充実の地元勢は外来勢に付け入る隙を与えない!
SG日本選手権の興奮冷めやらぬまま開催される今節は、そのSGで優勝戦まで進んだ地元勢4人が参戦し、シリーズの核を形成していく。外来勢ではS級選手が不在で、充実の地元勢が圧倒的な存在感を見せ付ける形になりそう。まずは、地元上位陣の動向から。
全国ランク1位の永井大介は、伊勢崎のSG日本選手権で史上初の4連覇が期待されていた。予選、準決を順当に勝ちあがったが、優勝戦では試走からやや劣勢だった。レースでも主導権を奪うことができず、苦しい展開になってしまった。しかし、それまでの動きを見る限りではエンジンレベルが高い位置にあるので、今回の一般開催でも中心的存在になることは間違いない。
ランク2位の青山周平もSGで優出。スタート後の1コーナーで他車との兼ね合いでやや展開に不利があったが、そこからは脅威の巻き返しを見せた。試走タイム一番時計タイの機力をいかんなく発揮して、準優勝までこぎつけた。若手ながら確かな捌きを持っているので、エンジンさえ互角なら永井に対抗できる走りを見せられる。
SG優勝戦の枠番選択で好枠を得た中村雅人だが、レースでは精彩を欠いていた。試走タイムがやや不足な面もあったが、レースでも力強い走りができなかった。しかし、SGの優勝戦まで進める実力があるのだから、今回も優勝候補の一人に挙げられる。
内山高秀はSGの準決で他の選手の落車があり、展開面で恵まれた感はあるが、しっかりモノにして優出するあたりは流石である。26期という中堅の域に入る選手にあって、まだまだ成長を見せており、今後も目が離せない選手の一人である。
他の地元勢では内山同様に近年力を付けてきている石井大輔、冬場のスピード戦を得意とする佐久間健光、B級でありながら実力的にはA級の腕がある平塚雅樹、新人32期の中でも一番の活躍を見せている鈴木圭一郎あたりに注目したい。
対する外来勢は浜松の渡邊篤に注目。31期という伸び盛りの現状において、着実に力を付けている。ロード時代の経験を加味すれば、もっと成長していい選手である。同地区の遠藤誠にも注意必要。前走は伊勢崎のSGだが、3日目に1着を取っている。実力者が多数参戦する開催で白星を挙げているのは自信につながるだろう。
山陽地区では満村陽司と人見剛志に期待。どちらもしっかりした捌きを持っている選手で、同じレースの中で並の試走タイムを出せれば混戦を割って行ける腕がある。
飯塚地区からは越智尚寿が筆頭で軽快な攻めを見せてくる。また、中尾貴志もスピード面でなかなかいいモノを持っており、同期の青山や渡辺からいい刺激を受けているだろうから、モチベーションに繋がっているだろう。
伊勢崎地区では、差しが巧い中野光公や重走路に自信を持っている吉田恵輔、一発力がある矢内昌木に要注意。また、外めのコースを使って車速を乗せてくる桜井晴光も、走路が冷えてくるこの時期は活発な動きを見せるので警戒したい。
______________________________
主な出場予定選手
______________________________
永井 大介〔船橋 S-1(25期)〕
青山 周平〔船橋 S-2(31期)〕
中村 雅人〔船橋 S-5(28期)〕
内山 高秀〔船橋 S-14(26期)〕
中野 光公〔伊勢崎 A-66(25期)〕
渡邊 篤〔浜松 A-4(31期)〕
越智 尚寿〔飯塚 A-65(25期)〕
満村 陽司〔山陽 A-55(26期)〕
11月4日に伊勢崎オートレース場で行われたSG日本選手権は、木村武之が鋭い追い込みを見せて制した。
レース展開は荒尾聡が序盤で先頭に立つも、濱野淳がすぐに交わして逃げ態勢を作った。しかし、木村がジワリと追い込んで先頭を奪取。青山周平の猛追を振り切ってそのままゴール。
このレースでのポイントは1周4コーナーにあったと思われる。我先に主導権を奪いたい前団がこの4コーナーで多少バラける形になったが、木村はこの前団の隙間を突いて一気に3番手に付けた。ここでうまくコースを見つけられていなかったら、その後厳しい展開になったハズ。一瞬のチャンスをしっかり見逃さずモノにするのは、さすがの腕だ。大舞台を数多く経験してるからこそ、なせる業であろう。3番手からは試走タイムが表している通り、機力の違いで丁寧に追い込んだ。
2着に入った青山も大物ぶりを見せる走りだった。一旦は最後方に下がってから追う展開になったから、実質6車を抜いたことになる。SGの優勝戦でここまでの追い込みを見せるのは至難の業だろう。序盤の展開さえうまくこなせていれば、SG奪取も時間の問題だ。
最も注目の1車に置かれた永井大介は、試走タイムからイマイチだった。スタートでも好位を奪えず苦しい展開になってしまった。機力が良ければそこから巻き返して行けるが、今回の優勝戦の仕上がりでは厳しかった。
荒尾は相変わらず武器のスタート力の健在ぶりをアピールしたが、エンジンの仕上がり不足で後続を離すまでには行かなかった。しかし、0オープン戦では大事な要素になるスタート力は変わってないので、しっかりエンジンを仕上げて行ければ再びの栄冠も十分あり得る。
濱野は準決までは自信のないコメントに終始し、優勝戦でもエンジン不足だったが、大舞台で見せ場を作り存在感を示した。中村雅人や内山高秀、伊藤信夫は良いところがなかったが、今後に期待したい。