予選中の軽ハン勢の健闘、準決の日の不安定な天候による難解な走路コンディション、台風のため第5日目の順延と波乱の多かったSGオートレースグランプリは、地元のエース・永井大介が優勝した。
試走一番時計の3・33を叩き出した永井は、逃げ態勢を作る木村武之を早い段階で交わし先頭に浮上。そのまま押し切りゴール。いつもと違ったのは独走に入ると後続を突き放す一方の永井が、なかなかペースを上げられなかった。原因はタイヤ。滑りが気になってグリップ開け開けで走れなかった。しかし、それならそれなりの走りができる永井は見事だった。
ペースを上げられないのをレース中に自覚した永井はコースを外さず、滑らせないように丁寧に走った。結果、ピタリと追走していた木村に付け入る隙を与えなかった。車の仕上がり状況を的確に判断し、それに合った走法をすばやく選択できたのは永井の大舞台での豊富な経験がなせる業だろう。これでSG11V。この数字はこれからも延びていくモノと思われる。
そして優勝戦でも波乱があった。2番人気に推されていた荒尾聡が1周3コーナーでスリップ落車。その外に付けていた田中茂も被害で落車。序盤で実力者2人が早々と戦線離脱してしまった。真剣勝負の結果であるから致し方ないが、ファンにとってはショックであったと思われる。しかし、今回の結果を次にぶつけてくれる事は間違いない。SG日本選手権での巻き返しに期待したい。もちろん、普段の一般開催においても活躍を見届けたい。
木村にスポットを当てると、当人にとっては悔しいレースだっただろう。永井に抜かれた後も差し返せるチャンスはあった。仕掛ける態勢を万全に作れていれば、逆転優勝も十分にあった。しかし、態勢不十分のまま2回ほど仕掛け損ねてしまった。残り2周はタイヤが滑り出して射程範囲から離れてしまった。仕掛けるタイミングを1回に絞って冷静に行けていれば...。レースに「たら、れば」は禁物なのでこの辺にしておこう。SGで優勝争いに参加できる実力の持ち主である事は証明できている。