持つことは絶対に大事だと思うので、去年を振り返ると戦う前からそういうところで負けてしまっていたのはあったと思います。そういう気持ちで臨んでしまうのは、応援してもらっている人や一緒に練習してもらってる人もそうだし、ファンの人に対してもすごく失礼だと思うので、自分自身が気持ちの面で本気でそこに向かっていかないといけないですし、今年は本気でGIを獲る、グランプリに出るってところを目指していきたいって気持ちがあります。
・GIの雰囲気に飲まれてしまうこともありますか?
そうですね、やっぱり自信がないといつも行けるところでも行けないことはあります。気持ちと体が噛み合ってないと自分のレースすらさせてもらえないし、今は脚力の面でも気持ちの面でもレベルがすごく上がっているので、自分自身がもっと気持ちも脚力も上げていかないと飲まれてしまうな、と去年1年間でGIを走って感じました。
・ガールズ競輪でGIが新設されて賞金ではなくグランプリに出られる枠ができたことはどう感じましたか?
本当にガールズにとっては大きい出来事だったと思います。今まではグランプリって賞金の積み重ねだったので、走って稼ぐ部分はあったと思います。ただGIにちゃんとピークを持って行って、実力のある人が勝ち上がってタイトルを獲るっていうのはすごく大変なことなので、それだけの価値があることです。
GI前に他のレースがあったり、レース間隔によって準備は変わってくるんですけど、それでも上手く対応して仕上げていかなきゃいけない難しさはありますけどね。
グランプリの出場権を獲れるっていうのはすごく大きなことだし、逆により実力の世界になってくるんですけど、それは本当に選手としては良いことだなとは思いました。
・現在賞金ランキング3位ですが、ご自身ではどう感じていますか?
まだ今年が始まったばっかりなので、全然これからです。でも去年の前半は半年ぐらい優勝できなかったので、そういう意味ではしっかり優勝できているのは大きいと思います。3日間の開催だと予選2日間で出し切ってしまって、決勝でなかなか上手くいかなかったりもあるので、、
決勝までに余力を残す、と言うと少し違うかもしれないですけど、自分のやりたいレースと、1番大事な最終日の決勝に向けて予選をどうやって走るかというのは考えています。前は力を出し切って踏み切っても決勝で自分がやりたい走りをできていたんですけど、年齢を重ねて疲労が溜まりやすくて取れづらくもなっているから、予選の2日間を乗り方も含めてどう走るかを考えながら走ってますね。うまく踏み回すというか乗り方も含めて、力で走るというより効率良く走ることも考えながら臨んでいます。
GIだと初日から効率良くなんて考えてる余裕はないので、いかに開催に入る前に疲れがなく良い状態で入るかが大事だとは思うんですけど、普段の開催はやっぱり予選の2日間を走る時も、決勝に向けてのコンディションの調整は意識しています。
・ドームはあまり好きではないと聞きました。強風などの重いコンディションが得意なイメージもありますが、いかがですか?
立川のバンクが改修してから前よりは軽くなったんですけど、前は立川は結構重くて練習でも風が強かったんです。なので他の人より風をそこまで嫌だと思う感覚がないと思いますし、それは強みかなとは思います。逆に風が強い方が自分の良さを発揮できるって気持ちを持てるのは良いですね。でも前はすごい練習量をやっていたので、そういう部分では休息を取り入れるようになったので風とか悪条件の時の強さは年々少しずつ弱くなってきたとは感じています。
・競輪はオフがないですが、練習のモチベーションはどうコントロールしていますか?
私は結構淡々としてるんですよね。毎日そんなに起伏がなくてやることをやるって感じで、練習に対して「うわーやだなぁ」とか思うことがあんまりないんです。だから毎日やることをしっかりやるっていうか。コツコツやるのが日常って感じです。逆に気持ちが上がるってこともあんまりないですけど、やっぱりまだまだ自力でやりたい気持ちがあるので、そのために何が必要かっていうのを考えて日々淡々とやってます。だから練習が嫌だっていうのはないですね!
ただ去年はちょっとやりすぎちゃって、それこそ4月のオールガールズクラシックはオーバーワークでちょっと失敗しちゃったと思います。そこで気付いて、自分自身の中でもちゃんと自分の体の声を聞いて疲れたら休むようにはしてます。
前は絶対にこれをやるって決めたらやらなきゃという気になっていたんですけど、去年ぐらいからは割り切って、疲れたら無理してやらないようにしています。それがうまくできるようになってから、ちょっとずつ成績も安定してきたし結果的には良い方向に向いた感じですね。楽しんでやっていて自分の年齢でもまだまだやれるって思えてるし、自分の可能性を楽しめていると思います。
・オフの時はどんなことをされてるんですか?
疲れた時は家でゆっくりしたり、体がそこまで疲れてない時は甥っ子が都内に住んでいるので遊びに行きます。子供が好きなので一緒に遊ぶのが1番のリラックスですし、すごく可愛くて元気をもらえる存在です。
・もともと教員もされていましたもんね。教員から競輪選手になられて当時はご両親が反対されていたってことでしたが、今はいかがですか?
今はもう本当に一番応援してくれています。優勝したら喜んでくれるし、すごくありがたいですよね。家族みんなが応援してくれてるのは、自分の中でもすごく心強いです。
・若手の選手もどんどん出てきていますが、同じレースになった時の戦い方はどのように考えていますか?
前は絶対に先行というのを自分の中で譲れない部分があったんですけど、今は先行というよりBを取る競争を意識しています。もちろんそれが先行であることがベストなんですけど、それが捲りでも今はレースの状況次第で使い分けられるようにとは思っていますね。その気持ちはちょっと前とはまた違うというか、自力にはこだわりたいんですけど何が何でも先行ってわけではなくなってきています。
・今年の目標はありますか?
今年はグランプリに出るのが目標です。
・去年のグランプリはご覧になっていかがでしたか?
私の中ではやっぱり坂口楓華選手(愛知112期)の走りがすごく印象的でした。絶対的な佐藤水菜選手(神奈川114期)に対してあれだけ良いスピードで1周カマして駆けて、もちろんタイミングとかもあったと思うんですけど、簡単には捲れなかったですし、、あれはすごい強い走りだったなってインパクトがありましたし、自分もこういう走りをしたいなって気持ちにさせてもらいました。
・佐藤選手が圧倒的に人気を集めていた中で、坂口選手の先行していく勇気がすごかったですよね。特にグランプリのような一発勝負の大きな舞台では体が動かなかったっていうのも聞きますが、奥井選手はそのような場面で強い選手を相手に先行する時の心境はどのような感じですか?
私の場合はそういう大きな舞台でも、自分のレースをしたいっていうのがデビューしてからずっとありますね。レースで魅せたいって気持ちが強いです。
先行はもちろん勇気もいるし、後ろがみんな強いから1周駆けたら自分が勝つチャンスは減るかもしれないって思うんですけど、それでもやっぱりそのレーススタイルで勝ちたいって想いでずっとやってきています。
グランプリで言えば2016年は風がすごい強かったんです。(風速4.0m)自分は先行で勝つって決めてるけど、でもこの条件の中で先行したら絶対勝てないなっていう葛藤が自分の中であって、初めてレース前に吐きそうなほど緊張?というか、、(笑)
でもやっぱりそれぐらい先行するっていう気持ちは持っていました。
だからこそ去年のグランプリの坂口さんからは、すごく伝わるものがあるなと思いました。私もそういう走りをしたいし、やっぱり坂口さんの走りに勇気をもらったというか、うわって熱い気持ちになりました。人を熱くというか心を動かす走りがしたいと思ってるので、グランプリに出るのも自分のスタイルを一年間貫いて、その先にグランプリっていうのが理想ですね。
・2016年のグランプリは惜しかったですよね。翌年の2017年のグランプリも先行して石井寛子選手(東京104期)とタイヤ差での2着と、かなり惜しかったですね。
そうですね。やっぱりその勝ちきれないっていうのは、どこか自分の気持ちの弱さがあるんだと思います。自信っていうか、やっぱり勝てる力があるっていうことをまずは自分が信じないと絶対勝てないなって思いましたね。ファンの人はそう思ってくれてるのに、一番大事な自分がそう思えてないのが自分の弱さだなって思いました。今のレベルで自信を持つってすごく難しいことなんですけど、自信を持つだけのことをしっかりやっていきたいです。
・現在598勝で600勝もまもなくですが、心境はいかがでしょうか?
節目自体はもうあまり意識はしないんですけど、100勝を振り返って怪我や大きな故障もなく走れたことや、この100勝の中で良い時も悪い時もずっと応援してくれてるファンの方がいることに感謝するっていう感じですね。周りの人達に支えられて、節目節目を積み重ねて来られているので。
500勝の時はわざわざ遠くからファンの方が前橋まで見に来てくれてて、絶対今日決めなきゃってその時は意識しました。わざわざ来てくれてる!みたいな(笑)
その時は2着で申し訳ないなって思いましたけど、そうやってわざわざ来ていただけるファンの方がいるっていうのはありがたいですね。ファンの方が自分の応援の輪を広めてくれて、色んなところで声援を送ってもらえるようになって、すごくありがたいです。
本当に1番の力になっているので、そういうことに感謝をするのが節目なのかなと思います。
・今年1年はどう戦っていきますか?
グランプリっていう目標に向けて、一戦一戦で自分のスタイルを貫いて、結果的にその目標に辿り着きたいと思っています。
本当に自分の力だけでは成し遂げられないと思うので、ファンの皆さんも1年間一緒に走ってもらえたら嬉しいなと思います。
・今年のグランプリに出場した場合は、レーススタイルにこだわりはありますか?
そこはやっぱり力勝負というか、、去年の坂口さんみたいなすごい熱い走りとか。男子だと去年のグランプリの脇本さんも(脇本雄太選手 福井94期)
本当に抜群のタイミングでああやってしっかり仕掛けてて、やっぱりすごいなって思いました。私も見てる人に感動を与える走りがしたいです。
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 太田理恵
東京大学 大学院卒、GIでは自力選手のタイムを計測。 モデル出身で、現在は競輪MCや毎月のコラム執筆を中心に活動する。 ミス・ワールド日本大会2014,2015,2020特別賞受賞。
-------------------------------------------------------
※写真提供:公益財団法人 JKA
プロフィールページからお気に入り登録ができます。
※お気に入り登録にはログインが必要です。