トーマスメモリアル 魂の継承 Vol2
今節は、昨年12月に行われた「トーマスメモリアル・魂の継承」の第2弾。平成11年12月、レース中の事故により亡くなった飯塚のカリスマ・中村政信選手を偲んで開催される大会。「トーマス」は中村選手の愛車に付けられた車名。中村選手と同じ19期が多数参戦するのが特徴だ。ちなみに、この大会の直後にSGが控えている関係で、S級やA級上位の選手は不在。
近況、勢いがあるのは19期の須賀学。前走の伊勢崎4日間開催で2勝を挙げる準優勝。かつての軽快な走りが戻ってきている。スタートの切れ味も不変で、得意の速攻が決まっている。19期で浜松と言えば、須賀が代表格。エンジンが良いところに加え、今回の大会のコンセプトを考えると活躍しそうな予感がビンビンする。他に、19期で有力なのは梅内幹雄。前走の地元では納得いく結果を残せなかったが、今回のメンバー相手なら鋭い追い込みを披露できるハズ。スタートに不安あるが、今回は一番後ろから走るレースが多いだろうから、その点は心配ない。地元・飯塚の19期でA級なのは水崎正二。素早いスタートから早めに先頭に立ち、その後はインをビッチリと抑えるのが勝ちパターン。山陽の19期は竹中一成と田中泰彦。岡部聡も19期だが、この直後のSGに参戦するので、今回は不参加だ。
若手で注目なのは森本優佑。前走の山陽GII若獅子杯で優勝戦まで進出した。元々、スピードには定評あったが、走りが安定しないのが以前の課題だったが、近況はコース取りが良くなり成績が上向いてきた。スピードある選手は大化けする可能性が大いにあるので、今後の活躍に期待したい。田辺誠も前走の地元で優出した。田辺は長期療養していたが、復帰してからは好成績が続いている。長く休んでいた分を取り戻す勢いで結果を出している。今節も優勝戦まで進んでくる可能性は高い。
前走で優勝戦までは進んでいないが、若手で期待したいのは春本綾斗、矢野正剛、片野利沙など。まだまだ荒削りな面はあるが、ここ一番でツボにはまると大駆けの可能性を秘めている。
若手ではないが実力あるのは有吉辰也。前走のミッドナイト開催でも天候に関わらず良い走りを見せていた。直後のSGに出場していないのが不思議なくらいの実力の持ち主。当然のように優勝戦まで進んでくるだろう。
B級では独走力がある清水雄平、松永幸二、木部匡作、重富英雄。逃げて粘り強い伊藤幸人、深沢悟、別府末彦。捌きがある岩永清文。そして、スピードはS級と遜色ない山浦博幸に大注目だ。
______________________________
主な出場予定選手
______________________________
有吉 辰也〔飯塚 A-36(25期)〕
藤川 幸宏〔飯塚 A-61(29期)〕
春本 綾斗〔山陽 A-31(31期)〕
梅内 幹雄〔川口 A-33(19期)〕
須賀 学〔浜松 A-72(19期)〕
白次 義孝〔伊勢崎 A-195(23期)〕
森本 優佑〔飯塚 A-152(31期)〕
田辺 誠〔川口 A-232(27期)〕
若獅子Vの新井恵匠が凱旋!
今回の伊勢崎開催は、地元勢が充実している。山陽のGII若獅子杯で優勝した新井恵匠をはじめ、今期から全国ランク1位の青山周平、復調ムードを感じさせる絶対王者・高橋貢。若手S級も近況の走りは活発そのもの。対する外来勢は参加数こそ少ないが、精鋭がそろっており優勝を持っていける選手もちらほら。
最も勢いがあるのは新井恵匠。直前の山陽GIIを制しており上り調子。優勝戦では驚異的な上がりタイムをマークし、ここから始まる快進撃を予感させるモノ。レース場は変わるが地元走路なのでしっかりと合わせてくるだろう。
新井が優勝した優勝戦に、今回出場する中で他に乗っていたのは栗原俊介、吉原恭祐、早川清太郎といずれも地元勢。栗原はハンデが最重ハンの10M前という利点を生かし、結果を残していた。もちろん走りの方もアグレッシブで、車をナカに向けたら必ず突っ込んでいく根性を持っている。吉原もどちらかと言うと栗原にタイプが似ている。攻めに関してはやや荒削りな面あるが、強気に仕掛けていく姿勢は好感が持てる。早川は優勝戦で8着になってしまったが、優勝戦まで進んでいたのだからエンジンが悪いわけではない。
全国ランクトップの青山周平も若獅子杯に参加していたが、準決の不安定走路を乗り切れず優出は逃してしまった。しかし、それ以外のレースでは不安のない走りを見せていたので心配はない。前回の伊勢崎開催で優勝したのは桜井晴光。優勝戦は完全な良走路ではなかったが、持ち味のスピードをいかんなく発揮して快勝。今後につながりそうなパフォーマンスを見せた。一つ注意点はハンデの変動。優勝したのは最重ハンの10M前だったが、今回からハンデが重くなり最重ハンになりそう。となると、レース展開はかなり変わってくる。この変化に対応できるかどうかが大きな焦点。同じ優勝戦に乗っていたのは内山高秀と西村健。どちらもエンジンは良さそうだった。
対する外来勢で最も注目なのは鈴木圭一郎。鈴木の前走は若獅子だったが、青山と同様に準決で2着までに入れず優出モレとなってしまった。しかし、それ以外の4日間はオール連対。落ち着いた走りができていた。鈴木は若手ながらエンジンを高位でキープするのが巧い。これはビックプレイヤーの仲間入りするのには絶対条件だ。実績で言えば池田政和の方が上。絶頂時の走りはなかなか見られなくなったが、時折り鋭い攻めを披露することがある。今回のメンバー構成なら、十分優勝戦まで視野に入れているだろう。
飯塚からは荒尾聡と滝下隼平がS級として参戦。荒尾の前走は川口SGだったが、シリーズを通してあまり良くなかった。しかし、乗り手の実力はしっかりしているので、エンジンさえ付いてくれば活躍は必至。滝下は成績がムラな傾向がある。良い日は強烈な走りを見せるが、悪い日は凡走になる事が多い。山陽からは丹村飛竜がS級として参戦。今期は山陽でランク1位になっているが、近況はよい結果を残せないでいる。ここらで良化のきっかけを掴みたいところ。
______________________________
主な出場予定選手
______________________________
青山 周平〔伊勢崎 S-1(31期)〕
高橋 貢〔伊勢崎 S-5(22期)〕
早川 清太郎〔伊勢崎 S-11(29期)〕
新井 恵匠〔伊勢崎 S-28(30期)〕
鈴木 圭一郎〔浜松 S-3(32期)〕
荒尾 聡〔飯塚 S-9(27期)〕
池田 政和〔川口 S-16(23期)〕
丹村 飛竜〔山陽 S-18(29期)〕
今回のミッドナイトは8車6レース制!
開催ごとに、車立てと1日のレース数が変わる感のある飯塚ミッドナイトだが、今回は8車6レース制。最近多かった6車立てや7車立てと比べて、車券を当てるのは難しくなる代わりに、配当の面ではおいしいモノが望みやすくなる。いつもは少ないS級参戦のミッドナイトだが、今回は8人参加予定。
地元のS級・桝崎陽介は、前走の山陽GII若獅子杯では全くいいところがなかった。若手ばかりのレース特有のスピード戦に対応することができなかった。また、この大会には山本智大、人見剛志、佐藤裕児、平田雅崇なども参戦しており、山本が優勝戦まで進出する活躍を見せた。課題とされていたスタートが大幅に良化し、レース展開がグッと楽になったのが大きな要因。今節も最重ハンの20M前に置かれるようなら再び活躍が見られるかも。人見は準決で苦手な走路状況になり敗退したが、良走路の動きに関しては素晴らしいモノがあった。
26期と、中堅の域に入りつつありながらも今年急成長を見せたのは黒岩明。今期のランクは、なんとSの17。記念レースでも臆することなく思い切った走りができている。エンジンが高い位置で安定しているおかげもあるが、乗り手がひと皮もふた皮も剥けた感がある。今回はメンバーを見渡しても主力の部類に入る。黒岩と同地区の斎藤撤二もどちらかと言うと、黒岩同様に晩成型。デビューから数年は低迷が続いたが、近年は走りにアグレッシブさが出ている。スタートに甘さを残しているが、レース後半の追い込みは鋭いモノがある。
山陽のS級は人見の他に岡部聡、岩崎亮一、前田淳、角南一如が参戦。岡部と岩崎は年間を通して大崩れすることなく、ある程度の位置でエンジンが安定している。スピード、雨走路、道中の捌き、どれを取っても苦手なモノがないのが強み。前田は速攻タイプ。同ハンに多く車が並んだ時に真価を発揮するタイプだが、今回は最重ハンはあまりいないか。角南は、このところ元気がない。かつての豪快な捲りを再び見たい。
A級では、片岡賢児が速攻力を取り戻し、前走の地元開催で優出。川口の早船歩もハンデ差を生かし、前走の伊勢崎で優出と元気。今期からA級になってしまった東小野だが、実力はまだまだS級と遜色ないので、今回のようにメンバーが薄い開催では活躍必至。
B級では長谷川啓が活発な動きを見せている。強豪相手でも粘り強く残るケースが増えている。試走タイムが出ないタイプなので、人気薄になるなら積極的に狙ってみたい。また、同地区の高橋祐一、川原剛もハンデ位置を生かして健闘している。
______________________________
主な出場予定選手
______________________________
桝崎 陽介〔飯塚 S-35(28期)〕
黒岩 明〔川口 S-17(26期)〕
斎藤 撤二〔川口 S-38(25期)〕
岡部 聡〔山陽 S-20(19期)〕
岩崎 亮一〔山陽 S-21(25期)〕
前田 淳〔山陽 S-32(27期)〕
角南 一如〔山陽 S-39(27期)〕
人見 剛志〔山陽 S-40(28期)〕
東小野 正道〔飯塚 A-2(25期)〕
シリーズリーダーは浦田信輔か!
久しぶりに開催される浜松開催。今節の6日後には、同じ浜松でSG日本選手権が控えており、それに出場する選手にとってはデータ取りに絶好な機会になる。参加する選手の中で、腕も近況の状態も良いのは浦田信輔。他の選手達は、どれくらいまでエンジンを仕上げてこれるか。
先述の浦田は前走の伊勢崎で優出し4着だった。優勝戦は走路の一部が濡れてる不安定な状態だったが、予選準決の3日間の良走路はオール1着で突破しており、エンジンの仕上がりはかなり良い。また、今回の浜松との相性もバッチリなので、当面のところ優勝候補筆頭に挙げられる。
対する地元勢はS級が5人参戦予定。5人ともエンジン的には悪くない。その中でランクトップは木村武之。川口のSGではイマイチだったが、その後の川口一般開催でも納得のいく結果は出せなかった。しかし、エンジン的には大崩れしているわけではなく、ちょっとしたところで立て直せそうな状態。今回は地元でしっかり整備できるので、いつもの良いときの走りを取り戻してくれるだろう。ランク次位は伊藤信夫。SG後の伊勢崎では優勝戦には進めなかったが、スピード感ある走りはできていたので心配ない。青島正樹、遠藤誠、笠木美孝も伊藤と同じく前走は伊勢崎。青島は準決の3着以外の3日間は全て1着。力強い差しが決まっていた。遠藤、笠木も成績こそ振るわなかったが、エンジン的にはそこまで不安はない状態。
他のS級では佐々木啓や松尾啓史がエンジン的に戦える状態にある。浜野淳、田中茂、久門徹はエンジンが安定せず、良い日があったり悪い日があったりだ。中野憲人は、課題のスタートこそ克服されていないが、レース後半鋭く伸びてくるスタイルは維持。加賀谷建明は飯塚GIの初日に周回誤認の反則をしてしまい、長らく罰休だった。久々の実戦なので初日の試走には注目したい。
A級の中にも好調な選手はいる。川口の開催で優出したのは武藤博臣と増田伸一。増田は予選準決の3日間を全て1着で優出。武藤は優勝戦3着以外の3日間はオール連対。かつてのスピードが戻ってきた感がある。伊勢崎の開催で優出したのは谷津圭治と佐久間健光。谷津は混戦、佐久間はスピード戦が得意だ。また、ハンデが10M軽くなった浅香潤が地元では健闘していた。今回も最重ハンの10M前に置かれるようなら狙ってみたい。
______________________________
主な出場予定選手
______________________________
木村 武之〔浜松 S-10(26期)〕
伊藤 信夫〔浜松 S-12(24期)〕
青島 正樹〔浜松 S-41(22期)〕
浦田 信輔〔飯塚 S-7(23期)〕
田中 茂〔飯塚 S-13(26期)〕
佐々木 啓〔山陽 S-24(23期)〕
松尾 啓史〔山陽 S-25(26期)〕
加賀谷 建明〔川口 S-33(27期)〕
新井恵匠が2度目のGII制覇!
山陽オートで行われた第27回GII若獅子杯争奪戦は、伊勢崎の新井恵匠が猛烈な追い込みを見せて勝利。これで一昨年の同大会に続き2度目の制覇となった。
優勝戦は、0ハンの山本智大がスタートを残し逃げ態勢に入った。10線からは大外の緒方浩一がカマシを決める。逃げる山本を早い段階で緒方が捕え、ペース上げての独走態勢を築いた。このまま逃げ切るかに思われたが、この緒方を追ってくる選手が一人。新井恵匠だった。新井は序盤で好位を奪うと、栗原俊介と森本優佑を落ち着いて捌き、緒方を追って2番手に付けた時には残り4周。ここから徐々に差を詰めて行き、青旗過ぎでインに突っ込む。これが綺麗に決まり、そのままゴール。
2着には緒方が残り、3着は森本を交わした栗原が山本も交わして粘り込んだ。実力者・早川清太郎はスタートこそマズマズ良かったが、道中の伸びを欠いて後退。最終的には8着となってしまった。新鋭・吉原恭佑とインファイター・岩科鮮太は見せ場を作ることができなかった。
新井は今年4月、船橋から伊勢崎の所属になった。船橋時代から整備、練習ともに熱心で、常に高い向上心を持ってオートレースに取り組んでいた。伊勢崎に移籍になってからも、それまでと変わらずポジティブな姿勢でオートレースと向き合っている。そして、何よりもファンを大切にする気持ちを強く持っている。これからのオート界に必要不可欠な選手の一人だ。更なる飛躍に期待したい。