オートレースの楽しみ方(中級編)
オートレースで車券を買う際、予想の材料となるものはいくつかある。選手の実力、番組のハンデ構成、車の状態、そして走路状況。もちろんほかにもいろいろあるとは思うが、今回は走路状況に的を絞って述べてみたい。
まずは、晴れでの良走路。同じ良走路と言っても大きく分けて2つある。それは、タイヤが食い付く走路とタイヤが滑りやすい走路。一般的に、滑る走路は軽ハンの選手が有利で、食い付く走路は追い込みが有利と言われている。
では、どういう時に食い付く走路になるのか。元々、食い付きの良い走路(例えば、船橋レース場)もあるのだが、基本的には曇ったり気温が低くなって、走路温度が低くなった場合に食い付く走路となる。逆に、陽が出てカンカン照りになるなど、暑くなって走路温度が上がると滑る走路となる。
日本は夏が暑くなり、冬が寒くなるから、夏場は軽ハンが有利で冬場は追い込みが有利と捉えてよい。ただ、夏場でも曇って気温がそれほど上がらない場合や、冬場でも晴天で気温が上がるような時はその限りではなくなる。
また、良走路でも風が強い時は選手の力関係もほんの僅かだが変わってくる。1年を通して風の強い日が多い伊勢崎や浜松の選手は、どこのレース場で走る場合においても、普段慣れているぶん強い風にも対応して乗ってくる傾向がある。
次に、重走路について述べたい。
重走路では良走路の時とは選手の力量関係が全く変わってくる。良走路では強烈な走りをする選手でも、雨が降ると動きに精彩を欠いてしまうシーンがよく見られる。どうしてそうなってしまうのかは分からないが、「雨もセッティングがしっかり合わないと乗れない。」というコメントもあるし、一方、「雨は気合一本!」という捉え方をする選手もある。
いずれにしても、重走路での得手不得手は、新聞やインターネットなどで情報を手に入れられるので、重走路のレースを予想する際には参考にしてみるといいかも知れない。
最後にもう一つ独特な走路状況について述べたい。それはブチ走路と言われるものだ。これは一回濡れた走路が、乾きだしてるけどまだ良走路とは言えないような、良と重の中間の走路状態のことだ。実際的には走路が白く乾いてる所と、濡れて黒い所がまだら模様のようにある状況である。
このような状態の時は、試走が終わってからレースが始まるまでの間にも走路状況が変わるので、試走タイムは参考になりにくい。これこそ得手不得手な選手がハッキリしてくる。ほとんどの選手は、このブチ走路は嫌いと言うが、逆にこの走路を苦にしない選手もいる。オート歴を重ねる上でそういう選手を見つけていければ車券を買う時に大いに参考になると思われる。
豪華メンバーによるナイター競演!
地元は高橋貢(伊勢崎)を中心に中堅勢が総力を挙げてタイトル流出を阻止する。まずは大将格の高橋貢だが、前節は山陽のプレミアムカップに参戦。準決では攻め焦って、珍しく反則してしまったが、機力自体は高位で安定。今回は地元走路で更にナイター開催となれば、アドバンテージを生かし優勝争いに食い込んでくる。日々の調整がよほどズレない限りは高橋貢を軸にレースが展開していく事だろう。
地元2番手は早川清太郎(伊勢崎)だが、近況は走りの粗さが目立つ。ここ6走で妨害行為が2回と不安を抱えたまま、今大会を迎える事になる。妨害行為の繰り返しは厳しい罰則が処されるので、際どい競り合いでは無理できない。とは言え元々、腕はある選手だし、地元は5月のナイター初節に優勝して以来なので、悪い事ばかりではない。
この時期は開催中に雨が降ることも多いので、地元選手で雨が得意な選手を挙げておく。
高橋貢、田村治郎、浅香潤、湯浅浩、金山周平、塚越浩之、青木勝美、岩沼靖郎、中野光公、北渡瀬充、柿沼進一、鈴木幸治、野沢守弘、生方将人、伊藤弘幸あたり。
次に、外来勢で注目の選手を挙げていく。まずは永井大介(船橋)。前節のプレミアムカップでは優勝戦に進出したもののエンジン不足で好結果を残せなかった。今回はG2開催なので、今の状態でも十分通用すると思われるが、本人はエンジン納得していないだろうから、整備での上昇も十分ある。同じ船橋からは森谷隼人(船橋)が近況好調。ナイターの時間にも合わせられれば、いい走りを見せてくれる。
川口からは平田雅崇、佐藤裕二、鈴木清、若井友和らが参戦。いずれも状態はマズマズなので車券に絡む活躍をしそうだ。特に、若井は前回伊勢崎に来た開催の5月28日に優勝している。その時のデータも残っているだろうから初日から注目だ。
伊藤信夫(浜松)、笠木美孝(浜松)ら浜松勢は近況やや低迷。逆に飯塚勢は元気だ。かつて三羽烏と言われた篠原睦(飯塚)、田中茂(飯塚)、久門徹(飯塚)は堅調。久門はプレミアムカップのA級優勝戦で惜しくも準優勝。優勝も狙える動きだった。
最後に山陽勢からは、濱野淳、佐々木啓、丹村飛竜らが参戦。共に地元のプレミアムカップは今イチだったが、転戦慣れしてる山陽の選手なので伊勢崎走路にもキッチリ合わせてくる事だろう。
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主な出場予定選手
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高橋 貢〔伊勢崎 S-1(22期)〕
早川 清太郎〔伊勢崎 S-9(29期)〕
永井 大介〔船橋 S-2(25期)〕
平田 雅崇〔川口 S-23(29期)〕
伊藤 信夫〔浜松 S-10(24期)〕
篠原 睦〔飯塚 S-8(26期)〕
田中 茂〔飯塚 S-13(26期)〕
濱野 淳〔山陽 S-15(24期)〕
成長著しい31期!ベテラン勢も腕を披露!!
前節は31期岩田裕臣(川口)が見事な追い込みで優勝した川口開催。今節も、岩田は斡旋されているので注目の存在。ロードレースでバイクの経験があり、オート転身後も活躍が期待されていたが、前節の優勝でその才能が完全に開花した。レース間隔もそれほど経っていないので、いい流れで参戦できる。
その岩田と同期の31期もみんながみんな着実に力を付けている。まずは同地区の佐藤摩弥(川口)。ハンデが重くなってからは良い結果を残せてなかったが、前節あたりからだいぶ人を抜いていく技術が上がってきた。このハンデに慣れてきた事も上昇の一因だろう。中山透(川口)は元々スピードある選手だったが、更に速く走れるようになっている。課題のスタートを克服する日が来れば、大躍進を遂げるだろう。
船橋地区では平塚雅樹(船橋)。長欠明けから1級車に乗り替わって3節走っているが、その内2節で優出。いつ初優勝してもおかしくない状況で、ハンデが据え置きならば尚更チャンスと言える。古木賢(船橋)も、スタートと道中の走りが少しずつ良くなっている。重走路を苦にしないので、梅雨のこの時期は活躍の場が拡がるだろう。
浜松からは渡邉篤(浜松)。31期最年長で成長の余地がどれくらいあるか心配されていたが、全く問題なく1戦ごとに確実に巧くなってきている。前節の飯塚一般開催では準決こそ8着になってしまったが、それ以外の3日間は全て1着。辰巳裕樹(浜松)の方は、前々節の川口で準優勝。前節の伊勢崎でも良い走りを見せていた。
飯塚からは鐘ヶ江将平(飯塚)、中尾貴志(飯塚)が共にスピードあるタイプ。森本優祐(飯塚)は近況伸び悩んでいるが、オートに対しては前向きな姿勢が窺えるので、今後の成長に期待。
山陽からは1人だけだが、春本綾斗(山陽)は3月に川口で落車してからスランプに入っていたが、5月あたりからエンジンが上向き、それに伴って乗り手も良くなってきた。
ベテラン勢も負けてない。地元の且元滋紀(川口)は前節で優出したし、篠崎実(川口)、福田茂(川口)は共に相変わらず果敢な攻め健在だし、柴山信行(川口)はハンデ位置のよさを生かして健闘しそう。また、鈴木章夫(浜松)は年齢を感じさせない鋭い突っ込みを見せるし、小関勝治(山陽)は、近況は本来の捌きが戻ってきた印象。
中堅勢も、試走タイム出ている間中大輔(川口)や、迫力ある捲りが武器の西川頼臣(浜松)、混戦でのレース運びが巧い永瀬敏一(船橋)などタレント豊富なので、見どころに事欠かない。
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主な出場予定選手
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岩田 裕臣〔川口 A-197(31期)〕
篠崎 実〔川口 A-66(9期)〕
柴山 信行〔川口 A-71(19期)〕
福田 茂〔川口 A-75(12期)〕
永瀬 敏一〔船橋 A-64(11期)〕
鈴木 章夫〔浜松 A-62(2期)〕
田中 正樹〔飯塚 A-59(29期)〕
小関 勝治〔山陽 A-122(19期)〕
S級優勝戦は浦田信輔が嬉しいプレミアムカップV2! A級戦は佐藤貴也が決めた!!
S級優勝戦はまさかの展開になった。0ハン3枠から有吉辰也が注文どおりのトップスタートを決めたが、2番手に出た藤岡一樹が1周3コーナーで有吉に接触落車。被害を受けた有吉も大きく後退してしまった。3番手に付けていた浦田信輔がその後の周回をしっかり走りきり、追走する荒尾聡を振り切ってゴール。
アクシデントがあっての優勝だが、その位置を保持していた浦田は見事である。独走も全く不安を感じさせなかった。普段からオートに対して真剣に取り組んでる証と言える。どんなレースでも、常に一生懸命で、展開的に勝てなそうな状況に陥っても、少しでも上の着を狙っていく姿勢にファンから大きな支持を受けている。まさにオートレーサの鏡だ。今度の大舞台でも大いに活躍が期待される。
A級優勝戦は最後の最後まで目が離せない展開だった。
今節スタートが切れていた大木光が先行して、2番手に出た久門徹が終始追走する形。常に久門は大木の隙を窺っている状況で、何度か仕掛ける素振りを見せていたが、入れるまではいかなかった。しかし、最終回3コーナーで久門が渾身の突っ込み。大木を交わしたかに見えたが、3番手に付けていた佐藤貴也がゴール前でチョイ差しを決めて見事に優勝。劇的な結末となった。
佐藤は道中で、試走タイムが出ていた岩田とやり合う展開で、そこで競り勝ち、最後のワンチャンスをモノにした。長らくスランプに入っていたが、3~4節前から状態が上向き、以前の良い走りが戻っていたところで今回の結果は本人も嬉しい事だろう。元々、ポテンシャルは高い選手なので、これからいくらでも活躍できそうだ。
二つの優勝戦で楽しみは2倍に!
今大会はA級とS級に分かれて予選、準決が行われ優勝戦も別々に設けられている。予選中の3日間がほぼ雨走路だっただけに、エンジンの好不調は準決で判断するしかない。まずは、S級優勝戦を予想していく。
準決で動きが良かったのは有吉辰也、藤岡一樹、荒尾聡、木村武之だが、木村は失権となっているので優勝戦には勝ちあがれなかった。有吉、荒尾の両者はそれぞれの持ち味を発揮して序盤から先頭に立ち、逃げ切ってのゴール。藤岡は粘る金子大輔をゴール前で交わしての1着。絶対王者・高橋貢は攻め焦って有吉と接触し、後退していった。永井大介は1回先頭に立ったものの、エンジンの仕上がり不足か荒尾、木村にやられて3着ゴール。中村雅人も3番手に立ってから車の進み方がイマイチで、そのまま3着ゴール。浦田信輔は、有吉にピタリマークしていたものの仕掛けどころがなく2着ゴール。角南一如は、レース後半の動きが良く、3着に食いこんだ。
当ブログの本命には有吉を推す。エンジンの仕上がりナンバー1と見てるし、スタートの切れも相変わらず良くオープン戦の3枠ならトップスタートも十分だ。周回が伸びても、軽快な走りで逃げ切れそうだ。仮に、荒尾がスタート先行したとしても早い段階で差し込んでいきそうだ。相手筆頭は浦田。外の荒尾や有吉がスタート早いので、先行までは厳しそうだが、最内なら3~4番手には出れそうであり、また2周回伸びるのは好材料。鋭い追い込みを見せてくれそうだ。安定感からは金子。スタートの切れもマズマズで道中の走りも落ちいついている。逆に、今回厳しそうなのは、永井、中村の船橋勢。明らかにエンジン足りてないが、当然整備に取り組むだろうから、急上昇もありえる。当日の試走は要注目だ。地元両者は、8周戦で威力を出すタイプか。角南は周知の通り後半追い込み型だし、藤岡もスタミナ十分なのでゴールまで目が離せない。
◎有吉辰也
○浦田信輔
▲荒尾聡
△金子大輔
△藤岡一樹
次に、A級優勝戦を推察する。
当ブログの本命は久門徹。本来ならS級戦の方に参戦しててもおかしくない実力の選手なので、A級戦ならば当然有利となる。4枠のセンターから一気に飛び出し、後続を引き離していきそうだ。逆転あるなら、佐藤貴也か。近況はだいぶ本来の動きが戻ってきており、乗り手の果敢さが完全に戻れば優勝争いに十分食い込める。
最内の穴見がスタート飛び出すと大混戦になりそうで、レースも面白くなりそう。その場合は捌きがある谷津圭治に出番あり。また、イン戦強烈な大木光もゴリゴリと突っ込んでいきそう。外の3車は枠的にもエンジン的にも厳しいレースになりそう。
◎久門徹
○佐藤貴也
▲谷津圭治
△大木光
△穴見和正