
―GⅠオールガールズクラシック、優勝おめでとうございます!グランプリ出場を1番乗りで決めましたが、お気持ちはいかがですか?
ありがとうございます。自分の今年の目標としてGⅠは絶対に獲るって決めていました。
なのでグランプリの枠を獲れたっていうことよりかは、1つ目のGⅠを獲るってチェックボックスが埋まっただけなので、次のパールカップに向けてまず1つ自分の目標が達成できたという感じです。正直なところオールガールズクラシックはすごく調子が悪い中で迎えたレースだったので、次のパールカップは万全で迎えられるようにしなきゃなっていう感じで、すぐに切り替えてトレーニングに励んでます。
―決勝で児玉碧衣選手(福岡 108期)と梅川風子選手(東京 112期)の並走状態を作れたのは100点満点とコメントがありましたが、これは作戦にありましたか?
2日目の反省を活かして、1周半ぐらいで駆けようとは思っていました。打鐘から1周以内には動こうと決めていて、その中で児玉選手が自分の飛びつき狙いっていうのが見えたんです。
2年前のオールスター(ガールズドリームレース)では、児玉選手に対して逆に私が飛びつきで柳原真緒選手(福井 114期)と併走になってしまって3着というレースがあったので、その時の経験を活かして、今回は自分が主導権を握りたいと思っていましたし、そういう意味でも良いチャンスだったと感じています。
思いっきりその時の真逆をやって、見事に作戦がハマった感じですね。ハマったと言うか、たまたま自分の番手を狙いに来たので、過去の経験を活かしてしっかり対応できたと思います。
―2日目は後方から4車併走となり2着のレースで、成長しないといけないポイントを感じたというコメントがありましたが、詳しく教えてください。
まずベースの組み立て的に久米詩選手(静岡 116期)が自分の後ろにいて、児玉選手や久米選手が一緒になった時は仕掛けどころで自分の動きに影響を与えてくるのはよく分かっていたので、そこだけは大警戒していました。
ただ自分がちょっと一瞬緩めた隙に尾方真生選手(福岡 118期)が行ってしまったのは結構予想外の動きでした。自分の予想外の動きもあるっていうことは考えてはいたんですけど、考えきれてなかった詰めの甘さが出たのが2日目でした。ああいうレースは今まではなんとかカバーしてきたんですけど、今回はカバーしきれずちょっと届かずって感じでした。
―最近は警戒されて後方に置かれるレースもありますが、そのあたりはどう対応しますか?
後方だったらもう前を見ることしかないので逆に楽だなって割り切って、もはや後方の方が楽なんじゃないかって自分でマインドコントロールしました。
前団が取れたら前団の動きをして、後方だったらいつも通り落ち着いて仕掛けていけたらと思います。
―いつも走る前は作戦を立てていますか?
オールガールズクラシックで言えば、2日目が終わった時に「明日は1周半行こう」って思ったぐらいです。
ガールズの場合は正直あまり作戦はないので、1周半行こうとか距離を決めて行ってますね。
―114期は同期で仲が良いという話を聞いたことがありますが、今も交流はありますか。
はい、めちゃくちゃ仲良いですね!毎日連絡を取ってますし、合宿もします。
話は基本的にトレーニングの話しかしてないですけどね。
レースの話はお互いの個人の仕事なのでほぼしないですけど、フィードバックするぐらいはあります。
―ナショナルチームはお忙しいと思いますが、オフの時はどのように過ごされていますか?
オフの時は買い物に行って、次の日から始まるトレーニングの準備みたいなことが正直多いです。
本を読むのは好きですし、今後はもうちょっと本を読んだり映画を観たりするような、自分のための時間を作れたらなと思ってます。
―オリンピックではメンタルに課題を感じていたという記事も拝見しましたが、近況のメンタルのコントロールはいかがですか。
無理なものは無理ってしっかり学習することができて、抗えないものってあるんだなっていうのを経験できたので、適度にいなしながらと言うか、向き合うとしんどいので受け流しつつと言うか、相手にせず自分に集中する感じです。
―昨年は中距離種目にエントリーしたりロードレースを経験されたとのことですが、きっかけや出場したことによる変化はありましたか。
まず競技の方になってしまうんですけど、自分が中長距離のエントリーに意欲を出した理由の1つとして、やっぱり基礎体力がないんです。競技では1日中戦い抜く体力が必要なので、基礎体力の部分に対して海外の選手との差を感じていました。自分が勝ち上れるようになったからこそではあるんですけど、基礎体力にすごく課題を感じたんです。
以前ブノワコーチからも、「本当に強いスプリンターは、日本で言うと全日本のスクラッチで優勝できるぐらいの力がある」っていう話を聞いて、基礎体力や基準を高めていかないと勝てないっていうのをすごく感じました。その1つとして、中長距離にエントリーして自分の限界を突破するためのチャレンジっていう意味合いがありました。
それと、梅川選手っていうライバルが(競技を引退したことによって)消えてしまって、日本でのモチベーションをなかなか高めるのが難しくなってしまった時期に、自分の種目でないもので上を目指すことにワクワクしたんですよね。自分達はロード練習もあるので、その代わりにレースで高負荷を入れて新しい刺激を入れたり、高負荷をかけるトレーニングっていう意味合いでレースを入れました。
―タデイ・ポガチャル選手のようになりたいという話もありましたよね。
はい、同年代ぐらいなんですけど、もう本当に野球界の大谷翔平選手みたいな存在で、本当にすごい強いんですよね。初めて見たのが多分去年のツールドフランスだったんですけど、そこでの圧倒的な力差にかっこいい!って思いました。今まで目標にしたい選手はいなかったんですけど、自転車の選手で初めて心を動かされた選手でした。
―モチベーションのコントロールという面では、GⅠやグランプリに向けてどのように行っていますか。
梅川選手がいた時まではずっと同じようなトレーニングで慣れてしまって、良いパフォーマンスを出すのが難しかったんです。モチベーションが下がることはあんまりないんですけど、今以上のモチベーションっていう部分で言うと、新しいジェイミーコーチが来たり、新しくデビューした酒井亜樹選手(大阪 128期)や仲澤春香選手(福井 126期)だったり、本当に新しい子に刺激をもらってます。その子たちに負けないように、練習から必死に全力で向き合えていることが、今のモチベーションにもなっていますし、その子達も将来GⅠに出る選手になると思うので、そういうのも意識しつつやっています。
仲澤選手は今結構強いって言われていて、私を倒せるのは仲澤選手って言われてます。まずは練習でしっかり全力で勝負しています(笑)。そういう日々の積み重ねをして、ファンの方が期待してくれている子が身近にいて一緒に練習するのも1つのモチベーションです。
あとは114期(同期)の豊岡英子選手(大阪 114期)とか日野未来選手(奈良 114期)と、あとは梅川選手も連絡を取りますし、その4人でトレーニングの話をして各々の目標を掲げてそれを目指してやってるっていうのもあります。
私の中でGⅠは梅川選手か私かっていうライバル意識は抜けないんですよね。なので次のパールカップも「梅川選手を倒せば大丈夫」って勝手に自分の中で意識付けしてます。そうすると(梅川選手と)練習でどうだった?って話をして、今日は勝てたなとか思える日々があるので、そういうのでパールカップのモチベーションを上げてますね。
―そうするとレースの中でも梅川選手と当たった時は、梅川選手を意識して走られているんですか?
そうですね、1番手の内がバレているので1番嫌ですし、1番負ける確率が高いし、1番倒さなきゃいけない敵だと思っているので。
しかも自分は(梅川選手の)強さを知っているので、脅威の1人ですよね。
―6月のGⅠパールカップは5月末からの(競技の)ジャパントラックカップの後で調整も大変かと思いますが、今までは疲労が心配されるような強行日程のレースでも結果を残してきていますよね。疲れている中や調整期間が短い時のレースはどのように考えていますか?
今回のジャパントラックアップは、つい先日対戦したロシアの選手や、去年の世界チャンピオンでもあるアンドリュース(エルレス・アンドリュース選手)が出たりと本当にレベルの高い大会で、まさか日本で行われるとは思いませんでした。肉体的にも精神的にも疲労は溜まりやすいですけど、今回は中1日とか2日ではなくて少し日が空くので、そこで調子を崩さず迎えられたらいいなとは思ってます。
―勝ち方、戦い方については何かこだわりはありますか?
オールガールズクラシックで自分から1周半行くぐらいの気持ちがないと嫌な展開になってしまうことが分かったので、もう自分で行くしかないなっていうところでは腹は決まっています。
―GⅠパールカップに向けて意気込みやコメントをお願いします。
バールカップは初めて出るんですけど、東西でまず分かれて予選を勝ち上がっていくのでワクワクしています。
そんな中でも一生懸命自力を出して決勝まで行って、優勝できるように頑張りたいと思います。
―昨年のグランプリは坂口楓華選手(愛知 112期)がカマしたレースでしたけど、振り返りと今年のグランプリに向けてはいかがですか?
滅多にないんですけど、レース中に何をしたらいいんだろうっていう感じの、ノープラン過ぎるゆえに何も考えてないことが裏目に出てしまったグランプリでした。
力的には問題ないと思うので、今年は力勝負で望んでいきたいですね。
―年末のオッズパーク杯ガールズグランプリに向けてコメントをお願いします。
今年のグランプリは地元地区の平塚なので、(2022年のガールズグランプリで)苦い初落車した思い出を払拭できるようにと思っています。
今年は早めにグランプリ出場権を獲れたので、そこに向けて仕上げていけるように頑張りたいです。
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※インタビュー / 太田理恵
東京大学 大学院卒、GIでは自力選手のタイムを計測。 モデル出身で、現在は競輪MCや毎月のコラム執筆を中心に活動する。 ミス・ワールド日本大会2014,2015,2020特別賞受賞。
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山田庸平選手(佐賀・94期)がついに地元の武雄記念(G3)を制し、完全優勝の快挙を達成。近況の好調の要因、レースの裏側、そして今後の日本選手権への想いを伺いました。
―地元記念初優勝おめでとうございます。改めて、お気持ちはいかがでしょうか?
周りからも「おめでとう」という祝福の連絡が来て、よかったなと感じてます。
―やっぱり地元記念を勝つことは特別ですか?
自分の思いとしては、正直そこまで意識はしていなかったんですけど、走ってみたらやっぱり地元って感じがしましたね。応援してくれる人がすごく多くて、周りの人たちが自分のことをすごく喜んでくれたのが嬉しかったですね。その声を聞くと「また来年も頑張ろうかな」って思えました。
―地元記念の前は玉野でも準優勝があって、ウィナーズカップでも3勝していましたが、地元記念を迎えるにあたっての状態はどうだったんですか?
ウィナーズの時に結構手応えがあって、これは行けるんじゃないかっていう感覚がありました。その状態をキープしたまま地元入りできたので、今回はこれまでの記念と違って自信を持って臨めた大会でした。
―ウィナーズの時に良くなったきっかけはあったんですか?
玉野の時にセッティングを見直したんです。その後の練習でも感覚が良くてタイムも出てたんです。気持ちの面でも切り替わっていました。
―気持ちの面で変わったというのは、具体的にどういう部分でしょうか?
自分の走りに迷いがなくなってきた感じですね。方向性がはっきりしてきて、気持ちの上でもすごく落ち着いてきました。
―昨年は地元記念で決勝に乗れませんでしたが、去年の分までという思いもありましたか?
はい。去年だけじゃなくて、地元記念ではずっと失敗が続いていたので、今回こそは失敗しないようにと強く思っていました。
―その思いを持って挑んだレースを振り返ります。まずは初日は嘉永泰斗選手(熊本・113期)に前を任せる競走でした。新山響平選手(青森・107期)に突っ張られる展開でしたが、走ってみていかがでしたか?
自分自身には余裕があるレースでした。突っ張られた後3番手に嘉永を迎え入れて、眞杉選手(眞杉匠選手(栃木・113期))がすかさず来て、そのあと岩本俊介さん(千葉・94期)もきて、少し位置取りが難しくなる場面もあったんですけど、自分で外に持ち出そうとした時に嘉永がもう一度仕掛けていったので、そこに付いていく形になりました。
―2センター付近では、コースを縫うように伸びてきたように見えましたが、あのあたりも手応えはありましたか?
はい。レース前から感じていた感覚が良かったんです。僕にとっては、選手紹介とか周回中の感覚がすごく重要で、今回はそれがかなり良かったです。
―庸平さんにとっては、そういう感覚がかなり重要なんですね。
そうですね。レースになると展開もありますし、感覚がわからなくなる部分もあるんですが、その前の段階で感じる感覚って、自分の状態を把握しやすいんです。だから、良いのか悪いのか、どっちなんだろう?みたいな迷いがなくなります。
―それって日によって違ったりもするんですか?
そうですね。最近は年齢のせいもあって疲れが取れない時もありますが、やっぱり感覚は日によっても違いますね。
―その良い状態の中、2日目と3日目は太田海也選手(岡山・121期)に前を任せた競走でした。以前オールスターでも連係してワンツーがありましたが、今回、太田選手に付いてみていかがでしたか?
2日目はやっぱり脚力の差に違いを感じました。太田くんはナショナルチームでスプリントタイプなのでトップスピードに持っていく力がすごい。他の選手とは違うリズムで走る感じなので、自分としてはちょっと対応が難しかった部分もありました。
―ただ、2日目に関してはそこからリカバリーしてしっかりと追っていきましたね。
はい。踏み出しの部分だけちょっと難しかったですが、そこからは余裕を持って走れました。そこは自分の追走技術の問題もあったと思います。バンクのクセによっても対応が難しくなる場面もあるので、そういった技術面の課題も感じていました。
―3日目の準決勝は太田選手が一度引いてからの巻き返しでしたが、その時はしっかりついていけているように見えました。
はい、2日目の反省もあってうまく対応できました。自分の得意な展開というか、スピードをもらってからの動きはしやすかったので、余裕がありましたね。
―そして決勝戦。九州が4人揃う布陣で同じ地元から山口貴弘選手(佐賀・92期)も一緒に上がってきました。気持ちとしてはどうでしたか?
地元の選手と走れるのはすごく嬉しかったです。山口さんが「自分の後ろに付く」って言ってくれたのも嬉しかったですし、園田さん(園田匠選手(福岡・87期)も地元を盛り立ててくれて、ラインの厚みをすごく感じました。
―今まで連係していた太田選手が対戦相手になり、レースは太田選手の前受けとなりましたが、九州の作戦としてはどう考えていたんですか?
理想としては中団からのレースでした。最初は「前受けから突っ張る」っていう案もあったんですが、メンバー構成を考えると厳しいかなと。嘉永選手も気合いが入っていたので、「無理に突っ張らなくてもいい、中団からでも十分戦える」っていう話になって、坂井選手(坂井洋選手(栃木・115期))の動きを活かす形を選びました。
―そのあたりの作戦や気持ちは、山田選手が嘉永選手に伝えたんですか?
そうですね。嘉永の気持ちは有難かったんですけどそのあたりは冷静に考えて。結果的には理想の展開になって良かったです。
―その嘉永選手はお話のようにレースでもかなり気持ちが入っていたように見えましたが、何か感じるところはありましたか?
はい。ジャンのタイミングで、いつもと違う雰囲気を感じました。背中からもかなり気合いが伝わってきましたし、ジャンからホームにかけてのスピードの上がり方が今までとは違って見えました。
―それだけのスピードの中、太田選手がホームで4番手に入る形になりましたよね。2コーナー付近で後ろからまくり上げてきた太田選手への対応はどうでしたか?
ジャンの時点で嘉永が凄いスピードをしていたので、正直太田選手が4番手にいるとは思ってなかったんです。普通の選手なら切り替えてこられないところですし、ちょっと想定外で、自分としても余裕がない中で対応しました。
―そこからは内から太田選手を捌きながらタテに出ていく動きになりました。ご自身の感触はどうでしたか?
正直余裕はなかったです。直線も若干接触がありましたし、もう目を瞑って踏んでました。あんな風に目を瞑ってゴールに向かうのはなかなかないのですが、それだけ気持ちが入っていたというか...自然とそういう走りになっていました。
―ゴール後、ファンの歓声に手を挙げる姿も印象的でした。声援はいかがでしたか?
いつもよりすごく大きくて温かくて。ありがたいなって感じてました。
―その後の胴上げでは地元はもちろん長崎の選手も駆けつけてくれてましたよね。
はい。いつも一緒に練習しているメンバーや長崎の選手たちまでいてくれて本当に嬉しかったです。
―青柳靖起選手(佐賀・117期)だけは遅れてきていましたね(笑)。
そうですね(笑)あいつはああいうキャラで雰囲気もすごく良かったですね。
―お兄さんの山田英明選手(佐賀・89期)も2018年に地元記念を優勝されていましたが、「兄弟制覇」というところは意識はありましたか?
自分としてはそこまで意識してなかったですね。これも周りに言われていたって感じです。
―さて、今後は日本選手権が控えています。そこに向けてはどんなふうに過ごしていきたいですか?
いつも通りですね。1日1日、自分の状態やトレーニングにしっかり向き合って、やるべきことをやっていくだけです。ただ、九州勢で「合宿に行こうか」っていう話が出ていて1週間後くらいにする予定ではあります。
―山田選手が九州勢では得点トップとして中心的な存在になりますが気負いはないですか?
ないですね。自分としてはまずはしっかり準備して、いい状態で臨むことを意識してます。
―GIへの特別な意識というのは?
結果がなかなか出ていない現状があるので、「どうしたらポジティブに入っていけるのか」を考えるようにしています。最近は成績にそこまで囚われなくなってきていて、まず楽しもうっていう気持ちが大きいです。
―メンタル面も良い方向に向かっているんですね。
はい。1月末から2月くらいにかけて気持ちの面で少し変わってきたと思います。そういった変化が今の結果にも繋がっているのかなと。自分の中でメンタルはかなり大事だと感じています。今回もそういった面で、それをいい方向に向けられて4連勝できたんじゃないかと。G1に対してもいいメンタル面で迎えられると思います。
―九州は最近は後藤大輝選手(福岡・121期)など、若手の活躍も目立ちますが庸平さんからみていかがですか。
本当に年々強くなってきたし、時々練習も一緒にやったりしていて、成長を感じます。後藤以外にも後輩も沢山でてきましたし嬉しいですね。
―その中で、庸平選手の中では自力で戦うシーンもあれば後輩の後ろにつくシーンもありますが、自力だったり番手だったりというところに関しては、ご自身の中で戦い方というか、意識が違うところはありますか?
そうですね。そのあたりは自力と番手でレースでの感覚のズレもあるし、組み立てや意識はやっぱり違うのですごく難しいです。番手の時に切り替えてしまうのは簡単なんですけど、やっぱり後ろの仕事をして残してあげたい気持ちもあって結局両方うまくいかなかったり、自力で戦っている分、前の気持ちも分かるし、どうにかしたいという気持ちもあるんですけど難しいですね。
―しかもその判断がレース中に瞬時に必要になると、やっぱりメンタルに繋がる部分もありますよね。
そうなんですよ。どちらの気持ちもわかるからこそ迷いも出る。でも最近はそういうところも含めて楽しめるようになってきたのかなと思います。
―庸平さんの中での今の目標はどんなところに置かれていますか。
大きな目標っていうのはないんですけど、「45歳くらいまではG1で走れるように」っていうのがひとつの目安です。焦らず、自分のレースをしていきたいですね。
―そんなにガツガツしてないのが庸平さんらしいですね。
そうですね。もちろん上を目指したい、G1を走りたいという気持ちはありますが、自分のレースをして、結果としてそこを走れるようになればいいなという感じですね。
―では最後にオッズパーク読者の皆様にメッセージをお願いします。
いつも応援ありがとうございます。これからも上のレースを目指して諦めずに頑張ります。あと「オールスターのファン投票」もぜひよろしくお願いします!
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※インタビュー / ナッツ山本(なっつやまもと)
公営競技の実況に憧れ、一念発起し脱サラ。2022年別府競輪と飯塚オートレースの実況でデビューを果たすことになった期待の新星。
まだデビューから間もないが、競輪中継の司会も経験し徐々に活躍の場を広げつつある。星の観測と手品が趣味。
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―まずは500勝達成おめでとうございます。500勝を達成した名古屋の最終日は、尾崎睦選手(神奈川 108期)の捲りに乗って最後は交わしたレースでしたが、ご自身の中ではいかがでしたか?
ありがとうございます。まずは最初の位置取りが結構手こずりました。最近のガールズのレースはスタートして態勢が整ってから、強い選手が前の方に上がって好きな位置を取られちゃうっていうパターンが結構あるんです。そういう面で尾崎さんには前の方に行ってほしくなくて、結構位置取りで動き回っていました。どうやって組み立てていこうかって悩んでいたところでペースが落ちて、結果的に真後ろになったので展開が良かったと思います。
―現在は賞金ランキング6位(インタビュー時点)ですが、今年はここまでいかがですか?
1月半ばの宇都宮の前に体調を崩してしまって少し入院して競争をお休みさせてもらって、自分の感覚的にはちょっと今年はスタートからあれ?っていう感じではありました。最近になってだいぶ自転車も固まってきて、レースに良い感じで臨めています。賞金ランキングも上がってきて良い位置にはいるんですけど、まだ4月なので頑張らなきゃなってところですね。
―レースの中で位置取りはかなり重要だと思いますが、その辺りは何を意識されていますか?
ガールズでは真後ろに強い選手にいられると抜かれてしまうし、隊列が整ってから自分で選びたいって選手も結構います。強い選手が後からゆっくり前に上がっていくと、その後ろにいた人は後方になってしまうレースが最近は多いんです。なのでできるだけ自分は3番手以内でレースを運びたいと思って前々を必ず意識してるんですけど、難しいですね。特に前団でレースが運んじゃうようなメンバーの時は、しっかり前団にいなきゃいけないと思っています。最近は本命選手の前に蓋をして下げさせるっていうレースも結構増えてきてるんですけど、簡単に引いちゃうと自分が動きたい時に蓋されちゃうので、脚を使って位置を取りに行くっていうのは常に考えてますね。
―最初に狙った位置が取れても、前の選手が他の位置に入り直して希望の位置取りでなくなってしまった場合はどう対応されていますか?
すぐに自分がどう位置を変えれば1着まで届くかを考えて、1回切る時もあれば先行選手を押さえに行ったり、捲りに構えたりと変えています。レースの中で1歩、2歩先を考えるっていうのもすごく意識して対処していますね。
―ゴールから逆算してレースを考えるというお話を以前されていたと思うのですが、レースの中でどの位置を取るか、途中でスイッチするべきかはご自身のゴール前のイメージから逆算されて考えるのでしょうか?
そうですね。大体ゴール前のイメージは2パターンぐらいに絞られるので、イレギュラーなことがない限りは「ここでもう外側にいないと届かないな」とかを考えながら走ってますね。ガールズって気持ちによって調子の波が違ったりもするので、前のレースで自信がついて流れに乗ってきている選手だと「あ、そこから行くんだ」とかデータにないことが起きます。そういう時は経験で反応してなんとか対処してるんですけど、やっぱり焦りますね。
―相手の脚力の消耗も計算して走るという話を聞いたことがあるのですが、具体的にはどのようなことを考えているんでしょうか?
まずは他の選手がその前のレースを何秒ぐらいのペースで走っていたとか、1周のタイムを見るようにしています。タイムが全てではないとは言いつつもデータが全てだと思うので、結構データで考えてることが多いです。自分が今出せるタイムと、その人が最近出してるタイムを照らし合わせてますね。突然11秒台が出せるとかはないと思うので、そこだけ頭に入れて、「この選手は多分12秒半ばぐらいで捲ってくる」とか「この選手が先行したら後半は12秒台後半になっちゃうだろうな」とか考えながらやってますね。なのでレース前はみんなのデータを全部叩き込んで入ります。結構女子の中でもそういうタイムの話もしていて、太田さんがGIの時にXに載せて下さるタイム計測もありがたく見させてもらってます。例えばオールスターのさとみな(佐藤水菜選手 神奈川 114期)の タイムを見て「でも全力でもがいてる感じじゃなくてこのタイムだな」とかをデータに入れて、「全力で走られた時とか前に目標がいる時はもっとタイムが出るな」って考えたり、「そうなると0.5秒ぐらい削った方がいいな」とかは考えながらやってますね。
―それをレースで走りながら考えているんですか?
そうですね。でもマイナスになることも多くて、例えば前回の競輪祭(女子王座決定戦GI)は太田りゆちゃん(太田りゆ選手 埼玉 112期)の後ろで離れちゃったんです。その時は自分が出せるタイムも分かってたし、低速から一気に速度を上げるのが苦手っていうのも分かってて補おうとはしたんですけど、やっぱりここがダメなんだなっていうのを痛感しました。そういうのに気づいちゃった時はレース中も結構不安ですね。やっぱりナショナルチームのメンバーは立ち上げ速度がすごく速くて、自分はそこがちょっと苦手なところなので課題です。タイム的には後ろで付いていけるだろうけど、速度を落としてから一気に行かれたらちょっとキツいかもっていうのを考えちゃいます。
―そうすると、例えば佐藤水菜選手や太田りゆ選手など、(元含め)ナショナルチームの強い選手がいる場合は、その後ろは小林選手としてはベストな位置ではないのでしょうか?
今のところはそうですね。勝つことを考えると、すんなり行かれた時にしっかり付いて行って真後ろからゴール前で差すってなると、ちょっと厳しいのかなっていう感じもありますね。さとみなのタイムを見た時も、11秒台で駆けてるのでその後ろにいたら0.2秒ぐらい削って差さなきゃいけないと思うと、まだちょっと脚力が足りないなって思うところは大きいですね。
―タイムは男子選手の方が気にしているイメージだったので、そこまでタイムを意識して走られているのは意外でした。
女子の中でもタイムの話自体はするんですけど、タイムのデータで(考えてレースをする)って話は他の選手から聞いたことはないですね。もともとは男子選手から、タイムを意識するとレースがやりやすくなるって教えていただいて、そこから意識してやってるんです。
―毎年新人選手もデビューしていますが、小林選手の戦法の変化はありますか?
ありますね。毎年レースの流れとかも変わってくるので、そういうのを見ながら何が最適なのか考えています。自分のベースはもちろん持ちつつも、その新しいレースに対応していくのは毎年の課題で考えてやってます。
―ガールズ競輪でGIが新設されて、賞金ではなくグランプリに出られる枠ができたのはどのように感じていますか?
オールガールズでしかもGIができたっていうのはすごく嬉しいですし、今年からオールスターもオールガールズでのGI開催になりますし、ガールズ競輪もここまで来たんだって嬉しさはあります。その反面、やっぱりGIを獲ったらグランプリが決まるってなるとそこに向けて調整が必要になるので、ガールズ競輪の1年に波ができてその難しさも痛感してますね。普通開催も勝たなきゃいけないけど、やっぱりGIを獲るためにしっかり練習して、そこに向けていかなきゃいけないっていう調整の変化が今ちょっと苦戦しています。
―男子選手のようにGIに照準を合わせてピークを作る戦い方に近づいたってことですよね。
そうですね。でもやっぱりまだ賞金で上がれる制度も残っているし、実際にガールズの場合は半分以上が賞金でのグランプリ出場なので。今まで通りの1年間の調整の仕方も残しつつ、GIに向けて調節しなきゃいけないっていうのが去年は難しくて、練習し過ぎてしまったり、逆に調整し過ぎとかもありました。今年はそのあたりも頑張りたいなと思ってます。
―選手生活で思い出に残っていることやレースはありますか。
直近で言うと、10周年記念でやった平塚のALL GIRL'S 10th Anniversaryです。あの時に1レースの1番車に選んでもらえたのが嬉しかったですね。印象に残ったレースでしたし、こういう企画のレースをガールズだけでできるようになったんだっていう感動もありましたね。 しかもデビューした平塚で呼んでもらって、オールガールズで1レース1番車ってだいぶ緊張しましたけど嬉しかったですね。
―1期生の小林選手は選手との交流も多いと思いますが、最近では荒川選手にふなっしーのウェアを作られていましたよね。
そうですね。ふなっしーさんに使用の許可を取るために初めて連絡させてもらいました。許可取りが厳しいって聞いていたのでダメ元で連絡したんですけど、「競輪選手の荒川さん、存じております」って快諾していただけたんです!
―あのウェアは小林選手がデザインされたんですか?
はい、ロゴをどうやって使うかを事前にふなっしーさんにも送って作りました! 絵とかはすっごい下手なんですけど(笑)、そういうのを作るのは結構好きですね。自分の練習着もデザインとかざっくりイメージを作って依頼しています。自分の猫のオリジナルの物を作るのも好きで、練習の合間にいつもやっているので、選手にも記念のジャージを作ることもあります。
―以前はガールズ選手同士でゲームもやられていましたが、最近もそのような交流はありますか?
はい、でもゲームをやり過ぎて練習時間が削られていたので、1回コンセントごと抜くってみんなに言って今はフェイドアウトしてます(笑)ウォーミングアップ中とかにゲーム配信を見て、前に一緒にゲームをやっていたメンバーと新しいゲームの話をするぐらいはありますけどね。前に1日オフを取ったら、マインクラフトをやってた時は12時間ぐらいずっとぶっ続けでやってて、、これはダメだ!と思って今は控えてますね。
―趣味や休日にハマっていることはありますか?
釣りは定期的に行ってます。釣った魚は自分で捌いてみたら達成感はあったんですけど、もったいないぐらい身が残っちゃってるのでいつも悲しいし、上手くなりたいです。今は釣ってきたら加工してもらいに魚屋さんに行ってます。やっぱりプロが捌いてくれる方が美味しいですね(笑)
―小林選手と言えば猫の写真をよく載せていますが、それぞれ名前の由来は何ですか?
いつもよく載せてる茶色い子(マルス)は、自分が3月生まれなので、3月の神様である戦いの神様マルスから名付けました。ジュピターは確か木曜日に来た猫ちゃんなんです。いっぱい猫ちゃんがいて引き取られていく状況で、名前を付けると愛着が湧いて手放すのが辛くなっちゃうので、 ざっくり名前を付けたりゴムの色で判断してた時の名前なんです。チミは、その頃にちみたんっていうハムスターのキャラクターにハマってたので、同じ白い色だからチミって名付けて定着しました。
―賞金で何か猫ちゃんに買うこともあるんですよね?
はい、最近で言うと猫の自動トイレと自動の餌やり機を買いました。結構お高めでしたけど、動作感知が付いていて誰がご飯を食べたかが分かるので、両方揃えて外出先から見ています。
―今回のGIオールガールズクラシックはナイターですね。小林選手は夜型とお聞きしたことがあるんですけど、練習も遅めに開始されるんですか?
そうですね、だいたい朝はゆっくりで8時か9時ぐらいに起きれば早いぐらいです。午前中の練習をする時は11時ぐらいから練習を始めて、最近は普通開催の時間に合わせて動いてます。ミッドナイトボケが結構酷いので早起きをテーマに頑張ってるんですけど、全然ダメですね(苦笑)でも普段からしっかり意識しなきゃなと思って、レースの時間に合わせることを今年は頑張ってます。自分の周りはみんな朝すっごい速いんです。基本的に自分は1人で練習するんですけど、例えば夏場に奥井さん(奥井迪選手 東京 106期) に会う時は、大体自分がバンクに行く時間には(奥井選手は)練習終わったよみたいな感じですね。
―お1人で練習されるのはモチベーションの面では問題ないですか?
今はあまりないですね。最初に1人練習に変えた時は結構苦しみました。やめようと思えばやめられちゃうので、しっかり追い込めない感じもあったんです。でも今はデータが結構しっかり出るので、そのデータと心を鬼にして頑張ってます。心拍やスピードメーターもありますし、人がいればタイムを計ってもらうようにお願いすることもあります。室内でやる時はワット数とかタイムも全部出るので、それを書き出して1番調子が良い時と比較してやってますね。
―あまり調子が良くない時は、どのように調子を上げていくんですか?
自分では調子が良いと思っているのに、思ったより数値が出てないってことは結構あるんですけど、その時は修正メニューが大体自分の中で決まってるのでそれをやってます。あとはそういう時に調子が良い時の感覚でレースに行くと立ち遅れてしまうことがあるので、今回は自分の状態が何割ぐらいだなっていうのを頭に入れてレースに臨むようにしています。
―今回のGIオールガールズはどう戦っていきますか?
今回は自転車が変わって初のGIなんです。レーススタイルはいつもと変えないんですけど、レースを見てるとどんどんペースが上がってきてるしスピードレースにはなると思うので、本当に一瞬の踏み出しに遅れないようにっていうのが自分の中のテーマですね。勝負権のある位置を取ってしっかり勝負します。
―確かフレームは時代に逆行して小さいフレームにされたんですよね。
そうですね。今はみんなLサイズを持ってるんですけど、自分はSサイズのフレームでやっと固まったかなって感じですね。 最初はみんなからMサイズとかLサイズを勧められたんですけど、実際に乗ってレースで使ってみて、結果的に小さい方が自分には合ってるなとは思いました。みんながMサイズとかLサイズが良いって言う意味もすごく分かるんですけど、自分はまだ取り扱えるほどの能力はないなと思ってSサイズにしました。
―GIオールガールズクラシックに向けて意気込みをお願いします。
まずは勝ち上がりが厳しいので、しっかり勝ち上がって決勝に乗って優勝争いできるように、1走目から全力で頑張りたいです。
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※インタビュー / 太田理恵
東京大学 大学院卒、GIでは自力選手のタイムを計測。 モデル出身で、現在は競輪MCや毎月のコラム執筆を中心に活動する。 ミス・ワールド日本大会2014,2015,2020特別賞受賞。
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―ガールズフレッシュクイーン、優勝おめでとうございます!
突っ張り先行での逃げ切りでしたが、やはり先行で戦いたいという意識が強かったんですか?
ありがとうございます。
養成所の競争訓練で逃げて勝つのがかっこいいなって思って、その時からずっと逃げるのを意識して頑張ってました。
―優勝直後はご自身では分からなかったとコメントされてましたよね。
そうなんです!必死過ぎて周りが全然見えてなくて、、
先頭の方にいるのは分かったんですけど、残ってたか全然分からなくて、お客様からおめでとうとか優しい言葉をもらって気付いた感じでしたね。
圧倒的な優勝が分かったらガッツポーズできると思うんですけど、結構接戦だったので分からなくて、、未だに「ガッツポーズすれば良かった~!!」って思ってます。それは心残りです(笑)
―今回は仲澤春香選手(福井 126期)が人気を集めていましたけれども、これまで先着されていた中で今回はしっかり先着して優勝できて自信になりましたか?
はい!フレッシュクイーンと言ってもすごく強いメンバーだったので、その中で勝てたっていうのはだいぶ自信になりました。
―養成所で最初は苦戦された時期もあったと思うんですけど、デビューしてルーキーシリーズでは優勝もありましたよね。養成所やデビュー後に苦しい時期もありましたか?
そうですね、養成所の全体的な成績を見てもずば抜けて良かったわけでもなくて、卒業時の成績の順位も8位でした。トップ3を目指して頑張ってたから残念だったし、悔しい思いをしました。
デビューして最初の頃は頑張って逃げても6着ぐらいになってしまって、確定版に乗れないレースでした。でも成績が悪くてもとにかく逃げることを意識して、成績というよりそのスタイルをちゃんと極めていきたいなと思って頑張ってました。
―その中でメンタル面の変化はありましたか?
はい、結構変わりましたね。高校でも自転車をやってたんですけど、その時は1回ダメだったら落ち込んで泣いてた記憶があります。その頃からよく母に支えてもらってました。養成所に入ってからもハァーってなる(落ち込む)こともあったし、デビュー後はレースのスパンが短いので成績が悪くても切り替えをしなきゃいけなかったです。母が「落ち込んでる暇はないよ!」って言って支えてくれて、メンタルが強くなったと思います。
レースの話もして、「あーもうどうしよう」とか言っても、「大丈夫。次があるよ」って感じで励ましてもらえて、母から切り替えを学びました。本当にいつも母が1番の支えになっています。
―Instagramのハイライトにいる自転車競技の小原乃亜選手は高校の先輩で、一緒に競技をやっていたんですよね。今でも仲が良さそうですよね。
そうです。本当に特別過ぎる存在です!フレッシュクイーンの時も連絡が来て、本当に感動したって言ってくれて嬉しくなりました!「乃亜さんのおかげで私がいるんだよ~」って思いました(笑)デビューした年(2023年)に乃亜さんとチームスプリントで組んで、最初で最後の国体を優勝で終わることができて本当に良かったです。乃亜さんも今年(養成所に)入所のはずなので、早く出てきてほしいです!ナショナルなので多分静岡で(練習を)やると思うんですけど、早く同じ開催になりたいです!
―お話しされている感じはすごく可愛らしい印象ですけど、負けず嫌いだったり、気の強さはあると思いますか?
はい、めっちゃ負けず嫌いだと思います。
この世界をはそもそも負けず嫌いな方がほとんどだとは思うんですけど、その中でもやっぱり私は競走成績というより、同じスタイルの方が一緒のレースの時は特に先行したい気持ちが強いです。
―同じ先行タイプの選手が一緒のレースの時は、勝つよりも自分のレースをしたい気持ちが強いですか?
今までのレースを振り返ると、そういう思いが強いかもしれないです。でもそこで自分からちゃんと仕掛けられた時は、良い結果に繋がったレースもあったと思います!もちろんダメな時はダメですけど、、
例えば今まで奥井さん(奥井迪選手 東京 106期)と一緒のレースになることも多かったんですけど、やっぱり自力の選手だし憧れなので、しっかり力勝負したいっていう気持ちがありました。他にも加瀬さん(加瀬加奈子選手 新潟 102期)や小林優香さん(福岡 106期)も憧れの選手です。
―先行をどんどん繰り返していく中で脚力も増していると思うんですけど、レースの動き方もご自身では含めていかがですか?
そうですね。やっぱり最初のデビューの頃は脚力、持久力がなくて、、今もまだまだ足りてはないんですけど、そこから比べるとだいぶついてきてると思います。
落ち着いて頭を使ってレースを考えるっていうのが、今もまだちょっと足りてない部分はあるんですけど、前より周りは見えてるとは思います。レース内で予想外の動きがあった時は、余裕があれば冷静に捲りに構えようとは思いますけど、まだ焦りはありますね。
―デビューして今年は3年目ですが、どのように戦っていきますか?
今年も逃げたいですし、しっかり自力を出して頑張りたいです。
―今回は同期の選手もいますよね。Instagramのハイライトにいる宇野選手(宇野紅音選手 岐阜 124期)とは仲が良いんですか?
仲良いですね!今は私が冬季移動で岐阜にいるので練習も一緒にやっていて、一緒に住んでるんです!ご飯も一緒に作って、家族みたいな感じです。
今日も宇野がレースを走ってるので、帰りを待ってます(笑)ご飯を作って待ってようかなって(笑)
―宇野選手との出会いはいつだったんですか?
高校の時にお互いに自転車をやっていて合宿で初めて会って、特に養成所に入ってからすごく仲良くなりました!とにかくもう私のツボで、本当に毎日笑ってるし面白いんです(笑)
練習になると宇野メインで練習メニューを組み立ててもらってて、私も一緒に頑張ってやってます!
―宇野選手も含めて、同期の選手と仲が良さそうですよね。
そうですね。「あのレースはどうしたら良かったかな」とか言ったら、宇野がちゃんと返してくれるので先生的な存在ですし、本当に良い友達です。
それに124期はみんな仲良しだと思います。高橋美沙紀さん(愛知 124期)も仲が良くて一緒に遊びますし、うちに遊びに来る人もいっぱいいます!舞夏さん(金田舞夏選手 福岡 124期)とか山口優依さん(愛知 124期)も来てくれましたし、一緒に練習もします。
―冬季移動中のオフの日は宇野選手と過ごすことが多いですか?
そうですね、一緒に出掛けたり、家にいる時はよく一緒にアニメを見てます。宇野とショッピングも行くんですけど、私たちはアニメが好きなのでグッズも買います!「何が出るのかな」って感覚がすごい好きなので、ランダムグッズが大好きなんです!
最近は宇野と一緒に2周目の進撃の巨人を観てます。あとは最近忍たま(乱太郎)の映画があったんですけど、それにドハマりしてそのグッズもめっちゃ買います。本当に毎日楽しいです。
なので(宇野選手がレース中で)今寂しいんですよ。(笑)寂しいから早く帰ってきてほしい(笑)
―冬季移動が終わったら、宇野選手とも離れてしまいますよね。
そうなんです。期間が空いていて一緒のレースの予定があったら、こっち(岐阜)にみんなを集めて合宿みたいな感じで練習させてもらおうかなって、勝手に思ってます(笑)
岩手と岐阜だと遠いのでなかなか会えないんですけど、ちょこちょこ連絡は取ってます。
―GIオールガールズクラシックはGI競輪祭女子王座戦に続いて2回目のGIですが、調整はいかがですか?
今は調整っていう調整はせずにいつも通りやってるんですけど、脚の状態は良い方向に持っていけてると思ってます。
最終的な目標はグランプリだし早く出たいと思ってるので、GIは獲りたいし燃えてきますね!
―競輪祭の時は緊張されたと思いますが、奥井選手を相手に先行して確定版に乗るレースもありましたよね。
はい、普段の開催も未だに緊張しますけど、競輪祭はGIが初めてで同期もいない開催でしたし、いつも以上に本当に緊張しました!!緊張の記憶が強いんですけど、そのレースは自分でもびっくりしました。まさか確定版に乗れるとは正直思ってなくて、しかも頑張って逃げて3着だったので自信になってます。
―今は冬季移動で岐阜にいらっしゃるとのことですが、バンク特性を理解している面で有利になりそうですか?
はい、冬季移動で使わせてもらっている岐阜競輪場は第2の故郷と言っても過言ではないですし、慣れてる方だと思います。やっぱりそこで成績を残したいので頑張ってます。
ーGIオールガールズクラシックへの意気込みを教えてください。
今回は同期の宇野とか竹野さん(竹野百香選手 三重 124期)もいるし、楽しみです。自力の逃げで頑張ります!冬季移動でも使わせてもらっている岐阜競輪場での開催なので、やっぱり爪痕を残したいと思います。自力で頑張りますので、応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 太田理恵
東京大学 大学院卒、GIでは自力選手のタイムを計測。 モデル出身で、現在は競輪MCや毎月のコラム執筆を中心に活動する。 ミス・ワールド日本大会2014,2015,2020特別賞受賞。
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3月に玉野競輪場で行われたルーキーチャンピオンで優勝した福岡の阿部英斗選手にレースの振り返り、そしてこれからの目標などについてお伺いしました。
― 競輪選手として本格的にデビューされて10ヶ月が経ちましたけれども、ここまで振り返ってみて阿部さんの中ではいかがですか?
そうですね、思ったようにすべてがうまくいったわけではないですけど、それなりにしっかりと結果はついてきているのかなと思います。
― デビューして1年経たずにS級にも上がってということになってますもんね。
18連勝を目標にしてた部分も少しあったんで、やっぱりそういうところも含めて、自分が思った通りにはいかない部分はありました。
― 思った通りにいかなかったというのは、何が原因というか...まあ相手関係もあるかと思うんですけど、何だったんでしょうか?
やっぱり自分の脚力というか力が足りなかった部分も大きいですし、もう少しレースできれば良かったなって、今思えば思います。
― それは、レースに臨むときにプレッシャーみたいなものがあったということですか?
デビュー戦は、先行もしなきゃいけないのかなと思って、勝ち方にこだわり過ぎたところがありましたね。
― 森田一郎選手が先にS級を決めてましたよね?
そうですね、森田さんとは一緒に練習もしていましたし、練習でも一度も勝てなかったし、結果としても勝てなかったので、本当に悔しかったです。
― じゃあなおさら、森田さんが待っているS級に自分も早く上がってやろうっていう気持ちは強かったんですね。
そういう気持ちはありました。
― レースに臨む前って、「自分が売れてるな」とか、オッズを見て感じたりすることってありますか?
自分はオッズをすごく見るタイプの選手だと思います。
― それは、あえて見るようにしてるってことですか?
あえて見ますね。控室で音楽を聴きながらレースのことをずっと考えてるんですけど、お客さんがどういう考え方をしているのか、少なからずオッズからわかるので、そういう意味も込めて見ています。
― お客さんの考え方も?
そうですね。自分はお客さん側から選手を目指しているタイプなので、お客さんがどういう意図で買ってるのかな、どうして売れているのかなっていうのは、すごく考えながら控室で待っています。
― 阿部さんが本命でライン決着はもちろんですけど、筋違いのところでも10倍切ることが多いじゃないですか?そういうところも見ながらレース展開を考えたりされているんですか?
そうですね。一番人気はだいたい自分から売れることが多いので、「この組み合わせが何で売れてるのかな」とか、そういうのを考えていると結構面白いですね。面白いし、リラックスもできます。
― 先ほどともちょっと重なるんですけど、オッズがガチガチに被ってるときとか、緊張したりはしますか?
緊張することはあんまりないと思いますね。レースの時も、自分が人気だからってなにか変わることはあまりないと思います。
― 走る前のルーティンというか、ゲン担ぎとか、そういったことはありますか?
ゲン担ぎはあまりないんですけど、靴を右から履くのが当たり前になっていて、1回だけ左から履いたことがあったんですが、無意識にすごく気持ち悪くなって、履き直したことがあるんです。そういう、何気ない行動が無意識に染み付いてるのかなと思います。
― 1月の立川でS級初戦を迎えたわけですがシリーズを振り返って、阿部さんの中ではいかがでしたか?
人生で結構落ち込んだレースではありますね。あそこがターニングポイントだったような気もします。S級の舞台で戦うのを目標にしてやってきた部分があって初めてのS級でちょっとビビってた部分もありますし。目の前にタイトルを取ったことがある人と戦うわけだったんで。緊張感はかなりありました。今までで一番かもしれません。
― その立川のレースが終わってからというのは、ご自身の中で気持ちを立て直して、また練習にぶつけていった感じですか?
立川の初戦で7着になって、ボロ負けだったんですけど、逆にそれが自信になったというか。うまく言えないんですけど、あれからすごく自信を持ってS級でも戦えている気がします。
― 確かに、あの時がね。初日は負けてしまいましたけど、そこからの成績はかなりいいですもんね。
はい。そこからは自信を持って、自分のレースができているように思います。
― その次が地元の小倉で、さらに小松島のGIII開催もありましたよね。グレードレースを振り返って、阿部さんはいかがでしたか?
お客さんがあまりいなかったので、GIIIっていう感じは正直あまりしなかったですけど、目の前に新田さんとか、強い選手がいたので緊張感はありましたし、そういうところはすごく参考になったと思います。
― 新田さんとはお話ししたり接する機会はありましたか?
ナショナルチーム時代に新田さんに指導していただいていて、3年くらい一緒に練習させてもらっていました。なので顔見知りではあるんですけど、あまり込み入った話はできなかったですね。レースが終わった後は「お疲れ様でした」くらいしか話せませんでした。
― なるほど。じゃあレースについてのやりとりは特にはなかった感じですね。
はい、特にはなかったです。
― そのシリーズ、全部で最終バックを取るような競走をされていたと思うんですけど、そのあたりは意識されてたんですか?
そうですね。心がけている部分ではあります。
― そして、その次が優勝された玉野でのルーキーチャンピオンだったわけですが、やっぱりこのルーキーチャンピオンに出るっていうことは、一つの目標みたいなものもありましたか?
そうですね、やっぱり出たいレースでしたし、一つの目標ではありました。
― 実際にルーキーチャンピオンを迎えるにあたっての阿部さんのコンディション面は、いかがでしたか?
もう全く問題なかったと思いますし、精神面もすごくいい状態で入れたと思います。
― 先ほどまでは7車立てでのレースが多かったと思うんですけど、今回は9車立てでのレースでしたよね。そういったところで何か対策などはされていましたか?
小倉の1週間前ぐらいに練習で、9人全員単騎でデモレースみたいなことをやってくれたんです。練習仲間の方たちが、ルーキーチャンピオンを想定して、シミュレーション的な感じでやってくれて。めちゃくちゃありがたかったですね。
― それはすごくありがたいし、嬉しいですよね。
本当に不動会の皆様には感謝しています。
― その先輩たちの思いにも応えるためにも、「負けられない」っていう思いは強かったですか?
そうですね。自力じゃない選手たちも、自力でデモレースしてくれたので、そういう面でも本当にご迷惑をおかけした分、良い形で恩返しができてよかったなと思います。
― 阿部選手の中で特に意識していた選手はいましたか?
やっぱり125期のトップは森田さんだったと思いますし、今まで一度も勝てていなかったので、最後この機会に勝ちたいっていう気持ちは強かったです。
― どんな作戦でそのレースに臨まれたんですか?
小倉の合宿で練習した時に、やっぱり後ろがちょっと不利だなっていうのは強く感じたので、スタートから前を取りに行って、取れた位置から前々でレースしようって考えてました。
― 確かに、レースを見ていても前々で攻めていく姿勢を感じました。勝負どころでは、ちょっと詰まるようなところもあったと思うんですが、ああいった場面は苦にしないタイプですか?
そうですね。最悪こじ開けることは自分ならできると思ってましたし、焦らず、いつでも前に行ける気持ちでレースをしてました。
― そこからまた巧みなコース取りもあって、森田選手とのゴール前勝負になったんですが、あのあたりは振り返ってどうでしたか?
あんまり記憶がないわけじゃないんですけど、レースの中で自然と起きたことだったので、「次こうしよう」って考えたわけではないです。ただ、四コーナーを回った時に前に森田さんしかいなくて、「この人を交わせば1着だ」と思って踏んだのは覚えてます。
― ゴール前では、「かわしたぞ」っていう感触はあったんですか?
はい、ありました。毎日しっかり積み上げてきたので、確信を持ってゴールできました。
― あのガッツポーズもかなりかっこよかったですよね。
しようと思ってたわけじゃなくて、体が勝手に動きました。
― 最後に場内を回っていた時、ファンの声援はどう感じましたか?
すごくありがたかったです。卒業記念の時から応援してくれている人たちが多かったので、ようやく目の前で恩返しできたかなっていう感じがしました。
― 周りの人たちに対する思いも、すごく強いですよね。終わったあと、ご家族や師匠、練習仲間の皆さんの反応はいかがでしたか?
「よく獲った!」って褒めてくれました。やっぱり嬉しかったですね。なかなか形になってなかったんですけど、本当に最後、125期での最後のレースで形として残せたのは良かったなと思います。
― 確かに、同期の方たちだけで走るっていうのは、もうなかなか無いですよね。
そうですね。もう無いに等しいと思います。
― 終わったあとに同期の皆さんでご飯とか行かれたんですか?
塩島さんと遠藤さん以外とはご飯に行って、みんなでいろいろ話しながらご飯を食べました。
― やっぱりレースが終わったら敵じゃなくて「同期」っていう感覚なんですね。
はい、そうですね。逆に同期があそこまで集まるってことは、なかなか無いと思うので、楽しかったですね。
― ちょっと突っ込んだ話になりますけど、優勝賞金が140万円くらいありましたよね?なにか、ご自身へのご褒美とかってありましたか?
うさぎを飼うのが憧れだったので、うさぎを飼い始めました。
― そうなんですね!じゃあ、もうご自宅に迎えてから1週間くらいですか?
はい、そうです。すごく可愛いです。
― うさぎのいる生活になって、なにか気持ちの面での変化とかありましたか?
癒やされますし、帰る楽しみができたというか、落ち着きますね。
― そのルーキーチャンピオンを獲られて、次は地元・小倉での凱旋となりましたが自分の中で何か意識の変化ってありましたか?
ルーキーチャンピオンだけじゃなくて、その前からもいろいろと気持ちは高まっていたので、自信を持って突っ張れるようになってましたし、「何に対してもできる」っていう自信のもとでレースが運べたかなと思います。
― 気持ちの面でかなりプラスに向かっていったんですね。
はい。やっぱりメンタル面が弱い部分があったので、あれを獲ったことで、自分の中で考え方も変わってきたように思います。
― こないだの小倉の決勝でも横の動きがすごく目立ってました。なんでそんなに横が強いんですか?
自分は8歳から自転車競技をやっていて、競輪の選手たちに育ててもらったようなもんなんですけど、併走の練習とか横の練習とかを、小学生のころから選手の人たちが一緒にやってくれてたんです。だから、人が横にいることも正直そんなに怖くないし、その人を信頼して当たることが、小学生の頃から普通にできてたんですよね。
― すごいですね!逆に阿部さんにとってはそれが"当たり前"だったんですね?
はい、普通だと思ってました。でもデビューしてから「横が怖い」っていう選手の話を聞いて、初めて自分がちょっと特殊なんだって知りました(笑)
― 確かに、自転車に乗ってない人からすると、あのぶつかり合いは本当に怖いですよね。それを新人の段階で平然とやってるのはすごいなと感じてました。もう横に関しては、10年くらいやってる感じなんですね。
そうですね。横はずっとやってきてるんで、今は縦の脚力ももっと強くしていければ、と思ってます。
― じゃあ、その縦が強くなってきたら、もう本当に"最強"になっちゃいますね!
いや、でもSSの選手だったり、眞杉匠さんみたいな選手を見ると、やっぱり自分にはまだ足りないところがあると思います。この前の決勝で優勝できなかったのも、まだまだ甘い部分があるからだと感じてます。
― そういう選手を目標にされてるってことですか?
目標というか、自分の脚質的にも眞杉さんに近いものがあると思うので、すごく参考にさせてもらってます。
― 今、レースや練習の中で意識していることは何かありますか?
本当にどうしようもない時はあると思うんですけど、自分の中で意識してるのは、誰が見ても「これは仕方ない」と思ってもらえるように、最後までレースでは全力を尽くすっていうことですね。
― それも、やっぱり阿部さんが"お客さん目線"を持ってるからこその考え方ですよね。
はい、そう思います。
― ルーキーチャンピオンも獲られて、これから本当に活躍が楽しみなんですが、今の目標があれば教えていただけますか?
ヤンググランプリ出場を目標に頑張ってます。
― 最後にオッズパークの読者の皆様に一言お願いします。
はい。最後まで諦めない競走を心がけます。応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある重低音ボイスが魅力。
実況、ナレーション、インタビュー、俳優など活躍の場は多岐にわたる。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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